2026年04月18日

「世界は一握りの暴君によって荒廃が進んでいる」

トランプ大統領を批判できない世界の指導者が多いなか、ローマ教皇レオ14世が堂々と声を上げました。

 

――――――

ローマ教皇「暴君によって世界が荒廃」 トランプ氏と対立中に発言

(時事通信、2026年04月17日)(抜粋)

 

ローマ教皇レオ14世は16日、アフリカ歴訪の2カ国目カメルーンで開かれた平和集会で演説し、

世界は一握りの暴君によって荒廃が進んでいる

と批判した。その上で「われわれは人類の友愛に満ちた持続可能な道へ決定的な方向転換をしなければならない」と訴えた。教皇は

宗教と神の名を軍事的、経済的、政治的利益のために利用する者に災いあれ

と強調した。

―――――

 

これを受け、イギリス国教会の最高指導者、ムラリー・カンタベリー大主教もローマ教皇を支持する声明を発表、キリスト教の指導者が良心の声を上げたことは、世界はまだ救われる余地を残していると言えます。

 

―――――

英国教会の最高指導者、ローマ教皇を支持

(2026年4月17日、日テレ)

 

イギリス国教会の最高指導者、ムラリー・カンタベリー大主教は16日、イランへの攻撃に反対してアメリカのトランプ大統領から名指しで批判を受けているローマ教皇レオ14世に対し、支持する姿勢を明らかにしました。

ムラリー氏は声明で「私は、キリスト教において兄弟である教皇レオ14世が平和を求め、勇気をもって発した呼びかけに賛同する」と述べたうえで、「罪のない人々が殺害され、追放され、家族が引き裂かれて未来が破壊されている中で、戦争がもたらす人的被害は計り知れない。平和のために働き、祈ることは、すべてのキリスト教徒や信仰と善意を持つ人々の使命だ」と指摘しました。

また、すべてのイギリス国教会の信徒らに対し「ローマ教皇と共に世界の平和と正義のために声を上げるよう強く求める」と呼びかけました。

―――――

 

トランプ大統領のローマ教皇に対する「口撃」は、米イスラエルによる対イラン攻撃を暗に批判したことに始まりました。

 

教皇は、これまで「手にしている武器を置きなさい。戦争を引き起こす者は平和を選びなさい」と発言、また、イラン文明を滅ぼすというトランプ大統領の脅しについても「容認できない」と大統領の行き過ぎた発言を戒め、紛争終結の「出口」を見つけるよう求めました。

 

こうした自身を批判する教皇に激怒したトランプ大統領は12日、自身のSNSで長文を投稿し、レオ14世を名指しして次のように非難しました。

 

「イランの核兵器所持を許容する教皇はいらない。米国の大統領を批判する教皇もいらない」

「犯罪に弱腰で、外交政策はひどい」

「(教皇は)しっかりすべきだ」、「核兵器に対して弱腰だ」

「外交政策にとって最悪」「過激な左派に迎合している」

 

トランプ大統領は加えて、レオ14世が教皇に選出されたことについて、「彼がアメリカ人で、ドナルド・J・トランプ大統領に対応するにはそれが最善の方法だと思われたからだ」と主張。「もし私がホワイトハウスにいなかったら、レオはヴァチカンにいなかっただろう」とした。

 

さらに、この投稿直後にトランプ大統領は、ローブを身にまとった同氏が光り輝く自身の手を、キリストに模して患者の額に当てる、AI画像を投稿しました。

 

これにはさすがに、支持基盤とされる宗教‌保守派の一部‌からも批判と謝罪要求の声が上がった​ことで、翌13日に削除し、大統領は、「自身をキリストに模したつもりはなく、医師として描かれた画像だと苦し紛れの弁明をしました。

 

しかし、トランプ大統領は同日、教皇を非難した投稿について記者団から説明を求められると、次のように答えて、教皇への批判をさらに強めました。

 

「とても弱い」教皇に「謝る必要はない。彼が間違っている」と述べ、謝罪を拒否、「彼はあまり良い仕事をしていないと思う。たぶん、犯罪が好きなんだろう」と述べました。また、「(自分は教皇の)大ファンではない」、「彼は非常にリベラルな人だ。犯罪の阻止を重視しない人間だ。核兵器を手に入れて世界を吹き飛ばそうとしている国を、私たちがもてあそぶべきだとは思わない男だ」と非難しました。

 

さらに、これでも腹の虫が収まらなかったのか、15日に画像を再び投稿、今度は、米国旗を背景に、キリストがトランプ大統領‌を抱き寄せ、​こめかみを触れ合わせている様‌子を描かせました。

 

トランプ大統領の発言に対する教皇の反応は次のように報じられています。

 

――――――

ローマ教皇「私はトランプ政権を恐れてない」「誰かがもっと良い方法があると言わなければならない」

(2026/04/14、読売)

 

米国などによる対イラン軍事作戦に関する発言を巡り、トランプ米大統領から非難されていたローマ教皇レオ14世は13日、「私はトランプ政権を恐れていない」と述べ、戦争に反対する発言を続けると表明した。トランプ氏の批判に屈しない姿勢を鮮明にした。

 

英BBCによると、アフリカ歴訪の最初の目的地アルジェリアに向かう飛行機内で、記者団に語った。自身の役割は平和のメッセージを広めることだとし、「今日、世界であまりにも多くの人が苦しみ、罪のない人が殺されている。だからこそ、誰かが立ち上がって『もっと良い方法があるはずだ』と言わなければならない」と述べた。

―――――

 

冒頭のローマ教皇レオ14世による「暴君によって世界が荒廃…」発言は、アルジェリアの次の訪問地、カメルーンでの演説でした。

 

一般的に、教皇が世界の指導者の発言に直接言及するのは珍しいとされていますが、レオ14世は、それだけ、トランプ大統領の言動に対して、諭さなければならないと判断したのかもしれません。その後の演説でも教皇は、「国際法の継続的な違反や新植民地主義的な傾向」を批判。世界の政治指導者らに対し、正義と連帯の原則に基づく行動を強く求めています。

 

それにしても、アメリカの大統領が教皇に対して、これほど激しい言葉を向けるのは異例で、「ヒトラーやムッソリーニでさえ、これほど直接的に、かつ公然と教皇を攻撃することはなかった」そうです。

 

また、自身をイエス・キリストに見立てたような画像を投稿するような行為など、誰からも理解されず、「少し謙虚さを持った方がトランプ氏のためになる。神はからかわれるべきではない」といった批判が保守派からも聞かれています。

 

トランプ大統領の盟友とされてきたイタリアのメローニ首相が批判したように、教皇は世界中に約14億人の信者を擁するカトリック教会の長であり(アメリカにも人口の約2割を占める7000万人以上のカトリック信者がいる)、「平和を呼びかけ、あらゆる形態の戦争を非難するのは当然かつ正常なこと」です。

 

キリスト教会を愚弄するような画像の投稿や、教皇へ露骨な批判をするトランプ大統領には、歴代の米大統領を含めて、大国、中小国を問わず、自有主義世界の政治指導者であれば、通常もっている宗教に対する畏敬の念や、教皇のような世界的な宗教指導者に対する敬意の念をもっていないの残念なことです。

 

イエスは、「戦争は常に人類の敗北である」と述べたそうです。近年、進んでいる世界秩序の崩壊を防ぐためにも、今後、宗教者の役割は重要になってくるように思います。世界の宗教指導者は、連帯・団結して、暴君たちを諫め、世界の平和を訴え続けてもらいたいと思います。

 

レオ14世が指摘した「一人握りの暴君」に、プーチン大統領、トランプ大統領に続く人物が名を連ねないことを願うばかりです。