世界の中の日本

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2019年10月25日

外交:即位礼に王族たちが勢ぞろい、米露中は?

天皇陛下が内外に即位を宣明された「即位礼正殿の儀」に180か国以上の代表が出席しました(なお、平成の即位礼のときは160か国からの参列があった)。今回の天皇即位の祝賀外交において、国王(皇太子を含む)や大統領など各国は元首級を日本に送ってきました。その数、約80か国にもなりました。皇室とゆかりの深い各国の王族からは、英国のチャールズ皇太子、オランダのアレクサンダー国王、スペインのフェリペ6世国王、ブータンのワンチュク国王など最高位の方々が多く参列されました。

 

まず、この機会に、世界には、国王を戴く王制や立憲君主制の世界の国々がどれくらいあるのかをみてみましょう。

 

【アジア・大洋州】

ブータン ワンチュク国王夫妻

ブルネイ ボルキア国王

カンボジア ノロドム・シハモニ国王

マレーシア アブドラ第16代国王夫妻

トンガ ツポウ6世国王夫妻

 

【欧州】

ベルギー フィリップ国王夫妻

リヒテンシュタイン アロイス皇太子

ルクセンブルク アンリ大公

モナコ アルベール2世公

オランダ ウィレム・アレクサンダー国王夫妻

ノルウェー ホーコン皇太子

スペイン フェリペ6世国王夫妻

スウェーデン カール16世グスタフ国王

英国 チャールズ皇太子

 

【中東】

バーレーン サルマン皇太子

ヨルダン フセイン皇太子

カタール タミーム首長

 

殺人教唆疑惑を受けているサウジアラビアのムハンマド皇太子も、当初は参列予定でしたが直前で取り止めとなりました。

 

【アフリカ】

エスワティニ ムスワティ3世国王夫妻

レソト レツィエ3世国王夫妻

モロッコ ムーレイ・ラシッド王子

 

一方、国王のいない共和制国家からも大統領など国家元首級の人たちが顔を揃えましたが、皮肉なことに、同盟国とされるアメリカからは元首級ではない人物が来られました。初のアジア系アメリカ人の女性閣僚のイレイン・チャオ運輸長官でした。1990年11月の上皇陛下の即位の礼の際には、クエール副大統領が参列したことから、今回も、前例に従って副大統領の来日が予想され、実際、ペンス副大統領で水面の調整が進んでいると報じられていました。アメリカの副大統領は、大統領継承順位2位で「元首級」と言えます。では、アメリカの運輸長官は、閣僚の中では何番目の地位にあるのかというと13位とぐっと下がってしまいます。

 

アメリカ大統領権限継承の順位(日本の内閣総d理大臣臨時代理に相当)は、1位から順に次のようになります。

副大統領兼上院議長(アメリカでは副大統領が上院議長を兼任)、

下院議長

上院仮議長

国務長官

財務長官

国防長官

司法長官

――――

運輸長官

エネルギー長官

教育長官

退役軍人長官

国土安全保障長官

(運輸長官は、国務長官筆頭の閣僚15名のなかでも下位に当たる)

 

チャオ長官ご本人がどうのこうのというつもりは全くありませんが、外交儀礼という観点から、これまでの日米関係を考えれば、もう少し人選に配慮があってもよかったのではないか正直思いました。逆の状況を想定して、例えばイギリスで新国王の即位式が行われたとした場合、日本を代表して国土交通大臣が派遣されることと同じです。

 

一説には台湾系のチャオ長官を送ることで中国に対するメッセージを発したという見方もあるようですが、神聖な即位の礼にそうした政治ゲームを入れられても迷惑な話しです。今回の人選は、日本に対するアメリカの本音の姿勢(アメリカは実は日本を軽視している)という声もあるようですが、そうではなく、単にトランプ大統領の文化的見識のなさからくるものということであって欲しいですね。

 

これに対して、ロシアと中国からは、今の日本との関係を反映した相応の人物が派遣されました。ロシアは、ウマハノフ上院副議長が参列しました。平成の即位礼のときは、ソ連時代のルキヤノフ最高会議議長でしたので、格下の人が送られた形です。日露の冷ややかな関係を反映してますね。

 

中国は、王岐山 国家副主席を派遣しました。王氏は実質的な指導者グループとされる共産党中央政治局常務委員の一人です。対外的にも副主席ですから中国のナンバー2かというとそうではありません。中国の場合は、中央政治局常務委員会での順位で政治的な地位がわかります。王氏は7人の常務委員の中で6位なので、決して「大物」とは言えません。もっとも、中国は共産主義国ですので、天皇制をよく思っていない国ですから、この人選は仕方がないことかもしれません。

 

なお、親日国とされるイスラエルとトルコからは、当初、ネタニヤフ首相とエルドアン大統領が参列すると発表があったようですが、国内政治の対応などから欠席となりました。

2019年05月30日

外交:国賓待遇とは? 賓客にもいろいろある!

トランプ米大統領は、令和の時代、初の国賓として訪日し、過剰とも一部で批判された「おもてなし」を受けました。そもそも国賓とそうでない賓客とは日本での「待遇」はどう違うのでしょうか?政府が海外から招く賓客は、厚遇される順に「国賓」、「公賓」、「公式実務訪問賓客」、「実務訪問賓客」、「外務省賓客」の5つに分類されます。

 

国賓

国賓とは、宮内庁によれば、「政府が儀礼を尽くして公式に接遇し、皇室の接遇にあずかる外国元首やこれに準ずる者」を指すとしています。対象は「外国元首」ですので、国王・大統領・国家主席などが該当します(米トランプ氏は、大統領であり外国元首)。誰を招へいするかは、閣議において決定されます。

 

「接遇」とは「おもてなし」を意味します。「政府による接遇」は、今回のトランプ大統領の来日には「強固な日米同盟を世界にアピールする」という政治的な目的があったように、政治色を伴います。これに対して、「皇室による接遇」は、天皇が憲法に列記された国事行為ではなく、相手国との友好を増進して親善を深めることを目的に、公的行為として国賓をもてなします。具体的には、今回トランプ訪日でも行われたように、ご会見、宮中晩さん会、宿泊先でのお見送り(ご訪問)などが、これに該当します。その際、政府による接遇とは異なり、皇室の接遇は、政治的な色は出さず、相手の国が大きくても小さくても、利害関係がどうでも、平等で差をつけません。

 

公賓

国賓に次ぐ公賓ですが、国賓との違いは公的な地位の違いのみです。公賓の対象は、皇太子など外国の王族、あるいは副大統領や首相など行政府の首脳となります。接遇に関しては、宿泊先は、原則ともに迎賓館で、歓迎式典もあり、儀仗隊の栄誉礼や国歌演奏なども行われます。天皇との会見も両者とも行われますが、国賓の場合は天皇皇后両陛下が会見されますが、公賓の場合、配偶者が同伴の場合のみ皇后様も同席されるという違いはあります。また、国賓は夜の宮中晩餐会がありますが、公賓は昼食会(午餐)になります。

 

国賓と公賓は儀礼的な色合いが濃いのが特徴で、それ以外の賓客は、実務色が濃いという共通の特徴があります。

 

公式実務訪問賓客

公式実務訪問賓客とは,宮内庁によれば、「外国の元首,王族,行政府の長あるいはこれに準ずる者が実務を主たる目的として訪日することを希望する場合,賓客の地位,訪問目的に照らして政府が公式に接遇し,皇室の接遇にもあずかる賓客」です。国賓、公賓対象者で実務的用件での来日の場合に、公式実務訪問賓客となります。その招へい・接遇は閣議了解を経て決定されます。

 

公式実務訪問賓客の制度は、海外から日本への訪問が増え、国賓として歓迎するために必要な日程の確保や、日本側が負担する予算面での制約を受けて、生まれた仕組みと説明されています。このため接遇(おもてなし)は、国賓や公賓より簡素になります。公式実務訪問賓客の場合、天皇陛下との会見はありますが、歓迎式典はなく、これまで昼食会(午餐)は開かれていましたが、2016年5月から中止されています。宿泊先は迎賓館ではなく、厳重な警備下でホテルでの宿泊となります。トランプ大統領が2017年11月に日米首脳会談のために来日した際には、「公式実務訪問賓客」の扱いでした。

 

ちなみに、戦後、1974年のフォード以来、歴代のアメリカ大統領は、日本へ公式訪問していますが、第43代、ブッシュ(子)大統領以外はすべて国賓として来日しています(トランプ大統領で7人目)。ブッシュ大統領の場合、当時「テロとの戦い」のさなかのアジア歴訪中だったこともあり、日程を十分確保できなかったので、国賓ではなく公式実務訪問賓客として来日しました。その際には、現在の上皇陛下が会見されています。

 

実務訪問賓客

公式実務訪問賓客の次の実務訪問賓客は、国賓と公賓の違いと同様に、公的な地位の違いのみで、対象者は外国の首相、王族などがこれに相当します。

 

外務省賓客

閣僚、主要国際機関の長などが対象で、歓迎式典や天皇との会見、さらには宮中晩餐会・午餐会もありません。

 

*「令和初トランプ大統領を国賓としておもてなし」(くらし☆解説)NHK解説委員、ウィキペディア、新聞報道などよりまとめました。