米軍横須賀・厚木基地から有害な有機フッ素化合物検出!
アメリカ海軍横須賀基地と厚木基地から、有害性が指摘されている有機フッ素化合物を含む排水が流出していたことが明らかになりました。以下、この件に関する記事を紹介します。
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米軍横須賀基地から有機フッ素化合物 9月調査で目標値の258倍検出
(2022/10/27、テレビ神奈川)(一部抜粋)
アメリカ海軍横須賀基地から、有機フッ素化合物を含む排水が流出したおそれがある問題で、9月に実施された調査の結果、目標値の258倍の有機フッ素化合物が検出されたことがわかりました。 この問題はことし6月、健康リスクが指摘されている有機フッ素化合物の「PFOS」や「PFOA」を含んだ排水が、基地から外部に流出した可能性があると、アメリカ側から防衛省に通報があったものです。
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米軍基地 有機フッ素化合物検出で横須賀市が立ち入り申請へ
(2022年10月27日、NHK NEWS WEB)(一部抜粋)
横須賀市のアメリカ海軍横須賀基地の排水処理施設では、ことし5月以降、有害性が指摘されている有機フッ素化合物、PFOSやPFOAが国の暫定的な指針値を超えて検出されていて、ことし8月29日にアメリカ軍が行った調査では、指針値の172倍の濃度で検出されました。
この問題を受けて、横須賀市の上地克明市長は27日の記者会見で、市の職員が基地に立ち入って、アメリカ軍の汚染防止対策などについて直接調査を行えるよう、在日アメリカ軍に申請することを明らかにしました。立ち入りを許可するかは日米合同委員会で協議され決められますが、基地が設置を進めている有害物質を吸着する、「活性炭フィルター」稼働後の来月1日以降に立ち入り調査を行い、排水処理施設で排水を採取して詳しく調べたいとしています。
また27日はアメリカ軍の新たな調査結果が、国を通じて市に伝えられました。8月30日に調査した4地点では指針値の0.7倍から5倍程度の濃度でしたが、1か月後の先月29日の調査では指針値の125倍から258倍と、再び高い濃度で検出されたということです。市は引き続き、原因の調査や汚染対策の強化を求めていくとしています
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米軍厚木基地 川から国の指針の3倍超の有機フッ素化合物検出
(2022年10月21日 NHK NEWS WEB)
神奈川県のアメリカ海軍横須賀基地の排水から、有害性が指摘されている有機フッ素化合物が相次いで検出されていますが、アメリカ海軍厚木基地でも先月、基地を流れる川から国の指針の3倍を超える濃度の有機フッ素化合物が検出されたことが分かりました。神奈川県は21日、防衛省に対し、再発防止と日米で周辺環境への影響調査を徹底するよう、口頭で要請しました。
先月24日、神奈川県綾瀬市と大和市にまたがるアメリカ海軍厚木基地で、有害性が指摘されている有機フッ素化合物、PFOSやPFOAを含む消火剤をを基地の中を流れる蓼川(たてがわ)につながる調整池に誤って放出させたと、アメリカ海軍から防衛省に説明がありました。
防衛省が蓼川の基地の外側、2か所で調査をしたところ、下流の水から国が示す指針値の3.6倍の濃度の有機フッ素化合物が検出されたということです。神奈川県によりますと、厚木基地では消火剤が放出された調整池の水を放出し、たまっていた泥の回収と洗浄を終えたということです。
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この一連の報道を受けて、東京新聞は、在日米軍による環境汚染を暴き続け、今回もその実態を暴いたとされる英国人活動家ジョン・ミッチェル氏の声を届けました。ミッチェル氏の活動の動機は、「PFASを含んだ汚染水を米軍基地内の家族や米軍も飲んでいる。日本人とアメリカ人の両方を助けたい」からだそうです。
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全国の米軍基地周辺で有機フッ素化合物汚染が頻発 実態暴いた記者ミッチェルさんは嘆く「もっと学んで」
(2022年10月30日、東京新聞)(一部抜粋)
◆「日本人とアメリカ人の両方を助けたい」
英・ウェールズ生まれのミッチェルさんは1998年に来日した。2010年から調べ始めたのが、沖縄に持ち込まれた有毒な枯れ葉剤の問題だ。ベトナム戦争で米軍がジャングルを枯らす目的で散布し、人々をむしばんだ猛毒は、沖縄にも持ち込まれていた。曽祖父が第1次世界大戦で毒ガスを浴びていたミッチェルさんは、化学兵器の被害から目をそむけることができなかった。
「沖縄なくしてベトナム戦争を続けることはできない」と言われたほど、当時の沖縄は米軍の重要な補給基地であり、対ゲリラ戦の訓練場だった。米軍は、兵士にすらそのリスクを隠していた。
沖縄駐留の元軍人たちは、その影響とみられる病気や体調不良を訴えていたが、米政府は長らく被害を認めていない。ミッチェルさんは、退役軍人や住民たちに取材。加えて、14年に米情報公開制度を使い、沖縄での枯れ葉剤を含む環境汚染に関する軍の内部文書を入手して関連を明らかにした。ミッチェルさんの一連の報道は、一部の退役軍人の補償へとつながった。
◆原動力は、差別される人々への深い共感
これまで入手した米国防総省や中央情報局の資料は1万2000枚を超えるという。在日米軍基地の環境汚染に関するこうした資料を、ミッチェルさんは、沖縄国際大学やハワイ大学などに寄贈してきた。米情報公開制度を使ったとはいえ、容易に入手できない資料ばかりだからだ。実際、ミッチェルさんが枯れ葉剤に関する情報請求をしてから、開示されるまで約1年半を要した。「情報を入手するにも多くの時間がかかり、粘り強い交渉が必要となる」という。
それでも、沖縄の枯れ葉剤汚染や米兵たちの被害を訴え続けてきたのは、差別される人々への深い共感があったからだ。
16年1月、沖縄県企業局による調査で北谷浄水場で高濃度のPFASが検出されていたことが発覚したのを契機に、PFASについても調査を始めた。
枯れ葉剤の調査で培った手法を駆使し、米軍内部資料を精査すると、PFASを含む泡消火剤の流出事故が多数起きていたことが分かった。「ずさんな管理体制によって何度も同じような事故が起きていた」
◆「日本政府はほとんど文句を言わない」
ミッチェルさんが強調するのは日本の特殊性だ。「米国内の基地でPFASによる汚染が判明した場合は、米軍は住民に公表し、ボトルの水など安全な水を提供している」。米軍基地のあるドイツ、ベルギー、ホンジュラスなどでも地元住民らに同様の報告をしているという。
一方、日本では十分な情報公開も補償もない。「日本政府は環境や人々の健康よりも日米地位協定を尊重している。ドイツや韓国など他国はもっと米軍の責任を強い姿勢で追及している。日本政府は、ほとんど文句を言わない」
ミッチェルさんのPFAS汚染の報道を受け、日本政府が米軍に「ジョン・ミッチェルに渡した文書がほしい」と依頼したこともあったという。「日本政府が、人々の命を守るための何の情報も得ていないことがとてもショックだった」 国民の健康被害のリスクに鈍感な日本の政治やメディアを嘆き、ミッチェルさんは訴える。「沖縄以外の人たちもPFASについてもっと学んでほしい」
◆デスクメモ 決して「遠い話」ではない
沖縄では、米軍が放出したPFOSが市中の川に流れ込んで大量に泡だち、保育園に飛散したこともある。下水から高濃度のPFOSが検出されても、米軍は「関連は分からない」と言い張る。この姿勢は、本土の基地でも同じはずだ。決して、「遠い沖縄の話」で済むことではない。
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今後、再発防止が徹底されるだけでなく、在日米軍基地における環境汚染の今回の問題が氷山の一角でないことが望まれます。
エリザベス女王崩御:王位継承順位、称号・爵位はどうなる?
英国の女王エリザベス2世(96歳)が、2022年9月8日、滞在先のスコットランドのバルモラル城で逝去(せいきょ)されました。これに伴いチャールズ3世が即位しただけでなく、王位継承順位や称号・爵位の変更などがありました。女王崩御から約1週間経った現在のイギリス王室の状況をまとめました。
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<エリザベス女王の生涯>
エリザベス女王は、1926年4月21日にロンドンにて、ヨーク公アルバート王子(のちのジョージ6世・享年56)とエリザベス妃(享年101)の長女として誕生、1947年、21歳のときに、当時26歳で海軍将校だったフィリップ殿下(享年99)と結婚されました。ふたりの出会いは、エリザベス女王が13歳のとき、父の母校である王立海軍大学を訪問した際、フィリップ殿下が、案内役を務められたのが最初でした(出会いから8年もの年月を経て二人は結婚)。
エリザベス女王は、1952年2月に父である国王ジョージ6世の急死を受け、25歳の若さで即位しました。戴冠式は翌年行われ、史上初めてテレビ中継がなされたことで話題となりました。
以来、70年にわたって英国を統治し、在位70年7カ月は、(ヴィクトリア女王の記録を上回って)歴代の英国君主で最長でした(当時の英国首相はチャーチルで、歴代15人の首相が仕えてきた)。なお、72年以上にわたって君臨したフランス国王ルイ14世に次ぐ、世界史上2番目に在位期間の長い君主でもありました。
2021年4月、73年間連れ添われたフィリップ殿下が死去された後、自らも体調を崩され、主要行事を欠席することが多くありました。2022年4月に96歳の誕生日を迎え、6月には、英国で史上最長の在位70年間の祝賀行事「プラチナ・ジュビリー」が英国全土で盛大に開催された(プラチナ・ジュビリーを迎えた英国君主はエリザベス女王が最初となった)。
エリザベス女王は、確固たるリーダーとして威厳を放つと同時に、愛される存在で、国民から支持を得ていました。崩御後の世論調査では、国民の75%以上が「女王が好き」と回答しています。女王は、旧植民地諸国を軸とする連合体の英連邦(コモンウェルス)に所属するオーストラリア、ニュージーランド、カナダなど15カ国の元首でもあり、英連邦のほか世界からも「英国の母」と慕われていました。
日本の皇室との交流も深く、昭和天皇、上皇さま、天皇陛下の3世代にわたって続き、1975年5月には、英国の君主として初めて、夫の故フィリップ殿下と来日されました。
- 開かれた王室
エリザベス女王がその在位期間中、力を入れてこられたことが英王室の近代化であり、大切にしてきた信念のひとつとされているのが、「開かれた王室であること」でした。
エリザベス女王が即位後、自ら始めたのがクリスマス当日に国民に向けてスピーチを送るクリスマス放送でした。1957年12月25日に初めてテレビでスピーチを放送して以来、毎年欠かさず続けられ、伝統行事のひとつになっています。
バッキンガム宮殿は一般見学用に一部開放され、最近では、国民とコミュニケーションを積極的に取るべく、SNS(交流サイト)で、積極的に情報発信が行われています。さらに、直系男子優先だった王位継承制度を男子優位から男女平等に変更したのもエリザベス女王の時代でした。
私生活では、フィリップ殿下との間に、新国王チャールズ皇太子(73)、アン王女(72)、アンドリュー王子(62)、エドワード王子(58)の4人の子どもに恵まれ、8人の孫と12人のひ孫がいます。
ただし、子どもたちが成長する一方で、スキャンダルとの縁も少なくありませんでした。なかでもチャールズ皇太子の不倫によるダイアナ元皇太子妃(享年36)との離婚は、世界的にセンセーショナルな話題となりました。さらに、ダイアナ元皇太子妃が不慮の事故で亡くなった際には、英国王室を批判する声が多くあがりました。それでも、エリザベス女王は、国民の前では、毅然とした態度を崩さず、持ち前のユーモアで人々を魅了してきました。
<エリザベス女王の葬儀>
葬儀は、死去から10日後の19日にウエストミンスター寺院で国葬が執り行われます。その後ウィンザー城のセント・ジョージ礼拝堂でも葬儀が執り行われ、女王は最終的に、両親と妹が眠るウィンザー城のキングジョージ6世記念礼拝堂に埋葬されます(キングジョージ6世の記念礼拝堂は教会の別の部分にある)。
1952年に亡くなった女王の父国王ジョージ6世は、もともと王室の保管庫に埋葬されていましたが、1969年3月26日に新しく建設された礼拝堂に移されました。2002年には女王の母もこの礼拝堂に埋葬され、さらに同年に亡くなった女王の妹マーガレット王女の遺灰も、ここに納められています。
また、2021年4月9日に99歳で亡くなったエリザベス女王の夫フィリップ殿下も、セント・ジョージ礼拝堂のロイヤル・ボールト(王室の墓廟)に埋葬されていますが、女王の埋葬に合わせ、殿下の棺は女王の隣に移されるとみられています。
<新国王チャールズ3世>
エリザベス女王の逝去に伴い、王位継承権第1位のチャールズ皇太子(73)が新国王「チャールズ3世」として即位しました。英フィナンシャル・タイムズ紙は、73歳のチャールズ3世は最も長く待たされた後継者であると同時に、即位時の年齢が最も高い王になると報じました。
チャールズ新国王は、母であるエリザベス女王が亡くなった時点で自動的に即位していますが、手続き上、新国王の即位は10日、ロンドンのセント・ジェームズ宮殿で行われた王位継承評議会(数世紀にわたる組織で、王族や政治家、宗教指導者で構成)の会合で正式に宣言されました。会合の模様は初めてテレビ中継されました。チャールズ国王は母方から王位を継承しているので、女系王になります。
この後、新国王は戴冠式に臨むことになりますが、現時点で詳細は明らかにされていません。戴冠式は、伝統的にロンドンのウェストミンスター寺院で行われていますので、今回も踏襲されると見られています。
チャールズ3世は、ケンブリッジ大卒業後、軍隊を経て、ダイアナ妃との間にウィリアム、ヘンリーの2人の王子をもうけましたが、結婚前から交際していた現カミラ王妃との不倫関係を継続し、離婚の原因となりました。1997年のダイアナ妃の事故死後は、世間の強い風当たりを受けながら、2005年にカミラ妃と再婚しました。
かつて皇太子時代、「人生のほぼ全てを準備に費やした」と英メディアに揶揄されたこともあったチャールズ3世ですが、400以上の慈善団を後援し、環境問題や代替医療など、多くの分野の社会活動家としても存在感を示してきたと評されています。
<王位継承者>
女王の死と新国王の即位を受け、英国の王位継承順位の第1位は、チャールズ3世の長男ウィリアム王子となりました。第2位はウィリアム王子の長男、ジョージ王子(9)。3位と4位は、ジョージ王子の妹シャーロット王女(7)、弟のルイ王子(4)となっています。
2013年に施行された王位継承法では、「2011年10月28日以降に誕生した王族は、性別によってその人物またはその子孫が他の王位継承者よりも優先されることはない」と規定されました。従来のイギリスでは、長男子単独相続制に従って、王位は、王の直系の子孫に男子優先で女子にも与えられていましたが。2013 年法はこの原則を性別によらないで王位継承の順序を決定するように改められました。
2013年の王位継承法以前は、エリザベス女王の長女であるアン王女や、女王の孫娘レディ・ルイーズのように、女性が王位継承権を持つ男性の弟に順位を逆転されることがありましたが、現在ではそうした事態は起きていません。実際、ウィリアム王子の長女シャーロット王女の王位継承順位は3位で、弟であるルイ王子より先になっています。
王位継承順位の第5位はウィリアム王子の弟、新国王と故ダイアナ元妃の次男ヘンリー王子(37)。それに続く第6位と7位は、ヘンリー王子と米国出身の元女優、メーガン・マークルの息子アーチー・マウントバッテン・ウィンザー(3)と、娘のリリベット(1)です。
チャールズ新国王の子と孫に次いで継承順位の上位に入るのは、エリザベス女王のほか3人の子どもとその子・孫たちとなり、8位は女王の次男アンドルー王子(62)です。しかし、アンドルー王子は未成年に対する性的虐待などで起訴されました。さらに勾留中に死亡した米国人富豪ジェフリー・エプスタイン(性犯罪で有罪判決を受けた)と交友関係があったことで国民からの批判を受け、2019年以降、公務からから退いています。
イギリスの王位継承順位
- ウィリアム皇太子(チャールズ新国王の第1子)
- ジョージ王子(ウィリアム王子とキャサリン妃の第1子)
- シャーロット王女(同第2子)
- ルイ王子(同第3子)
- ヘンリー王子(ウィリアム王子の弟でチャールズ新国王の第2子)
- アーチー・マウントバッテン=ウィンザー(ハリー王子とメーガン妃の第1子)
- リリベット・マウントバッテン=ウィンザー(同第2子)
- アンドルー王子(新国王の弟で女王の第3子)
- ベアトリス王女(アンドルー王子の第1子)
- シエナ・エリザベス・マペッリ・モッツィ(ベアトリス王女の第1子)
- ユージェニー王女(アンドルー王子の第2子)
- オーガスト・フィリップ・ホーク・ブルックスバンク(ユージェニー王女の第1子)
- エドワード王子(新国王の末弟で女王の第4子)
- セヴァーン子爵ジェームズ(エドワード王子の第2子)
- レディ・ルイーズ・マウントバッテン=ウィンザー(エドワード王子の第1子)
- アン王女(新国王の妹で女王の第2子)
- ピーター・フィリップス(アン王女の第1子)
- サバンナ・フィリップス(ピーター・フィリップスの第1子)
- アイラ・フィリップス(同第2子)
- ザラ・ティンダル(アン王女の第2子)
<「称号」の変更>
- カミラ夫人の肩書
新国王のチャールズ3世は9月9日、即位後の初の演説を行い、「新国王の妻」カミラ夫人はクイーン・コンソート(王妃)となると発表しました。
エリザベス女王は2022年2月、チャールズ3世の2番目の妻カミラ夫人の肩書を「プリンセス・コンソート(王の配偶者)」ではなく、「クイーン・コンソート(王妃)」となることを希望している(カミラ妃が将来「王妃」と呼ばれることを切に望む)と表明し、国民に許しと和解を促しました。
- ウィリアム王子とキャサリン妃
王位継承順位第一位となったウィリアム王子は、国王から皇太子の称号である「ウェールズ公」も引き継ぐことになりますが、この称号は、父から息子に自動的に継承されるものではないため、新国王(父王)から付与される必要があります(新国王が決める)。
そこで、チャールズ新国王は、9月9日、ウィリアム王子夫妻、プリンス・オブ・ウェールズ(皇太子)とプリンセス・オブ・ウェールズ(皇太子妃)になると発表しました。これは、チャールズ新国王がウィリアム王子をプリンス・オブ・ウェールズの後継者に指名したことを意味します。この結果、ウィリアム王子は、ウィリアム皇太子(ウェールズ公ウィリアム)と敬称されることになります。
キャサリン妃は、1997年に36歳で悲劇的な死を遂げたダイアナ元妃以来、初めてプリンセス・オブ・ウェールズ(ウェールズ公妃)(皇太子妃)の称号を継承することになりました。なお、カミラ夫人もプリンセス・オブ・ウェールズの称号を持っていましたが、不倫の後にチャールズ皇太子(当時)と結婚した経緯もあってか、このプリンセス・オブ・ウェールズの称号を公に使用することはなく、コンウォール侯爵夫人と名乗っていました。
また、ウィリアム王子とキャサリン妃は、2011年4月に結婚した際、エリザベス女王によってケンブリッジ公爵、公爵夫人の称号をそれぞれ与えられていましたが、父チャールズが新国王に即位したことを受け、新国王と王妃がそれまで名乗っていたコーンウォールの称号も引き継ぎます。ウィリアム皇太子はコーンウォール公爵、キャサリン皇太子妃はコーンウォール公爵夫人ともなります。
実際、ウィリアム王子とキャサリン妃のSNS(ツイッターとインスタグラム)のアカウント名が、ケンブリッジ公爵夫妻から「コーンウォールおよびケンブリッジ公爵夫妻」に変更されていました(現在は、ウェ―ルズ公爵夫妻を使用)。
なお、チャールズ新国王は、1958年から持っていたコンウォール侯爵という称号を使うことはなく、長らくプリンス・オブ・ウェールズの称号を多く名乗っていました。
- ウィリアム皇太子夫妻の3人の子ども達
今回の称号の変更に伴い、ウィリアム王子夫妻の子供であるジョージ王子、シャーロット王女、ルイ王子もこれまでの「ケンブリッジ」の名から「コーンウォールおよびケンブリッジ」の名になっています。正式には、次の称号を新しく得ることになりました。
プリンス・ジョージ・オブ・コーンウォール・アンド・ケンブリッジ
プリンセス・シャーロット・オブ・コーンウォール・アンド・ケンブリッジ
プリンス・ルイ・オブ・コーンウォール・アンド・ケンブリッジ
また、「ウェールズ」の名をウィリアム王子が与えられたので、その称号も名乗ることになります。
- ヘンリー王子夫妻の子ども達
王子と王女
チャールズ国王の次男ヘンリー王子と妻メーガン妃(サセックス公爵夫妻)の子どもたちで、王位継承順位6位と7位となったアーチーとリリベットは、「王子(プリンス)」・「王女(プリンセス)」の称号(肩書)と、殿下・妃殿下(HisまたはHer Royal Highness、HRH)の敬称を得て、アーチー王子(殿下)とリリベット王女(妃殿下)になれるかが注目されています。
イギリス王室における「王子」・「王女」の称号と、殿下・妃殿下(HRH)の敬称の付与には、ヘンリー王子の高祖父にあたるジョージ5世は1917年に、「王国の君主の子供、君主の息子の子供(孫)およびプリンス・オブ・ウェールズ(皇太子)の長男の長男(曾孫の長男)」に与えられると定めました。
エリザベス女王の在位中、チャールズ皇太子の長男であるウィリアム王子の長子ジョージ王子までがこれに該当しました。エリザベス女王は、これを変更し、シャーロット王女とルイ王子まで拡大したことから、ウィリアム王子とキャサリン妃のお子さんたちは、全員、「王子」・「王女」の称号と、(王室高位メンバーを意味する)HRHの敬称を得ています。
そして、今回、女王が崩御し、祖父チャールズが即位したことで、現行法に則れば、アーチ―君とリリベットちゃんは、君主の孫という立場になり、希望すれば自動的に、王子と王女の称号とHRHの敬称が与えられ、アーチー王子殿下、リリベット王女殿下になれます(希望しない場合もある)。
当初、チャールズ新国王は、シニアメンバーと呼ばれる主要王族の数を減らして、王政のスリム化を検討していることから、これを認めない可能性もあると指摘されていましたが、英紙サンは、アーチー君(3歳)とリリベットちゃん(1歳)は近く、正式に王子および王女となるが、殿下または妃殿下(HRH)の敬称は得られない見込みだと報じました。後者については、ヘンリー王子とメーガン妃が、2020年に王室を離脱した際、王室との合意の一環で、HRHの使用を放棄し、「王室として働いていない」ことが理由にあげられています。
マスターとレディ
アーチーとリリベットは、親が保持する「サセックス公爵」の称号も持っていません。そうすると、爵位を持たない2人には何かしらの称号はあるのでしょうか?
こうしたケースでは、当初、慣例に従い、ヘンリー王子の従属爵位(下位の爵位)であるダンバートン伯爵を儀礼称号(儀礼上の称号)として使用するとみられていましたが、両親の意向により爵位ではなく年少の貴族の子息の呼称であるマスター(Master)とレディ(Lady)を使っています。現在、アーチーはマスター・アーチ―、レディ・リリベットという敬称で呼ばれています。
マウントバッテン=ウィンザー
また、アーチーとリリベッドは、マウントバッテン=ウィンザーという姓を名乗っています。実際、2人の正式な名前は
アーチー・ハリソン・マウントバッテン=ウィンザー
リリベット・ダイアナ・マウントバッテン=ウィンザー。
この姓は、1960年にエリザベス女王とフィリップ王配が結婚した際、2つの名字(女王のウィンザー家と王配のマウントバッテン家)を組み合わせて誕生しました。エリザベス女王とフィリップ王配は、自分たちの子どもや子孫のために、マウントバッテン=ウィンザーという姓を作ったのです。公式には、エリザベス2世と夫フィリップ・マウントバッテン公の間に生まれる子の姓をマウントバッテン=ウィンザーとする枢密院令が発せられました。
もっとも、女王の子ども達は、ケンブリッジ公、サセックス公、ウェールズ公など、それぞれの称号で呼ばれているため、マウントバッテン=ウィンザーという姓は使用していません。
なお、ウィンザーは、王室が属する王朝の名前であると同時に、エリザベス女王の祖父ジョージ5世の決定により、王家の家名(ファミリーネーム)ともなりました。
<王朝名も変更?>
チャールズ3世新国王の即位とともに、イギリス王室は、王朝名(家名)をウィンザー朝からマウントバッテン=ウィンザー朝に変える可能性もあると言われています。これは、エリザベス女王の王朝名であるウィンザー朝に、エリザベス女王の夫で、チャールズ3世の父であるエジンバラ公フィリップの家名を加えた名称です。
マウントバッテン=ウィンザー朝という折衷名にするのは、チャールズ3世が王位を継承しても、エリザベス女王の直系血筋が絶えるわけではないという考え方で、ウィンザー朝の継続という強調したものと言われています。
ただし、前述したように、マウントバッテン=ウィンザーは、1960年にエリザベス2世と夫が創設した姓(苗字)で、このときは、家名(王朝名)が変更されたわけではありませんでした。そのため、チャールズ3世が即位した今もその家名(王朝名)はウィンザーのままで、姓のマントバッテン=ウィンザーとはずれが生じていることを調整する狙いがあるのかもしれません。
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9.11から21年 アメリカのテロとの戦いは今
アメリカの同時多発テロから今年2022年で21周年になる。テロの脅威を忘れなないためにも、あの事件を風化させてはなりません。
ハフポスト紙が、「アメリカ同時多発テロはなぜ起きたのか。“史上最悪”のテロ事件を写真で振り返る【9.11から21年】」と題した記事を出してくれました。同時多発テロの発生の背景から、実際の惨事から、その後のアメリカのテロとの戦いについてまとめた記事で、今私たちが知るべき内容がすべて書かれていたので、まずはそのまま引用します。
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2977人の命が奪われたアメリカ同時多発テロから21年。史上最悪のテロ事件はなぜ起こったのか。
(2022年09月11日、ハフポスト日本版編集部)
民間機4機が国際テロ組織にハイジャックされ、日本人24人を含む2977人が犠牲になった、アメリカ同時多発テロ(9.11事件)から11日で21年を迎える。航空機が世界貿易センタービルに激突する瞬間や、ビルが白煙を巻き上げながら崩れ落ちていく映像がリアルタイムで放送され、その惨劇は世界を震撼させた。多数の民間人の命を奪う「対テロ戦争」の発端にもなった“史上最悪”のテロ事件は、なぜ起こったのか。事件現場はその後、どう変わったのか。写真と資料で振り返る。
2977人が犠牲に
2001年9月11日午前8時46分、乗客乗員計92人を乗せたボストン発ロサンゼルス行きのアメリカン航空11便が、ニューヨークの世界貿易センタービル北棟に衝突した。その17分後、乗客乗員計65人を乗せたユナイテッド航空175便が、世界貿易センタービルの南棟に突入。午前9時37分には、バージニア州の国防総省(通称ペンタゴン)に、アメリカン航空77便が激突した。午前10時3分、ペンシルベニア州・シャンクスビルの平野に最後の1機のユナイテッド航空93便が墜落した。2機が衝突した世界貿易センタービルは、11日午前10時〜10時半ごろにかけて相次いで崩れ落ちた。
一連のテロ事件の犠牲者数は2977人に上った。その中には、建物内で生存者の救助活動にあたっていた警察官や消防隊員も含まれている。現場で有害物質を吸い込んだり、心的外傷後ストレス障害(PTSD)を発症したりと事件による健康被害に今も苦しむ人は多い。
ハイジャックした19人の実行犯たちは、国際テロ組織「アルカイダ」のメンバー。航空機4機に4〜5人ずつ乗り込み、全員死亡した。ペンシルベニア州の平原に墜落したユナイテッド航空93便は、乗客と乗員たちがハイジャック犯に抵抗したため、標的であるワシントンD.C.のホワイトハウス(アメリカ合衆国議会議事堂とする説もある)に到達しなかった。
国際テロ組織「アルカイダ」とは
9.11事件を引き起こしたアルカイダは、1989年に誕生した国際テロ集団。どんな組織なのか?ソ連軍は1979年、アフガニスタンに侵攻する。ソ連軍の駆逐を目的とした「ジハード」(聖戦)に参加するため、アラブ諸国の若いムスリム(イスラム教徒)を中心とする義勇兵たちが、アフガニスタンや隣国パキスタンに向かった。
1989年にソ連軍がアフガンから撤退すると、対ソ連で戦った抵抗勢力の間で内乱が発生した。こうした中、一部のアラブ人義勇兵たちによって次のジハードを戦うための組織アルカイダが結成された。アルカイダの幹部らにとって、戦場を失った義勇兵たちの処遇は喫緊の課題だった。
1990年の湾岸危機で、米軍がメッカとメディナというイスラム教の2大聖地があるサウジアラビアに駐留したことは「異教徒の軍隊がイスラムの聖地を占領している」とみなされ、攻撃の対象とされた。アルカイダの論理はエスカレートし、サウジアラビア駐留軍だけでなく、全てのアメリカ人を「標的」とするようになった。
アルカイダの最高指導者のオサマ・ビン・ラディンは、2011年5月2日、パキスタンでアメリカ軍特殊部隊に殺害された。
泥沼化した「対テロ戦争」
アフガニスタンを支配していたタリバン政権は、アメリカ同時多発テロを計画したアルカイダ指導部の引き渡しを拒んだ。そのため2001年10月、アメリカはイギリスなどとともにアフガニスタン攻撃を開始。タリバン政権を壊滅させた。以降、アメリカや同盟国による「対テロ戦争」が激化していく。
1990年代後半から、米共和党内部で活発に活動していた「ネオコン」と呼ばれる新保守主義者たちは、特に9.11事件以降、積極的にイラクのフセイン政権打倒を主張していた。ネオコンの特徴の一つは、自由主義や民主主義といったアメリカの価値観を、軍事力や経済力を行使したとしても他国に広める、という思想だ。アメリカは開戦理由として、イラクが化学兵器や核兵器などの大量破壊兵器の開発を進めて保有していることや、アルカイダとつながっていることを挙げた。イラクはいずれの疑惑も否定し続けた。
「大量破壊兵器」は見つからなかった
イギリスや日本など一部の国を除き、イラクへの軍事攻撃に対する慎重論が上がっていた。しかし、アメリカは2003年3月20日、イラクへの武力攻撃を開始(イラク戦争)。アメリカ、イギリス、オーストラリア、ポーランドの4カ国でつくる有志連合軍は、イラク各地で大規模な空爆を行った。
当時日本の首相だった小泉純一郎氏は、攻撃開始直後に談話を発表。「我が国の同盟国である米国をはじめとする国々によるこの度のイラクに対する武力行使を支持します」との立場を示した。
イラク戦争では空爆や、それに対抗して繰り返された自爆テロにより、イラクの多数の民間人が犠牲になった。2004年10月には、イラクの大量破壊兵器の捜索を担当していたアメリカの調査団による最終報告書が議会に提出された。イラクには大量破壊兵器は存在せず、開発計画もなかったと結論づけるものだった。その後、米兵によるイラク人への虐待や性暴力といった非人道的な行為も次々に暴かれた。
イラク戦争と、戦後のイラク国内の治安悪化で、アメリカに対する憎悪はますます膨らんだ。欧米など世界各地でテロ事件を計画・実行する過激派組織「IS」の誕生へとつながっていく。
タリバンの復権
タリバン政権は2001年の崩壊後、どうなったのか。その後もタリバン自体は壊滅せず、中央政府の手の届かない地域で力を蓄え、武装勢力として駐留米軍やアフガン政府軍と約20年にわたって戦った。2021年5月、アメリカ政府が米軍のアフガン撤退を本格化させると、タリバンは各地でアフガン政府軍を圧倒し支配地域の拡大を急速に進めた。8月15日に、タリバンは首都カブールを制圧した。
アルカイダは2011年のビンラディン殺害後もタリバンに忠誠を誓い、両者の深いつながりが指摘されている。一方、2020年にタリバンは米国と和平合意を結んだが、そのときの条件の一つは、タリバンがアルカイダとの関係を断絶することであった。
「グラウンド・ゼロ」はいま
世界貿易センタービル跡地は、「グラウンド・ゼロ」(爆心地)と呼ばれる。グラウンド・ゼロには、事件を伝える「9.11メモリアルミュージアム」が設置されたほか、犠牲者を悼む記念碑も整備された。超高層ビル「ワンワールドトレードセンター」なども建設され、2棟のタワーが崩壊した事件直後とは全く異なる表情を見せている。
毎年9月11日には、グラウンド・ゼロなど事件現場で追悼式典が行われている。9月11日夜〜翌朝まで、世界貿易センタービルの2棟に見立てた青い光のツインタワー「追悼の光」(Tribute in Light)が、ニューヨークの空を照らし出す。
★☆★☆★☆★☆★☆★☆(引用ここまで)
記事にもあるように、2001年9月11日、米同時多発テロ後、実行犯の主犯格のオサマ・ビンラディンらアルカイダの指導者らを匿っているとして、アフガニスタンに軍事介入し、タリバン政権を打倒しました(米アフガニスタン戦争)。しかし、壊滅したかにみえたタリバンでしたが、武装勢力として、駐留米軍やアフガン政府軍に抵抗を続けました。2021年、アメリカ政府が米軍のアフガニスタン撤退を本格化させるのに合わせるかのように、力を再び蓄えてタリバンは各地で支配地域の拡大を急速に進め、同年8月、タリバンは首都カブールを制圧し、再びアフガニスタンを支配しました。アメリカのアフガニスタンにおけるテロとの戦いは、結局、失敗に終わったとしか言えません。
では、同時多発テロ後、G.W.ブッシュ大統領が宣言したアフガンも含めた世界中の「テロとの戦い」はどうなったのでしょうか?
G.W.ブッシュ大統領は、「テロとの戦いは冷戦より長くなる」と長期戦を示唆しました。実際、アメリカは、アフガニスタンのタリバン政権を崩壊させた後は、イラク、イラン、北朝鮮を「悪の枢軸」と名指し批判し、イラクに対しても戦争を仕掛け、イランとの対立は現在も続いています。また、ブッシュ大統領は、「民主主義を世界に広める」とも宣言し、オバマ政権の2010年から2012年にかけておきた「アラブの春」で一部実現したという見方もできます。
1990年台から2000年台初頭まで、まだ冷戦後の世界秩序が模索されていた中、同時多発テロが発生したわけですが、当時から注目されていた理論に、国際政治学者ハンチントンの「文明の衝突」がありました。
ハンチントンは、世界の文明圏を、西欧文明(欧米豪)、スラブ・東方正教会文明、中華文明、日本文明、ヒンズー文明、イスラム文明、ラテン・アメリカ文明、アフリカ文明の8つの文明圏に分類し、これからの世界は、イデオロギーの対立から文明の衝突が起きると予測しました(想像に難くないことですが、西欧文明がすべての戦いに勝利することが期待されているでしょう)。
論文の発表から8年後の2001年にアメリカ同時多発テロ事件がおき、その後、アフガニスタンやイラクとの戦争というように、冷戦後「テロとの戦いの時代」となったと、ブッシュ大統領が宣言したことから、「文明の衝突」はまさに冷戦後の世界を予見した研究として一躍注目されたのです。
さらに、一部の保守派は、「テロとの戦いはイスラム文明との戦い」と強引に解釈し、現代は西欧文明とイスラム文明の戦いに突入したとみなされるようになりました。仮にこの見解が正しいとして、西欧文明の旗手アメリカは、イスラム文明(ここではイスラム原理主義)との戦いに勝利したのかというと、決してそうではないでしょう。むしろ、アメリカはイスラム文明との戦いを拒否しているように思われます。
では、ハンチントンの「文明の衝突」は、これからの世界の先行きを占う予言書ではなかったのかというと、これは早急に結論付けできません。
「文明の衝突」によれば、イスラム(テロ)との戦いの後には、中華圏、スラブ圏、ヒンズー圏などとの戦いがあると読むこともできます。ハンチントンはすべての文明圏との対立は想定していないようですが、現状では、中華文明、ロシア文明(スラブ・東方正教会文明)との対決は、決して否定できないでしょう。
アメリカの外交戦略を歴史的にみれば、理論を現実化するという傾向があるように思えることから、今後もハンチントンの「文明の衝突」からは目を離せません。
<この記事のさらなる理解のために>
(2022年9月13日更新)
新型コロナウイルス、東京五輪から世界に拡散していた!
8月3日の「テレ朝ニュース」によると、「日本で独自に変異して『第5波』の主流となった新型コロナウイルスのデルタ株の亜種が東京オリンピック・パラリンピックの開催で海外に広がっていた」ことが東京大学医科学研究所の研究で分かりました。
第5派と言えば、2021年7月に入り感染が急拡大し、8月20日には全国で2万5995人と当時の過去最多を記録(東京都でも8月13日に5908人の感染が報告された)しました。この頃、東京オリンピックが、7月30日から8月8日まで開催され、200を超える国や地域から選手や大会関係者が入国していました。
東京大学医科学研究所付属ヒトゲノム解析センターの井元清哉教授は、東京オリンピック・パラリンピックが開催された去年7月から今年1月までの世界中のウイルスの遺伝情報を解析した結果、当時、国内で変異して生まれたデルタ株の亜種「AY.29」が、日本で出現した後、アメリカやインドなど20の国や地域で見つかっていたことがわかったそうです。
井元教授が発生源を調べたところ、大会が開催されていた東京やその周辺地域から拡散したと考えられることが分かったということです。
以下に、「女性自身」編集部の投稿記事を掲載します。当時の政治の動きが鮮明に思い出されてきました。
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“東京五輪でデルタ株亜種が世界拡散”発表が波紋「やっぱり」「だから反対したのに」(2022/08/04)
日本で独自に変異し、“第5波”の主流となった新型コロナウイルスのデルタ株の亜種『AY.29』。8月3日に「AY.29は東京オリンピック・パラリンピックの開催で海外に広がっていた」と発表され、ネットで波紋を呼んでいる。
各メディアによると、東京大学医科学研究所付属ヒトゲノム解析センターの井元清哉教授は、東京五輪が開催された昨年7月から今年1月までの世界中のウイルスの遺伝情報を解析。その結果、東京五輪の当時に“第5波”を迎えていた日本で変異して生まれたデルタ株の亜種『AY.29』をアメリカなど20の国や地域で確認。その発生源は東京やその周辺地域だったという。
昨年7月に開催された東京五輪。しかしコロナ禍で行われたため、当初から世論では「新型コロナウイルスが拡散されるのでは?」と反発の声が相次ぐことに。新型コロナウイルス感染症対策分科会の尾身茂会長(73)も’21年6月、国会で「パンデミックのなか、オリンピックを開催することは普通ではない」と指摘していた。
しかし、政治家たちの“強行する姿”が目立った。
「昨年5月に安倍晋三元首相(享年67)は『オールジャパンで対応すれば何とか開催できる』といい、『根性論だ』と批判されました。
さらに当時五輪大臣だった丸川珠代氏(51)は『東京五輪が、コロナ禍で分断された人々の間に絆を取り戻す』といい、同年6月には当時首相だった菅義偉氏(73)が『東京五輪は希望と勇気を世界にお届けできる』とコメント。抽象的な発言に『現実を見て』といった厳しい声が上がっていました」(全国紙記者)
またIOCのトーマス・バッハ会長(68)も話題となった。
「昨年4月、バッハ会長は『緊急事態宣言と五輪は無関係』と主張し、翌月には『大会が可能になるのは日本人のユニークな粘り強さという精神、逆境に耐え抜く能力をもっているから』と述べました。さらに7月、新型コロナの感染者数が再拡大するなか『感染状況が改善すれば、有観客も検討してほしい』と要望しました。
いっぽう東京五輪の直前、自身の言動について『“どんな犠牲を払っても前進する”と解釈されることもあった』といい、『開催に疑念があった』とも発言。その“手のひら返し”に非難轟々となりました」(前出・全国紙記者)
東京五輪は新型コロナ対策として、『バブル方式』を導入していた。例えば関係者には入国前と入国後にPCR検査が義務付けられ、「ホテルと練習会場、試合会場以外には原則移動できない」という制限も課せられていた。しかし『AY.29』の発生源となり、ウイルスを世界中に拡散ーー。ネットでは、こんな声が上がっている。
《こういう事になるだろうと予想していたからこそ東京五輪に多くの人々が反対の声を上げていた。聞く耳を持たなかった菅、自公政権》
《まじか。だから(五輪ファンだけど)反対したのに!》
《東京五輪は日本国内の感染をあまり拡大させなかったが世界の国々の感染は拡大させた模様。どっちにしてもあれほどのパンデミックの中で五輪みたいな世界大会開催する方が異常だな》
《当時懸念されてたけどやっぱり起きてたんだなという気持ち》
「女性自身」編集部
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当時の大手マスコミは、政府与党とともに、こぞってオリンピック開催賛成だったので、このニュースは、もっとメディアで取り上げられ、様々な検証がなされるべきですが、そうならないかもしれません。
福島原発「処理水」の海洋放出、本当に大丈夫か?
福島第1原発の処理水海洋放出の実施計画を、原子力規制委員会が正式に認可しました。この問題については、本HPの投稿記事「東日本大震災から11年、改めて問う原発ゼロ社会」でも触れましたが、2021年4月に、政府が決定した海洋放出計画にお墨付きが与えられた格好です。
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福島原発「処理水」の海洋放出を正式認可…海底トンネル建設、来春の開始目指す(2022/07/22、読売新聞)
東京電力福島第一原子力発電所で増え続ける「処理水」を海に放出する東電の計画について、原子力規制委員会は22日、安全性に問題はないとして正式に認可した。東電は今後、福島県と同原発が立地する同県大熊、双葉の両町から事前了解を得たうえで、海洋放出のための設備の本格工事に着手する。政府と東電は来春の放出開始を目指している。
東電の計画では、同原発から沖合約1キロ・メートルまで海底トンネルを建設し、その先端から処理水を放出する。放出前に海水で薄め、放射性物質トリチウム(三重水素)の濃度を国の排出基準の40分の1以下、世界保健機関(WHO)の飲料水基準の7分の1程度にする。
海底トンネルなどの工事にかかる期間は当初、10か月半程度と見積もっていたが、来春から放出を開始できるよう8か月半程度に短縮するという。
処理水は、2011年の炉心溶融(メルトダウン)事故で溶け落ちて固まった核燃料を冷却した後の汚染水を、多核種除去設備(ALPS=アルプス)で処理し、トリチウム以外の大部分の放射性物質を取り除いた水。その量は増え続けており、現在は約131万トンが同原発敷地内の1000基以上のタンクに保管されている。タンクの容量は来年夏~秋には満杯になるとみられている。
このまま保管を続けると廃炉作業の支障となるため、政府は昨年4月、23年春から海洋放出を始める方針を決めた。放出終了までには数十年かかる見通しだ。
政府と東電、さらに丁寧な情報発信を
東京電力福島第一原子力発電所の「処理水」の海洋放出は、原発敷地内のタンクの数をなるべく減らし、廃炉作業を円滑に進めるため、避けて通れないステップだ。廃炉が着実に進まないと、福島の復興の妨げにもなる。
処理水は同原発の汚染水を浄化し、大部分の放射性物質を除去した水だ。トリチウムの除去は技術的に難しいが、薄めて濃度を下げれば、人間や環境に影響がないことが科学的に確認されている。トリチウムは通常の原発の運転でも発生するため、国内外で海などへの放出が認められている。
処理水の放出に反対している中国や韓国の専門家を含む国際原子力機関(IAEA)の調査団は今年4月、東電の計画や浄化設備を調査した上で、安全性に問題はないとの報告書を公表した。
それでも風評被害への懸念は根強く、地元の漁業関係者らは海洋放出に反対している。規制委は今年5月に審査結果をまとめた審査書案を了承した後、一般から意見を募集した。その結果、1233件の意見が寄せられ、安全性に疑問を抱く人の声も多かった。政府と東電は今後さらに丁寧に情報を発信し、国民全体に対して理解を求めていく必要がある。
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この記事によると、トリチウムを含む汚染水を海洋放出しても安全性は確保されているということですが、実際、多くの学者、研究者もこれに異論を唱えてはいないようです。例えば、唐木英明・東京大学名誉教授も、以下の記事で安全性について「確約」しています。
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福島第一原発処理水の海洋放出を阻む「不安の正体」
(2022年6月5日 Wedge online、一部抜粋)
日常的に浴びている量よりはるかに低い数値
福島第一原発では核燃料が溶解したデブリの発熱が続き、冷却している。そこに1日100トンを超える雨水や地下水が流れ込み、高濃度の放射性物質で汚染した水が増えている。これを汲みだして、多核種除去設備(ALPS)で処理してほとんどの放射性物質を除去している。
汚染水をALPSで処理するとルテニウムやヨウ素などほとんどの放射性物質を基準値以下に減らすことができるが、トリチウムだけは除去できない。トリチウムは放射性の水素で、大気成分と宇宙線が反応して作られ、地球上の水にも私たちの体内にも存在する。多量のトリチウムを摂取すると遺伝子に変異を起こしてがんのリスクを高めるのだが、基準値以下であれば健康に影響はない。
処理水に含まれるトリチウムは860兆ベクレルと経済産業省は発表している。平常時も原発の冷却水に含まれるトリチウムを海洋に放出しているのだが、事故前の全国の原発の放出量は年間380兆ベクレルで、これを基準値の1リットル当たり6万ベクレルにまで海水で希釈して放出していた。
処理水については基準を1リットル当たり1500ベクレル以下へと、40分の1に引き下げている。原発内に流れ込む地下水を減らすことで汚染水を減らすためにサブドレンと呼ばれる井戸を掘って地下水を汲み上げ、漁業者の了解を得て海洋に放出しているのだが、その基準である1500ベクレル以下に合わせたのだ。
放射性物質の量をベクレルで表しているが、放射線は種類によって身体に対する影響は違うので、生体影響の強さをシーベルトで表している。例えば宇宙線や岩石などから自然放射線が出ているが、それらの合計は年間2.4ミリシーベルトになる。そして私たちが被ばくする「追加」の放射線を1ミリシーベルト以下にしようという国際的な合意がある。トリチウムの基準である1リットル当たり6万ベクレルを含む飲料水1リットルの放射線量は1000分の1ミリシーベルト、処理水の基準は4万分の1ミリシーベルトに換算される。
トリチウムが水の形であれば体内に蓄積しないが、有機物の水素がトリチウムに置き換わった有機結合型トリチウム(OBT)になると体内に数十日から1年程度留まる。だから同じトリチウム量でもOBTの健康影響はトリチウム水の2~5倍になる。もしすべてのトリチウムがOBTになると仮定すると換算値は最大4万分の5ミリシーベルトになる。
遺伝子に変異を起こすものは微量でも危険という意見があるが、遺伝子は強力な自己修復機能を持ち、わずかな変異は元に戻す。がんができるのも珍しいことではなく、私たちの体内では毎日1000個以上のがん細胞が生まれ、免疫の働きで殺されている。日常的に2.4ミリシーベルトの放射線を浴びている私たちが、4万分の5ミリシーベルト以下のトリチウムを不安視する必要は全くない。
なぜ、処理水を海洋に放出するのか
処理水は敷地内のタンクに貯蔵しているのだが、タンクは1000基を超え、これ以上設置する場所はない。核燃料デブリの取り出しが終了する30~40年後まで汚染水は出続ける。
その処理について、政府の汚染水処理対策委員会は次の5つの案を検討した。①基準以下に薄めて海に放出。②加熱して蒸気を大気中に放出。③電気分解で水素にして大気中に放出。④地下に注入。⑤セメントなどで固化して地下に埋没。
海洋放出と大気放出は同じ結果になる。大気中の水蒸気は雨や雪になって海に流れ込み、それが蒸発して大気中に戻るという循環を続けるからだ。また電気分解により水素にしても結局は水になるので大きな違いはない。すると、海洋放出と地下埋没のどちらかになる。
地下埋没は高レベル放射性廃棄物の処分法として世界的に認められたもので、米国やフィンランドでは実施されている。しかし日本では引き受ける地域がない。処理水の放射線は桁違いに少ないのだが、「放射能」という言葉に不安を感じる人も多く、引き受ける地域がないことが予測される。
さまざまな条件を検討して委員会が出した結論は海洋放出だった。その費用を比較すると、海洋放出は処分完了までに7年4カ月かかり費用は34億円、蒸発は9年7カ月と349億円、そして地下埋没は8年2カ月と2533億円になる。最も実現の可能性が高く、最も費用が少ないのが海洋放出ということだ。
「反対」が続く理由 中韓は日本批判の材料に
海洋放出に対する反対の理由の一つは安全性に対する懸念である。汚染水に含まれるトリチウム以外の多くの放射性物質をALPSで除去してもゼロにはならず、多少は残る可能性がある。検査を行い基準値以下であることを確認するのだが、それでも反対があるのは東電と政府に対する根強い不信感である。
――――(引用ここまで)―――
ただ、汚染水の海洋放出の安全性について、本当に大丈夫なのかという疑念は、個人的には消えません。通常の原発でもやっていることと指摘され、驚きましたが、「ならば安心」ではなく、逆に、「やはり原発は要らない」との考えを強くしたくらいです。
そこで誰か、汚染水の安全性について問題提起をされている方がいないか調べたところ、「東京保険医協会」という団体のHPの中に興味深い記事を発見しましたので、これを紹介します。
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福島第一原発、処理水海洋放出の危険性
(2021年07月08日、原子力資料情報室 共同代表 伴英幸)(一部抜粋)
……政府は理解醸成活動を本格化し、海外向けの情報発信を強め、復興庁のホームページに「ALPS処理水について知ってほしい3つのこと」と題するリーフレットを公開した。
①トリチウムは身の回りにたくさんある。
②トリチウムの健康への影響は心配ない。体内に入っても蓄積されず、水と一緒に排出される。放射線は細胞を傷つけるが、細胞には修復機能がある。
③大幅に薄めてから海に流す。
こうした「科学的」で「正確な情報」を丁寧に発信すれば合意が得られ、風評被害がなくなると考えているようだ。しかし、この3つは本当に「科学的」で「正確な情報」だろうか。汚染水にはトリチウム以外にもセシウムやストロンチウムなど様々な放射性物質が混じっているが、ここでは処理しても取り除けないトリチウムに焦点を当てたい。
トリチウムは本当に安全なのか
トリチウムは放射性の水素で、弱いベータ線を放出してヘリウムに壊変する。半減期は12・3年。大気中では酸素や窒素と宇宙線との反応で生成される。また、過去に繰り返し実施された大気圏内核実験で大量に生成され、現在も残っている。
だからと言って、福島第一原発に貯蔵されている汚染水を海へ捨てることは、それらとは意味合いが異なる。現在貯蔵されている汚染水は、排出基準すら守れなくて貯蔵をせざるを得なかったものである。
トリチウムは生物の体内に入ると一部が有機結合型トリチウム(OBT:Organically Bound Tritium)になり、体の組織に取り込まれて長く留まることが知られている。生物学的半減期は550日程度にも及ぶとの評価がある。
いっそう深刻と考えられるのは、OBTがDNAに取り込まれた場合である。DNAを構成するアデニンとチミジン、グアニンとシトシンはそれぞれ水素結合でつながっている。ヘリウムに壊変した時点でその結合は断ち切られてしまう。さらに壊変時に放出するベータ線のエネルギーによって別の部分が切断される恐れもある。弱い放出エネルギーでも化学結合を切断するには十分である。細胞には確かに修復機能があるが、100%修復することは考えにくい。特にDNAの2箇所が同時に切断された場合(2本鎖切断)は誤った修復になる恐れもある。
OBTの影響がトリチウム水(HTO)より厳しいことは、経済産業省が設置したALPS小委(多核種除去設備等処理水の取り扱いに関する小委員会)の資料にも記載されている。OBTとなると体内に長く留まるということは、トリチウム水の存在する環境中では、OBTの蓄積が生じ、濃縮する可能性を示す。これを伝える海外の論文や政府報告などがある。
福島第一原発でタンクに貯蔵されている汚染水には微生物の存在も報告されている。地下水が原子炉建屋に侵入しているのだから、微生物が入り込んでいても不思議ではない。そうなると、汚染水の中の一部はOBTとして海洋放出される恐れがでてくる。このような恐れを政府は全く考慮していない。
海外でも報告される健康への影響
ドイツ政府は原子力発電所の周辺地域で子どもたちの白血病が有意に増加しているという疫学調査結果を公表した(2007年)。これに関して、イアン・フェアリー(放射線生物学者)が、定期検査で原子炉の上蓋を開けた時に一気に放出されるトリチウムによる被ばくが原因ではないかという仮説を展開している。年間平均では少ない被ばくだが、その瞬間は大きな被ばく線量となる。
放出量の多いカナダ型原発の場合には、下流域で出産異常や子どもたちにダウン症候群の増加、新生児の心臓疾患の増加などが報告されている⑷。トリチウムの健康影響を無視してよいとの考えは「科学的」でも「正確」でもない。東電は20年1月時点でトリチウム総量を2069兆ベクレルと評価している。タンク貯蔵量は860兆ベクレルだが、事故当時のまま手付かずに高濃度の汚染水が溜まっている建屋もあるからだ。
また、海に放出された汚染水は広範囲に均一に薄まることが想定されている。しかし、この想定は現実を反映しているとは考えにくい。潮の流れは複雑で、3層流も知られている。表層、中層、深層の流れの向きがそれぞれ異なるのである。地形によっては渦を巻く。濃度の高い場所ができても不思議ではない。
放出されたトリチウムが海洋生物に取り込まれ、これを食料とする人間に戻ってくるのである。そのような負の連鎖を避けるためには、当面の貯蔵を継続し、放出しなくてよいようにセメントと固めるなどの措置を行い、地表で管理・保管する方法に切り替えるべきだ。固化対象のトリチウムを減らすために、その分離技術の進展にも期待したい。
――――(引用ここまで)―――
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コロナワクチン死亡者、インフルエンザワクチンの100倍!
コロナ・ワクチンに否定的な見解を示せば、「陰謀論者」というレッテルを貼られてしまうかもしれませんが、有用な情報であれば、事実は事実として、共有したいと思います。今回はコロナワクチンの副反応についてです。
6月14日の「日刊ゲンダイ」が次のような記事を出していました。
(全文引用)
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コロナワクチン接種後の死亡件数は5月27日までに1742件 厚労省が報告
厚労省は6月10日、新型コロナワクチンの接種と副反応との関連性を議論する専門部会を開催した。同会に提出した資料によると、予防接種開始(2021年2月17日)から22年5月15日までに新型コロナワクチン接種後の死亡として報告された事例は1725件(ファイザー社製1575件でうち3回目接種後134件、モデルナ社製149件で同78件、アストラゼネカ社製1件)。その後、5月27日までに17件(ファイザー社製11件でうち3回目接種後7件、モデルナ社製は6件で同6件)の報告があった。
つまり、予防接種開始以来、465日間に1742件(ファイザー社製1586件、モデルナ社製155件、アストラゼネカ社製1件)の死亡が報告されたことになる。
1日当たりでは3.75人になる計算だ。
ちなみに5月15日までのファイザー社製の3回目接種後の死亡報告数134件のうち、65歳以上は112件、65歳未満22件だった。このうち症状の概要に記載された死因等は虚血性心疾患17件(うち65歳未満2件)、肺炎11件(同1件)、不整脈9件(同5件)、心不全9件(同1件)、大動脈疾患6件(同1件)、呼吸不全6件(同1件)、心筋炎5件(同4件)、播種性血管内凝固5件(同0件)などとなっている。
一方、モデルナ社製の3回目接種後死亡報告78件のうち65歳以上は60件、65歳未満は18件だった。症状の概要に記載されている死因等は不整脈9件(うち65歳未満2件)、虚血性心疾患8件(同1件)、心不全6件(同2件)、大動脈疾患6件(同3件)、心筋炎4件(同3件)、肺炎4件(同1件)などだった。
なお、1回や2回の接種後報告の上位では見られなかった溺死・溺水がファイザー社製4件(65歳未満0件)モデルナ社製5件(同0件)が上位に報告された。接種後の入浴が原因か。
専門部会では22年5月15日までに報告された1725件の死亡とワクチン接種との関連について、
α(ワクチンと死亡との因果関係が否定できないもの)、
β(ワクチンと死亡との因果関係が認められないもの)、
γ(情報不足等によりワクチンと死亡との因果関係が評価できないもの)
と評価している。
その結果は以下の通り。
・ファイザー社製(α=0件、β=10件、γ=1565件)
・モデルナ社製(α=0件、β=1件、γ=148件)
・アストラゼネカ社製(α=0件、β=0件、γ=1件)
今回の会合でも死亡例の報告に関しては、「現時点においては、個々の死亡事例について新型コロナワクチンとの因果関係があると結論づけることのできた事例は認められない。死亡例の報告に関しては、現時点においては、3回目接種後の事例も含め、引き続きワクチンの接種体制に影響を与える重大な懸念は認められない」とした。
―――――(引用終わり)
- ワクチンと死亡との因果関係
厚労省は、ワクチン接種後、現場の医師やワクチン製造販売業者に「副反応を疑う事例」の報告を求めているのですが、日刊ゲンダイの記事は、この「副反応疑い報告」によるものです。
それによると、新型コロナワクチンの接種開始の2021年2月17日から、5月27日までの間で、コロナワクチン接種後、亡くなった人が、1742件に上りました。
関心は、この数字は多いのか少ないのかということだと思いますが、記事では、これが、1日当たりでは3.75人と計算されています。個人的には多いという印象を持ちますが、別の記事では、死亡者数をワクチン接種回数で割った死亡報告の頻度は「0.00064%」となるそうなのです。こうなると少ないと言えますね。「副反応疑い報告」の結果も、ワクチン接種と死亡の直接の因果関係をほぼ全く認めていません。あくまで疑いです。しかし、前出の別記事では、次のような興味深い分析を行っています
- 季節性インフルエンザ・ワクチンとの関係
―――――――――
コロナワクチン 増え続ける副反応疑い死
(2022年6月9日、ヤフーニュース/山岡淳一郎)
(以下、当該記事を要約)。
新型コロナワクチンの接種開始の2021年2月17日から4月29日までの間に、合計で2億6590万回超のワクチン接種が行われているので、死亡報告の頻度は「0.00064%」となり、この比率(リスク)は一見、低そうだ。しかし、季節性インフルエンザ予防接種後の、副反応疑い死亡報告数と比べると、驚きの数字が明らかになる。
日本では、毎年5000万回前後、インフルエンザのワクチン接種が行われているが、「2014年シーズン(14年秋~15年初夏)から19年シーズンまで、5期で、新接種回数とほぼ同じ2億5835万回超のワクチン接種が行われた。このうち死亡報告数はわずか15人、死亡報告の頻度は『0.0000058%』」と算出された。新型コロナワクチン接種後に、通常のインフルエンザのワクチン接種後の100倍以上の死亡報告が出されている。
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季節性インフルエンザ・ワクチンと比較して、100倍以上の死亡報告というのは驚きです。
この記事ではさらに、ワクチンの製造販売業者が提出した「副反応疑い報告」から、死に至らなくても、接種後に深刻な副反応に見舞われる人が相次いでいることも指摘しています。
――――以下、記事一部引用―――――
死亡、障害、入院などの「重篤」事例は、ファイザー製1万8966人、モデルナ製2795人、アストラゼネカ製16人で、合計で2万1807人に達する(4月17日時点)。 亡くならないまでも、ほぼ寝たきりになった人や、「原因不明」のまま入院し、退院した後もベッドから離れられない人も大勢いる。
厚労省の「副反応疑い報告」に寄せられた事例は、死亡、重篤に軽症も合わせると5万5000件を超えている。
――――記事一部引用ここまで―――――
◆ 公平な情報開示と説明責任を
こうした結果に対して、厚労省の専門部会は、ワクチン接種との因果関係を「否定できない(α判定)」とされたのは、アナフィラキシーショックなどから回復した比較的軽かったケースの一部にとどまるとしたそうです。死亡例は、情報不足等によりワクチンと死亡との因果関係を評価できないとする「不明(γ判定)」がほぼ100%だったことはすでにみた通りです。
厚労省や専門家、マスコミは、増え続ける副反応疑い死について、説明しておらず、「ワクチンは安全で、有効です。ワクチンの利益は、そのリスクを大きく上回ります」と語る一方です。厚労省は、因果関係の調査をすべきでしょう。
さらに、報告されているのは、副反応疑いと認定された症例だけであり、多くの認定されていない症例もたくさんあることも重要な事実です。それどころか、その厚労省の出すデータそのものに疑問視する現場の医師もいます。
何より、このワクチンは、完全に安全性が保障されておらず、本来は治験段階であることを忘れてはなりません。(この事実にも、政府、厚労省、マスコミも含めて、誰も言及しなくなった)。ネットニュースなどで政府を代弁してワクチン接種を進めるテレビなどでお馴染みの医師も、「コロナワクチンは安全と言われています」としか言わず、「安全だ」と断定しているわけではありません。
もちろん、ワクチン接種は社会的に重要であることは否定しません。しかし、それならばなおのこと、ワクチンについての負の側面についての情報も公平に開示され、かつそれについての説明責任を政府・厚労省は果たすべきだと思われます。私たち国民には、憲法21条で保障された「知る権利」があります。
<関連投稿>
<参考記事>
コロナワクチン接種後の死亡件数は5月27日までに1742件 厚労省が報告
(日刊ゲンダイ 2022/6/14)
コロナワクチン 増え続ける副反応疑い死
(ヤフーニュース、2022年6月9日)
厚労省が新型コロナワクチン接種後の死亡者のデータを隠匿しています
(2021年7月7日、かねしろクリニック)
「無添加・不使用」の表示が消える!?
消費者庁は、2022年3月、「食品添加物表示制度(食品添加物の不使用表示に関するガイドライン)」の改正を発表しました。このガイドラインによって、食品添加物の表示ルールが変更し、新たな食品添加物表示制度が4月1日からスタートしています(適用されるのは今年4月以降の製造分から)。
主なルール変更は、商品包装の際、「人工」「合成」という用語の削除と、「無添加」や「不使用」と記載するルールの厳格化です。安心・安全な食品を口にしたいという消費者の利益はどうなるのでしょうか?
- 「人工」「合成」という用語の削除
食品添加物について、「人工甘味料」「合成保存料」などで見られる「人工」や「合成」という用語の使用が禁止されました。
添加物を使用していない商品を選ぶ消費者の4人に1人が、「『合成』や『人工』の表示があると購入を避ける」と回答しているという調査結果もあるように、一定数の消費者は「人工」「合成」の用語に強い抵抗感を持っていることが明らかになっています。
添加物には、例えば、カレー粉に用いるウコンの色素のように天然由来もあれば、化学的に合成されたものもありますが、消費者は、当然、「天然」の方が「人工」「合成」よりも体に優しく、安全と考えます。しかし、「実際には優劣はない」と主張する消費者庁は、消費者が、「人工」「合成」の添加物よりも「天然」の添加物のほうが安全と「誤解」しているとして、これを正すために、今回の措置をとったのです。
実際は、2020年7月に、食品表示法の食品表示基準が、変更され、消費者庁は「人工甘味料」「合成保存料」などに見られる「人工」「合成」の用語を削除することを決定していました。ただし、すぐに実施されたのではなく、2022年3月末までを経過措置期間としていたので、期間が切れる今年の4月1日から全面的に禁止となったわけです。
◆「○○無添加・△△不使用」表示のルールの厳格化
商品を選ぶ際、商品包装に「無添加」と「〇〇不使用」の表示があるかを基準にしている人が多いと思いますが、消費者庁は、食品メーカーが今後、商品パッケージに「着色料不使用」など「○○不使用」の文言や、「無添加」の表記を自由に使用することを禁止しました。結果的に、無添加などの表示は大幅に減る懸念があります。
食品添加物には、保存料、甘味料、着色料など多数がありますが、食品表示法では、加工食品に保存料や着色料などの添加物を使った場合、使用したすべての添加物を商品のパッケージに明記することを義務づけています。逆に、添加物を使っていないことの表示(「無添加・不使用」表示)に関しては、これまで特にルールを定めず、「○○無添加」「○○不使用」と書くかどうかは食品会社に任せるなど、これについての規制は曖昧でした。
消費者庁は、「国が認めた添加物は安全」という前提に立っています。添加物の安全性についても、内閣府の食品安全委員会や厚生労働省が、さまざまな検査結果などを通じて慎重にチェックした上で、国が安全性を認めたものだけが使われ、「添加物を入れた食品も、添加物を使用しない食品と同じくらい安全」というのが国の見解です。さらに、食品添加物の使用量も、目的のための最低限にとどめ、健康に影響を及ぼすことがない量に定められているとしています。
これに対して、一部メーカーが、「無添加・不使用」を強調する表示によって、「無添加」や「不使用」を全面的に打ち出すことを、消費者庁は快く思うはずはありません。何より、無添加・不使用を強調表示する一部メーカーによって、消費者が「添加物を使わない(無添加)食品は安全で健康的」、反対に「添加物を使っている食品は危険」と考えてしまうことに懸念を示していました。実際、不使用表示のある商品を購入する理由として、「安全で体によさそうだから」と考える消費者が70%以上いることが調査結果などから明らかになっています。
多数の添加物を使用する大手食品メーカーからもこれまでに、他社の「○○不使用」という表記にクレームがつけられていたそうです。また、大手製パン会社は、「無添加・不使用」表示について、例えば、イーストフードや乳化剤と同じような物質を使用していながら、「イーストフード・乳化剤不使用」と表示するなど、「消費者を欺いている」と問題提起が行われていました。また、「不使用」と書いてあっても何が不使用かよく分からないケースもあるようです。もっとも、「無添加・不使用」表示をするメーカーすべてが「欺いている」わけではなく、その正確な実態が明らかにされたわけではありません。
いずれにしても、消費者庁は、食品添加物に対する(消費者庁から見れば)「誤認」をなくすために、あいまいで混乱していた表示を厳格化する今回のガイドライン策定に踏み切りました。ただし、新たな表示ルールが即実施されるわけではなく、パッケージの切り替えなど、食品会社がガイドラインに基づく表示の見直しをするのに2年程度の期間を設け、2024年3月までを経過措置期間としています。この経過措置期間が切れるまでは、従来の表示方法も可能となります。
新ルールの10類型
消費者庁は、新たな表示ルールに基づいて、食品表示法の禁止事項に該当する恐れがある表示を以下の10類型にまとめています。
- 何が不使用なのか書かず、単に「無添加」と表示すること(今後は具体的に表示しなければならい)
- 「人工甘味料不使用」や「化学調味料無添加」など食品表示基準に規定されていない用語を使用した表示
- 清涼飲料水に「ソルビン酸」不使用と表示するなど、食品添加物の使用が法令で認められていない食品への表示
- 「〇〇無添加」、「〇〇不使用」と表示しながら、同じ機能や似た機能を持つ他の食品添加物を使用している食品への表示
- 「乳化作用を持つ原材料を高度に加工(無力化)して使用した食品に、乳化剤を使用していない旨を表示」するなど同一機能・類似機能を持つ原材料を使用した食品への表示
- 「無添加だから体にいい」など、健康や安全と関連付ける表示
- 「商品が変色する可能性の理由として着色料不使用を表示」するなど、健康、安全以外と関連付ける表示
- ミネラルウォーターに「保存料不使用」と表示するなど、食品添加物の使用が予期されていない食品への表示
- 原材料には保存料を使用しているのに、加工時に使わなかったことから「保存料不使用」と表示すること
- 「無添加、不使用」の文字が過度に強調された表示
これらの表示ルールを守れば、「無添加、不使用」表示は可能ということですが、これは、かなり厳しいガイドラインと言え、実質的に一律禁止に近い規制強化になるとみられています。しかも、ガイドラインを守らなければ、食品表示法違反に問われ罰則を受けることから、今後、無添加・不使用表示は確実に減っていくことが予想されます。無添加のために努力してきた企業にとって、表示できないとなれば、無添加をやめてしまうことを十分考えられます。
消費者に向いていない消費者庁
今回の消費者庁の新ルールは、健康志向の高まる現代社会にあって、時代に逆行するガイドラインと言えます。そもそも、国が安全性を認めた添加物であれば、添加物を入れた食品は、添加物を使用しない食品と同じくらい安全という国の見解を全面的に信頼しているわけでなく、逆に消費者の食品添加物に対する嫌悪感や不信感は根深いものがあります。
国が認める食品添加物は、安全性が確認されているとの建前ですが、世界各国で添加物の危険性が続々と報告されており、鵜呑みにできません。例えば、健康目的で人気のゼロカロリー飲料には、甘さを出すため糖類に代えて人工甘味料が添加されています(人工甘味料は砂糖と比べて最大約4万倍の甘みを持つとされる)が、最近、人工甘味料の発がんリスクを指摘する調査結果が公表されています。
それによると、人工甘味料の「アスパルテーム」と「アセスルファムK」の摂取量が多いと、大腸がんと乳がんのリスク(フランスの国立保健医学研究所調査)だけでなく、糖尿病(米テキサス大学)や、うつ病、腎機能障害、脳卒中、心筋梗塞、血管系疾患などの発症リスク(米国立衛生研究所)を高めることがわかっています。
現代社会において、食品添加物は、加工食品の品質と安全性を安定させ、広域流通を可能にしているという意味で、私たちはその恩恵を受けていますが、食品添加物が入っているものと、入っていない自然なものを選べるとしたら、食品添加物が含まれない食品を選ぶのは、「自然の情」として当たり前のことで、「食品添加物が入っていない食品の方が健康によい」というのはイメージでも何でもなく、事実です。そういう意味でも、今回の消費者庁の決定は、消費者目線ではなく、国が認めた食品添加物入りの「安全な」食品を売っている大手の食品メーカーを保護することが目的ではないかと疑わざるをえません。
ただし、新ルールによって、食品表示そのものがなくなるわけではありません。パッケージの表側に表示されなくなっても、裏側の表示を読めば、何が使われ、何が使われていないかを正確に知ることができます。ですから、食品添加物の入っていない(できるだけ少ない)食品を選択する私たち消費者の声が大きくなって、消費者庁が消費者に向いた政策をとらざるを得なくなるような地道の消費行動を、私たちが続けるしかありません。
<補足> 食品添加物について
食品の容器包装には、「乳化剤」「甘味料」「着色料」などの文字が記載されていますが、これらが食品添加物で、上にあげたもの以外にも、保存料、増粘剤、酸化防止剤、発色剤、防かび剤、漂白剤、膨張剤、乳化剤、香料など多数あります。
これらの食品添加物は、食品の食感や風味、日持ちを良くするため、外観を改良するために使用される物質の総称で、国は現在829品目を認めています。例えば、保存料や酸化防止剤はカビの抑制や保存性を良くするために用いられていることはよく知られています。
食品添加物は第二次大戦前から使用されていましたが、種類と使用量が増えるのは戦後になってからでした。当初、人々が貧しく食料が欠乏していた頃は、危険な化学物質が乱用され、食中毒で大勢の人が死亡する事故がたくさん発生しました。そこで、政府は1948年に食品衛生法を制定し、食品添加物は61種類を最初に認可しました。認可された防腐剤や保存料、酸化防止剤、防カビ剤、殺菌剤、殺虫剤などを定められた基準量で用いることで、食品の腐敗や酸化を防ぎ、かつ品質を保つことができたことで、食中毒のリスクが低減されました。
しかし、やがて、食品添加物は、見た目をおいしそうに見せるために使われるなど商業目的に乱用されるようになってきました。例えば、たくあんは、オーラミン(黄色染料)で真っ黄色に、また緑茶やワカメは、マラカイトグリーン(青緑色染料)で染められました。これらの添加物は、食用には禁止されている紙・皮革・繊維用の有害色素で色づけたものでした。さらに、「食と農の工業化」が進んだ、高度経済成長期から70年代にかけては、農薬、化学肥料、食品添加物などの化学物質が大量に投与された、国民にさまざまな健康被害をもたらしました。
こうした経緯を受け、食品の安全性と消費者の権利を重視することが求められるようになった現在では、食品添加物はさまざまな検査を通し、国が安全性を認めたものだけが使われていますが、「食品添加物は危険で自然、天然は安心・安全」という考え方が社会に広く認められています。
(参照)
食品添加物表示制度の変更で「無添加」表記が不可に
(2022/5/11、マネーポストWEB)
食品添加物の「無添加」「不使用」表示、これからどうなる?
(2022/4/27、Yahoo News)
消費者庁が制度大改正 食品から「無添加」表示が激減する
(2022年3月14日、エコノミストOnline)
新たな食品表示ルール 4月1日スタート
(2022年3月31日 NetIB News)
謎の急性肝炎、世界の子どもに拡散
先月末、世界中の子どもに謎の急性肝炎が広がっているという、気になるニュースがありました。以下、毎日新聞の記事です。
――――――
原因不明の小児急性肝炎か 症例を国内初確認 欧米で報告相次ぐ社会
(2022/4/25、毎日新聞)
米国や欧州で今年1月以降、原因不明の子どもの急性肝炎の症例報告が相次いでいることを巡り、厚生労働省は25日、同様の症状が出た症例を国内で初めて確認したと発表した。
世界保健機関(WHO)の報告によると、今月21日までに12カ国で169例が確認され、1人が死亡した。このうち、74例で夏風邪や結膜炎などの原因ウイルスである「アデノウイルス」が検出されている。症状は黄だんや肝障害の程度を表す肝酵素の数値の異常のほか、一部の症例では腹痛、下痢、嘔吐(おうと)などが報告されている。
今回の症例は21日に自治体から国に報告があった。アデノウイルスは陰性で、肝移植はしていない。基礎疾患の有無は不明で、新型コロナウイルスは陰性だった。厚労省は症状や居住地、性別、年齢は明かしていない。
WHOは23日、各国から情報を集めるために、原因不明の子どもの急性肝炎の暫定的な症例の中に「可能性例」を定義。16歳以下で、2021年1月以降に確認された急性肝炎で、A~E型のウイルス性肝炎の症例は除外している
――――――
世界中で確認された169件の報告のうちこの肝炎に感染している子供の大半は5歳以下で、死亡例は1件確認されました。感染者が最も多いのがイギリスの114件で、10人の子供が肝臓移植を余儀なくされたそうです。
症状は、腹痛や下痢、吐き気といった消化器症状がでた後、皮ふと目が黄色くなる黄疸(おうだん)が確認されたとのことで、肝酵素値(「AST」、「ALT」)の上昇が認められましたがほとんどの症例で発熱はありませんでした。また、急性ウイルス性肝炎を引き起こす一般的なウイルス(A、B、C、D及びE型肝炎ウイルス)は検出されていません。
「F41」と呼ばれるアデノウイルスが原因になっている可能性が高いとみられていますが、まだ正確には不明です。新型コロナウイルスのパンデミックによって、幼い子供たちが生活の中でアデノウイルスにさらされる時期が遅くなり、「免疫反応が激しくなった」のではないかという見方があります。
現在、直近のコロナ(COVID-19)感染がアデノウイルスと共に肝臓に異常を引き起こすきっかけになっていないかなども含めて調査中です。WHOによれば、少なくとも19人は新型コロナウイルスとアデノウイルスの両方に感染していました。なお、イギリスで確認されている10歳以下の肝炎患者は、ワクチンを接種していないとされ、新型ウイルスワクチンとこの肝炎との関連は、現段階ではないと言われています。
記事にあったように、日本でも、同様の症例を国内で初めて確認されたことから注意が必要です。
水が危ない!宮城県、全国初、水道運営権を売却
今月(4月)1日、宮城県が、県レベルでは全国で初めて、コンセッション方式による水道事業の民間委託を開始しました。以下にその日の読売新聞の記事を紹介します。
なお、水問題について初めて聞いたという方は、以下の記事を最初に読まれると、本投稿の内容がよりわかりやすくなると思いますので参照下さい。
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水道運営権、宮城県が全国初の民間売却…20年間で337億円のコスト削減期待(2022年4月1日、読売新聞)
宮城県は1日、水道事業運営の民間委託を開始した。委託期間は20年間で総事業費337億円の削減を見込む。人口減による水需要の減少や老朽化施設の更新などによる水道料金の上昇を抑えられるという。水道事業運営を一括で民間に委ねるのは全国で初めてだ。
民間委託の対象は、上水道2事業、下水道4事業、工業用水道3事業の計9事業。水処理大手「メタウォーター」(東京)など10社で構成する特別目的会社「みずむすびマネジメントみやぎ」に売却した。県が所有権を持ったまま、運営権を売却する「コンセッション方式」を導入、民間のノウハウを活用することで経費削減や運営効率化を図る。
水道施設は高度経済成長期に整備されたものが多く、耐用年数を超えた管路の更新も必要となる。水道料金の値上げが避けられない状況で、県は7年前から民間委託を検討し、コンセッション方式を可能にする水道法改正を国に働きかけてきた。
特別目的会社が管理するのは浄水場などの施設で、水質検査や水道管の維持管理、各家庭への配水は従来通り自治体が担う。3月16日深夜に発生し、最大震度6強を観測した地震では、県内の水道管などに被害が出た。村井嘉浩知事は3月28日の定例記者会見で、「今後の災害でも県がコントロールし、民間事業者任せにはしない」と述べ、従来通り自治体が復旧を担う姿勢を示した。
村井知事は「事業効果は300億円以上。県民に少しでも安価な水道を供給するための施策で、日本のモデルになる」と意義を強調した。特別目的会社の酒井雅史社長は「消毒に必要な薬品や電力などを一括購入することでコストが削減できる」と説明している。
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「コンセッション方式」とは、記事の中でも説明されていたように、自治体が、水道管などの所有権を持ったまま、運営権のみを民間企業に売却する方式で、2019年10月に改正された水道法によって、この方式が導入されやすくなりました。
これまで浄水場や取水施設あるいは給水管の修繕など、業務の一部が民間委託されている例や、小規模な自治体での包括的な民間運営委託はありましたが、県単位での水道事業運営権の民間事業者への売却は、今回が全国初の事例となりました。対象となったのは、県企業局が所有し仙台市など17市町にまたがる「仙南・仙塩広域水道」など9事業の運営権です。今後、 人口減少、過疎化などによって、水道事業では不採算部門が増加している自治体が多い中、コンセッション方式による水道事業の民間委託が進むのでしょうか?
民間委託の問題点は、民間企業が事業を営む以上、採算、利益を重視することにより、水道水の安全性が低下する危険性が懸念されるだけではなく、水道料金が上昇する可能性があることです。
実際、 世界に目を向けると、たとえばフランスでは、パリ市の水道事業が民営化され、1985年から2009年の間に水道料金は約3倍に跳ね上がったため、2010年に水道事業を再公営化している。
海外ではこのフランス以外にも、1990年以降、世界の多くの国・自治体において「コンセッション方式」を含む民営化を進みましたが、水道価格の高騰などを理由に、30ヵ国以上、270近いの自治体が水道の再公営化を決定しています。
しかも、世界の水ビジネスをリードする企業は、「ウォーターバロン」(水男爵)と呼ばれる水メジャーで、フランスのヴェオリア・ウォーター社、同じくフランスのスエズ・エンバイロメント社、イギリスのテムズ・ウォーター・ユーティリティーズ社の3社で、2000年代初めに、世界の上下水道民営化市場におけるシェア7割を誇っています。
今回、宮城県の水道事業運営権を獲得した「みずむすびマネジメントみやぎ」の中核企業のメタウォーターは国内企業ですが、仏ヴェオリア・ウォーター社傘下にあたるヴェオリア・ジェネッツ社が議決権株式の51%を保有しているそうです。
水道事業のコンセッションと言っても、日本企業はそのノウハウを持たず、上にあげた水メジャー企業のような大手の外資企業に依存せざるを得なくなり、日本の水市場が外資企業の草刈り場にならないことが望まれます。何より、 生活インフラであり住民の命に直結する水道事業を、採算や利益を重視する民間運営とすること事態が大きな問題です。
<参考>
*解説記事の内容は、<参照>にも記載したJcastさんの会社ウォッチの記事を参考にしました。また、本HPの投稿記事「水が危ない!水道法改正の裏側」も合わせて読んでいただければ、水道事業の問題点をさらに深く理解できると思います。
<参照>
宮城県、全国初「水道民営化」も根強い不安…メリットは?値上がり懸念は?
(2021年12月19日、Jcast会社ウォッチ)
水道民営化、日本の水はどうなる? ~EU水戦争から学ぶ~
(目黒区消費者グループ連絡会)
水道運営権、宮城県が全国初の民間売却
(2022年4月1日、読売新聞 )
東日本大震災から11年、改めて問う原発ゼロ社会
“廃炉”遅れも…3.3万人の避難続く 震災から11年 被災地の“今”
(2022/03/11、FNNプライムオンライン)
東日本大震災からきょうで11年を迎えた。亡くなった人は3月1日時点で1万5,900人となり、今もなお、2,523人が行方不明のまま。福島第1原発から直線でおよそ4kmにある福島・双葉町は、11年前の原発事故の影響で、今も町で暮らすことは認められていない。
町では、2022年6月ごろから住民の帰還を始める方針で、駅の周辺では新たな役場庁舎の建設、さらには公営住宅の建設が進んでいる。日中は復興のつち音も聞こえてくる。
ただ、原発の廃炉は遅れている。第1原発の1号機では、2月に燃料デブリとみられるものを初めて確認できたが、実施は2年遅れた。また2号機では、2022年、試験的に燃料デブリを取り出すが、新型コロナウイルスの影響で遅れが出ている。敷地内で増え続ける処理水を薄めて海に放出する計画には、新たな風評を懸念する漁業関係者が、強く反対している。
この春以降、帰還困難区域の一部で避難指示が解除される見込み。3万3,000人余りが避難を続ける福島県の復興。どのように進めていくか、重要な1年といえる。
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- 風化させてはならない震災
2011(平成23)年3月11日、午後2時46分に、三陸沖を震源とするマグニチュード(M)9.0の地震が起き、最大震度7を観測、9.3メートル以上の津波が襲来しました。警察庁のまとめでは、今年3月1日現在、記事にもあったように、死者・行方不明者は合わせて1万8423人に上ります。また、復興庁は、避難生活中の持病悪化や自殺などで亡くなった計3784人が1都9県で震災関連死と認定しています。
経済産業省資源エネルギー庁によると、2020年に測定された、福島第一原発から80km圏内のエリアにおける、地表面から1メートルの高さの「空間線量率」(放射性物質が発する「放射線量」が、空間で1時間あたりどのくらいになるかという「率」)は、2011年11月に測定したデータとくらべると、線量の平均値は約8割減少しているそうです。
ただ、私は「8割減少したのか」という安堵感よりも、まだまだ、福島第一原発から放射性物質が大気中に発散しているという事実の方を重く受け止めています。また、海水には未だに断続的にセシウムが流出し続けていることも指摘されています。大震災は過去の事故で、決して終わってはいないということを肝に銘じなければなりません。
- 汚染水の海洋放出問題
実際、報道によると、福島第一原発では、2011年の事故で「メルトダウン」が起き、溶け落ちた核燃料を冷却するため、現在も水を入れ続けていています。その冷却に伴って出る、トリチウムなどの放射性物質を含む「汚染水」は一日当たり約140トン発生しています。
汚染水は特殊な装置を使って放射性物質を取り除かれていますが、トリチウムなど一部の放射性物質が残った「処理水」は、除去が難しいそうで、そのままたまり続けていて、敷地内の大型タンクで保管されています。しかし、このタンクが、今年2022年秋以降に満杯になる見通しだというのです。
これを受け、政府は2021年4月13日、この放射性物質を含む100万トン以上の処理済みの汚染水を、福島県沖の太平洋に放出する方針を決定してしまいました。処理水を、フィルターで、飲料水と同じ放射能レベルまで希釈した上で、原発の1キロほど沖合から、来年春をめどに放出する予定といいます。
科学者らは、希釈した処理水には科学的に検知できるリスクはないとし、水に残留している放射性物質は大量に接種しなければ人体に影響はないと説明しています。さらに、別の科学者は、放出された水は大海によって薄められることから、人間を含む生物に対するリスクは低いとしています。
国際原子力機関(IAEA)も、「海洋放出はどこでもやっている」と、各国のほかの原発で行われている排水放出に似ているとして、この計画を支持しています。
ただし、こうした安全性に関する政府の報道で常に思うことは、安全という科学者の意見を政府が引用しているだけで、安全でないという科学者もいるはずです。「科学者の中には、○○として、安全性に問題があると指摘する向きありますが、政府としては、○○という科学者の意見をより信頼して、安全と判断した…」式の説明が必要だと思います。
実際、反対派の意見としては、環境保護団体グリーンピースは、「放出される水に、人間の遺伝子を傷つける恐れのある物質が含まれている」と科学的知見に基づいて抗議の声をあげています。
- 原発ゼロは次世代への責任
私も、「大量に接種しなければ人体に影響はない」という主張は、少量の接種を積み重ねてしまえば、長期的には人体に影響があるということであり、その放射性物質が有害であることを認めているようなものだと思わざるをえません。さらに、IAEAの「汚染水の海洋放出はどこでもやっている」発言も驚きを隠せませんでした。やはり、海水浴ができない海を次の世代に残してはいけない、原発ゼロは未来への責任と痛感します。
<参考>
<参照>
“廃炉”遅れも…3.3万人の避難続く 震災から11年 被災地の“今”
(2022/03/11、FNNプライムオンライン)
福島第一原発の「処理水放出」 国内外の理解得られるかが課題
(2022/1/3 、NHKニュース)