世界の中の日本

  • マップ
  • マップ
北アメリカ 南アメリカ 国連 ヨーロッパ アフリカ 中東 アジア 日本 オセアニア
1 2
2020年01月24日

英王室:ロイヤルハイネスと公爵の称号

イギリスのヘンリー王子とメーガン妃は、1月上旬、王室の中心的な「高位(主要)メンバー」から外れ、経済的に独立する意向を示しました。ただし、「女王を支え、女王に対する義務を守り続ける」とも強調、王室の一員として「半公半民」の立場で活動したい考えを表明しました。

 

(参考記事)

英ハリー王子、王族辞める?

ヘンリー英王子、王室離脱へ

 

これを受けて英国王室(バッキンガム宮殿)は、今月18日、ヘンリー王子夫妻が今春、王室の「高位(主要)メンバー」から外れ、公務には参加せず、王族への敬称である「ロイヤルハイネス(殿下および妃殿下)」の称号(肩書)を失うと発表しました。これは、夫妻が王室から実質的に離脱するという合意であり、公務に参加しないということは、公式に女王の代理もできないということも意味します。しかし、結婚時に与えられたサセックス公爵(ヘンリー王子)およびサセックス公爵夫人(メーガン妃)の称号は、王室離脱後も継続して使用するとされています。

 

一方、今回の決定では、夫妻の当初からの求めに応じて、今後は経済的に自立することが認められたことになります。このことは、これまで受けていた王室助成金などには頼らないことを意味し、例えば、夫妻がイギリスでの生活の拠点にしているフロッグモア・コテージの改修にかかった費用、約3億4,000万円も返済するそうです。

 

この決定に対して、ヘンリー王子は、「私たちの望みは、公費を受けることなく、女王と英連邦への奉仕を続けることだった。残念ながらそれは不可能だった」と発言しており、今回の決定が本意ではなかったことを示唆しました。

 

そこで、今回の投稿では、この王室の決定について考えてみたいと思います。まず、「ロイヤルハイネス(殿下および妃殿下)の称号を失う」と、「サセックス公爵及びサセックス公爵夫人の称号は、王室離脱後も継続して使用する」というのはどういうことなのでしょうか。

(参考投稿:ハリー王子と「王室高位メンバー」)

 

  • ハイネスと公爵

ハイネス(Highness)は、マジェスティ―(Majesty)、エクセレンシー(Excellency)と同様に、地位の高い人への敬称で、「殿下または妃殿下」と訳されます。イギリスでは、ロイヤルハイネス(Royal Highnessといい、王族(王室メンバー)で、国王(現在はエリザベス女王)の子孫や、子孫に嫁ぐ女性に対して使われる尊称(称号)です。英語では、その対象者が男子ならば、「His Royal Highness」(殿下)、それが女子ならば「Her Royal Highness」(妃殿下)となります。つまり、ロイヤルハイネスの称号(尊称)を保持していることは、「イギリス王室」の高位(主要)メンバーであることを指しています。

 

ヘンリー王子もメーガン妃も、このロイヤルハイネス(Royal Highness)の尊称(称号)をエリザベス女王から受けていますが、今回、お二人は、自らが求めた経済的独立の代償として、この「His Royal Highness」(殿下)と「Her Royal Highness」(妃殿下)の尊称(称号)を失うことになるのです。

 

一方、ヘンリー王子とメーガン妃は、結婚を機に、エリザべス女王より、「公爵」の称号を受けています。公爵とは、貴族としての称号である爵位の一つです。爵位には、公爵(こうしゃく)、侯爵(こうしゃく)、伯爵(はくしゃく)、子爵(ししゃく)、男爵(だんしゃく)とありますが、公爵はその中で最高位の爵位です。報道では、ヘンリー王子夫妻は、この公爵の称号は失わないとされています。

 

この内容の理解のために、ヘンリー王子夫妻の結婚時の以下の報道記事が参考になるかと思いますので一読してみて下さい。

――――

 

ハリー王子&メーガン妃に与えられた新たな称号を解説

(2018/05/23、Bazaar、一部抜粋)

バッキンガム宮殿は先日、エリザベス女王が孫のハリー王子に「サセックス公爵」の称号を与えたと発表。それにともない、花嫁メーガン・マークルは「サセックス公爵夫人」となり、妃殿下(Her Royal Highness)の称号も授与されることになる。発表によると、「エリザベス女王は本日、ハリー王子に公爵の位を授与しました。王子の称号は、『サセックス公爵』となります」と報じている。そして「ハリー王子は『殿下(His Royal Highness)サセックス公爵』となり、メーガン・マークルは結婚により、『妃殿下(Her Royal Highness)サセックス公爵夫人』となります」と続けた。

 

王室メンバーの結婚に際して、君主(女王)は新しい称号を与える慣習がある。昨年、ハリー王子とメーガン・マークルの婚約が発表されると、王位継承順が第6位であるハリー王子には、英国貴族の称号としては最高位である「公爵」の称号が与えられると予想されていた。なかでも、「アルバニー」や「クラレンス」と並んで空いていた「サセックス」が最有力候補だったのだ。

 

ハリー王子は出生時に、父の「プリンス・オブ・ウェールズ」という称号を反映させて「ウェールズ」の名を与えられた(「プリンス・ヘンリー・オブ・ウェールズ」)。規則としては今後「サセックス」を用いることになり、メーガン妃も「メーガン・サセックス」となる。メーガン妃も夫の称号と名前を名乗ることになる。つまり、女王が彼女に与えた称号と並び、「妃殿下(Her Royal Highness)プリンセス・ヘンリー・オブ・ウェールズ」となる。自分の名前とともに「王子(プリンス)」や「王女(プリンセス)」の称号を使うことができるのは、ロイヤルファミリーに生まれた人だけなのだ。とはいえ、メーガン妃は苗字を使う必要はない。実際、「殿下(His Royal Highness)」、「王子(Prince)」や「妃殿下(Her Royal Highness)」、「王女(Princess)」の称号を持っている王室メンバーは誰も、姓を使う必要がまったくないのだ。

―――

なお、マジェスティー(Majesty)は、国王(女王)に対する尊称で、エリザベス女王は「Her Majesty」(女王陛下)と呼ばれます。

 

では次に、「王室助成金などに頼らない経済的に自立した生活」について改めてみてみましょう。先日の投稿(ハリー王子と「王室高位メンバー」)で、「ヘンリー王子の資産は、約43億7000万円と試算されている」と書きました。今回は、資産ではなく、王室助成金など日々の公務や生活のための資金の流れや、今後についてみてみます。

 

  • サセックス公爵夫妻の収入

 

コーンウォール公領からの収入

ヘンリー王子夫妻は、チャールズ皇太子が保有する「コーンウォール公領」の収入の一部を供与されています。コーンウォール収入とは、コーンウォール公爵(チャールズ皇太子の称号)が持つ、イギリス23郡にまたがる約530平方キロメートルに及ぶ広大な土地からの収入で、主に、領地から生じる地代などです。

 

コーンウォール公領は、1337年に、当時の国王エドワード3世が王位継承者の財政をまかなうために創設され、チャールズ皇太子の収入源となっているそうです。年収、約2000万ポンド(約30億円)とも言われています。チャールズ皇太子は、このコーンウォール公爵領の収入の一部を、ウイリアム王子(ケンブリッジ公爵)一家や、ヘンリー王子(サセックス公爵)一家を含む皇太子の家族に、公務やチャリティ活動、プライベートな出費に充てるための資金として配分しています。ヘンリー王子は、年推定196万ポンド(約2億8000万円)を受け取っているそうです。

 

王室助成金

コーンウォール公領からの収入以外にも、ヘンリー王子は、兄ウィリアム王子とともに、エリザベス女王からの女王の王室助成金の資金援助を受けています。二人の王子は、エリザベス女王から王室活動費として年500万ポンドを受け取り、このうちヘンリー王子とメーガン妃には約200万ポンド(約2億8600万円)が割り当てられていると言われています。この女王が王室メンバーに分配する「ソブリングラント」と呼ばれる王室活動費は、主に、公務旅行や財産管理の補助に使われているそうです。

 

こうした王室のメンバーとして受けとっているお金が今後、入ってこなくなったとすると、ヘンリー王子夫妻は、どうやって「稼ぐ」のでしょうか?

 

 

  • 経済的に独立した場合

前回の投稿でも紹介した内容と一部重複しますが、年間約100億円ともとも試算される次のような膨大な収入が期待されています。

 

・テレビ出演や講演活動

・グローバル企業のアンバサダー

・インスタグラムからの広告収入

・商標の「サセックスロイヤル」からの収入

 

ヘンリー王子は2019年12月に自らの爵位にちなんだ「サセックスロイヤル」の商標登録を行いました。「サセックスロイヤル」の商標がついた服飾品や書籍類など100を超える登録項目から収入が期待されています。

 

 

  • メーガン妃と王室

今回の「騒動」は、「王族メンバーとしてメディアからの厳しい視線に耐えられなくなったメーガン妃を守るために、ヘンリー王子が決断した模様」などと報じられました。そうであるなら、今回の英王室(バッキンガム宮殿)の対応は、王族メンバーとして厳しい監視下にあった生活から離れることができるので、この点に関して言えば、夫妻にとってはよかったのではないかと思われますが、それだけではないようです。

 

イギリス王族は、「子宮の中にいる時にしかプライバシーはない」と言われるほど、国内外のメディアの注目度も高く、特に、「タブロイド」と呼ばれる英大衆紙は、王室のスキャンダルを好んで暴こうとします。イギリスの社会においては、伝統的に倹約精神というのが美点としてあるそうです。エリザベス女王もストッキングが伝線すると繕いに出していたという逸話もあるほどです。ですから、イギリス国民は、王族に対しても当然そうした価値観の継承をある程度は期待するわけですが、メーガン妃は真逆です。

 

アメリカ人のメーガン妃は、ハリウッド女優で、派手で華やかタイプ、しかも離婚経験もあるなど、これまでのイギリス王室にはいなかった女性です。当然、そんなメーガン妃の行動は、こうした大衆紙の格好のターゲットとなります。実際、メーガン妃の父親への私信が違法に報じられたり、携帯電話の音声メッセージを盗聴されたりしました(ヘンリー王子はこの件で訴訟を起こした)。しかし、こうした報道に対して、市民は眉をひそめるのではなく、受け入れている文化がイギリスにはあります。王室も、開かれた王室のイメージを定着させるためにもこれを容認しているようです。英王室は、7紙と独占的に公務取材を行える取り決めをしているそうですが、その中にはゴシップネタを追う大衆紙も含まれているのです。

 

メーガン妃は、「王室の高位メンバー」から抜けることで、「御用メディア」の監視下から離れたいと考えたのではないかとの見方が一般的です。ただし、それは自分と家族のプライバシーを守るためという理由だけでなく、自らのビジネスプランの実現に支障がでると考えたのでないかと見られています。

 

前回の投稿記事でも指摘しましたが、ヘンリー王子夫妻は、仮に収入が入らなくても、生活していける資産を持っています。しかし、そのような生活に満足できるメーガン妃ではないようです。妃は昨年、英民放ITVのドキュメンタリー番組で「生き抜くだけでは十分ではなく、成功して幸せを感じなければならない。それが人生だ」と発言しました。もっとも、メーガン妃も王室の一員に成りきろうとしたことも事実です。「感情を抑えるというイギリス流の繊細さに適応しようと努力した」と妃自身が告白しています。ただ、セレブ志向のメーガン妃にとっては無理だったようです。

 

今回、王室の一員として、可能な公務を行うことで、エリザベス女王を支えつつも、「高位ロイヤル」の立場からは離脱し、一年をイギリスとカナダで半分づつ過ごすと発表しました。メーガン妃からすれば、それは、王室の高位メンバーを執拗に追いかける大衆紙を避けつつ、経済的な成功を求めるための理想的な提案であったに違いありあません。

 

しかし、王族の象徴ともいえる「ロイヤルハイネス(殿下および妃殿下)」の称号(肩書)を失うことは、英王室というブランドを最大限に利用してセレブであり続けようとするメーガン妃にとっては大きな誤算であったかもしれません。もっとも、サセックス公爵の称号は失わないとされているので、胸をなでおろしているかもしれません。

 

 

<参照>

ウィリアム王子の資産は54億円超!、一体どこから来ている?

(Jun.28.2019、CELEB)

ハリー王子&メーガン妃に与えられた新たな称号を解説

(2018/05/23、BAZAAR)

英国王室は、あなたが考えているよりも多くの収入源を持っている

(2019/11/29、BAZAAR)

ヘンリー王子とメーガン妃、年間収入100億円になるか

(2020/01/18、女性セブン2020年1月30日号)

メーガン妃とヘンリー王子が英王室を離脱する 年の半分カナダに移住

(2020年1月9日 yahooニュース)

宗教と風習―貴族の世界(欧州編)(So-net)

Wikipediaなど

2020年01月22日

ニュース:ヘンリー英王子、王室離脱へ

ヘンリー王子夫妻、英王族を「離脱」 殿下の称号失う

(2020年1月19日 日本経済新聞、一部抜粋)

 

英王室は18日、ヘンリー王子とメーガン妃が王室のメンバーから外れると発表した。2020年春以降は公務に就かず、王族への敬称である「ロイヤルハイネス」(殿下、妃殿下)の称号を失う。王室から独立したいとする夫妻の意向を、エリザベス女王が認めた。王位継承順位6位の王子が王族から抜けるという異例の事態となった。エリザベス女王は同日、声明を発表した。「ハリー(王子の愛称)とメーガン、(息子の)アーチーは常に愛する家族の一員」とする一方で、「彼らの幸せで平和な新しい生活を認めると本日合意したことは、私の家族全員の望み」と述べた。

 

王室の発表によると夫妻は公務に就かない代わりに、公費でまかなわれる「王室助成金」は受け取らない。夫妻の収入は父であるチャールズ皇太子が所有するコーンウォール公領の収入が大部分を占めるが、具体的な言及は避けた。英BBCによると、公費でまかなわれた英国の住居の改修費について、夫妻は240万ポンド(約3億3千万円)を返還するという。ロイヤルハイネスの称号が奪われる意味は大きく、ヘンリー王子夫妻は実質的に王族ではなくなる。1996年にチャールズ皇太子とダイアナ妃が離婚した際にダイアナ妃は妃殿下の称号を使うことを求めたが、王室はこれを認めなかった。

 

――――

ヘンリー王子「ほかに選択肢なかった」…本意と異なること示唆

(2020/01/20、読売新聞、一部抜粋)

 

英国のヘンリー王子(35)は19日、ロンドンでの慈善団体の会合で演説し、妻のメーガン妃(38)とともに王室メンバーとしての公務から身を引くことについて「ほかに選択肢はなかった」と述べた。ヘンリー王子は「私たちの望みは、公費を受けることなく、女王と英連邦への奉仕を続けることだった。残念ながらそれは不可能だった」と述べ、王室の決定が自身の本意と異なる結果だったことを示唆した。

ーーーーー

 

これまでの経緯については、投稿記事「英ハリー王子、王族やめる?」を参照下さい。

 

 

2020年01月18日

英王室:ハリー王子と「王室高位メンバー」

英国のヘンリー(ハリー)王子とメーガン妃が今月8日、英王室の「主要メンバー(高位メンバー)」の立場を退き、財政的な自立をめざすという声明を出しました。「主要(高位)メンバー」から退くということが、ヘンリー王子の引退、王室からの離脱を意味するといった様々な憶測が流れています。また、どの場合でもヘンリー王子の王位継承との関係はどうなるのかといった疑問の声が上がっています。今回は、「(英王室の)主要メンバー(高位メンバー)の立場を退き、財政的な自立をめざす」という意味を考えることで、英国の王室について学びましょう。

————

 

「王室の高位メンバー」って何?

 

まず、そもそも、英国のシニアメンバー(高位メンバー、主要メンバー)とはどういう意味なのでしょうか?英文では「senior(シニア)」、日本のマスコミはこれを「高位」または「主要」と訳しました。「高位ロイヤル」という表現もあります。「高位メンバー」について、英国王室に公式な規定は存在しませんが、一般的には、「君主(女王)の成人親族で、(フルタイムの)ロイヤルファミリーとして女王の名の下に日常的な公務を遂行し、かつ王位継承に近い位置にいる王族とその配偶者」と解されています。現在、ヘンリー王子夫妻を含めた「高位王室メンバー」の地位にあるのは、以下の9人と見られています。

 

エリザベス女王陛下
エジンバラ公フィリップ王配(おうはい=女王の配偶者)
ウェールズ公チャールズ皇太子
チャールズ皇太子の妻・カミラ夫人
ケンブリッジ公ウィリアム王子
ウィリアム王子の妻・キャサリン妃
サセックス公ヘンリー王子
ヘンリー王子の妻・モーガン妃
ヨーク公アンドルー王子
(アンドルー王子とは、エリザベス女王の第3子(次男)、チャールズ皇太子の弟)

 

爵位はどうする?

今回の夫妻による「高位メンバー」からの脱退宣言は、ヘンリー王子が、王族という貴族の地位まで捨てて、一般人と同じように、普通の生活をするということなのでしょうか?

 

貴族の地位を捨てるということは、王家の称号である爵位(しゃくい)を辞退することを意味します。「爵位」は、貴族だけに与えられた称号で、爵位により、身分の序列が表されます。イギリスの爵位は、上から公爵、侯爵、伯爵、子爵、男爵の順番です。ハリー王子とメーガン妃の称号は、爵位の最高位である公爵です。先ほど、「王室高位メンバー」のリストに、ヘンリー王子に「サセックス公」という肩書がありましたが、「公」とは公爵を意味し、「サセックス」はイギリスの地名で、爵位に地名がつけられるのが慣例です。

 

ハリー王子がメーガン妃と結婚した際、女王からの贈り物として、サセックス公爵と公爵夫人の称号が与えられましたが、ハリー王子とメーガン妃は、「サセックス公爵夫妻」の称号を放棄したいとは考えていないと見られています。実際、ヘンリー王子&メーガン妃は、写真共有サイト「インスタグラム」の声明文には、新たなワーキングモデルに移行し、経済的に独立したとしても、「引き続き、女王陛下に対する夫妻の献身は揺るぎないものであり、要望に応じて、女王エリザベス2世に忠誠を尽くすことを目指す」と書かれていたことからもわかります。

 

 

王位継承権はどうなる?

また、現在、ヘンリー(ハリー)王子は、王位継承順位は6位となっていますが、「引退宣言」で王位継承から外れるのかという疑問がでているようです。しかし、イギリスでは、王位継承権は絶対で、王位継承者は継承権を放棄できません。仮にヘンリー王子が望んだとしても、王族引退はできても王位継承権の放棄はできません。もっとも、一度王位につけば、王位から退くことはできます(過去にも1936年にエドワード8世の例がある)。

 

イギリス王室の王位継承順位(10位まで)

  1. チャールズ皇太子 エリザベス王女第1子
  2. ウィリアム王子 チャールズ皇太子の長男
  3. ジョージ王子 ウィリアム王子第1子
  4. シャーロット妃 ウィリアム王子第2子
  5. ルイ王子 ウィリアム王子第3子
  6. ヘンリー王子 チャールズ皇太子の次男
  7. アーチー王子 ヘンリー第1子
  8. アンドルー王子 エリザベス王女第2子
  9. ベアトリス妃 アンドルー王子第1子
  10. ユージェニー妃 アンドルー王子第2子

 

 

「経済的に独立」の意味は?

現在、チャールズ皇太子を除くイギリスの高位(主要)メンバーは、王室の信託財産からの助成金に家計を頼っています。ヘンリー王子とメーガン妃が言う英王室の「高位」の立場から退き、「経済的に独立したい」という時の「経済的自立」とは、現在の立場では認められていない「仕事をして収入を得ること」だと述べています。

 

実際、お二人は、かねてより離脱の構想を温め、2019年6月、独自の財団設立を発表し、その時点で、夫妻は「Sussex Royal」(サセックス・ロイヤル)の商標出願をしています。対象は「パジャマ、スーツ、フード付きトップス」から「助言・コンサルティングサービス」「健康・ウェルネストレーニング」まで網羅するブランドだそうです。

 

しかし、現在、高位ロイヤルの称号を持ったまま、「利益を得る」形で仕事をすることはできないとされていました。例えば、CM(コマーシャル)など企業とスポンサー契約を結んで、ブランド(企業)のために働き、報酬を得ることを認められていません。ですから、ヘンリー王子とメーガン妃は、「経済的に独立」をして、「王室ブランド」を営利目的の私的ビジネスに変えようという「挑戦」に乗り出したという見方も可能です。

 

 

実は膨大な個人資産が…

ただし、いわゆる経済的に独立という「王室改革」が、今回の王室引退(高位メンバーからの離脱)の目的だったかというと、それも疑問が残ります。というのも、ヘンリー王子は、仮にこれから働かず、助成金も入ってこなかったとしても、すでに驚くほどの個人資産を保有しているからです。

(「膨大な個人資産」についての記載は、Cosmopolitanの記事「・・・ヘンリー王子の保有資産はHOW MUCH?」を特に参照しました)

 

  • 曽祖母エリザベス皇太后が設立した信託基金

エリザベス女王の母、「クイーン・マザー」が、ウィリアム王子とヘンリー王子をはじめとするひ孫たちのために、1994年に設立した信託基金(推定1900万ポンド:約27億円)から、2人の王子はすでに約600万ポンド(約8億5800万円)を半額ずつ受け取ったとされています。また、王子たちは40歳になると、クイーン・マザーの信託基金に残されている金額のうちの800万ポンドから、それぞれの割り当て分を受け取る予定だとされています。しかも、その残りの金額の大半をヘンリー王子が受けとることになっていると言いいます。というのも、ウィリアム王子が君主になった場合に生じる二人の資産の差を埋め合わせようと皇太后が配慮したからだそうです。

 

  • ダイアナ元妃の遺産

母であるダイアナ元妃が王子たちに残した資産1000万ドル(税引き後、約10億円)を、王子たちは25歳になったときから、毎年一定額(推定45万ドル:約4900万円)を受け取っていると言われています。

 

そのほか、英陸軍航空隊のヘリコプター操縦士時代の給料などを含めると、ヘンリー王子の保有資産はおよそ4000万ドル(約43億7000万円)になるとの試算もあるほどです。

 

公爵夫妻の真意は?

こうした点を考慮すれば、今回の王室の高位メンバーから退くというヘンリー(ハリー)王子とメーガン妃の宣言の真相は、「経済的独立」は二の次で、王族としての生活に馴染めない「メーガン妃」がキーワードとなるのかもしれません。

 

カリフォルニア生まれのアフリカ系アメリカ人のメーガン妃は、結婚前に、人気ドラマ「スーツ」や映画への出演、企業とのスポンサー契約など「セレブ」生活をしていました。当然、英国王族の宿命ですが、夫妻はメディアから過度に注目、過剰報道されました。昨年、複数のメディアに対して訴えを起こすほど、苛立ちを強めていたとされています。

 

今回、公爵夫妻という肩書は捨てることなく、王室の高位(主要)メンバーから外れるという宣言は、母ダイアナ妃の悲劇を目の当たりにしているヘンリー王子からすれば、妻を守るための行動であり、また、自由と独立を志向するメーガン妃の要望であったと推察されます。実際、先日13日に行われた夫妻の王室離脱問題を巡る緊急の家族会議について、「2人の希望通り、イギリスとカナダの両国で暮らすことが了承された」と報じられました。ヘンリー王子とメーガン妃にとっての最大の希望は、イギリス(宮殿)から離れることだったのかもしれません。

 

 

<参照>

ハリー王子夫妻、王室主要メンバー退く意向 公務は継続

(2020年1月9日、朝日新聞)

英王室の緊急家族会議 ヘンリー王子夫妻の離脱容認

(2020/01/14テレビ朝日)

ヘンリー王子夫妻が退く英国王室の“シニアメンバー”ってなに?

(HUFFPOST 2020 1/09)

ハリー王子&メーガン妃、退位すると「サセックス公爵」夫妻の称号はどうなる?

CELEB 2020 1 20

[FT]ヘンリー英王子夫妻は「経済的に自立」できるか

(2020/1/10 日本経済新聞)

ヘンリー王子&メーガン妃が退く「高位」ロイヤルの立場とは?

(BAZAAR 2020 1/9)

英王室からの一部引退を表明! ヘンリー王子の保有資産はHOW MUCH?

(2020/01/09)Cosmopolitan

2020年01月10日

ニュース:英ハリー王子、王族やめる!?

ハリー王子夫妻、王室主要メンバー退く意向 公務は継続

(2020年1月9日、朝日新聞)

 

英国のハリー(ヘンリー)王子(35)とメーガン妃(38)は8日、英王室の「主要メンバー」の立場を退き、財政的な自立をめざすという声明を出した。メーガン妃が以前住んでいた北米で過ごす時間を増やすが、公務は続けるという。夫妻はメディアから過度に注目され、いらだちを強めていたとされる。

 

夫妻は公式インスタグラム「何カ月も検討した結果、今年は新たな役割を開拓し始めることにした」と投稿。「王室の『主要な』メンバーとしては身を引き、財政的な自立に努める」とした。「女王や英連邦に対する公務や(慈善事業などの)後援は引き続き果たしながら、英国と北米で過ごす時間のバランスをとることを計画している」とも表明し、英国から離れる時間が増えることで「新たな慈善事業の立ち上げを含む次の活動に集中する余裕ができる」とした。詳細は今後、明らかにするという。

 

米国出身で元俳優のメーガン妃は、代表作のドラマの撮影でカナダに住んだことがある。夫妻は昨年誕生した第1子のアーチー君とともに、年越しの休暇をカナダで過ごした。英BBCによると、今回の声明について、他の王室メンバーは事前の相談を受けていないという。王室の広報担当者は「議論は初期段階にある。異なるアプローチを取りたいという彼らの望みは理解するが、複雑な問題で、時間がかかる」としている。ハリー王子夫妻は慈善活動への熱心さが称賛される一方、環境保護を訴えながら温室効果ガスを大量に排出するプライベートジェットを頻繁に利用していると批判されるなど、毀誉褒貶(きよほうへん)が激しい。ハリー王子は昨秋、英民放の番組で「大半が正しくないのに私と妻を傷つける報道がたくさんある」と報道への怒りをぶつけていた。

 

「パートタイムの王族」に?

「主要なメンバー」から退くということの意味は明らかではない。ハリー王子は王位継承順位は6位だが、王位継承から外れるかどうかなどの点について声明は触れていない。ただ、夫妻が露出を減らしたい考えであることは明らかだ。英メディアでは、夫妻がめざす「新たな役割」について「半分私人で半分王族」(英紙テレグラフ)「パートタイムの王族」(英BBC)などと解釈されている。王室担当記者は「新たな役割とは何か。どこに住み、誰がその費用を払うのか。他の王室メンバーとの関係はどうなるのか。疑問が多い」と指摘している。

 

☆★☆★☆★☆★

英王室の緊急家族会議 ヘンリー王子夫妻の離脱容認

(2020/01/14テレビ朝日)

 

イギリスのエリザベス女王はヘンリー王子とメーガン妃の王室離脱問題を巡り、緊急の家族会議を開きました。会議では2人の希望通り、イギリスとカナダの両国で暮らすことが了承されました。会議は13日、イギリス東部サンドリンガムにあるエリザベス女王の別邸で開かれました。会議後に出された声明で、エリザベス女王は「ヘンリー王子とメーガン妃には王室の主要メンバーとして残ってほしかったが、自立した生活がしたいという2人の希望を理解する」としました。そのうえで、「一家がイギリスとカナダの両国で暮らすための移行期間を設けることで合意した」と明らかにしました。家族会議にはチャールズ皇太子やウィリアム王子、ヘンリー王子が出席しましたが、メーガン妃はすでにカナダへ出国しているため電話での参加でした。

 

 

2020年01月03日

ニュース:カトリック教会、「神の母聖マリア」の祭日

2020年元日:教皇「御子を抱き、わたしたちを祝福するマリア」

(2020年1月1日、バチカンニュース)

教皇フランシスコは、2020年元日、「神の御母聖マリア」の祭日にあたり、正午の祈りの集いを行われた。新年の初めの日、典礼暦は「神の御母聖マリア」を祝った。教皇フランシスコは、同日正午のアンジェラスの祈りで、聖ペトロ広場に集まった信徒たちに、神の御母について次のように話された。

 

**********

親愛なる兄弟姉妹の皆さん

新年あけましておめでとうございます。

昨晩、2019年最後の日を、神への感謝の中に過ごしました。今日は、2020年最初の日を、昨晩と同じ神への感謝と賛美の中に始めます。

 

新年最初の日、典礼暦ではナザレトの乙女、救い主イエスをこの世にもたらした「神の御母聖マリアの大祝日」を祝います。このマリアの子は、すべての人にとって、全世界にとっての、神からの祝福そのものです。イエスはこの世の悪を根こそぎ倒しました。イエスのもたらす救いは魔法ではありません。忍耐強い救いです。それは愛に満ちた忍耐をもたらします。愛の忍耐です。愛はわたしたちを忍耐強くしてくれます。わたしたちは何回も忍耐を失います。ですから、わたしたちはベトレヘムの馬小屋を観想しながら、信仰の目で、まったく新たにされた世界、悪の支配から解放された世界、まぐさ桶にに横たわる幼子に救い主の王権を見るのです。

 

今日、神の御母は、わたしたちを祝福してくれます。聖母はわたしたちをどのように祝福するのでしょうか。わたしたちにその御子を示すことによってです。御子を抱き、わたしたちに見せ、祝福してくれるのです。聖母はこうして、全教会を祝福し、全世界を祝福します。ベトレヘムで天使たちが歌ったように、「すべての民に喜び、人々には神の栄光と平和」をイエスはもたらすのです。これこそ、一年の初めの日を、パウロ六世が平和の日に定めた理由なのです。

 

★☆★☆★☆★☆★☆★☆

大晦日と元日のバチカンでの教皇行事

(2019年12月31日、バチカンニュース)

教皇フランシスコは、2019年大晦日、バチカンで晩課(夕べの祈り)をとり行い、この中で感謝の賛歌「テ・デウム」を捧げられる。そして、2020年元日、「神の母聖マリア」の祭日のミサを司式される。教皇フランシスコは、2019年を締めくくる行事として、12月31日17時(日本時間:2020年1月1日午前1時)より、バチカン・聖ペトロ大聖堂で「神の母聖マリア」の祭日の前晩の祈り(第一晩課)を行われる。教皇はこの中で過ぎた1年を神に感謝し、賛歌「テ・デウム」を捧げ、聖体降福式をとり行われる。

 

一年の最初の日、カトリック教会の暦は「神の母聖マリア」を祝う。また、この日には、カトリック教会の「世界平和の日」も記念される。2020年元日午前10時(日本時間:2020年1月1日18時)より、教皇は「神の母聖マリア」の祭日のミサを聖ペトロ大聖堂で司式される。続いて、同日正午(日本時間:同日20時)、教皇は「お告げの祈り」をバチカンに集った巡礼者と共に唱えられる。

2019年12月25日

ニュース:バチカンからクリスマス・ミサ

ローマ教皇がクリスマスのミサ キリスト生誕の地にも信者集まる

(2019年12月25日 AFP)

 

ローマ・カトリック教会のフランシスコ教皇は24日夜、キリスト教カトリックの総本山であるバチカンのサンピエトロ大聖堂でクリスマスのミサを執り行った。教皇は、イエス・キリストの誕生を祝うことは「われわれの最も邪悪な部分も含め、神が私たちを愛し続けていること」を人類に思い起こさせてくれると指摘。ミサに集った人々に「あなたは間違った考えを持ったり、事態を完全に台無しにしたりすることもあるかもしれないが、神はあなたたちを愛し続ける」と呼び掛けた。

 

また、イエス・キリストの生誕地とされる中東のベツレヘムでも24日、ミサが行われ、世界中から集まった信者らが祈りをささげた。ベツレヘムはパレスチナ自治区ヨルダン川西岸にあり、多くのパレスチナ人や外国人らが聖誕教会)やその周辺に集まった。ベツレヘムはもう一つの聖地エルサレムとも近いが、イスラエルが設置した壁により隔てられている。しかしパレスチナの教会指導部の顧問によると、2019年にガザ地区から出ることを希望した900人あまりのうちイスラエル当局が許可を認めたのはおよそ300人で、ベツレヘムでミサに参加できたガザ地区のキリスト教徒は昨年より少ないという。ガザ地区とベツレヘムがあるヨルダン川西岸は遠隔地となっており、往来にはイスラエル当局の許可が必要となる。

 

★☆★☆★☆

降誕祭2019:教皇フランシスコによる「ウルビ・エト・オルビ」

(2019.12.25、バチカンニュース)

 

教皇フランシスコは、2019年度の降誕祭に、ローマと全世界に向けたメッセージと祝福「ウルビ・エト・オルビ」をおくられた。12月25日、2019年度の降誕祭を迎え、教皇フランシスコは、ローマと全世界に向けたメッセージと祝福「ウルビ・エト・オルビ」をおくられた。24日午後、教皇はバチカンの聖ペトロ大聖堂で、主の降誕の荘厳な深夜ミサを捧げられた。明けてクリスマスの朝、ローマには、透き通った青空が広がった。イタリア北部ヴェネト産のモミノキと、トレンティーノ=アルト・アディジェ州スクレッレの人々の手によるプレゼピオ(イエスの降誕の場面を表した馬小屋の模型)で飾られた、バチカンの聖ペトロ広場には、教皇の祝福を求めて、世界中の巡礼者らが詰めかけた。

 

正午、教皇は、聖ペトロ大聖堂の中央バルコニーから、クリスマスのメッセージを読み上げると共に、ローマと全世界の人々に向け、教皇祝福をおくられた。教皇フランシスコの2019年度のクリスマス・メッセージは次のとおり。

********

「闇の中を歩む民は、大いなる光を見た」(イザヤ9,1)

親愛なる兄弟姉妹の皆さん、主のご降誕おめでとうございます。

母なる教会の胎から、この夜、人となられた神の御子が再び生まれました。その幼子の名はイエス、「神は救う」という意味です。永遠の無限の愛であられる御父は、世を裁くためでなく、救うために(参照:ヨハネ3,17)、御子を遣わされました。御父は御子を限りないいつくしみと共に与えられました。御子はすべての人のために、そして、永遠に与えられたのです。イエスは、夜の闇と寒さの中に灯された小さな炎のようにお生まれになりました。

おとめマリアから生まれたこの幼子は、人となった神の御言葉です。それはアブラハムの心と歩みを約束の地へと導き、神の約束を信じる者たちを今も惹きつける御言葉です。それは、ユダヤ人たちを隷属からの解放の歩みの中で導いた御言葉です。そして、それは太陽よりも光り輝く御言葉、人間の小さな子どもの姿をとられた、世の光、イエスです。

 

それゆえに、預言者イザヤは叫びます。「闇の中を歩む民は、大いなる光を見た」(同9,1)と。そうです、人間の心に闇があっても、キリストの光はもっと大きいのです。個人や家族、社会の間に闇があっても、キリストの光の方がずっと強いのです。経済や地域政治、環境上の紛争に闇があっても、キリストの光はそれに勝るのです。

中東や世界の様々な国で戦争や紛争に苦しむ多くの子どもたちに、キリストが光となりますように。

ここ10年の、国を引き裂く対立の終結をいまだ見ることができないでいる、愛するシリアの人々に、キリストが慰めとなりますように。善意の人々の良心を揺さぶり、統治者や国際共同体に、地域の人々の安全と平和な共存を保証し、苦しみに終止符を打たせる解決を、見出させることができますように。

キリストがレバノンの人々の支えとなりますように。同国が現在の危機から抜け出し、すべての人の自由と調和ある共存のメッセージとしての、その召命を再び見出すことができますように。

 

主イエスが、人間の救い主としてお生まれになった聖地にとっての、光でありますように。そこでは、多くの人が苦難にも信頼を失うことなく、平和と安全と発展の日を待ち続けています。

主イエスが、社会的緊張状態にあるイラク、重大な人道危機に見舞われているイエメンにとって、慰めでありますように。

ベツレヘムの幼子が、アメリカ大陸全土の、希望でありますように。同大陸では、様々な国が社会的、政治的な動揺の中にあります。

幼子イエスが、政治と社会の緊張に長く苦しむベネズエラの人々を励まし、必要な助けが欠けることのないようにしてくださいますように。正義と和解の促進に尽くし、いろいろな危機や一人ひとりの尊厳を蹂躙する様々な形の貧困の克服のために働く人々の努力を祝福してくださいますように。

 

世の贖い主が、恒久平和のための具体的解決を渇望する愛するウクライナにとっての、光でありますように。

お生まれになった主が、アフリカの人々の光でありますように。アフリカでは、人々を家や家族と別れさせ、移民することを余儀なくさせる社会・政治的状況が続いています。

主が、長引く紛争に傷ついたコンゴ民主共和国東部の人々にとっての平和でありますように。主が、暴力や自然災害、健康上の危機に苦しむ人々の慰めでありますように。

主が、信仰のために迫害される人々、特に拉致された宣教者や信徒たち、ブルキナファソ、マリ、ニジェール、ナイジェリアにおいて、過激派グループの攻撃の犠牲となっている人々にとって、慰めでありますように。

天から地上に降りられた神の御子が、これらの、また他の不正義によって、安全な生活への希望をもって移民せざるを得ない人々の、守りであり支えでありますように。不正義が、彼らに砂漠や海を旅させ、そこを墓場にしてしまいます。不正義が、彼らを言語道断の搾取、あらゆる形の隷属、非人道的な留置施設での拷問にあわせています。不正義が、彼らを尊厳ある生活への希望が持てると思われる場所に押しやり、そこで彼らを無関心の壁に突き当たらせるのです。

 

インマヌエルが、すべての傷つく人類のための、光でありますように。わたしたちの頑なで利己的な心を和らげてくださいますように。そして、わたしたちを愛の道具としてくださいますように。

わたしたちの貧しい顔を通して、世界中の子どもたち、特に見捨てられた子どもたち、暴力を受けた子どもたちに、その笑顔を与えてくださいますように。わたしたちの弱い腕を通して、貧しい人に服を着せ、飢えた人にパンを与え、病気の人の世話をさせてくださいますように。わたしたちの頼りない同伴を通して、お年寄りや孤独な人、移民や疎外された人々と共にいてくださいますように。

このお祝いの日に、インマヌエルがすべての人々にその優しさを与え、この世の闇を照らしてくださいますように。

 

☆★☆★☆★

ノートルダム大聖堂 火災でクリスマスミサ開かれず

(2019年12月24日 NHK)

 

フランス・パリの観光名所、ノートルダム大聖堂では、ことし4月に起きた大規模な火災のため、クリスマスのミサが開かれないことになりました。850年の歴史を持つ大聖堂でミサが開かれないのは、フランス革命後の混乱で中止された1803年以来のことで、市民からは速やかな復興を望む声が聞かれました。パリ中心部にあり、世界遺産にも登録されているノートルダム大聖堂では、ことし4月に起きた火災で、高さ90メートル余りのせん塔や屋根の大部分が崩れ落ちました。

 

火災から8か月がたった今も、壁や天井の崩壊を防ぐための補強工事が続いていて、大聖堂ではことしはクリスマスのミサを執り行わないことを決めました。850年の歴史を持つノートルダム大聖堂では、第2次世界大戦中のナチスドイツの占領下でもクリスマスにはミサが開かれていて、ミサが開かれないのはフランス革命後の混乱で略奪や襲撃などの被害に遭った1803年以来だということです。

2019年11月25日

ニュース:ローマ教皇、天皇陛下と会見

天皇陛下 ローマ教皇と皇居で会見

(2019年11月25日、NHKニュース)

 

天皇陛下は、来日中のローマ・カトリック教会のフランシスコ教皇と、25日午前、皇居で会見に臨まれました。フランシスコ教皇は午前11時前、白バイやパトカーに先導されて正門から皇居に入り、二重橋を通って宮殿に向かいました。そして、天皇陛下が宮殿の「南車寄」で出迎え、笑顔で握手をしてあいさつを交わされました。天皇陛下がフランシスコ教皇と会うのは今回が初めてですが、イギリスに留学中だった昭和59年、バチカンを訪れた際に当時の教皇のヨハネ・パウロ2世と会われています。

ローマ教皇が皇居を訪れるのは、38年前の昭和56年に、ヨハネ・パウロ2世が教皇として初めて来日し、昭和天皇と会見した時以来です。会見は、宮殿の「竹の間」で、およそ20分にわたって行われました。会見が終わると、天皇陛下は、フランシスコ教皇とにこやかにことばを交わしながら、見送りのため「南車寄」まで進まれました。出発の直前には、再び握手をして別れのあいさつを交わし、天皇陛下は、教皇の車列が見えなくなるまで見送られていました。

 

★☆★☆★☆

ローマ教皇 東京ドームで大規模ミサ 5万人が参加

(2019年11月25日、NHK News Web)

 

日本を訪れているローマ・カトリック教会のフランシスコ教皇は、東京ドームで5万人が集まる大規模なミサを執り行いました。ミサにはいわゆる「袴田事件」で死刑が確定し、無実を訴えている袴田巌さんも招かれました。袴田さんは拘置所に収容されていた際に洗礼を受け、カトリック信者になりました。ミサが始まるとフランシスコ教皇は参加者が聖歌を歌う中、中央に設けられた祭壇にあがり、静かに祈りをささげました。そして、「日本は経済的には高度に発展していますが、社会で孤立している人が少なくないことに気付きました。これを乗り越えるためには異なる宗教を信じる人も含め、すべての人と協力と対話を重ねることが大切です」と述べ、他者の理解に努めることの大切さを訴えました。

 

★☆★☆★☆

「日本の人々に感謝」ローマ教皇、帰国へ

(2019.11.26、産経新聞)

 

被爆地の長崎、広島を訪れ、核兵器廃絶に向けた力強いメッセージを発信したローマ教皇(法王)フランシスコ(82)は26日、上智大を訪問し「神と日本の人々に、この国を訪れる機会を頂いたことを感謝する」と述べた。教皇として38年ぶり史上2度目の来日を終え、同日午前、羽田空港を出発し、帰国の途に就いた。上智大は日本にキリスト教を伝えたフランシスコ・ザビエルらが創設したイエズス会が設立母体。同会出身の教皇が四谷キャンパス(東京都千代田区)に姿を現すと、学生や教職員から歓声が上がった。歓迎の横断幕を掲げたり、スマートフォンで撮影したりする人の姿もあった。教室で開かれた集会では、約700人が聖歌を合唱し教皇を迎えた。学生らに「競争と技術革新に向かう社会で、この大学は知的教育だけでなく、より良い社会と希望にあふれた未来を形成していく場になるべきだ」と呼びかけた。

 

2019年11月23日

ニュース:ローマ教皇来日、長崎・広島訪問

ローマ教皇、日本に到着 広島・長崎など訪問へ

(2019年11月23日、朝日新聞)

 

約13億人の信者がいるローマ・カトリック教会のトップ、フランシスコ教皇(82)が23日夕、東京・羽田空港に到着した。ローマ教皇の日本訪問は、故ヨハネ・パウロ2世が1981年に来日して以来、38年ぶり2回目。フランシスコ教皇は、26日までの滞在中、被爆地の広島と長崎を訪れ、核廃絶に向けたメッセージを発表する。25日には東日本大震災の被災者と対面。天皇・皇后両陛下と面会し、同日夕には安倍首相とも会談する。

 

教皇は23日夕、前の訪問地のタイから、教皇特別機で東京・羽田空港に到着し、日本政府関係者やカトリック教会関係者から歓迎を受けた。フランシスコ教皇は、核兵器の使用と所有を一切認めない核廃絶を訴えており、今回の訪日には、被爆地の日本から「核無き世界」を全世界にアピールする狙いがある。日本政府は、2014年に安倍首相がバチカン(ローマ教皇庁)を訪問した際に、来日を要請。昨年には広島、長崎の両市長が連名で、訪日を要望する親書を送っていた。

 

☆★☆★☆★☆★

ローマ教皇、長崎の爆心地で演説「核兵器は私たちを守らない」

(毎日新聞2019年11月24日)

来日中のフランシスコ・ローマ教皇は24日午前、被爆地・長崎を訪れた。教皇は長崎市松山町の爆心地公園で原爆落下中心地碑の前に立ち、世界各国の指導者に向け「核兵器のない世界を実現することは可能であり必要不可欠なことだ」とメッセージを送り、兵器の製造や改良などの軍拡競争を「途方もないテロ行為だ」と厳しく指摘した。

 

教皇はメッセージで、被爆地・長崎について「核兵器が人道的も環境にも悲劇的な結末をもたらすことの証人だ」と表現。「核兵器は国家の安全保障への脅威から私たちを守ってくれるものではない」と国際間にはびこる核抑止論も否定し、核兵器のない世界の実現に向け、個人や国際機関、核保有国などが一致団結するよう呼びかけた。

 

ローマ教皇の長崎訪問は1981年のヨハネ・パウロ2世以来38年ぶり。同公園には、被爆者や高校生平和大使ら約1000人が集まった。特設ステージには、今年8月に米国から里帰りした浦上天主堂の被爆十字架や、被爆後の長崎が撮影地とされる写真で、教皇が「戦争が生み出したもの」とのメッセージをつけて配布を指示した「焼き場に立つ少年」が展示された。

 

☆★☆★☆★☆★☆★☆★

核の傘の下で語る平和は偽善 広島訪問のローマ教皇

(2019年11月24日、朝日新聞)

 

訪日中のフランシスコ教皇は24日午後、広島市の平和記念公園で、「平和の集い」に出席した。教皇は「戦争のために原子力を使用することは、犯罪以外の何物でもない」と指摘した。また、「核戦争の脅威で威嚇することに頼りながら、どうして平和を提案できるか」と述べ、名指しは避けながら、核抑止力を唱える国々を批判した。

 

ローマ教皇が被爆地で平和のメッセージを出すのは、冷戦下の1981年に故ヨハネ・パウロ2世が訪問して以来、38年ぶり。フランシスコ教皇は広島について「大勢の人の夢と希望が、一瞬の閃光(せんこう)と炎によって消された。人類に刻まれた記憶であり、私は平和の巡礼者として、この場所を訪れなければならないと感じてきた」と語った。

 

教皇は演説で、「核の傘」の下にいながら平和について語る「偽善」を、強い言葉で非難した。「最新鋭で強力な武器をつくりながら、なぜ平和について話せるのだろうか。差別と憎悪の演説で自らを正当化しながら、どうして平和を語れるだろうか」

 

戦争のために原子力を使用することを、「人類とその尊厳に反し、我々の未来のあらゆる可能性にも反する犯罪だ」と宣言。「次の世代の人々が『平和について話すだけで何も行動しなかった』として、我々の失態を裁くだろう」と警告した。さらに、60年代に核の抑止力を否定し、軍備撤廃を唱えた教皇ヨハネ23世が出した回勅(公的書簡)を引用し「真理と正義をもって築かれない平和は、単なる『言葉』に過ぎない」とも語った。

 

その上で、フランシスコ教皇は人々に三つの行動を呼びかけた。これからの世代に「二度と繰り返しません」と言い続けるために「記憶すること」。自分だけの利益を後回しにして、平和に向かって「ともに歩むこと」。そして、原爆と核実験、紛争の犠牲者の名の下に「戦争や兵器はもういらない」と叫び、平和を「守ること」。これらが「広島においてより一層強く、普遍的な意味を持つ」と強調した。

 

 

 

2017年11月29日

ローマ法王 スーチー氏と会談

ローマ法王 宗派間和解呼びかけ スーチー氏と会談
(毎日新聞2017年11月28日)

 

ミャンマーを訪問中のフランシスコ・ローマ法王は28日、首都ネピドーでアウンサンスーチー国家顧問兼外相と会談した。その後演説した法王は「平和構築と国民的和解は正義の支持と人権の尊重のみで実現できる」とし「宗教上の差異は分断と不信の源である必要はない」と呼びかけた。スーチー氏が政権の第一課題に掲げる少数民族武装勢力との和平や、西部ラカイン州から隣国バングラデシュに逃れた60万人を超える少数派イスラム教徒「ロヒンギャ」の問題を念頭においた発言だ。ただ法王は「ロヒンギャ」という言葉は使わず、民族の呼称として認めないミャンマー政府の方針を尊重した。

 

一方、スーチー氏は「全て(の人々)の権利を守り、寛容を育て、安全を確保する」ことによって国の多様性を確保することの重要性を強調。そのうえで、ラカイン州には「多くの問題」があることを認めた。フランシスコ法王は27日にミャンマー最大の都市ヤンゴンに到着し、ミンアウンフライン国軍最高司令官と会談した。国軍によると、司令官はミャンマーでは信教の自由が保障され、宗教や民族による差別はないと説明。法王は宗教間の相互尊重が繁栄をもたらすと語り、ミャンマーの平和と発展を祈った。

 

国軍はロヒンギャに対する「人権侵害はない」との立場だが、今月ミャンマーを訪問したティラーソン米国務長官は「治安部隊などによる残虐行為の信頼できる報告」があるとして「深刻な懸念」を表明。帰国後に「民族浄化」だとして早急な対応を求めた。フランシスコ法王は歴代法王としてミャンマーを初訪問した。30日にバングラデシュへ移動、12月1日に首都ダッカで集会を開き、避難しているロヒンギャの人々と会う予定だ。

2017年11月09日

ニュース:英首相、バルフォア宣言に謝罪拒否

バルフォア宣言に「誇り」=パレスチナへの謝罪拒否-英首相
2017/11/03、時事ドットコム

 

英国のメイ首相は2日、イスラエルのネタニヤフ首相とロンドンの首相官邸で会談した。英首相府報道官によるとメイ氏は席上、パレスチナにユダヤ人国家を建設することを支持した英国の「バルフォア宣言」から同日で100年になるのを踏まえ、イスラエル建国に際して英国が演じた役割を「誇らしく思う」と述べた。パレスチナ側はバルフォア宣言を批判し、英国に謝罪やパレスチナ国家の承認を求めているが、メイ氏は「誇りと敬意を持って宣言100周年を記念する」と述べた。

 

両首相は停滞する中東和平プロセスについて協議。この中でメイ氏は、東エルサレムやヨルダン川西岸でのユダヤ人入植地の建設に「重大な懸念」を表明した。両首相はこの後、ロンドン市内で催された記念夕食会に出席。首相府が公表したメイ氏のスピーチテキストによれば、同氏は宣言が表明された当時のバルフォア英外相からロスチャイルド卿への書簡を「歴史上最も重要な書簡の一つ」と称賛。宣言をめぐる謝罪要求について「絶対に(謝罪は)ない」と拒否した。

1 2