2027年産米は大幅減産へ、未だに続ける減反政策
次世代のためのコメ政策は、食料安全保障の観点から、実質的な減反政策をやめて、増産に転じることである。今も、高いコメ価格の維持に固執する農水省とJA農協の政策は、自己保身・近視眼的で「国益」に反する。
政策提言 農業:「経世済民」の農政を!
★☆★☆★☆★☆★☆★☆
◆ 農水省のコメ需給試算
農林水産省が、2026年10月28日に発表した2027年(27年7月〜28年6月)のコメ需給試算によれば、2027年産の主食用米の需要量は693万〜710万トンと想定されている。2026年の693万トンと同程度か、やや上振れすると想定した
また、2028年6月末のコメの民間在庫量は最大257万トンになるとし、適正量とされる180万~200万トンを依然上回り、コメ余りが長期化する可能性を示唆した。
◆ 減反で米価の高値維持を狙う農水省
これを受けて、農林水産省は、2027年産主食用米の生産目安を前年比6%減の693万トンとすることを自民党の委員会で示した。693万トンは、26年の予想収穫量約740万トンからは大幅な減産となる。
これは、需要の「最小値」に合わせた設定で、政府が掲げる「需要に応じた生産」に基づき、今回は、2027年産の主食用米の需要量の想定値693万〜710万トンの下限である「693万トン」を生産目安として設定した。
なぜ「6%もの大幅減産」をするのかといえば、店頭価格の下落を食い止めるためである(足元ではコメの店頭価格が前年比で大きく下落している)。農水省は、JA農協や自民党などからの要求を受け入れ、大幅な減産目安を示して市場に出回るコメの需給を引き締め、米価下落を抑える官製の需給調整を続ける意向だ。。
◆ 未来を見据えない農水省
この「官製需給調整」には、二つの大きなリスクをともなう。
価格の乱高下リスク
もし実際の需要が国の予想を大きく上回った場合または、異常気象などから生産が想定を下回った場合、再びコメの供給が不足して価格が急騰(コメ騒動のような状態)しかねない危うさがある(予想外の需要増・供給減に対応できない))。
これまでも、国内消費量の減少に合わせて生産量を減らすことで価格を維持させようとしてきたが、市場機能に国が人為的に介入しようとしても中長期的には市場を歪ませるだけで、そのツケはいずれ跳ね返ってくる。
食料安全保障上のリスク
何より、官製需給調整により減産を続けることでコメの生産基盤そのものが縮小する重大なリスクがはらんでいる。一度作付けをやめて荒れてしまった農地を再生するのは極めて困難だ(一度やめた農地は戻りにくい)。
農水省は、減反政策は取りやめたと言ってはいるが、高市政権の鈴木農相は、「需要に応じた生産」を目指すとして、石破政権の増産方針をあっさり覆し、法制化までやった。鈴木農相がいう「需要に応じた生産」とは、生産抑制を促してコメの供給量を絞り、米価を高く維持することで農家を保護しようとするものだ。後任の2人の農相も「需要に応じた生産」を引く継ぐと宣言している。
官製需給調整(実質的な減反政策)は、JA農協と農水省の既得権確保、自民党族議員の保身のための政策であり、国民のための政策ではない。もしては心ある農家のためでもない。
近年、自然災害(豪雨など)や、紛争・局地的戦争のリスクが高まるなか、有事の際に見合うだけのコメを確保しておかなければならない。農政は増産に転じるのが、安全保障上必須である。
(関連投稿)
そのほか、食の安全、食料安保、農政などについてご関心の方は、本HP「私の主張・日本の青写真」のなかの農業政策を参照下さい((←赤字をクリック))。
(参照)
27年産米6%減の見通し 続く官製需給調整、生産基盤の縮小リスク
(2026/10/27、 日本経済新聞)
政府、コメ27年大幅減産で700万トン割れ
(2026/10/27、共同通信)
27年主食用米、海外依存脱却へ
(2026/10/28、京都新聞)



