2022年03月11日

東日本大震災から11年、改めて問う原発ゼロ社会

 

“廃炉”遅れも…3.3万人の避難続く 震災から11年 被災地の“今”

(2022/03/11、FNNプライムオンライン)

 

東日本大震災からきょうで11年を迎えた。亡くなった人は3月1日時点で1万5,900人となり、今もなお、2,523人が行方不明のまま。福島第1原発から直線でおよそ4kmにある福島・双葉町は、11年前の原発事故の影響で、今も町で暮らすことは認められていない。

 

町では、2022年6月ごろから住民の帰還を始める方針で、駅の周辺では新たな役場庁舎の建設、さらには公営住宅の建設が進んでいる。日中は復興のつち音も聞こえてくる。

 

ただ、原発の廃炉は遅れている。第1原発の1号機では、2月に燃料デブリとみられるものを初めて確認できたが、実施は2年遅れた。また2号機では、2022年、試験的に燃料デブリを取り出すが、新型コロナウイルスの影響で遅れが出ている。敷地内で増え続ける処理水を薄めて海に放出する計画には、新たな風評を懸念する漁業関係者が、強く反対している。

 

この春以降、帰還困難区域の一部で避難指示が解除される見込み。3万3,000人余りが避難を続ける福島県の復興。どのように進めていくか、重要な1年といえる。

☆★☆★☆★☆★☆★☆★

 

  • 風化させてはならない震災

 

2011(平成23)年3月11日、午後2時46分に、三陸沖を震源とするマグニチュード(M)9.0の地震が起き、最大震度7を観測、9.3メートル以上の津波が襲来しました。警察庁のまとめでは、今年3月1日現在、記事にもあったように、死者・行方不明者は合わせて1万8423人に上ります。また、復興庁は、避難生活中の持病悪化や自殺などで亡くなった計3784人が1都9県で震災関連死と認定しています。

 

経済産業省資源エネルギー庁によると、2020年に測定された、福島第一原発から80km圏内のエリアにおける、地表面から1メートルの高さの「空間線量率」(放射性物質が発する「放射線量」が、空間で1時間あたりどのくらいになるかという「率」)は、2011年11月に測定したデータとくらべると、線量の平均値は約8割減少しているそうです。

 

ただ、私は「8割減少したのか」という安堵感よりも、まだまだ、福島第一原発から放射性物質が大気中に発散しているという事実の方を重く受け止めています。また、海水には未だに断続的にセシウムが流出し続けていることも指摘されています。大震災は過去の事故で、決して終わってはいないということを肝に銘じなければなりません。

 

 

  • 汚染水の海洋放出問題

 

実際、報道によると、福島第一原発では、2011年の事故で「メルトダウン」が起き、溶け落ちた核燃料を冷却するため、現在も水を入れ続けていています。その冷却に伴って出る、トリチウムなどの放射性物質を含む「汚染水」は一日当たり約140トン発生しています。

 

汚染水は特殊な装置を使って放射性物質を取り除かれていますが、トリチウムなど一部の放射性物質が残った「処理水」は、除去が難しいそうで、そのままたまり続けていて、敷地内の大型タンクで保管されています。しかし、このタンクが、今年2022年秋以降に満杯になる見通しだというのです。

 

これを受け、政府は2021年4月13日、この放射性物質を含む100万トン以上の処理済みの汚染水を、福島県沖の太平洋に放出する方針を決定してしまいました。処理水を、フィルターで、飲料水と同じ放射能レベルまで希釈した上で、原発の1キロほど沖合から、来年春をめどに放出する予定といいます。

 

科学者らは、希釈した処理水には科学的に検知できるリスクはないとし、水に残留している放射性物質は大量に接種しなければ人体に影響はないと説明しています。さらに、別の科学者は、放出された水は大海によって薄められることから、人間を含む生物に対するリスクは低いとしています。

 

国際原子力機関(IAEA)も、「海洋放出はどこでもやっている」と、各国のほかの原発で行われている排水放出に似ているとして、この計画を支持しています。

 

ただし、こうした安全性に関する政府の報道で常に思うことは、安全という科学者の意見を政府が引用しているだけで、安全でないという科学者もいるはずです。「科学者の中には、○○として、安全性に問題があると指摘する向きありますが、政府としては、○○という科学者の意見をより信頼して、安全と判断した…」式の説明が必要だと思います。

 

実際、反対派の意見としては、環境保護団体グリーンピースは、「放出される水に、人間の遺伝子を傷つける恐れのある物質が含まれている」と科学的知見に基づいて抗議の声をあげています。

 

 

  • 原発ゼロは次世代への責任

 

私も、「大量に接種しなければ人体に影響はない」という主張は、少量の接種を積み重ねてしまえば、長期的には人体に影響があるということであり、その放射性物質が有害であることを認めているようなものだと思わざるをえません。さらに、IAEAの「汚染水の海洋放出はどこでもやっている」発言も驚きを隠せませんでした。やはり、海水浴ができない海を次の世代に残してはいけない、原発ゼロは未来への責任と痛感します。

 

<参考>

日本が原発大国になったワケ

 

<参照>

“廃炉”遅れも…3.3万人の避難続く 震災から11年 被災地の“今”

(2022/03/11、FNNプライムオンライン)

福島第一原発の「処理水放出」 国内外の理解得られるかが課題

(2022/1/3 、NHKニュース)