鈴木農政は高市政権のアキレス腱か?
コメ価格が高止まりを続けています。高市政権になり、新しい農林水産大臣には、自民党の鈴木憲和衆院議員が就任しました。新大臣の就任会見、その後の発言を聞くと、コメ価格は下がらないまま、日本の農業はますます衰退、高市政権の経済運営にも影響を及ぼすことが懸念されます。
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◆ 鈴木大臣ってどんな人?
鈴木大臣は、2005年に農水省に入省、2012年に退官した後、同年の衆院選で初当選しました。選挙区は コメどころの山形県(本人は東京都出身)で、農協の全面的バックアップを受けて議員となった自民党農水族です。
「農政のトライアングル」という用語があります。これは、農林水産省、自民党の農林族議員(省庁に顔の利く国会議員)、JA農協の3者で形成する癒着に近い権力構造のことで、戦後の農政は、この「農政のトライアングル」によって主導されてきました。
鈴木大臣は、一見すれば、農水官僚、自民党農林族、農協の期待を一身に担った農林水産大臣ということになります。
◆ 鈴木大臣の発言を斬る!
そんな鈴木大臣のコメ政策に関する方針としては、就任会見等で明らかにした、➀「需要に応じた生産」、②「価格はマーケットで決まる」、③おコメ券の配布の3点がキーワードになりそうです。大臣の発言を紐解きながら、その真意を探ります。
➀「需要に応じた生産が基本」
就任会見で、鈴木大臣は、コメ政策に関して次のように発言しました。
需要に応じた生産が基本…需要がないのに生産量を増やせば米価が下がる。生産者の設備投資や人件費を考えても、価格の安定が不可欠。無責任に増産を続けるのは難しい…
「(少ない)需要に応じた生産が基本」で「増産を続けるのは難しい」とは、「生産調整」が行われる、つまり実質的な減反政策に後戻りしたことを意味します。現に「無責任」という言葉を使って、前任の石破総理がコメ対策として掲げた増産路線を批判し、事実上、これを撤回した形です。
これは、「農政のトライアングル」の規定路線に戻ったことを意味します。そうすると、鈴木大臣が目指す「価格の安定が不可欠」の「価格の安定」とは、今回のコメ騒動が起こる前の水準での安定ではなく、急騰した「高値での安定」を示唆しています。コメ価格は、令和のコメ騒動以前の5キロ=2000円台はおろか、小泉前農相が目標とした3000円台に下がることはないかもしれません。
そもそも、経済の原則として、価格は、「需要=供給(生産)」で決まります。鈴木農相は「需要がないのに…」と認識していることから、本来、市場(マーケット)に委ねれば、「需要<供給」でコメ価格は下がりますが、「需要に応じた生産」と言って、生産(供給)を落とすことで、現在の高い米価を維持しようとしているのです。
このように、鈴木農相のいう「需要に応じた生産」とは、特定の望ましい価格を実現するために、それに対応する需要量まで、コメを減産すると言っているようなもので、今の高い米価を下げる意思のないことを表明しています。しかも、大臣は、その理由を「価格の安定が不可欠」だからだと言ってごまかしています。
減反政策を継続
近年の主食用米の年間生産量(主食用米の収穫量)は、概ね600万トン台後半から700万トン台前半で推移しています。
2023年産:662万トン
2024年産:679万トン
2025年産:748万トン(予想収穫量)
2026年度:711万トン(生産見通し)
2025年産の主食用米の収穫量は、2024年産を約69万トン上回る748万トンと見込まれていました。これは、「令和のコメ騒動」でコメ価格の高騰により、農家の生産意欲が高まったことや、作付面積の拡大などがあげられています。
しかし、2026年産向けの生産目安は、需給緩和を見越して、711万トンと提示され、2025年産よりも減産となる見通しです。
農水省は、減反政策は既に廃止されたと言いながら、コメの生産目安の設定や助成金を通じた生産調整で、実質的に減反政策を継続させています。しかも今回は、「需要に見合う生産」という原則をたてに推し進めようとしています。
さらに、備蓄米の水準を回復するという名目で、放出した備蓄米59万トンを買い戻し、市場から「隔離」するそうなので、供給量はさらに減少します。結果、コメの値段は下がらないどころか、いっそう上がることも懸念されます。
需要の見積もりは正しいのか?
加えて、鈴木大臣が「需要に応じた生産」と言うときの「需要」は、果たして正しい数値なのかという疑問も生じます。「国の需給計画上の数字」が必ずしも正しい需要を表すとは限りません。実際、「令和のコメ騒動」のさなか、「23~24年の数字は誤りだった」として、国は謝罪しています。この需要の見積もりミスが令和のコメ騒動の一員となりました。
また、鈴木大臣は、会見で「現状では不足感は解消されたと認識している」と断言しましたが、この認識が正しいのでしょうか?
ある識者によれば、集荷業者らは、2025年もコメ不足が解消しないと見て、田植えよりずっと早い3月頃から、集荷競争を繰り広げ、農家との間では秋の新米の契約をかなりの高値で進みだしていたそうです。これが、現在もコメ価格が高い理由の一つです。
また、大臣の会見では、「需給見通しを精度の高いものに」と言っていましたが、かつて、当時食糧庁のある幹部の方は、「国がコメ需給をぴたりと合わそうなどとは、神をも恐れぬ所業である」と言われたことがあるそうです。
そう、需要を正確に把握し、生産に反映させることができるのは、「神」しかいません。ただし、ここでいう神とは、近代経済学の祖、アダム・スミスで有名な「神の見えざる手」、つまり「市場」です。
需要とは、「市場が価格を通じて生産者に知らせる」もので、生産者は市場で形成された価格シグナルを通じて必要な量を知り、生産活動を行います。真の需要は、市場の価格動向等を通じて把握する以外に方法はありません。
いみじくも、鈴木農相は、「価格はマーケットで決まるものだ」と発言しており、このことを理解されているのかと思いましたが、「マーケット(市場)」の使い方を歪曲しているようです。
② 「価格はマーケットで決まるものだ」
適正な価格についての質問に対し鈴木農水大臣は、次のように答えました。
何円台がいいとは言わない、(米価について)私のスタンスとして、高いとか安いとかは申し上げない。価格はマーケットで決まるものだ。
これは、5月から備蓄米放出による価格引き下げを進めてきた政府の方針を改め、今後は価格のコントロールに関与しない姿勢を示したことになります(政府の価格介入を否定)。
また、あるテレビ番組に出演した鈴木農水相は、コメの値段を「せめて(5キロ)4000円台に」という消費者の声に対し、次のようにも回答しています。
…残念ながら価格というのは、私たちにコントロールする権限が全くないし、私たちが管理をしてるものでは…、残念ながらコメは…流通の世界は自由でありますから…
コメの流通市場は自由なので、農水省は米価を管理する権限は全くない(=農水省は米価をコントロールしてはいけない)と述べているのです。
しかし、「価格に関与しない」と言いながら、「需要に応じた生産」と言って、生産抑制(今年産から5%減少)を指示していること自体、米価の高止まりを望む価格への介入です。
マーケットの機能を阻害
そもそも、鈴木大臣が「価格はマーケットで決まるものだ」という時のマーケット(市場)とは、本来、不特定多数の買い手と売り手が集える、公開・公正で、調整機能が十分に発揮されており、さらに行政もそれを側面から支援している市場です。
しかし、適正価格を形成、市場のメカニズムの働きを意図的に阻害し、価格形成に関与しようとして、適切なコメ市場の形成を阻止してきたのが、ほかならぬ、鈴木大臣ご出身の農林水産省とJA農協です。
農政の歴史を振り返ると、「農政のトライアングル」(農水省、JA農協、自民党)は、1960年代から、農家を守るという名目で、減反政策によって、米価を上げてきました。
具体的には、生産者に毎年3500億円ほどの減反補助金を出して、コメ生産を減少させ(農業用地を減らさせる)、コメの値段を市場で決まる価格よりも高くしてきたのです。
「令和のコメ騒動」前の5キロ=2000円台だった米価も、マーケット(の需給関係)の中で決められたのではなく、強力な市場介入の結果で、価格を市場(マーケットの力)に委ねていたら、コメの値段は5キロ=2000円台をさらに下回っていたはずです。
それが「令和のコメ騒動」が発生し、農水省や農協からすれば、米価が上がり出したのはよかったのですが、農水省が需給を読み間違えたことから、騒動前の2倍以上の水準に、上がり過ぎてしまい大問題となってしまいました。これが今回の「騒動」の実態です。
しかし、農水省は、これまで米価をマーケット(市場)に委ねてこなかったどころか、その働きを阻害してきたにもかかわらず、「価格はマーケットが決めるものだから、米価には関与しない」という鈴木大臣の発言は、農水大臣としては「不誠実」であり、もはや「偽善」の域に達しています。
日本にはないコメの自由市場
加えて、コメの流通プロセスにおいて、日本には自由な売買の場である卸売市場のように公的な「取引所」は存在していません。
代わりに、日本では集荷業者(売り手)と卸売業者(買い手)が、直接「話し合い」によって価格を決定する相対(あいたい)取引が取引量の大半を占めています。このため、一般にニュースで報じられる「米価」は、卸売段階の取引価格(相対取引価格)を指す場合が多く、これが日本でのコメの基準価格となっています。
もっとも、政府(農水省)は、かつて、相対取引における、公設の場として、「全国米穀(コメ)取引・価格形成センター」を創設し、コメ取引に市場原理を導入しようとしました。しかし、相対価格を有利に決めたいJA農協が業者の上場(取引所で売買すること)を制限するようになって、結局センターは廃止されてしました。
また、コメの適正価格の形成になくてはならない先物市場も、JA農協の反対運動により「実質的」に認められていません。需給で公正に価格が決定される市場が実現できれば、JA農協は、自分たちにとって適正な相対価格を決めることはできなくなるからです。日本には、各銘柄米の値段を自由な売買で決める市場がJA農協の反対とこれを認めた農水省によって存在していないのです。
このことは裏を返せば、現在の相対価格は、需給で公正に価格が決定される水準ではないということでもあります。実際、相対価格は、JA農協が決定する概算金に大きな影響を受けます。
概算金とは、コメ価格形成に重要かつ独特な価格体系で、JA農協がその年の秋の収穫後に、農家に一時金として、支払われる仮払金をいいます。相対価格は、この概算金に、保管・運送・検査コストなどの流通経費や手数料などを上乗せしたものとなることから、JA農協が決定する概算金が、相対価格の水準をほぼ決定すると言っても過言ではありません。
ちなみに、JA農協が農家に払う概算金は、玄米60キログラム当たり通常の年では約1万2000円水準であるのに対して、2025年度産のコメの概算金は、主力銘柄で1等米60kgあたり2万6000円~3万3000円程度が中心で、前年産比では6~8割高と大幅に引き上げられています。
さらに、JA農協は、この高い米価(概算金)以上の価格を農家に払えない他の流通業者を、コメの集荷事業から排除しながら、市場の独占力を今も保持しています。
したがって、農水省が米価をコントロールできない理由に、鈴木大臣があげた「流通の世界は自由であるから」という主張は事実に反しますし、農水省は、できないどころか、コメの値段をコントロールしています。
日本では、市場メカニズムが機能して適正価格を形成できるマーケットは存在しないので、鈴木農相の「価格はマーケット(市場)で決まるものだ」は、「価格は、JA農協主導の相対取引で決まるものだ」と言っていることに等しいわけです。
コメの流通市場についての詳細については「コメの価格が決まる仕組み」を参照下さい。
元から、コメ価格を下げる気はない
結局、鈴木大臣の「需要に応じた生産が基本」、「価格はマーケットで決まるものだ」という発言は、今後も生産調整を続け、コメの高価格政策を続ける(高い米価を維持していく)と言っているのです。米価5キロ=4000円以上を、既成事実として、消費者に受け入れさせたいという鈴木大臣の真意が透けて見えます。
ただし、それでは、消費が困るというので、高い米価を受け入れてもらう代わりに、農水大臣がコメ高対策として打ち出しているのが、「おこめ券」の配布です。
③「おこめ券」の配布
鈴木農水大臣は、コメの高値が続くなか、「政府に今すぐできることは実際に消費者の皆さんの負担感を和らげる」ことして、おこめ券の配布を、物価高対策として、表明しました。
おこめ券とは?
政府は、自治体向けの「重点支援地方交付金」に2兆円を計上し、うち4000億円を食料品高騰に対応する特別枠として、おこめ券などの活用を促します。支援額は1人当たり3000円程度になる予定です。
農水省は、「おこめ券」の配布を各自治体に推奨していますが、実際に配布するかどうか、また、配布するにしても、誰を対象にするかは各自治体の判断に委ねられています。後者の場合、 たとえば、子育て世帯や低所得者世帯など、特定の対象者に限定して配布する場合もあります。
自治体から配布される「おこめ券」は、金券と同じで、特定のコメとの引換券ではありません。コメ500円/kgとされ、高いおコメを買えば、差額を負担する必要があります。
また、おこめ券以外に電子クーポンやプレミアム商品券、地域ポイントの配布、パン、麺、パスタなどの食料品の現物給付なども選べます(そうなると、おこめ券は石破茂内閣時代に検討された現金給付政策と何ら違いがないとの指摘もなされている)。
では、おこめ券は、本当に消費者の負担が和らぎ、物価対策になるのでしょうか?
おこめ券の効果
鈴木大臣は、おコメ券の配布を「国民の負担を和らげるため」の救済策と述べています。実際、おこめ券が配布され、今、たとえば、コメ500円/kgのおこめ券4枚を持つ消費者にとって、5キログラム当たり4200円のコメが、2200円で買えたことになります。
たしかに、おこめ券でコメを安くで買えて「助かった」と喜ばれるかもしれませんが、そもそも、これまで多額の減反補助金を通して、私たちは高いコメを長年、買わされて(負担を強いられて)きたという事実を忘れてはなりません。今回のおこめ券にかかる費用も財源は税金です。減反もおこめ券も負担するのは国民なのです。
また、おこめ券を使って、5キロ4200円のコメを買う人が増えるということは、需要の増加に伴い価格がさらに上昇し、消費者の負担も増えることにもつながりかねません。
しかも、おこめ券は、原則として1回限りの時限的な措置で、継続される政策ではありませんので、経済効果は限定的で、気休め程度です。したがって、物価高騰対策としてのおこめ券の配布は、一時しのぎになるだけで適切とは言えません。
うがった見方をすれば、国民に安くコメを買えると思わせて、下がらないコメの価格に対する不満を避けるための対策にみえてしまいます。
農水省の深慮
逆に、農水省の立場からいえば、おこめ券の配布によって、消費者に安くコメを供給することで、高い米価による需要の減少を抑制できる効果が期待できます。また、現在、高騰した新米は売れずに行き場を失い、JAや中間業者の倉庫は山積みになっていると言われていますが、おこめ券はそれらをさばくための対策になります。
そうすると、物価高対策としてのおこめ券は、米価を下げるのではなく、現在の高いコメの価格を維持しようとする鈴木大臣の目論見ではなかったのかとの疑いももたれます。
一方、おこめ券は、経費率が10%以上と高いことが指摘されています。具体的には、1枚500円のおこめ券では、440円分の コメしか買えず、差額の60円は印刷代、郵送、銀行振込みなどの費用として消えていきます。
大阪府交野市は、この経費率の高さなどを問題視し、おこめ券を「配布しない」と宣言しました。市長は、経費率0%の給食無償化、経費率1%の上下水道基本料金免除に使うとしています。
これに対して、鈴木農相は「おこめ券を使うか、使わないかは自治体の自由だ」とする一方で、「おこめ券の配布を含む食料品価格高騰対策は、市区町村に対応いただきたい『必須項目』として基本的には位置づけをされている」として、市区町村に対し事実上強制して実施してもらう考えを示しています。
今回の重点支援交付金のような交付金は本来、自治体が使い道を自由に決められるもので、国から自治体に交付金の利用を強制する権限はありませんが、全1741市区町村に対して対応を求めています。自身肝いりの「おこめ券」配布に、鈴木大臣の並々ならぬ意気込みが感じられます。
おこめ券の配布は、国民の負担を和らげるためになされると鈴木大臣は言いつつも、国民の負担(税金)で発行され、農家の収入を減らさずに、高い米価を維持するための政策手段となっています。
しかも、その恩恵を一番受けるのは、発行元である全農などの農業団体というカラクリがあります。
実際、「おこめ券」は、JA全農(全国農業協同組合連合会)と全米販(全国米穀販売事業共済協同組合)の2団体(それぞれ集荷業者と卸売業者の全国団体)が発行し、億単位の利益が転がり込むとされ、おこめ券の配布は、これを発行する農業団体への利益誘導との批判が噴出しています。
このように、付け焼き刃的なおこめ券の配布は、コメの高止まりを放置し、結果的に国民負担を増やすだけで、コメ問題の本質的な解決にはなりません。
◆ コメ問題の本質的な解決のために
令和のコメ騒動を含めた、すべてのコメ問題の元凶が、減反政策です。減反政策を止めなければ何も変わらず、コメ騒動は、政府が増産を後押ししなければ収まらないでしょう。
消費者にとっては減反廃止(増産)で、コメの値段が下がり、安い米が届くようになります。また、収穫量が増え、国内消費で余った分は、輸出に回せば、農家の所得を押しあげることができます。
もちろん、短期間に簡単に輸出を大幅に増やせるわけはないので、増産したら農家は潰れてしまうという指摘もあります。そのための対策として、米価下落の影響を受けた主業農家に対しては、財政出動による政府から直接支払いを交付する所得補填政策が最も効果的で確実とされています。
財源はどうする?という問いについては、専門家によれば、主業農家への直接支払いは1500億円と見積もられていますが、これまでの減反政策で、国民は納税者として、減反補助金3500億円を負担しているとされていることから、問題はないどころか、財政を好転させることもできます。
なお、コメ輸出の拡大については、以前の政権からずっと言われ続けた政策ですが、鈴木大臣も、所信表明演説で、コメ需要の拡大へ海外マーケットの開拓に意欲を表明しました。「私たちが認識を改めたほうがいいのは、今まで日本のコメは高くて海外に売ることができなかったという理屈だ」と述べ、日本産米の高付加価値を武器に輸出を拡大できる可能性を強調しました。
しかし、この発言も、高いコメを前提にしているところが問題です。減反政策をやめて、コメの価格が下がれば、もともと付加価値の高い日本の米を、安く海外に販売できるので、輸出を当然増えていきます。
石破政権では、この減反政策を名実ともやめて、増産に転じるという歴史的な決定を下しましたが、高市政権になって鈴木農相がすぐに撤回、減反(生産抑制)に回帰してしまったことはすでに指摘した通りです。
◆ このまま減反政策を続けたら…
では、政府がこのまま増産に舵を切らず、長年の減反政策を実質的に続けたいったらどなるでしょうか?
コメ農家が5年以内に全滅する!?
「コメの生産現場は、高齢化し、担い手を失い、困窮しきっている」という農家の疲弊が指摘されて久しいですが、こうなった原因は、今の農政にあります。
農家の平均年齢は70歳とされ、地域によっては「あと5年で米を作る人がいなくなる」と言われており、日本のコメ農家は、5年以内に激減し、多くの農村コミュニティが壊滅しかねません。長年の生産調整で、生産を減らせと言われれば、意欲のある若い担い手も育つわけはありません。
コメの自給率が下がる
このまま、高い米価が維持されれば、消費者のコメ離れすすむか、安い外国産の需要が増え(輸入米が増え)、現在95%近いコメの自給率さえ下げてしまいます。
実際、コメ不足が解消しないなら、輸入米でまかなえばよいという安易な主張がなされ、トランプ関税との絡みで、アメリカ産米の輸入が増えました。これは、稲作農家はさらに追い詰められて、やめる農家が続出することが懸念されます。
食料安全保障に悪影響
コメの自給率の低下は、食料安全保障に深刻な影響を与えます。現在の備蓄はおよそ100万トンとされ、これでは国民が食べられるのは、わずか1.5カ月分しかありません。
令和の米騒動では、日本はアメリカからの輸入米に頼りました。そもそも日本は多くの農産物を海外からの輸入に依存しています。主食である米まで輸入頼みになれば、もし供給が途絶えたとき、国民はたちまち飢えることになります。
安全保障環境が悪化しているなか、いまこそ、少なくともコメの備蓄を増やさないといけない時代背景があるにもかかわらず、目先の利益と既得権の維持に捉われて、減反政策を再び採用しようとしているのが鈴木農政です。
また、何より、農相から農業政策の大きなビジョンが示されていないことも問題です。おこめ券の配布に苦心するよりも、私たちが安心して食生活が営めるための農政の方向性をしっかりと示してもらいたいと思います。
◆ 高市政権の経済運営への影響
ここ数年、物価対策が最重要課題だとして、対策が求められていますが、昨今の物価高の象徴が食料品のなかのコメ価格で、消費者を最も苦しめています。
これに対して、鈴木農相はコメの高価格・減反路線を復帰させましたが、米価が下がらなければ、高市政権の物価高対策は、仮に食料品の消費税をゼロにしても、米価が高値を維持する限り、失敗する恐れがあると指摘されています。
そこで、物価高対策として、繰り返しますが、減反を止め、増産に切り替えることが望まれます。その結果、農家の所得が落ち込めば、農家への所得補償(直接払い)という形で、財政出動させるべきです。
高市首相は「積極財政」を掲げ、「日本が今行うべきことは、行き過ぎた緊縮財政により国力を衰退させることではなく、積極財政により国力を強くすることだ」と訴えました。
積極財政で、おカネを回すべきは、ここまで疲弊した農業に対してであり、コメの増産で国力を蓄えなければなりません。
もう何年も、農林水産省は、国民のために仕事をせずに、JA農協をはじめとする農政トライアングル(自民党内の族議員と、自民党の支持母体JA農協)の既得権のために仕事をしていると言われても否定できません。結果的にここまで日本の農業を疲弊させたのは、農水省の農政が間違っていたからです。
高市政権の経済運営の成功は、農政にかかっています。鈴木農政が、高市経済のアキレス腱にならないことを願うばかりです。
(関連投稿)
以下のサイトで、さまざまな農業問題について扱っています。ご関心があれば参照下さい。
(参照)
コメ、増産路線を修正 価格は市場任せに回帰 鈴木農相が方針
(2025年10月24日、食品新聞)
「米価と洋服は同じ」鈴木農水大臣の発言を食料安全保障の専門家が痛烈批判…「米の備蓄は国防費と同じ」
(2025/11/07 『女性自身』編集部)
高市政権の「農政復古」
(2025年11月12日、国基研ろんだん)
コメ高騰問題 古市憲寿氏「噓というかぎまんというか、ずるい発言」鈴木農相の「価格はマーケットで」発言を一刀両断
(2025/11/09 サンスポ)
お花畑の農業論にモノ申す
(2025年10月31日 Wedge Online)
〈検証〉鈴木憲和新農水大臣のコメ政策“転換”、「需要に応じた生産」「おこめ券」は妥当なのか
(渡辺好明・新潟食料農業大学名誉学長)
「令和の米騒動」が収まらない。国産米が消える日
(2025.10.27、文芸新書)
「おこめ券」でJAはボロ儲け? 国民から「いらない!」とブーイングでも鈴木農相が執着するワケ
(2025/11/30、日刊ゲンダイ)
やっぱり進次郎のほうがマシ…「コメの値下げは無理」と言い張る農水大臣に、高市首相が命じるべき「5つの策」
(2025/11/23 PRESIDENT Online)
進次郎農水大臣のほうがよっぽどマシ…高市政権に潜り込んだ「コメの値段を下げたくない農林族」の正体
(2025/10/25 PRESIDENT Online)
三笠宮家「内紛」の結果・・・
三笠宮家は、2024年11月に三笠宮妃百合子さまが101歳で薨去されてから、当主が不在となっていたなか、2025年9月30日、「*皇室経済会議」(議長・石破茂首相)が、宮内庁の特別会議室で開かれ、以下の2つの決定がなされました。
(1) 空席となっていた三笠宮家の当主について、孫の(あきこ)さま(彬子女王)が継がれること
(2) 彬子さまの母で、百合子さまの長男・寛仁親王妃・信子さまが、三笠宮家を離れ、独立して新たな宮家『三笠宮寛仁親王妃家(みかさのみや・ともひとしんのうひ・け)』を創設し、その宮家の当主となられること
これによって三笠宮家は、母娘で分断した形となりました。なお、彬子さまの妹の瑶子(ようこ)女王(41)は、姉が当主となる三笠宮家にそのまま残られます。
◆ 三笠宮家当主を彬子女王が継承
彬子さまは、三笠宮崇仁 (たかひと) 親王の長男で、「ヒゲの殿下」と親しまれた三笠宮寛仁(ともひと)親王の長女です。大正天皇の曾孫で、現在の天皇から見て「祖父の弟の孫である女王」ということになり、一般人なら「はとこ」「またいとこ」という関係性があります。
女性皇族が当主となるのは、当主を亡くした妃(きさき)が継ぐというのが通例です。実際、戦後の皇室では、高円宮妃だけでなく、秩父宮妃、高松宮妃、高円宮妃、三笠宮妃が、夫の宮さまがお亡くなりになったのち、臨時で当主になられています。
しかし、彬子さまのように、未婚(宮家で夫を亡くした妻以外)の女性皇族が、当主を継承するのは、明治憲法下の1889年に旧皇室典範が制定されて以降、今回は初めてです。
江戸時代にまで遡れば、仁孝天皇(在位1817〜1846)の第三皇女で、桂宮淑子(すみこ)内親王以来163年ぶりのことです。淑子内親王は、桂宮家を継いだ別の弟が亡くなり、当主不在となったことから、1863年に (旧) 桂宮家の第12代当主となりました。
宮家の継承とは祭祀を継ぐことを意味します。宮家当主(一般人でいう「世帯主」)は、法的な概念ではありませんが、その家の代表として祭祀を執り行う役割があります。今回の決定により、彬子女王は、独立生計を営む皇族と認定され、三笠宮家の当主として正式に宮家の名称と、その祭祀を「継承」されました。
もっとも、彬子さまはすでに、三笠宮ご夫妻(崇仁親王と百合子妃)と子の寛仁親王の祭祀を執り行っており、今回の決定で、その立場が法律に明文化された形です。さらに母の信子さまが独立したことで、彬子さまが、名実ともに「三笠宮家」を継ぐ存在となられました。
◆ 信子妃が独立し宮家を創設
今回、三笠宮家から独立した信子さまは、独立生計認定を受け、新たな宮家(三笠宮寛仁親王妃家)の当主となりましたが、信子妃のように結婚により民間から皇室に入った女性(皇族妃)が新たに家を創設するのは、明治時代の旧皇室典範施行(明治22年)以来、これも例のない初めてのことです。しかも、「親王妃家」という、まったく前例のない制度がつくられたわけです。
そもそも「三笠宮寛仁親王」という皇族は、現在存在していません。崇仁親王(三笠宮)の長男、「寛仁(ともひと)親王」は、生前、いずれ「三笠宮家」を継ぐことを考え、「寛仁親王家」という宮家を名乗られていました。したがって、「三笠宮寛仁親王妃家」という名称は、「三笠宮家から出た寛仁親王妃の家」という異例の構成となったのです。
ですから、厳密にいえば、信子妃殿下の新宮家、「三笠宮寛仁親王妃家」は、三笠宮家の分家であり、全く新しい宮家ではありません。新しい宮家であれば、天皇陛下から、秋篠宮や高円宮(たかまどのみや)のように「◯◯宮」という「宮号」を賜わりますが、宮内庁は、宮号はないと明らかにしています。
いずれにしても、新たな宮家ができるのは、1990年に秋篠宮家が創設されて以来35年ぶりのことです。これによって、これまで総数として「4宮家」(秋篠宮、常陸宮、三笠宮、高円宮)といっていたのが、これからは「5宮家」になります。
◆ 増額される皇族費
宮家において、誰が当主になるかは原則、家族の話し合いで決まり、その結論が皇室経済会議に諮られます。皇室経済会議が開かれる理由は、会議で独立生計者(当主)と認定され、宮家の当主になると国(国庫)から支払われる皇族費が増額されるためです。皇族費は身位や「当主かどうか」などに応じて、皇室経済法等に基づいて計算式が定められています。
今回の決定によって年間で支給される皇族費は、以下のように、彬子さまと信子さまは増額され、当主になられなかった瑶子さまは、これまでと同じ支給額となりました。
母・信子親王妃:1525万円⇒3050万円
姉・彬子女王:640.5万円⇒1067.5万円
妹・瑶子女王:640.5万円(変わらず)
もし、三笠宮家だけで存続する場合、すなわち、順当に信子妃が当主に就かれ、彬子さま・瑶子さまがその家の成員となった場合、3人に支払われる皇族費は計4331万円でしたが、今回は新当主が2人誕生することで計4758万円となり、427万円の増額となりました。
皇室経済会議の決定に対する国民の声
今回、7年ぶりに開催された皇室経済会議では、意見や質問はなく10分ほどで終了し、全員一致で、信子さまと彬子さまの独立生計を認定しました。
今回の決定をめぐっては、ご一家のこれまでの事情に鑑みれば、「やむを得なかった」という意見もありますが、「物価高で貧困が増えてるのに皇族に支払われる額は倍増し、国民の負担が増えることに、国民の理解は得られない」、「継がれる当主が決まったのはいいが、ご一家がひとつにまとまるのが通例、そもそも新しい宮家が必要なのか」といった声が聞かれました。
なかには、「親王妃家という前例のない宮家を立てるぐらいなら、信子妃は本来、皇籍離脱するのが筋であろう」、「寬仁親王(2012年死去)の生前から夫婦は事実上、離婚状態にあったのだから、皇族妃という立場を放棄すべきである」との厳しい意見も出されていました。
一連の決定について宮内庁側は、「宮家で話し合われた結果」、「内輪の話。承知していないし、承知したとしても説明を差し控える」と言うのみで、一世代飛ばして信子さまの長女彬子さまが継いだ理由や、信子さまが三笠宮家を離れた、具体的な理由については説明していません。
このように、彬子女王の宮家継承と信子妃の新宮家創設は、明治以降の皇室では前例のない「初めて尽くし」となり、結果的に、三笠宮家は分裂(分断)してしまいました。
こうなってしまった背景には、20年以上にも及ぶ、三笠宮家内における夫婦間の葛藤と、母娘の確執がありました・・・。
三笠宮家内の問題から、今回の決定が与える影響まで、続きは、以下の投稿議事を参照下さい。
悠仁さま、40年ぶりの成年式、成年皇族に!
秋篠宮家の長男悠仁さまが成年を迎えたことを祝う「成年式」が、2025年9月6日、皇居・宮殿などで行われました。皇室の成年式は、男性皇族が成人したことを祝う慣例儀式で、成年皇族の仲間入りを祝う行事です
筑波大1年生でこの日に19歳となられた悠仁さまは、宮中の伝統を受け継いだ儀式に臨まれました。まず、秋篠宮邸で、成年用の冠を、天陛下の使者から受け取る、「冠(かんむり)を 賜(たま) うの儀」が執り行われ、その後、悠仁さまは、皇居・宮殿で未成年用の冠を成年用の冠に替える、成年式の中心儀式「加冠(かかん)の儀」に臨まれました。さらに、宮中三殿へ拝礼された後、天皇、皇后両陛下にあいさつする「朝見の儀」に出席されました。
成年式の儀式はここまでですが、関連行事はその後も続き、悠仁さまは、皇室の伝統として、8日に三重県の伊勢神宮と奈良県の神武天皇陵を、9日には東京・八王子市にある武蔵陵墓地の昭和天皇陵を参拝され、皇室の祖先に儀式(成年式)の終了を報告されました。10日には、東京 港区の明治記念館で、三権の長ら悠仁さまが通われた小中学校の関係者などおよそ30人を招いたお祝いの昼食会が行われ、一連の儀式や行事を終えられました。
悠仁さまの皇位継承順位は秋篠宮さまに次ぐ2位です。次世代の皇室を担う存在である悠仁さまの今後のご活躍が期待されます。また、こうした宮中祭祀を身近に接するにつれ、一人の国民として、男系による万世一系の皇室の存続と発展を願うばかりです。
なお、成年式についての詳細は、下の投稿記事に書きましたので、ご参照下さい。
また、ほかの宮中祭祀や宮中行事や、皇室についてさらに知りたい場合、以下のサイトにアクセスしてみて下さい。
安保法制の成立から10年! 改めて日本の安保政策を考える
国論を二分した安倍政権による安保法制の成立 (2015年9月安全保障関連法成立)から今月で、ちょうど10年になります。ロシアによるウクライナ侵攻やイスラエルのガザ戦争など、昨今の不確実・不安定な国際情勢において、安保法制の制定は正しい選択だったのか、それとも、あの強引な国会審議は今も非難の対象なのでしょうか?
そうした問題も含めて、今ここで、改めて安保法制について問うとともに、戦後から現在まで、日本の外交・安全保障について、以下のテーマでまとめました。皆様の考える材料になれば幸いです。
総論
各論
トピック
今、改めて、旧モンサント社の功罪を問う
昨日、『日本の農業 その現実と未来』をテーマに、日本の農業についてまとめたものを公表しました。令和のコメ騒動に揺れる日本ですが、コメの供給に頭が一杯で、安全性の議論がなおざりになっているようです。そこで改めて、遺伝子組み換え(GM)種子メーカーの世界最大手、モンサント(現バイエルン)に焦点を当て、
と題して、遺伝子組み換え市場について深堀りすると同時に、旧モンサント社の功罪と、現在の世界のGM市場についてまとめました(上赤字タイトルをクリックしてお読みください)。
なお、今回の投稿は、拙著「日本人が知らなかったアメリカの謎」の中の「モンサント ―遺伝子組み換え種子で、世界を支配!?その目的は何?―」を加筆校正したものです。
日本の農業を考える 「令和のコメ騒動」の背景と今後
「令和の米騒動」に日本中がコメ価格に翻弄されるなか、日本の農業について真剣に考えてみました。そこで、「日本の農業、その現実と未来」と題して、「農政」、「食料安保」、「食の安全」の3テーマ毎に、日本の農業の現状、問題点などを総合的かつ体系的にまとめてみました。
<農政>
<食料安保>
<食の安全>
憲法記念日に、改憲について考えてみた!
昨日、5月3日は憲法記念日。毎年のように、改憲派と護憲派がそれぞれ集会を開き、テレビやネットでは、両派が意見を交わす討論番組が放映されたり、主張動画が配信されたりしていました。
私は護憲派から改憲派に変わりました。憲法記念日をきっかけに、今年は、憲法改正について考えてみました。少なくとも次の内容について、改憲・加憲の必要性を訴えたいと思っています。
天皇は国家元首
あらゆる主権国家には国家元首が当然存在しますが、現憲法に、国家元首についての規定はありません。日本では、疑いもなく天皇です。
憲法9条2項の改正
憲法9条1項は堅持。日本は、侵略戦争はしないという戦後の決意は決して変わらず、平和憲法の看板を下ろしません。しかし、2項については、国民の命と財産が危険にさらされる事態が生じたとき場合、「…戦力は、これを保持する。交戦権は、国と郷土を守るために、これを認める」と改正されるべきだと考えます。さらに、自衛隊は、有事の際、軍隊になるという条項が加えるべきでしょう。
緊急事態条項を明記
これも、世界の憲法の中には通常、規定されている条項です。コロナ禍において、その必要性を痛感しました。
平時の財政均衡条項
財政を均衡させておくことは、国内外の信頼を得る手段であり、国民に安心して、生活してもらう前提条件です。ただし、平時でない時は、積極財政を行うという意味もあります。
この4項目については、憲法改正:不毛の違憲論争に終止符を! で詳細に論じています。
また、日本国憲法は、アメリカの押し付け憲法か自主憲法かという議論がありますが、本レムリアでは、日本国憲法の全条文がどのように作られたかを、「知られざる日本国憲法の成り立ち」と題して、まとめてあります。ご興味があればぜひ、ご参照下さい。
日本国憲法の制定:わずか9日間で書けたわけ
上諭・前文
日本国憲法(上諭・前文):8月革命説と美濃部の抵抗
第1章 天皇
日本国憲法1~8条(天皇):戦前の天皇制はいかに解体されたか?
第2章 戦争放棄
日本国憲法9条(戦争放棄):マッカーサー3原則と芦田修正
第3章 国民の権利及び義務
日本国憲法11・12条(人権の基本原則):米独立宣言と仏人権宣言の写しか?
日本国憲法13条(幸福追求権):出所はアメリカ独立宣言!
日本国憲法14条(法の下の平等):アメリカ独立宣言の賜物?
日本国憲法15条(参政権):ワイマール憲法から世界人権宣言へ
日本国憲法18条(奴隷的拘束からの自由):日本には奴隷はいなかったのに…
日本国憲法20条(信教の自由):ワイマール憲法からの誘い
日本国憲法21条(表現の自由):たたき台はワイマール憲法!?
日本国憲法22条(居住移転の自由):外国移住の権利、日本に必要だった?
日本国憲法23条(学問の自由):ワイマール憲法を起源に!?
日本国憲法24条(婚姻の自由と両性の平等):ソ連からのメッセージ?
日本国憲法25条(生存権):日本人が書いた稀有な条文
日本国憲法27・28条(労働基本権):スターリン憲法が日本へ!?
日本国憲法29条(財産権):GHQによる土地国有化の試み!?
日本国憲法31条(適正手続きの保障):合衆国憲法修正第5条の写し?
日本国憲法33~35条(被疑者の権利):憲法には詳細過ぎる?
日本国憲法36~40条(被告人の権利等):合衆国憲法(英米法)の影響大!
第4章 国会
日本国憲法41~48条(国会の仕組み):GHQは一院制の国会を要求!
日本国憲法49~51条(国会議員の特権):合衆国憲法に書かれていたから
日本国憲法55~58条(国会の権能):合衆国憲法第1章第5条と同じ!
日本国憲法62~64条(国政調査権等):米政府 (SWNCC) の圧力
第5章 内閣
日本国憲法65~73条(内閣):GHQが課した議院内閣制、天皇大権の完全否定
第6章 司法
日本国憲法76条(司法権の独立):特別裁判所は認めない!
日本国憲法77~80条(裁判官の独立):報酬減額不可にこだわったGHQ!?
日本国憲法81条(違憲審査権):議会より司法を信頼したアメリカ製
第7章 財政
日本国憲法83~86条(財政予算):意外と妥協したGHQ!?
日本国憲法88条(皇室経費):妥協を拒否したGHQ!
日本国憲法89条(公金支出の制限):照準は国家神道!
日本国憲法(財政):GHQが消した幻の憲法草案
第8章 地方自治
日本国憲法92~95条(地方自治):GHQの意に反して……?
第9章 改正
日本国憲法96条(改正):改正させないGHQの深慮は働いたか?
第10章 最高法規
日本国憲法97~99条(最高法規):合衆国憲法の精神満載!
こんなにもある宮中祭祀をもっと身近に!
本HP 「むらおの歴史情報サイト『レムリア』」では、皇室についての情報を「日本の皇室」というテーマでお届けしていますが、その中の「宮中祭祀・宮中行事」について、これまで未筆の祭祀がありましたが、本日、一通り完成しました。
天皇陛下は、年間、これだけの祭祀をなされ、私たち国民のために、国の繁栄と世界の安寧の「祈り」を捧げていらっしゃるのですね。ご関心の祭祀があれば、またさらに皇室についてお知りになりたければ、赤字をクリックしてご覧ください。
宮中祭祀
1月1日 四方拝:元旦早朝の神秘な儀式
1月1日 歳旦祭:四方拝に続く陛下の初詣
1月3日 元始祭:天孫降臨と皇位を祝う!
1月4日 奏事始:伊勢からの報告
1月7日 昭和天皇祭:先帝祭として厳かに
1月中頃 歌会始の儀:奥ゆかしき宮中行事
1月30日 孝明天皇例祭:先帝以前三代の例祭の一つ
2月11日 紀元節祭:神武天皇の即位を祝って…
2月17日 祈年祭:五穀豊穣と国民の繁栄を…
2月23日 天長祭:天皇誕生日、かつての天長節
春分の日 春季皇霊祭・春季神殿祭:春分の日の宮中祭祀
4月3日 神武天皇祭・皇霊殿御神楽:皇居と橿原の地にて
6月16日 香淳皇后例祭:昭和天皇の皇后さまを偲んで
6月30日 節折の儀・大祓の儀:陛下と国民のためのお祓いの行事
7月30日 明治天皇例祭:先帝以前三代の例祭の一つ
秋分の日 秋季皇霊祭・秋季神殿祭:秋分の日の宮中祭祀
10月17日 神嘗祭:五穀豊穣を伊勢神宮に向けて感謝
11月23日 新嘗祭:五穀豊穣を宮中にて感謝
12月中旬 神話賢所御神楽:起源は「天の岩戸」神話」
12月25日 大正天皇例祭:先帝以前三代の例祭の一つ
12月31日 節折の儀・大祓の儀:陛下と国民のためのお祓いの行事
(関連サイト)
両陛下ご訪英、確認された日英の深いつながり
天皇、皇后両陛下は、2024年6月、国賓として英国を(公式)訪問されました(22日〜29日)。天皇が国賓として訪英するのは1971年の昭和天皇、98年の明仁上皇に続き26年ぶり3度目となりました。滞在中、天皇陛下とチャールズ国王は、2日英の最高勲章「大勲位菊花章 頸飾(けいしょく) 」と「ガーター勲章」を贈りあわれました。皇室、王室とも代替わりを経たうえでの親善訪問は、日英両国の絆をさらに深める機会となりました。訪英は当初、エリザベス女王の招待を受けて2020年春に予定されていましたが、新型コロナウイルス禍の影響で延期されていました。今年に入りチャールズ国王から改めて招待があったそうです。
今回、両陛下ご訪英において、個人的に関心がでてきたのが、両国君主が贈り合った勲章についてでした。そこで、本HP「レムリア」では、以下の4項目に分けて、日英の栄典制度についてまとめてみました。
佳子さまペルーご訪問 皇室の南米外交を担う秋篠宮家
秋篠宮ご夫妻の次女、佳子さま(佳子内親王/身位は内親王。敬称は殿下)は、2023年11月、日本とペルーの外交関係樹立150周年を記念して、南米のペルーを公式訪問されました。
滞在中は、記念式典で挨拶され、日系人らと交流されたほか、インカ帝国時代の城塞都市遺跡、「空中都市」と呼ばれる世界遺産のマチュピチュ遺跡や、アンデス山脈にある都市クスコを訪問され、インカ帝国時代の太陽神殿コリカンチャなどを視察されました。
佳子さまの外国公式訪問は2019年のオーストリア・ハンガリー以来、4年ぶり2回目となり、また、ペルーは2014年に秋篠宮ご夫妻、19年に長女小室眞子さんが訪れています。
ペルーの国柄、日本や皇室との関係、また、インカ帝国については、以下の投稿記事でまとめています。興味のある方はご一読下さい。
過去10年、秋篠宮家が、ペルーを含む南米の訪問を担っています。秋篠宮ご夫妻は14年にペルーとアルゼンチン、15年にブラジル、17年にはチリをご訪問され、当時の眞子内親王殿下(現小室眞子さん)は、16年にパラグアイ、18年にブラジル、19年にはペルーとボリビアを訪れています。
なぜ、秋篠宮家が南米の国際親善を担っているかについて、「皇室の少子高齢化」の影響が指摘されています。日本から南米までは、長時間のフライトであり、現地での移動も時間がかかります。訪問先は暑いところが多い一方、山間地では気温がぐっと下がるなど過酷な環境の場所が多く、体力が必要なため、若い皇族でなければ、その任に耐えられないと言われています。
こうした背景から、近年、若い秋篠宮家がその役割を担うようになりました。秋篠宮ご夫妻が50代になられた時期からは、最初は眞子内親王殿下、そして、眞子さまご結婚後の現在は佳子さま(佳子内親王殿下)が、南米訪問を任される立場になっている模様です。
<参照>
佳子さまが「エネルギッシュな笑顔」でペルーへ出発 なぜ秋篠宮家が南米の訪問を担うのか (2023/11/02、AERA)
モーゼ・パーク!?に行ってみた
10月23日(月)、仕事で富山に来たので、空いた時間を使って、お隣の石川県の宝達(正確には羽咋郡宝達志水町)まで足を延ばし、「モーゼパーク」を訪れました。このレムリアでも、「日本の神話・伝承」の中で、「モーゼの墓」について紹介しましたが、その時は、聞いたり、調べたりしただけの内容でしたが、実際、フィールドワークして、初めて、日本にある伝承の一つとしてのモーゼ伝説について、自信をもってお伝えできるという気になりました。
さて、宝達山の麓にある「モーゼパーク」のモーゼの墓が、本当にモーゼの墓なのか、どうかとかいうことが問題なのではなく、モーセ伝説を通して、日本という国の懐の深さを感じることができた(異文化でも何でも受け入れてしまう)ことが有意義でした。とくに、モーゼパークもよかったのですが、宝達山そのものが霊山であり、神の山であると思いました。山全体から発せられているオーラのようなものを感じ、まさにパワースポットでした。モーゼパーク内でも「沐浴」できて、リフレッシュできました。また、パーク内のモーゼの墓の場所から見ることができた日本海も美しかったです。
モーゼパークは現在、自治体が管理しているとのことですが、願わくば、公園の整備に予算をもう少し投じていただければ、もっと来訪者が増えると思いました。
翌24日は、「モーゼの墓」の論拠となっている竹内文書と密接な関係のある、御皇城山(呉羽山)の「皇祖皇太神宮」(富山市金屋)に参拝しました。皇祖皇太神宮については、また改めて投稿記事にしてみたいと思います。
モーセ伝説の詳細や竹内文書については既に以下の記事を書いているので読んでみて下さい。
処理水放出をめぐる聞き捨てならぬ中国の日本批判
福島の処理水放出に関して、中国からの言われない政治攻勢がエスカレートしている。かつ、共産党政府によって、「洗脳」された14億の中国国民が、政府の主張を正しいと思い込み、その一部の直情的な中国国民が、日本に対する根拠のない批判とデマを猛烈に沸き上がっている。一人の日本人として、善良な中国の人々に、「事実」を知ってもらいたい。
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国際原子力機関(IAEA)は、福島原発の処理水が「国際安全基準に合致している」という報告書を公表しているにも拘わらず、中国外務省は処理水を「核汚染水」と呼び、「日本政府は国内外の声を無視し、世界の海洋環境と人類の健康を損なうリスクを無視し、放出計画を頑なに進めている」と批判した。また、それ以前にも、中国の報道官は「一方的に福島原発事故の汚染水を海洋放出すると日本が決定したことは、無責任の極みであり、国際社会の公共の健康と安全や周辺諸国の人々の切実な利益を損ねる」と発言した。
- 処理水と汚染水は違う!
中国は、日本が放出する処理水を「核汚染水」と呼んでいるが、「汚染水」と「処理水」は科学的に違う。原発事故により、高濃度の放射性物質を含んだ『汚染水』が発生したが、その汚染水の放射性物質の濃度を低減する浄化処理を行ったものを『処理水』と呼ぶ。ただし、完全に浄化しきれない放射性物質がトリチウムといわれる物質で、海水で大幅に希釈し、国の定めた安全基準を満たす状態に薄めてから放出される。中国の首相は、G20サミットの場で「核汚染水」と言ったが、この違いをわかっているのかと国際社会ではその常識の有無を疑われるかもしれない。
- 中国が原発から垂れ流す大量の放射性物質
中国は、日本の処理水放出を、「無責任」とか、「世界の海洋環境と人類の健康を損なうリスクを無視している」とか批判するが、中国もまた、原子力施設から出るトリチウムを含んだ水を海洋などに放出していることを、中国14億人のうち何人が知られているのだろうか?しかも、日本は年間最大22兆ベクレルのトリチウムを含んだ処理水を海洋放出していく計画だが、中国では2021年だけで東シナ海に面した秦山原発(浙江省)が218兆ベクレルのトリチウムを海洋放出。福建省の寧徳原発は約102兆ベクレル、南シナ海に面した広東省・陽江原発は約112兆ベクレルを放出しているとされる。しかも、近隣諸国への通告はなされていない。
これは、読売新聞が6月23日、「中国の複数原発がトリチウム放出、福島「処理水」の最大6.5倍……周辺国に説明なしか」と報じたのだが、記事によれば、日本が海洋放出を決定する以前から、国内の4つの原発が日本の年間放出予定量の約4〜7倍のトリチウムを含んだ処理水を、近隣国に説明も承諾も得ずに放出していたという。
先に紹介した中国外務省と報道官の発言をそのまま中国にお返しすれば、「中国政府は国内外に知らせることなく、世界の海洋環境と人類の健康を損なうリスクを無視し、大量の放射性物質を含んだ処理水の放出を行っている」、「中国政府が、一方的に大量の放射性物質を含んだ処理水を海洋放出していることは、無責任の極みであり、国際社会の公共の健康と安全や周辺諸国の人々の切実な利益を損ねる」。
- 日本の水産物に対する輸入禁止措置
また、中国は、福島、宮城、茨城、東京、千葉など日本の10都県からの水産物輸入を禁止しただけでなく、処理水の海洋放出が始まった日には、日本産水産物の全面的な輸入停止に踏み切った。
これに対して言えることは、中国が日本よりはるかに大量のトリチウムを海洋放出しているなら、中国産水産物の全面的な輸入禁止処分を近隣諸国から受けても仕方あるまい。中国の放射性物質にまみれた中国産水産物こそ、規制の対象となるべきである。
今回の記事の中で、中国が大量の放射性物質を含んだ処理水を海洋放出していることを知って、やはり、原発は廃止するべきであるという認識を深めた次第である。
<参考>
<参照>
中国・韓国で沸き上がる日本への根拠ない批判とデマ 一方で中国は日本の20倍の放射性物質放出
(2023.8.7 Newsポストセブン)
中国の原発から福島を大きく上回る放射性物質を含む処理水放出 日本に入ってくる中国産水産物は大丈夫か
(2023.06.29 19:00女性セブン)
迫りくる福島第一原発処理水の海洋放出
近づく福島第一原発の処理水の海洋放出を巡って、大きな議論が巻き起こっている。トリチウムの安全性の問題に加えて、中国や韓国野党の反対意見も根強く、対応を誤れば、被害実態のない「風評被害」によって、東北の農林水産品は打撃を受ける可能性もある。
IAEAからお墨付き
国際原子力機関(IAEA)は2023年7月4日、東京電力福島第一原子力発電所の処理水放出を巡る日本政府の計画について「国際的な安全基準と合致している」との報告書を発表しました。これを受け、政府は8月にも海洋放出を開始する方針です。
政府は2021年、福島第一原発の処理水を海へ放出することを決め、計画の安全性に関する包括的な検証をIAEAに求めていました。今回のIAEAの報告書はこれに対する回答でした。加えて、原子力規制委員会も7月7日付で一連の設備に使用前の検査に「合格」したことを示す終了証を東電に交付した。この結果、政府による放出に向けた安全性の評価作業は全て完了、具体的な放出日程の調整を進める段階に辿り着いた。
日本のメディアは総じて、事故処理を進めざるを得ない状況がある以上、海洋放出を容認する以外の選択肢がないとして、処理水(処理済み汚染水)の海洋放出を進めるのはやむを得ないと肯定的な立場である。
処理水放出計画の内容
処理水(処理済み汚染水)は、福島第一原発にたまった水から、トリチウム以外の放射性物質(ストロンチウムやセシウムなど)を除去している。このトリチウムは自然界にも存在し、基準値以下に濃度を薄めて海に放出することは国際的に認められている。実際に海外の原発でも行われており、日本政府と東電は、海水で希釈してから海底トンネルを通じて沖合に放出することにしている。
具体的には、まず、ALPSと名付けられた多核種除去設備を使い、ストロンチウムやセシウムといった放射性物質の大半を国の規制基準を下回るまで取り除く。技術的に除去が難しいトリチウムの残った処理済みの汚染水は、約2か月かけて、放射性物質が十分に除去されているか確認する工程も設けられている。
そのうえで、処理済み汚染水を希釈施設に移し、この施設では、海水で処理済み汚染水を100倍に薄める。これにより、トリチウムの濃度を1リットルあたり1500ベクレル未満に下げる。この濃度は、世界保健機関(WHO)が定めている飲料水の基準の7分の1程度という。そして、海底トンネルを通じて沖合1キロメートルの海面下12メートル地点に設けた放出口から処理済み汚染水を投棄する。
最後に、処理済み汚染水の放出量にも上限を設けており、1日あたりの最大放出量は500立方メートルに定められている。年換算で、トリチウムの放出量を22兆ベクレル未満に設定してある。濃度を国の規制基準の40分の1、世界保健機関(WHO)の飲料水基準の7分の1に希釈した上で流す計画だ。放出後には海水と混じり、さらに薄まっていく。加えて、放出口の周辺に設置したモニタリングポイントで、海水に含まれるトリチウム濃度を計測し続ける仕組みも構築しているという。
処理水放出の経緯
福島第一原発では原子力事故の結果、1~3号機の原子炉内にある燃料デブリの冷却に使った汚染水のほか、阿武隈山地の地下水脈から流れ込む大量の地下水の汚染もあり、大量の汚染水の発生が続いました。事故から2年あまりが経過した2013年夏、当時の安倍晋三総理は、東電任せにしていた対応を見直し、「国が対応していく」と方針転換を表明した。
ところが、政府が打ち出した具体策は、原発周辺への地下水の流入を防ぐ「凍土遮水壁」を建設するというものだった。建設には巨額の国費が投入されたものの、その効果は十分な検証が行われないままとなっている。結果として、原発の敷地内に設置された1000を超すタンクに汚染水が貯蔵されてきたが、来年中にも貯蔵容量が満杯になるとされている。その処理費用は膨らみ、2019年春に公表された専門家の試算によると、福島第一原発事故の処理に必要な「廃炉・汚染水処理」の費用は51兆円と、その2年前の試算に比べて約20兆円膨張していたことが明らかになった。
そうした中で、凍土壁に代わって、増え続ける汚染水の処理策の切り札として浮上したのが、処理済みの汚染水を希釈して海洋に放出する策だった。
トリチウムの安全性
処理水に含まれるトリチウムは、自然界にも存在し、通常の原発稼働の際にも排出されるものだ。トリチウムの除去は技術的に難しく、海外でも基準値以下に薄めてから海洋や大気中に放出しており、国際的に認められている。実際、処理水水準のごく微量であれば、人体に影響を与えないことで知られている。今回放出される予定の処理水による放射線影響は、自然界で人間が1年間に受ける放射線量2.1ミリシーベルトの10万分の1未満でしかないレベルに薄めたもので、健康への影響はないとされる。
しかし、トリチウムの影響について、政府は「水と同じ性質を持つため、人や生物への濃縮は確認されていない」とも言っているが、次のような内部被ばくのリスクを問題視する専門家も多い。
- トリチウムの半減期は3年で、リスクが相当低くなるまでに100年以上かかる。体内に取り込まれたトリチウムが半分になるまでには10日程度かかるという。しかし、トリチウムが有機化合物中の水素と置き換わり、食物を通して、有機結合型トリチウムなど人体を構成する物質と置き換わったときには体内にとどまる期間が長くなり、近くの細胞に影響を与える。
- 放つエネルギーは非常に低いものの、トリチウムが、体内に存在する間に、DNAを構成する水素と置き換わった場合には被ばくの影響が強くなったり、トリチウムがヘリウムに壊変したときにDNAが破損する(遺伝子を傷つけ続ける)恐れがある
また、他の放射性核種が残存するという問題も指摘されている。タンク水(トリチウム水)89万トンのうち8割強である約75万トンについて、トリチウム以外ににも、残存している主たる核種は、ストロンチウム90、セシウム137、セシウム134、コバルト60、アンチモン125、ルテニウム106、ヨウ素129、テクネチウム99などの核種が残存している。
2018年8月の東電の発表では、トリチウム水に基準を超える(告示濃度比総和で1を上回る)ストロンチウム90やヨウ素129などの放射性核種が含まれていることが発覚した。告示濃度比が最も高かったのはストロンチウム90で最大19,909倍だったという。ヨウ素129(I-129)、ルテニウム106(Ru-106)、テクネチウム99(Tc-99)なども基準値を超えていたと報じられた。東電は海洋放出する場合は二次処理を行い、これらの放射線核種も基準以下にするとしているが、「二次処理」を行ったとしても、放射性物質は残留する。「二次処理」の効果や、残留する放射性物質の最新の総量を示されなければならない。
そもそも、トリチウムの除去は技術的に難しいとして、トリチウムを分離させるという選択肢はないとしているが、実際にトリチウム分離はアメリカなどで行われており、トリチウム分離技術は存在しているらしい。
こうした背景もあってか、今回の日本の処理水放出について、近隣諸国から反対の声が上がっているが、それはそれでまた別の視点から考えなければならない。
執拗に反対する中国
中国政府は、「(日本は)国際社会と十分な協議をしていない。身勝手で傲慢だ」、「日本は核汚染水の放出計画の強行をやめ、責任ある方法で処理するよう改めて強く求める」などと日本政府の計画を批判しただけでなく、「国民の健康と食品の安全を確保するため、海洋環境の監視や輸入水産品などの検査を強化する」と述べ、日本からの農水産物の輸入検査を強化する構えを見せた。
さらに、中国外務省は、国際原子力機関(IAEA)に対しても、東京電力福島第1原発処理水の海洋放出を認めないよう要求し、「核汚染水を海に流すという日本の間違った行為を支持してはいけない」、「核汚染のリスクを世界に転嫁するのは不道徳であり違法だ」とコメントしている。加えて、中国国営メディアも、IAEAの報告書が汚染水を海洋に放出する「許可証」であってはならないと反対の立場を強調した。
こうした度が過ぎた中国の非科学的な批判の繰り返しは、処理水問題を政治利用し、日本のクレディビリティ(信頼性)を貶めようとしている中国の政治的意図がありありと伺える。
それどころか、中国は、自国のトリチウムを含む排水の海洋への大量放出の事実を棚上げして、日本批判を続けていることを国際社会は知るべきであろう。経済産業省によると、秦山第3原発では2021年のトリチウムの海洋放出が143兆ベクレルと、福島第一原発の年間計画22兆ベクレル未満に対して6.5倍のトリチウムを放出している。ほかにも、陽江原発は5倍、紅沿河原発は4倍(90兆ベクレル)である。
このように、中国は、機会があれば日本の弱体化を図ろうとする反日国家と言わざるをえない。「人に厳しく、己に甘い」姿勢は、放出反対のトーンを上げれば上げるほど国際社会の嘲笑の的になる。
原発処理水と地球環境
トリチウムの海洋放出に関しては、中国以外の国をみても、韓国では月城原発が3.2倍、古里原発が2.2倍と試算されている。欧米では、フランスのラ・アーグ再処理施設が454.5倍、カナダのブルースA、B原発は54倍、英国のヘイシャム2原発は14.7倍とけた違いに数字がさらに跳ね上がる。
こうしてみると、原発というのは、地球環境の観点からいえば、ないことに越したことはない。健康に問題ないといっても、海を汚染し続けることは間違いないからだ。原発事故によって生まれた東北の農林水産品に対する「風評被害」という負の連鎖を完全に断ち切るためにも、改めて原発ゼロを問いたい。
<参照>
日本の「処理済み汚染水」海洋放出に猛反発する中国の「ヤバすぎる矛盾」…国際世論が知らない「中国の真実」
(2023.07.11、現代ビジネス)
原発処理水の海洋放出、国際基準に合致とIAEA 岸田首相に報告書
(7月4日 ロイター)
トリチウム放出量、中国では福島第1の6・5倍の原発も 欧米は桁違い
(2023/7/4 産経新聞)
「通常時、韓国は福島第一原発より14倍多いトリチウムを放出」復興副大臣の激しい義憤
(2023.3.9 Diamond Online)
東電が汚染水を海に流してはいけない4つの理由
(2019-07-23 グリーンピース)
5類になった新型コロナ、ワクチンの影響はこれから!?
令和5年5月8日から、新型コロナウイルス感染症の位置づけは、これまで「新型インフルエンザ等感染症(2類相当)」としていましたが、季節性インフルエンザ等と同じ「5類感染症」に変更されました。今後、新型コロナウイルスが収束に向かっていくことが望まれますが、ワクチンの影響がこれからでてくる可能性もあります。
女子中学生の不可解な死
まず、そうした中、今月、ワクチン接種後の死亡事件について再びショッキングなニュースがありました。毎日放送MBSニュースとNHKニュースwebの記事からの抜粋です。
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去年、新型コロナワクチンの接種後に死亡した14歳の女子中学生について、司法解剖を行った徳島大学の教授らが「死因はワクチン接種に関連する心筋炎と心外膜炎である」とする論文を発表したことがわかりました。
徳島大学によりますと、去年8月に当時中学3年の14歳の女子中学生がファイザー製の新型コロナワクチンの3回目を接種しました。その翌日に37.9℃の発熱がありましたが、夕方には熱が下がったため、そのまま就寝しました。しかし翌朝、心肺停止の状態で見つかり、その後、死亡が確認されました。女子生徒は、1回目の接種後は「発熱がなく腕の痛み」、2回目は「接種翌日に38℃未満の発熱」があったということです。
徳島県警は「健康な10代の女性が突然亡くなるのはおかしい」として、死因を調べるために徳島大学に司法解剖を依頼。解剖した医師らは、女子中学生に基礎疾患やウイルス感染などが無く本質的に健康で、中学の運動クラブで活動する生徒だったにもかかわらず、肺や肝臓など全身の臓器に炎症が起きていて、心筋炎と心外膜炎もみられたということです。(女子中学生に)ウイルスの感染や自己免疫疾患がなかったことなどから「死因はワクチン接種に関連する心筋炎と心外膜炎である」と結論づけたということです。
ワクチンの接種後に亡くなったケースについては、医療機関などから報告を受け、専門機関が因果関係を評価したうえで、厚生労働省の専門家部会で検討が行われますが、ほとんどが情報不足などで評価不能とされていて、これまでに「因果関係が否定できない」と認められたのは、去年11月に亡くなった42歳の女性の1人です。
これとは別に、健康被害を救済する制度の枠組みで、厚生労働省は接種が原因で死亡した可能性が否定できないとして、53人に対し死亡一時金などの支給を認めています。
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ワクチンの有効性も安全性も2023年5月まで不明!
ワクチンの安全性については、株式会社ゆうネットが、2021年11月30日の西日本新聞をはじめ地方紙から全国紙まで約30紙に意見広告を出した「厚労省ホームページなどから『未成年接種』を考える」が示唆に富むものです。掲載料として2億5000万円を使った(ネットでの寄付を募り、2億円もの寄付を得て実現した)と言われています。この意見広告の中から、これから私たちが注意しておくべき内容について抜粋します(太字は筆者)。
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今回のワクチンが人体に用いるのが初めてであり、有効性も安全性も2023年5月まで不明(ファイザー)の「臨床試験中の実験試薬」である。それは、人体への長期的な影響が誰にも予見できないことを意味する。
河野太郎元ワクチン担当大臣は、自身のブログで「治験が省略されることなく実施され」、「長期的な安全性について特段の不安があることはありません」と断言している。ところが事実は違っていて、厚労省は「審議結果報告書」の中で、「接種後長期の十分な安全性データが得られていないことには留意が必要である」と記載している。ワクチンの安全性を確認する手続きを特例承認で省略してしまったため、厚労省も今後数年に渡って何が起きるか分からないまま接種を推し進めているのが現状だ。
ワクチンが生殖機能に及ぼす影響についても注意が必要だ。厚労省ホームページには、「不妊にならない」との記載は一言もなく、ただ「現時点では、ワクチン接種が不妊の原因になるという科学的な根拠は報告されていません」と書かれているだけだ。
これについて前出の井上正康大阪市立大学名誉教授は「ワクチン接種は始まったばかりのため、不妊の根拠が報告されるとしたら、これから数年〜数十年後のことである。何らかの異変や有害事象が起こる可能性は否定できない。臨床試験中の実験試薬とはそういうものであり、動物実験で危険性が示唆されている治験薬を生殖世代に接種すること自体、極めて非常識である」と警鐘を鳴らし続けている。
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これらの事実は、政府、マスコミから知らされてきませんでした。もっともショッキングであったことは、今回のワクチンが、有効性も安全性も2023年5月まで不明な「臨床試験中の実験試薬」であるということです。ファイザーはこの臨床試験の結果を正しく報告してくれるのでしょうか?
<関連投稿>
<参考>
女子中学生の死は『新型コロナワクチン接種と因果関係あり』司法解剖した医師らが結論
(2023/05/24 MBSニュース)
ワクチン接種後死亡の女子中学生 「ワクチン接種に関連」論文
(2023年5月24日 NHKニュースweb)
「厚労省ホームページなどから『未成年接種』を考える」
(2022年2月23日 日本経済新聞広告記事)
「ワクチン接種回数と感染者数が世界一の日本」が意味すること
政府もマスコミも報じようとしないコロナ・ワクチンの負の側面を紹介しています。決して陰謀論などではなく、ワクチンについての事実を知る権利に資するためです。今回も報道された事実を淡々と紹介します。
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日本でコロナ死者急増 免疫力の低さと医療のひっ迫が要因か
(2023年2月3日 BBCニュース)(一部抜粋)
長期にわたって厳格な感染対策を続けてきた日本で、新型コロナウイルスの死者が急増している。国民の免疫力が低いことと、衰えが進んだ高齢者が増えていることが背景にある。日本はかつて、新型ウイルスによる致死率が最も低い国の一つだった。しかし、昨年末から上昇傾向が続いている。
新型ウイルス関連のデータを集計している米ハーヴァード大学の「アワ・ワールド・イン・データ」によると、日本では今年1月20日に1日当たりの死者が過去最多を記録。イギリス、アメリカ、韓国を上回った。
そしていま、制限の緩和が進められる中で、日本人の新型ウイルスに対する免疫力の低さが感染急増を招いている可能性があると、日本の保健専門家らはBBCに話している。専門家らによると、最近の死者のほとんどは、基礎疾患がある高齢者だという。感染流行の初期に、肺炎が死因となった人や、集中治療室(ICU)で治療を受けた人が多かったのとは対照的だ。
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米紙WSJが報じた「ワクチンを打つほどコロナにかかる」論文を医師らが検証
(2023.01.30 週刊ポスト)(一部抜粋)(下線は投稿者)
コロナ感染のリスクを減らすために接種してきたワクチンについて、その効果を疑問視する論文が発表され不安が生じている。一方でワクチンを接種しないことによる重症化リスクもある。何を信じればいいのか──。
日本は感染者数「世界最多」
直近で多くの人に強いインパクトを与えたのが、米紙「ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)」が元日に報じた〈ワクチンがコロナの新種を増殖させている?〉と題した記事だ。そこでは日本でも感染が確認されているオミクロン株亜種「XBB.1.5株(以下、XBB株)」について「ワクチンを打つほど感染しやすくなる」との可能性に言及している。
同記事内では、クリーブランド・クリニック(米・オハイオ州)の医師らが医療従事者を追跡調査した研究論文の〈ワクチン接種を3回以上受けた人は未接種の人の3.4倍、2回接種した人は未接種の人の2.6倍、コロナへの感染率が高くなった〉とのデータを紹介。
政府はワクチンが対策の切り札であるとし、2021年2月から国内のワクチン接種を推し進めてきた。高齢者を中心に多くの国民が接種を重ね、現在65歳以上の1~3回目接種率は90%を超え、5回目も60%を超える。
英オックスフォード大が公開する「Our World in Data」の集計では、人口100人あたりのワクチン接種回数は、日本が304.74回で世界トップだ(1月25日現在)。ところが、WHOがまとめた新型コロナ感染症の集計で、日本は週間感染者数が2022年11月から10週連続で世界1位を記録した。今年1月24日までの1週間の統計では約57万人で、G20のなかでもダントツの数字だ。
なぜ、ワクチンの接種回数が世界トップなのに、感染者数が世界最多なのか──。こうした疑問がワクチンへの信頼を揺るがせているとみられるが、本当にワクチンを打つほどコロナにかかりやすくなるのか。
(参考)
米WSJ紙が掲載した12月19日付の『Nature』論文「ワクチンは新たなコロナ変異を加速させているのか?」の要約
研究によれば、ワクチン接種を繰り返すと、「XBB型」に感染しやすくなる上に、ウイルスの急速な進化に拍車をかけている可能性を示唆する証拠が増えつつあるという。
ウイルスは、より簡単に感染し、すでに体内に作られた抗体からは逃れられるような変異を起こしたと考えられるという。さらに、この研究では、「免疫刷り込み」が、ウイルスの進化に寄与している可能性が指摘されている。
当初、人々に投与されたワクチンは、武漢で発生したオリジナルの株を免疫系に記憶させ、退治するよう訓練するのに適したものとして作られていた。しかし、そのオリジナルからは、著しく異なる新種が登場すると、免疫系の反応は鈍くなってしまう。また、「武漢型」と「BA.5型」の2つを標的とする「2価ワクチン」は、この2つの型に共通する抗体を産生させるものとして設計されているが、これを回避してしまう突然変異が発生しているという。
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新型コロナワクチン接種回数「世界最多」の日本 なぜ感染者数が最多になったのか
(2023.01.28 女性セブン)(一部抜粋)(下線は投稿者)
当初、感染予防とされていた新型コロナのワクチンの効果は、いつの間にか重症化予防にすり替わっていた。そして、いまでは「接種すればするほど感染する」という「悲劇」が起きているという。
新型コロナウイルスの感染者が国内で初めて確認されてから3年。多くの国で新型コロナは「過去」になったが、日本は「現在進行形」で感染拡大が続く。なぜ、日本ではコロナ禍が終わらないのか──その謎を解くカギが「ワクチン」だ。日本は「ワクチンの接種回数」と「感染者数」がともに世界最多の国であることを忘れてはならない。
英オックスフォード大学が各国のデータをまとめて公表している「Our World in Data」によると、日本の人口100人あたりの追加接種回数は断トツで、135.9人。これは1月18日現在で追加接種されたワクチンの総回数を総人口で割って導き出され、1人が1回以上接種している計算になる。また、1月12日時点でオミクロン株対応ワクチンの接種率が37.5%となり、G7の中でトップだ。
本来、接種が進めば感染はストップするはず。だがWHO(世界保健機関)がまとめた統計では、日本は週間感染者数が2022年11月から10週連続で世界最多を記録。今年に入ってからも1月11日までの1週間は118万232人で、2位のアメリカ(46万2944人)と2倍以上の差がある。なぜ、世界で最もワクチンを打っている日本が世界で最も新型コロナに感染するのか。「ずばり、ワクチンを打てば打つほど新型コロナにかかりやすくなるからです」。そう話すのは名古屋大学名誉教授で医師の小島勢二さんだ。
「アメリカの『疾病対策予防センター』の研究者が33万人を調査したところ、未接種、2回、3回、4回とワクチンの接種回数が増えると、感染率が29%、33%、38%、41%と高くなり、ワクチンを打つほど新型コロナにかかりやすくなることを示しました。実際、現時点で感染が増加しているのは、ワクチン接種を続けている一部の国だけです」(小島さん)
国内にも同様のデータがある。昨年9月7日に開催された厚生労働省のアドバイザリーボードの資料でも未接種より2回目接種済み、3回目接種済みの方が新規陽性者数の多い年代が続出した(8月22〜28日の期間、別表)。特に「65〜69才」の10万人あたりの新規陽性者数は未接種が194.9人、2回目接種が584.7人と3倍近い差となった
昨年の10月に、小島さんが都道府県別の状況を解析したところ、興味深い結果が得られたという。「ワクチンの追加接種率の上位5位(秋田、山形、福島、長野、北海道)と下位5位(沖縄、東京、大阪、愛知、福岡)の接種率と新規感染者数を比較すると、接種率が最も高い秋田や山形は、最も低い沖縄や大阪と比較して、人口あたり2倍以上も新規感染者が発生したのです」(小島さん)
接種と感染の関係については、「感染者が増えた結果、人々がワクチンを打つ」との意見がある。だが南日本ヘルスリサーチラボ代表で医師の森田洋之さんが反論する。「実際のデータを見ると、感染の流行が始まる前にワクチン接種数が伸びています。特に3回目、4回目はワクチンを打ち始めてから感染者が増えたことが時系列から見ても明らかです」「感染増→接種増」ではなく「接種増→感染増」という流れからも、ワクチンそのものが感染の原因ではないかとの疑念は拭えない。
なぜ、ワクチンを打つほど新型コロナに感染するのか。確定的な答えは出ていないが、世界の研究者がメカニズムの解明に挑んでいる。
「権威ある科学誌『サイエンス』に発表された論文によると、ワクチンを3回接種するとオミクロン株に対する免疫能が特異的に抑制され、新型コロナに感染しやすくなるようです。ワクチン接種後にオミクロン株に対する免疫が弱くなることは、3回接種以降はワクチンを打つほど新型コロナにかかりやすくなることを裏づけます。3回接種で見られる現象なら、4回接種後にはより顕著になると見込まれます」(小島さん)
森田さんはワクチン接種直後の感染に注目する。「ワクチンを打った直後は発症予防効果が高いとされます。そうであるなら接種者が増えるほど感染者が減るはずですが、現実には接種者が増えるとともに感染者も増えている。
その原因を示唆するのが『ネイチャー』誌に掲載された論文で、ワクチンを接種してから1週間ほどリンパ球の数が減るというもの。リンパ球は人間の免疫による防御の主体で、それが接種後に一時的に下がることにより、その期間は逆に感染しやすくなると考えられます」
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疑われ始めたワクチンの効果 追加接種に積極的な国ほど感染者増、自然免疫力への悪影響も
(2023.01.29 女性セブン)(一部抜粋)(下線は投稿者)
国内の報道だけを見ていると気づかないが、世界各国のワクチンに対する評価は様変わりしている。その典型例が世界に先駆け接種を進め、ワクチンの先進国と称されたイスラエルだ。
「ワクチンを打っても感染抑制効果は不透明」
昨年イスラエル政府はそう表明し、4回目以降の追加接種をほとんど行わなくなった。イスラエル保健省によると、昨年12月の段階で国民の約半数が3回目接種を終えたが、4回目は1割にとどまる。ワクチンに背を向けた国は多い。医療経済ジャーナリストの室井一辰さんが言う。「イラクやヨルダン、リビアなど中東やアフリカ諸国で感染率が20%を下回る国はワクチンを購入していません。ウクライナとブルガリアなど東欧諸国も接種率が低い」
やはり気になるのが、接種と感染の関係だ。名古屋大学名誉教授で医師の小島勢二さんがいう。「一昨年5月に1日40万人を超える感染者が出たインドは昨年初めにオミクロン株のBA.1が流行しましたが、4回目接種を行わなかった。一昨年6月から8月にかけて1日の感染者数が最大6万人に達したインドネシアも同様に4回目接種を行わなかった。
両国とも昨夏に登場したオミクロン変異株・BA.5の感染拡大が懸念されましたが、不思議なことに流行は起こりませんでした。そのほかの多くの国も昨年の初めからワクチンの追加接種は頭打ちですが、感染者は増えていません」(小島さん)
これと対照的なのが追加接種を重ねた国だ。「一昨年まで感染者がほとんど出ず、新型コロナ対策の等生とされた台湾は追加接種を重ねるごとに感染者が急増し、一時的に人口比で、世界で最も感染者が多い国になりました。日本と同様に追加接種に積極的な韓国も感染者が増えたのです」(小島さん)
新潟大学名誉教授の岡田正彦さんが指摘する。「一昨年9月にアメリカとカナダの研究者が発表した論文によると、世界68か国でワクチン接種率が高い国ほど、人口100万人あたりの1週間の新規感染者数が多かった。いまから1年半前にワクチンと感染の関係が指摘されており、その後、同様の研究が多数発表されました」
ワクチンの基本的な効果に疑問を投げかける研究も次々と発表されている。「昨年7月に発表されたアメリカの研究では、従来のワクチンがオミクロン株に有効かどうかを調べました。その結果、ファイザーとモデルナのmRNAワクチンがオミクロン株を抑える効果は、コロナ発生当初の武漢株の20分の1以下しかないことがわかりました」(岡田さん)
今年1月1日には米紙「ウォール・ストリート・ジャーナル」が、北米などで流行中のオミクロン株亜種「XBB」は、ワクチンを繰り返し接種した人の方がかかりやすくなるとの記事を掲載した。同紙によれば、ワクチンを3回以上接種した人は、未接種者の3.4倍、2回目接種者の2.6倍感染率が高くなるという。XBBは感染率が非常に高く、世界的な感染拡大を予想する声もあるだけに気になるデータだ。
1月11日には、最も権威があるとされる医学雑誌「ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシン」(NEJM)に驚きの論文が掲載された。筆者はFDA(アメリカ食品医薬品局)のワクチン諮問委員会のメンバーであるポール・オフィット氏。ウイルス学の権威であるオフィット氏はこの論文で従来型のワクチンとオミクロン株に対応する2価ワクチン(※従来型に由来する成分とオミクロン株に由来する成分の両方を含むワクチンのこと。日本では3回目以降のワクチンに該当)の効果を検証し、こう結論づけた。「健康な若者には、2価ワクチンの追加接種は中止すべきである」
小島さんが解説する。「免疫学には『抗原原罪』という現象があります。過去に感染したウイルスと一部が同じ構造を持つ別のウイルスに感染すると、先に感染したウイルスの中和抗体は迅速に作られるものの、新しいウイルスに対する中和抗体は作られにくいというものです。
つまり、2価ワクチンを接種しても、過去に感染したウイルスのタイプや最初のワクチンが対象とした武漢株に対する中和抗体が作られる可能性があるということ。オフィット氏はこの考え方を適用して2価ワクチンの追加接種の効果が薄いと指摘し、『若い人への追加接種は必要ない』と結論づけました。
オフィット氏はアメリカの権威ある雑誌『タイム』にも登場し、『2価ワクチンは軽症のコロナの発症や感染も予防するとの謳い文句だが、それを支持する証拠はない』と断言しました。ウイルス学の第一人者によるそうした発言が『NEJM』や『タイム』という世界の一流誌に載る意味は大きい」
世界でワクチンの見直しが進む中、官民挙げて「ワクチン推し」に励むのが日本だ。オミクロン株対策として政府が推奨する2価ワクチンについて、国立感染症研究所(感染研)は発症予防効果を71%と発表した。これに小島さんは異を唱える。
日本の感染者数は世界最多
「71%はワクチン未接種者を比較対象にした『絶対発症予防効果』であり、従来のワクチン接種者を比較対象にした『相対発症予防効果』では、2価ワクチンの発症予防効果は30%です。追加接種で2価ワクチンを打った人の中には、予防効果が71%あるならと接種したのであって、30%と知っていたら、思いとどまった人も多いでしょう。
実は感染研は相対発症予防効果も公表していましたが、NHKをはじめ大手報道機関は71%という数字だけ報じました。日本のメディアは感染研や厚生労働省の情報を垂れ流すのではなく、きちんと精査して報じてほしい」
ワクチン接種により自然免疫力が低下する
ワクチンを打つとかかりやすくなるのは新型コロナだけではない。注意すべきはほかの病気のリスクも増すことだ。
「コロナワクチンは人類初のmRNAワクチンで人体への影響が未知数でした。一定期間が経過し、多くの副作用が報告されています。実態は不明ですが、論文として報告されただけでも血小板減少症や心筋炎、心外膜炎、腎炎など数多くの病気をもたらすと指摘されています」(岡田さん)
昨年12月、FDAが実施したワクチンの安全性に関する調査が公表された。65才以上のアメリカ人1740万人に行った調査で、ファイザーのワクチンを接種後、肺塞栓症を発症するリスクが有意に増加したとの報告だった。「肺塞栓症は肺の血管に血栓ができる病気です。ワクチンを認可したFDAが副反応のリスクを公表したことで話題になりました」(小島さん)
ワクチンを接種することで人体に備わった自然免疫力が低下するとの指摘もある。「自然免疫力が低下すると体内のウイルスが活性化し、帯状疱疹や口腔カンジダ症を発症しやすい。実際に私は臨床医として、ワクチン接種が始まってからこれらの病気が増えたことを実感しています。
また、リンパ球に無症状で潜伏感染したEBウイルスが再活性化し、悪性リンパ腫や血球貪食性リンパ組織球症などの病気を起こす可能性があります。さらに自然免疫力の低下で悪性腫瘍を監視する能力が衰え、がんの発生や再発の増加が懸念されます」(小島さん)
森田さんが続ける。「ワクチン接種後に、がんが急激に進行する『ターボがん』で実際に亡くなったケースがあります」
多数の「ワクチン死」を連想させる不吉なデータもある。厚労省が発表する人口動態統計によると、2022年は1〜8月だけで2021年の同期間より死者数が約7万1000人増加した。同期間のコロナによる死者数は約2万1500人で約5万人はコロナと別の理由で死亡したことになる。増加ペースもすさまじく、2022年2月は前年より約1万9000人増、8月は約1万8000人増だった。ここに森田さんは「ワクチンの影」を見て取る。
「死者が増加した2022年2月と8月はワクチンの3回目接種、4回目接種の時期と一致します。実際のデータでは感染増加前に接種数が伸びており、統計的には3回目接種、4回目接種と回数を重ねるほど死者数との相関が強くなっています」(森田さん)
小島さんが続ける。「ワクチンの副反応に関する論文は昨年1月の段階で1000件以上発表されています。最近公表された多くの基礎研究や臨床研究もワクチンの追加接種のリスクを伝えます。いまもってワクチン接種を推奨するわが国のコロナ対策は再検討が必要でしょう」
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「超過死亡が年間10万人以上で戦後最大」の謎…専門家「今、コロナ以外の急病人や急死者が増えている」
(2023.02.14週刊現代)(一部抜粋)(下線は投稿者)
日々、患者と接する医療者たちは、うすうす「おかしい」と気づき始めている。あまりに多い「不審な死」の背後に何があるのか。コロナ禍3年間のデータを精査して、浮かび上がってきた理由とは。
原因不明の死者が増えた
昨年(2022)1月から10月末までの「超過死亡」が全国で推計9万人を超えた可能性があることが、国の統計から明らかになった。12月分を合わせれば、年間10万人に達することは間違いない状況だ。
「超過死亡」とは、名古屋大学名誉教授で小児科医の小島勢二氏が解説する。「平時には、全国で年間にどのくらいの人数が亡くなるのかという数値は、ある程度予測することができます。超過死亡とは、その予測値を超えて亡くなった人数を指します」
戦後最大規模の超過死亡
「コロナ禍においては、『コロナで亡くなった人』と『診断・報告はされていないが、コロナで亡くなったと思われる人』、さらに『広い意味でコロナの影響で亡くなった人』が、この超過死亡に該当することになります。そして’21年と’22年の超過死亡数は、コロナによる直接の死者数を差し引いても、東日本大震災の年を上回っている。これは戦後最大の規模です」(前出・小島氏)
では、なぜこれほど超過死亡が増えているのだろうか。政府は、「コロナによる医療逼迫が原因だ」という路線を敷く。厚生労働省が設けた超過死亡の研究班は、’22年5月に次のような報告を出した。
’21年春にコロナの「第4波」が襲った時期には、病床が足りず多くの死者が出た関西圏で、そして「第5波」の時期には人口あたりの病院数が少ない東京や神奈川で、主に超過死亡が増えている。このことから、「コロナ陽性者の急増」と「医療逼迫」が超過死亡の原因だといえる―。大手メディアは、この報告をそのまま報じた。
「医療逼迫のせい」ではない
ところが前出の小島氏は、「その後の’22年の超過死亡の内訳を考えると、『医療逼迫説』は崩れてしまう」と言う。「確かに『第6波』があった’22年2月と3月には、コロナ感染者・死亡者が全国で激増するのにともなて、超過死亡も増えています。医療逼迫が解消していなかった大阪府では、3717人の超過死亡が出ました。
しかし一方で、同じ2ヵ月間にコロナによる死者が月間ひと桁しか出なかった鳥取県と島根県でも、超過死亡がそれぞれ191人と155人発生しているのです。この両県では医療逼迫があったとは考えづらいのに、超過死亡だけが増えていたということになります」。前述したように、超過死亡とは「平時と比べて余計に亡くなった人の数」を指す。コロナ感染者の増加そのものが原因でないとすると、「コロナ禍前後での世の中の変化」に真の原因が潜んでいることは、まず間違いない。
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政府がひた隠す事実【コロナワクチンと超過死亡の因果関係】専門家「接種率が高い国ほど超過死亡が多くなる」
(2023.02.14、週刊現代)(一部抜粋)(下線は投稿者)
戦後最大規模となった超過死亡の原因として、「厳しい自粛生活」「運動不足」が可能性としてあり得る・・・。しかし一方で、もうひとつの「コロナ禍がもたらした大きな変化」が超過死亡の真の原因ではないか、と考える医療者も少なくない。そう、ワクチンである。
接種後に増えた死者
60代男性が、ある日手足の痺れを訴えてクリニックを受診したところ、MRI検査の結果脳の中央部の血管に直径8ミリほどの小さな梗塞が見つかった。
しかし着目すべきは、この男性がそれまではいたって健康体だったこと、そして診断の2日前、5回目のワクチン接種を受けていたことだった。診察した千葉新都市ラーバンクリニック院長の河内雅章医師が言う。「ワクチン副反応に関するデータを見ると、接種直後に血栓症を起こす可能性は少なくないようです。その男性も、ワクチンによる血栓で脳梗塞を起こしたのではないかと私は考えています。
この患者さんは幸い助かりましたが、もっと高齢の方や認知症の方だと、異変を訴えることもできないまま亡くなってしまうでしょう。ワクチン接種が盛んに行われた時期と一致して、超過死亡が大きく増えていることを見ても、ワクチンが何らかの悪影響を及ぼしているのではないか、と考えざるを得ないのです」
’22年の年間のワクチン接種回数と、超過死亡の推計をあわせたもの見ると(いずれも週単位の値)、確かに、3回目接種を受ける人が増えた2月から4月にかけてと、4回目接種を受ける人が増えた8月から9月にかけて、接種回数増加のペースをなぞるように超過死亡も大きく増えていることがわかる。
ワクチン接種率の高い国ほど超過死亡が多い…?
ワクチンの接種開始から現在に至るまで、政府や厚生労働省は「ワクチンと超過死亡の因果関係」を認めていない。ワクチン副反応疑いによる死亡者が取り沙汰されるようになった昨年11月には、加藤勝信厚労大臣が参議院本会議で「両者の因果関係を論じることは困難」と答弁している。
政府の主張の根拠は、「仮にワクチンが原因だとすれば、ワクチン接種が増えたあとから、それを追いかけて超過死亡が増えなければおかしい」というものだ。実際に、’21年5月の1回目接種のときには、接種回数が増えるよりも先に超過死亡が発生している。さらに慈恵医科大学は昨年10月、「ワクチン接種率が高い国ほど死亡率の増加が少なく、日本はトップクラスに超過死亡の増加を抑えている」という研究結果を発表した。
しかし前出の小島氏は、こうした言い分も、’22年に起きたことを分析すると疑わしいと語る。「これらはいずれも’21年秋、つまり2回目接種までのデータにもとづいた主張です。まず、’21年12月から始まった3回目のワクチン接種のときには、10週間後の’22年2月から超過死亡が増えはじめ、3月にかけてピークを迎えています。
もっともこれだけでは、同じ時期にコロナ感染者が増えたことによって、超過死亡が増えただけの可能性もある。そこで私は、’22年に行われた追加接種の回数と超過死亡の関係を、日本だけでなく韓国などのアジア各国や欧州の国々ともあわせて調べてみました。すると、慈恵医大の発表とは違って、追加接種率が高い日本やベルギー、台湾などの国ほど超過死亡が多くなる傾向があったのです」。つまり「1回目・2回目接種後の超過死亡と、3回目接種以降の超過死亡は別物」という分析結果が得られたのだ。
ワクチン接種後「急激に衰弱する」「がんが急速に進行する」
ワクチン接種の回数が増えるにつれ、体の異変を訴える人や、急変する人が増えていく―そうした実感を抱いている医師は、前出の河内氏だけではない。北海道のほんべつ循環器内科クリニック理事長、藤沢明徳氏が証言する。
「ここ最近は、コロナが重症化して亡くなる人はほとんどいません。ワクチンを3回、4回と接種したあとに急激に衰弱していく高齢の患者さんや、急速に進行するがんが見つかる患者さんが目につきます。医者になって30年ほどですが、初めて見る光景に驚いています」
「超過死亡」はおそらく、ここまで見たような「医療逼迫」「自粛」そして「ワクチン」という複数の要因が絡みあった結果、これほどまでに増えてしまったのだろう。だが政府も新聞もテレビも、ことワクチンのデメリットとなると口を閉ざす。
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