ヨーロッパの源郷・ギリシャについてまとめました
2024年7月、パリオリンピック・パラリンピックの開催を機に、オリンピック発祥に地、ギリシャに関心が沸き、古代オリンピックからはじまり、ギリシャの古代史、さらにはギリシャ神話にまで、学習の範囲を広げていきました。
また、同年年5月の秋篠宮家の佳子さまのギリシャ訪問を受け、ギリシャの王室やギリシャの近現代史についてもまとめてみました。
もともと、大学では形だけは哲学専攻でしたので、ギリシャ哲学には愛着があり、今回のギリシャ・シリーズは、特別な思いを持ちながら取り組むことができました。
ギリシャ:西洋文明発祥の地の到達点
ギリシャ王室:かつてギリシャにも王がいた!
ギリシャ史 (古代):エーゲ文明からローマ支配まで
ギリシャ史 (近現代):独立戦争から王政崩壊まで
投稿記事「古代オリンピック」を更新しました
19世紀末に始まった「近代オリンピック」に対して、ギリシャを発祥とするオリンピックは「古代オリンピック」と呼ばれます。本HPにおいて、これまで「古代オリンピック:ゼウス神殿、神々への奉納」と題して紹介した、古代オリンピックの歴史を、2024年7~8月のパリオリンピック・パラリンピック開催を機に、「古代オリンピック:ゼウスの神域・オリンピアの祭典」と題し、内容を刷新してお届けします。
最新版は以下をクリックしてお読みください。
両陛下ご訪英、確認された日英の深いつながり
天皇、皇后両陛下は、2024年6月、国賓として英国を(公式)訪問されました(22日〜29日)。天皇が国賓として訪英するのは1971年の昭和天皇、98年の明仁上皇に続き26年ぶり3度目となりました。滞在中、天皇陛下とチャールズ国王は、2日英の最高勲章「大勲位菊花章 頸飾(けいしょく) 」と「ガーター勲章」を贈りあわれました。皇室、王室とも代替わりを経たうえでの親善訪問は、日英両国の絆をさらに深める機会となりました。訪英は当初、エリザベス女王の招待を受けて2020年春に予定されていましたが、新型コロナウイルス禍の影響で延期されていました。今年に入りチャールズ国王から改めて招待があったそうです。
今回、両陛下ご訪英において、個人的に関心がでてきたのが、両国君主が贈り合った勲章についてでした。そこで、本HP「レムリア」では、以下の4項目に分けて、日英の栄典制度についてまとめてみました。
「世界の宗教」最終回、ヒンズー教:多様性と寛容性の民族宗教
「世界の宗教」の中から、今回、主要宗教としては最後になるヒンズー教についてまとめてみました。世界3大宗教と言えば、キリスト教、仏教、イスラム教とされますが、信者の数から言えば(2023年推計)、キリスト教(約25億人)、イスラム教(約21億人)に次いで、ヒンズー教(約12億人)が3位に入ります(仏教は5.2億人)。しかし、ヒンズー教は特定の地域や民族に信仰される民族宗教であるので、3大世界宗教から除外されます(もちろん、世界宗教・民族宗教の枠を外し、信仰されている人口数から、キリスト教、イスラム教、仏教、ヒンズー教を世界4大宗教と呼ぶ場合もある)。今回は、そうした少しわかりにくそうなヒンズー教について、以下の4テーマに分けてまとめてみました。
本HPレムリアの「世界宗教」シリーズは、「ヒンズー教」でいったん完成とします。この後は、これまで内容を加筆、修正、刷新させながら、質の向上に努めたいと思います。これまでの投稿記事については以下のサイトか、トップページ右欄からアクセスして下さい。
復活祭だけではない復活祭の典礼
カトリック教会やプロテスタント教会における2024年の復活祭(イースター)(復活の主日)は、3月31日の日曜日に終了しましたが、復活祭に関連する典礼(儀礼・儀式)はその後も継続され、この5月19日(日)の「聖霊降臨の主日(ペンテコステ)」で終了しました。また、復活祭(イースター)の前も、その準備期間として、40日間の「四旬節(レント)」が設けられていました。その間、受難の主日(棕櫚の日曜日)、聖なる過越の3日間において、多くの儀式が挙行され、改めて、キリスト教における復活祭(イースター)の重要性を再認識した次第です。
そこで、今回は、復活祭前の「四旬節(レント)」、「復活祭」、その後の「復活節」についてまとめた投稿記事を出しましたので、参照下さい。
また、イースター(復活祭)についてのさらに知りたいかたは以下のサイトへアクセス下さい。
<関連投稿>
キリスト教の教派
カトリック教会:ローマ教皇とバチカン
プロテスタント教会:ルター発の聖書回帰運動
東方正教会:ギリシャから正統性を継承
アメリカのキリスト教:バプティストを筆頭に…
キリスト教史
キリスト教史①:イエスの生涯とその教え
キリスト教史②:十二使徒とパウロの伝道
キリスト教史③:東西教会はいかに分裂したか?
キリスト教史④:修道院運動の盛衰
キリスト教史➄:異端と魔女狩り
正教会のキリスト教史:ギリシャからロシアへ
「中国の道教を学ぶ」シリーズを投稿しました!
本HP「レムリア」では、「世界の宗教」を紹介していますが、中国の道教について、5本の投稿記事ができました。
道教は、儒教、仏教に並ぶ中国三大宗教の一つで、儒教とともに中国漢民族の固有の宗教です。道教というと老子が始めた道家思想のことであると思う人がいるかもしれません。学校教育の場でも、道教の思想的側面が強調されるので、「道教=道家(老荘)思想」と捉えられるかもしれませんが、実際、そうではありません。
道教において、修行者は不老不死の神仙となることをめざし、さまざまな術や儀礼を行い、人々も健康や金運など現世利益を求めた結果、多種多様な神々が信仰の対象になりました。道教は、「神々の百貨店」、「中国文化の雑貨店」と言われるぐらい様々な要素を含んでいると評されるほど複雑すぎて、誰も、道教を体系的に一つまとめて説明することはできないとされています。
通常、宗教は、教祖がいて、人々が知らない神や世界の真理を説き、人々が集っていきますが、道教の場合は逆に、人々が神々を「創作」し、複雑多岐な信仰の世界を形成していったユニークな宗教です。現在の中国は、無神論であるマルクス主義の国なのですが、中国の人々は極めて宗教的な国民なのかもしれません。そうした、不思議な道教について、いくつかの角度から紐解いていきます。
中国三大宗教の他の儒教と仏教について知りたい方は次のページを参照下さい。
「中国の儒教を学ぶ」シリーズを投稿しました!
本HP「レムリア」では、「世界の宗教」を紹介していますが、中国の儒教について、4本の投稿記事ができました。古代より、儒教は日本にも取り入れられましたが、儒教には、私たちが学校で習わなかった側面がいくつもあります。儒教の真の姿に近づこうと、儒教を多面的にとらえ、その事実を紹介します。
儒教③ 儒教は宗教か否か?
儒教④ 儒教の歴史:孔子と弟子たちの遺産
中国三大宗教の他の道教と仏教について知りたい方は次のページを参照下さい。
キリスト教の復活祭、ローマと世界へ!
キリスト教にとって、春の最大行事といえば、復活祭(イースター)です。2024年のイースターは3月31日に行われました(東方正教会は5月5日)。
イースターは、イエス・キリストが十字架の死の後、3日後に「復活」されたことをお祝いする礼拝です。この復活があったからこそキリスト教が生まれたと言えるほど、キリスト教にとっては大切な日です。
復活祭(イースター)についての詳細やその由来等については
を参照下さい。
ローマ・カトリック教会では、フランシスコ教皇は、その日の午前中、バチカンのサン・ピエトロ(聖ペトロ)広場で、キリストの復活を祝うイースターのミサ(「復活の主日のミサ」)を行った後、同日正午、サンピエトロ大聖堂の中央バルコニー(ロッジア)から、サンピエトロ広場に集まった信者を前に、ローマと全世界に向けた復活祭メッセージと祝福(ウルビ・エト・オルビ)をおくられました。
「ウルビ・エト・オルビ」は、教皇による祝福(使徒的祝福)の正式な形式で、イースター(復活祭)以外に、通常、クリスマスと新教皇がコンクラーベで選任されたときだけ行われる特別なものです。カトリック教会の信徒にとっては教皇の祝福を受けることは罪の償いの免除(全免償)が与えられる条件の一つを満たすことを意味するそうです。
なお、ウルビ・エト・オルビは、ラテン語のUrbi et Orbiの直訳で、「都市と世界へ」という意味ですが、ローマ教会では「ローマと世界へ」と訳されます。
教皇フランシスコの2024年度の復活祭メッセージ
(バチカンニュースより)。
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親愛なる兄弟姉妹の皆さん、主のご復活おめでとうございます。
2千年前、エルサレムから発せられた福音が、今日、全世界に響きます。「十字架につけられたナザレのイエスは、復活しました」(参照 マルコ16,6)。
教会は、週の初めの日の明け方早く、墓に行った婦人たちの驚きを再び体験します。イエスの墓は大きな石で塞がれていました。今日もまた、重い岩が、あまりにも重い岩が、人類の希望を塞いでいます。それは、戦争の岩、人道危機の岩、人権侵害の岩、人身取引の岩、そしてその他多くの岩です。わたしたちも、イエスの弟子であった婦人たちのように尋ねます。「だれが墓の入り口からあの石を転がしてくれるでしょうか」(参照 マルコ16,3)と。
それに対し、復活の朝に見たものは、これほど大きな石がすでにわきへ転がしてある光景でした。婦人たちの驚きは、わたしたちの驚きです。イエスの墓は開き、空になっていたのです!ここからすべてが始まります。あの空の墓を通して新しい道が開けます。それは神以外の誰も開くことのできない道、死の中のいのちの道、戦争の中の平和の道、憎しみの中の和解の道、対立の中の兄弟愛の道です。
兄弟姉妹の皆さん、イエス・キリストは復活されました。そして、イエスだけがいのちに向かう歩みを閉ざす石を転がすことができるのです。いや、むしろ、生ける主ご自身が、いのちと、平和、和解、兄弟愛の道なのです。主は人間では不可能な道を開かれます。なぜなら、主だけが世の罪を除き、わたしたちの罪を赦されるからです。神の赦し無しでは、あの石を動かすことはできません。罪の赦し無しでは、閉鎖や、偏見、疑い合い、自分の罪を常に認めず他者を非難する横暴から脱することはできません。復活されたキリストだけが、わたしたちに罪の赦しを与え、新たにされた世界への道を開くことができるのです。
復活されたキリストのみが、いのちの扉を開くことができます。わたしたちはその扉を、世界に広がる戦争のために、閉じ続けています。今日、わたしたちの眼差しは、特にイエスの受難と死と復活の神秘を証しする聖都エルサレムと、聖地のすべてのキリスト教共同体に向かいます。
わたしの思いは、イスラエルとパレスチナ、ウクライナをはじめ、世界各地の紛争の犠牲者に向かいます。復活されたキリストが、これらの地域で苦しむ人々のために平和の道を開いてくださいますように。国際法の原則の尊重を呼びかけると共に、ロシアとウクライナ間のすべての捕虜の交換を希望します。
また、ガザへの人道支援のアクセスの可能性を保証するよう、改めてアピールすると同時に、昨年10月7日に拉致された人々の即時解放と、同地域での即時停戦を訴えたいと思います。
子どもたちをはじめ、すでに疲弊した民間人に深刻な影響を与える敵対行為をこれ以上続けることは認められません。彼らの眼差しにどれだけの苦しみを見ることでしょうか。それを見て、わたしたちは尋ねます。なぜ?なぜこれほど多くの死者、破壊が必要なのかと。戦争は常に非道であり、敗北です。ますます強まる戦争の風を、ヨーロッパや地中海に吹かせてはなりません。武装や再武装の論理に陥ってはいけません。平和は決して武器では築けません。手を差し伸べ、心を開くことで築けるのです。
長く破壊的な戦争の影響を14年間も被っているシリアを忘れないようにしましょう。無数の死者・行方不明者、多くの貧困と破壊は、国際共同体はもとより、全ての方面からの回答を待っています。
わたしの眼差しは今日特にレバノンに向けられます。レバノンは長期間、政治機能の不全と深刻な経済・社会危機に置かれている上、今、国境でイスラエルとの対立にさらされています。復活の主が、愛するレバノン国民を慰め、出会いと共存と多極主義の地としての召命において国全体を支えてくださいますように。
わたしは、ヨーロッパ構想において統合への意味ある歩みを進めている、西バルカン地域を思います。民族、文化、宗教の違いが、分裂の原因となることなく、ヨーロッパ全域と全世界を豊かにするための源となりますように。
同様に、アルメニアとアゼルバイジャン間の対話を励ましたいと思います。国際社会の支援のもと、対話と、避難民の援助、諸宗教の信仰の場の尊重を推進し、最終的な和平に一刻も早く到達することができますように。
復活されたキリストが、世界の様々な地域で、暴力や、紛争、食糧危機、気候変動の影響などを受け苦しむ人々に、希望の道を開いてくださいますように。あらゆる形のテロリズムの犠牲者に慰めをお与えください。命を奪われた人々のために祈り、これらの犯罪の犯人たちの悔い改めと回心を求めましょう。
復活の主が、ハイチの人々を見守ってくださいますように。同国が、国内を引き裂き、血で染める暴力をすぐにくい止め、民主主義と兄弟愛の歩みのうちに成長することができますように。
重大な人道危機に苦しむロヒンギャの人々に神の慰めがありますように。内戦に引き裂かれたミャンマーに和解の道を開き、あらゆる暴力の論理を手放させてください。
アフリカ大陸、特にスーダンとサヘル全域、アフリカの角地方、コンゴ民主共和国・キブ州、モザンビーク・カボデルガド州の苦しむ住民に、平和の道を開いてください。そして、広い地域を覆い、食糧不足と飢えをもたらす、長い旱魃状態を止めてください。
復活の主がその光を移民や、経済的困難の中にある人々の上に輝かせ、助けを必要とする彼らに慰めと希望をもたらしてくださいますように。キリストがすべての善意の人々を連帯における一致へと導き、より良い生活と幸福を求める最も貧しい家族たちを脅かす多くの問題に、一緒に立ち向かわせてください。
御子の復活においてわたしたちに与えられたいのちを祝うこの日、わたしたち一人ひとりへの神の限りない愛を思い出しましょう。その愛はあらゆる限界、弱さをも超えるものです。それにもかかわらず、尊いいのちの賜物がどれだけしばしば軽んじられていることでしょうか。どれだけの子どもたちが生まれて光を見ることすらできないでいるでしょうか。どれだけの人が飢え死に、基本的なケアも受けられず、搾取と暴力の犠牲となっているでしょうか。どれほどのいのちが売買の対象となり、人身取引を拡大させているでしょうか。
キリストがわたしたちを死の隷属から解放してくださったこの日、政治的責任を負う人々に呼びかけたいと思います。人身取引の災いと戦う努力を惜しまず、搾取の構造を解体するために絶えず働き、被害者らに自由をもたらしてください。主が彼らの家族をいたわり、特に愛する人たちの消息を不安のうちに待つ家族に、慰めと希望を与えてくださいますように。
復活の光がわたしたちの精神を照らし、心を回心させ、受け入れ、守り、愛するべき、すべての人のいのちの価値を認めさせてくださいますように。
皆様に、主のご復活のお喜びを申し上げます。
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<参照>
キリスト教(世界の宗教)
<参照>
バチカンニュース
コトバンク
Wikipediaなど
イスラエル・パレスチナ情勢の理解のために
終わりの見えないイスラエル・ガザ戦争、深まる一方の憎しみの連鎖から抜け出せる方法を見つけるために、まずはイスラエルとパレスチナを正しく知ることが必要でしょう。混迷きわまる中東情勢について、幾つかのテーマ毎にまとめました。
ローマ教皇の年頭メッセージからわかる世界の諸問題
教皇フランシスコは、2014年1月8日(月)、好例の駐バチカン外交団に対して新年の挨拶を送られました。その中で、世界情勢の展望や平和の問題などについて言及されています。世界平和を常に求められるローマ教皇の見解は、アメリカ寄りでも、ロシア寄りでも、中国寄りでもなく、まさに、世界で何が起こり、何に注目しなければならない内容であると思われます。
バチカンニュースの記事を抜粋して、お伝えします(太字は筆者による)。全文については以下から確認して下さい。
https://www.vaticannews.va/ja/pope/news/2024-01/il-papa-discorso-nuovo-anno-corpo-diplomatico.html
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教皇、平和への強い思い、バチカン外交団への新年の挨拶で
(2024.1.8バチカンニュース)
‥‥教皇は現在イスラエルとパレスチナで起きていることに憂慮を表明。昨年10月7日のハマスによるテロ攻撃の残忍さ、多くの人々を人質にとった行為を厳しく非難された。…こうした行為がイスラエル軍のガザ地区への強い反撃を招き、子どもや若者を含む、数万の民間人の死をもたらし…重大な人道危機を引き起こした、と語られた。
教皇は紛争のすべての当事者に、レバノンを含むすべての前線での停戦と、ガザで拘束されている人質の即時解放、そしてパレスチナの人々への人道支援、病院・学校・宗教施設の保護をアピールされた。
ガザにおける紛争が、以前からの脆弱で緊張した状態にさらなる不安定をもたらした地域として、教皇は特にシリアを挙げ、安定しない政治・経済に加え、昨年2月の地震でさらに状況が悪化した同国で暮らす国民、そしていまだヨルダンやレバノンにいる多くのシリア難民たちのために寄り添いを示された。
また、レバノンの社会・経済情勢を心にかける教皇は、同国が政治的停滞から脱し、早く大統領の空位を埋められるよう望まれた。
教皇は、「二国家解決」とエルサレムの国際法的に保証された特別な地位の実現に向け、決意をもって努力することを国際共同体に願われた。
次に教皇は…アジアに目を向け、ミャンマー情勢に言及。同国民に希望を、若者に未来を与えられるよう、またロヒンギャの人々の人道危機を忘れないよう、国際社会の関心を喚起された。
ロシアとウクライナ間の戦争からもうすぐ2年が経過しようとしているにも関わらず、待たれる平和はいまだ訪れず、多数の犠牲者と膨大な破壊をもたらしている状況に、教皇は…国際法の尊重のもと、交渉を通してこの悲劇に終止符を打つことが必要と述べた。
アルメニアとアゼルバイジャンの緊張状態にも憂慮を示された教皇は、双方が平和条約にこぎつけることができるように願われた。
アフリカ情勢をめぐり、教皇はサブサハラ諸国のテロや、社会・政治的問題、気候危機などを原因とする様々な人道危機、中でもエチオピアやスーダンの内戦、カメルーンやモザンビーク、コンゴ民主共和国、南スーダンの避難民の状況に触れた。
中南米に関し、教皇はベネズエラとガイアナ間の強い緊張、ペルーにおける分極化、ニカラグアの社会状況に懸念を表した。特にニカラグアの危機がカトリック教会に与えている痛ましい影響について、教皇は外交対話へと招き続ける教皇庁の立場を改めて示された。
平和問題について、戦争の継続を可能にしているのは豊富な武器のおかげであると言う教皇は、軍縮政策を続けることの大切さを説く中で、特に「核兵器の製造と保有は倫理に反する」と、今一度訴えられた。
一方で、平和の追求のためには、…飢餓をはじめとする、戦争の原因となるものを取り除く必要を指摘。
さらに、教皇は、環境危機や、気候変動が紛争に与える影響を指摘しつつ、昨年ドバイで開催された国連気候変動枠組み条約第28回締約国会議(COP28)の実りが、エコロジー的移行を促すことを期待された。
教皇は、平和のために、国際共同体・政治・社会・諸宗教など、様々なレベルでの対話の必要を改めて強調。また、移民現象、生命保護、人権、ジェンダー理論、教育、人工知能、反ユダヤ主義増加、キリスト教徒迫害などのテーマにも言及された。
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こうして見ると、ローマ教皇は、日本ではメディアがあまり取り上げない地域やテーマについてグローバルに俯瞰されていることがわかります。バチカンの全方位外交は、不確実な世界における日本外交のとるべき戦略について、何らかのヒントを教えてくれそうな気がします。
本サイト「レムリア」でも、今年は、ローマ教皇のいわば年頭メッセージにでてきた地域やテーマについて、歴史的なアプローチとともに取り上げていきたいと思います。
<参考>
ローマ教皇やバチカンについてさらに知りたい方は以下の投稿も参照下さい。