昭和天皇祭:先帝祭として厳かに

 

昭和天皇祭は、昭和天皇のご命日である1月7日に執り行われる祭祀です。

 

  • 大祭として

 

天皇陛下は、1月7日、歴代天皇の霊を祭る皇居・宮中三殿の皇霊殿(こうれいでん)で行われる「皇霊殿の儀(昭和天皇祭皇霊殿の儀」に臨まれます。合わせて、八王子市の武蔵野陵(むさしののみささぎ)においても祭典(山稜の儀)があり、勅使が差遣され、幣帛(へいはく)を奉(たてまつ)っての拝礼がなされます。その日の夜には皇霊殿で御神楽(みかぐら)昭和天皇祭御神楽の儀)も行われます。なお、2020年の昭和天皇祭は、天皇陛下のご即位後、初めての祭典でした。

 

昭和天皇祭は、先帝祭として行われます。先帝祭とは、先代の天皇が崩御された日を祭る宮中祭祀の一つで大祭です。大祭なので、天皇陛下自ら祭典を斎行し、御告文(おつげぶみ)を奏上されます。なお、明治天皇祭は大正天皇時代の「先帝祭」でした。平成の天皇は上皇陛下としてご健在なので、昭和天皇は今の天皇においても「先帝」となります。

 

 

  • 式年祭として

 

昭和天皇祭は、「先帝以前三代(大正、明治、孝明天皇)」の例祭と同様、式年祭が大祭として行われます。式年祭とは、決められた期間ごとに、具体的には崩御の年より3・5・10・20・30・40・50・100年目および以後100年毎に行われる祭祀のことです。

 

昭和天皇の逝去から30年の節目の年に当たった2019年1月7日は、「昭和天皇三十年式年祭の儀」が挙行されました。昭和天皇の式年祭は逝去後20年の2009年以来のことでした。

 

「昭和天皇をしのぶ式年祭」とも呼ばれた祭祀は、ご譲位前の上皇陛下によって執り行われ、上皇陛下ご自身、昭和天皇が埋葬された武蔵陵(むさしののみささぎ)(東京都八王子市)までお出ましになり、祭祀の一つである「山陵の儀」を斎行されました。モーニングの上に黒いコートを着た陛下は米や酒などが供えられた陵前で玉串をささげて拝礼し、御告文を大和言葉で読まれました。この日は、天皇、皇后両陛下や秋篠宮ご夫妻ら皇族方のほか、安倍晋三首相ら三権の長ら約80人が参列しました。

 

一方、これに先立ち、皇居の歴代天皇の霊を祭る「皇霊殿」では、昭和天皇三十年式年祭の一つである「皇霊殿の儀」が行われました。皇太子ご夫妻が天皇陛下の名代として古式にのっとった装束で臨み、拝礼されました。秋篠宮家の長女、眞子さまや次女、佳子さまらも参列されました。

 

昭和天皇の式年祭は今後、死去後50年までは10年ごと、その後は100年ごとに行われます。