第267代ローマ教皇にレオ14世就任
2025年5月8日、カトリック教会の最高指導者、ローマ教皇を決める選挙「コンクラーベ(教皇選挙)」の結果、アメリカのロバート・フランシス・プレボスト枢機卿(69)が、第267代の教皇に選出、同時にレオ14世を名乗ることが発表されました。
5月18日には、レオ14世の教皇職の開始(ペトロの後継者としての任務開始)を祝うミサが、バチカンの聖ペトロ広場でとり行われ、新教皇は「憎しみと暴力、偏見や異なるものへの恐れによって傷ついた世界に、愛と結束もって答えたい」と、平和な世界の実現に貢献する決意を示しました
ローマカトリック教会の約2000年の歴史で、アメリカ出身の教皇が誕生するのは、初めてのことです。これまで、カトリック教会は、世界の超大国・米国と親密な関係にあるように映ることを警戒し、アメリカ人が教皇になることはないという暗黙の了解がありましたが、今回、その常識が覆されました。
今回のコンクラーベは、投票権を持つ枢機卿133人が世界各地から集まっていて、はじめてヨーロッパ以外の出身者が過半数を占めていました。そのため、複数の国や地域から、支持を集める人でなければ、教皇になるのは難しかったと見られ、新教皇の出自や多様な経歴が票を集めたとみられています。
実際、コンクラーベで、枢機卿133人の3分の2以上に当たる89票を獲得しており、中道派と保守派の枢機卿たちから支持されたということを意味しています。
レオ14世は、アメリカ出身でありながら、20年近くペルーで宣教活動し、ペルーの市民権も保持しています(国籍取得は2015年)。また血筋をたどればスペイン、フランス、イタリアにもルーツを持つとされています。アルゼンチン出身のフランシスコ前教皇に続き、南米にゆかりのある人物が選ばれた形です。
レオ14世は、2023年、フランシスコ前教皇に招かれ、司教候補者の審査(司教の選出)を担当する司教省長官に就任し、枢機卿にも任命されました。
新教皇は、教会内の改革派と保守派の対立、フランシスコの改革路線を継承するかといった難題に直面することになります。
これまで、女性の役割やLGBT(性的少数者)など教会内で最も分裂する問題については公の場でほとんど発言していない反面、司教省長官として、進歩的な司教たちを誕生させてきました。
また、選出後に卿が選んだ教皇名は、カトリックの長年の歴史が詰まった伝統のある名前「レオ」だったことに保守派は安堵した
アメリカのカトリック教徒は、伝統主義のカトリック教徒が多く、特にフランシスコ前教皇の反対勢力の拠点だったとも指摘されています。彼らは、今回のコンクラーベにおいて、フランシスコ改革を抑制し、覆すような保守派の教皇が選出されることを切望していたと言われるなかで、アメリカ人のレオ14世に対する期待は大きいようです。
トランプ大統領は、アメリカ人初のローマ教皇が誕生したことを受け、「アメリカにとって大きな栄誉」と称えました。
ただし、前教皇との関係はぎくしゃくしていました。フランシスコ教皇が、2016年米大統領選でメキシコ国境に壁をつくると公約したトランプを「橋を架けることを考えずに壁をつくる人はキリスト教徒ではない」と批判したことに対して、トランプ大統領は「バチカンが過激派組織ISに攻撃されたらISの戦利品になるだろう」と応じた経緯があります。
(関連投稿)
ローマ教皇フランシスコの死:その足跡をたどる
(参照)
新ローマ教皇にレオ14世 アメリカ出身のプレボスト枢機卿 選出
(2025年5月9日、NHK)
レオ14世、ペトロの後継者としての任務開始を記念するミサ
(2025.5.18、ヴァチカンニュース)
「米国人が教皇になることはない」との常識を覆したコンクラーベ、改革派の新教皇が「レオ14世」の名に込めた決意
(2025/5/12、JBpress)
憲法記念日に、改憲について考えてみた!
昨日、5月3日は憲法記念日。毎年のように、改憲派と護憲派がそれぞれ集会を開き、テレビやネットでは、両派が意見を交わす討論番組が放映されたり、主張動画が配信されたりしていました。
私は護憲派から改憲派に変わりました。憲法記念日をきっかけに、今年は、憲法改正について考えてみました。少なくとも次の内容について、改憲・加憲の必要性を訴えたいと思っています。
天皇は国家元首
あらゆる主権国家には国家元首が当然存在しますが、現憲法に、国家元首についての規定はありません。日本では、疑いもなく天皇です。
憲法9条2項の改正
憲法9条1項は堅持。日本は、侵略戦争はしないという戦後の決意は決して変わらず、平和憲法の看板を下ろしません。しかし、2項については、国民の命と財産が危険にさらされる事態が生じたとき場合、「…戦力は、これを保持する。交戦権は、国と郷土を守るために、これを認める」と改正されるべきだと考えます。さらに、自衛隊は、有事の際、軍隊になるという条項が加えるべきでしょう。
緊急事態条項を明記
これも、世界の憲法の中には通常、規定されている条項です。コロナ禍において、その必要性を痛感しました。
平時の財政均衡条項
財政を均衡させておくことは、国内外の信頼を得る手段であり、国民に安心して、生活してもらう前提条件です。ただし、平時でない時は、積極財政を行うという意味もあります。
この4項目については、憲法改正:不毛の違憲論争に終止符を! で詳細に論じています。
また、日本国憲法は、アメリカの押し付け憲法か自主憲法かという議論がありますが、本レムリアでは、日本国憲法の全条文がどのように作られたかを、「知られざる日本国憲法の成り立ち」と題して、まとめてあります。ご興味があればぜひ、ご参照下さい。
日本国憲法の制定:わずか9日間で書けたわけ
上諭・前文
日本国憲法(上諭・前文):8月革命説と美濃部の抵抗
第1章 天皇
日本国憲法1~8条(天皇):戦前の天皇制はいかに解体されたか?
第2章 戦争放棄
日本国憲法9条(戦争放棄):マッカーサー3原則と芦田修正
第3章 国民の権利及び義務
日本国憲法11・12条(人権の基本原則):米独立宣言と仏人権宣言の写しか?
日本国憲法13条(幸福追求権):出所はアメリカ独立宣言!
日本国憲法14条(法の下の平等):アメリカ独立宣言の賜物?
日本国憲法15条(参政権):ワイマール憲法から世界人権宣言へ
日本国憲法18条(奴隷的拘束からの自由):日本には奴隷はいなかったのに…
日本国憲法20条(信教の自由):ワイマール憲法からの誘い
日本国憲法21条(表現の自由):たたき台はワイマール憲法!?
日本国憲法22条(居住移転の自由):外国移住の権利、日本に必要だった?
日本国憲法23条(学問の自由):ワイマール憲法を起源に!?
日本国憲法24条(婚姻の自由と両性の平等):ソ連からのメッセージ?
日本国憲法25条(生存権):日本人が書いた稀有な条文
日本国憲法27・28条(労働基本権):スターリン憲法が日本へ!?
日本国憲法29条(財産権):GHQによる土地国有化の試み!?
日本国憲法31条(適正手続きの保障):合衆国憲法修正第5条の写し?
日本国憲法33~35条(被疑者の権利):憲法には詳細過ぎる?
日本国憲法36~40条(被告人の権利等):合衆国憲法(英米法)の影響大!
第4章 国会
日本国憲法41~48条(国会の仕組み):GHQは一院制の国会を要求!
日本国憲法49~51条(国会議員の特権):合衆国憲法に書かれていたから
日本国憲法55~58条(国会の権能):合衆国憲法第1章第5条と同じ!
日本国憲法62~64条(国政調査権等):米政府 (SWNCC) の圧力
第5章 内閣
日本国憲法65~73条(内閣):GHQが課した議院内閣制、天皇大権の完全否定
第6章 司法
日本国憲法76条(司法権の独立):特別裁判所は認めない!
日本国憲法77~80条(裁判官の独立):報酬減額不可にこだわったGHQ!?
日本国憲法81条(違憲審査権):議会より司法を信頼したアメリカ製
第7章 財政
日本国憲法83~86条(財政予算):意外と妥協したGHQ!?
日本国憲法88条(皇室経費):妥協を拒否したGHQ!
日本国憲法89条(公金支出の制限):照準は国家神道!
日本国憲法(財政):GHQが消した幻の憲法草案
第8章 地方自治
日本国憲法92~95条(地方自治):GHQの意に反して……?
第9章 改正
日本国憲法96条(改正):改正させないGHQの深慮は働いたか?
第10章 最高法規
日本国憲法97~99条(最高法規):合衆国憲法の精神満載!