移民・外国人政策における提言
日本を移民大国にしてはならない
歴代政権が、建前として「移民政策はとっていない」と主張しつつ、実際は移民を受け入れてきた「二枚舌行政」をやめ、建前の「日本は移民を受け入れない」」を移民政策の根幹に据える。
人口減少社会を受け入れる
政策の前提として、人口減少社会を受け入れて、人口減少分を移民(外国人労働者)受入れで補い、現在の経済規模を維持しなければならないとする考えを捨てる。経済政策の目標もGDPの規模ではなく、一人当たりGDPの伸びに切り替える。
「移民が経済を支える」という考えを捨てる
人手不足は、移民ではなく、賃上げなど日本人の労働者の待遇改善と、IT・AI投資の拡大で乗り切り、それでも足りない部分には「つなぎ」として外国人を入れる。IT・AIの技術進歩で追いつけば、新規の外国人受け入れは終了し、既存の外国人労働者は、定年退職までに帰国してもらう。
外国人労働者は帰国が前提
外国人労働者は、最初から帰国を前提として受け入れる(永住権を与えることを想定しない)。同時に、永住権・国籍取得(帰化)条件を厳格化させる。したがって、外国人を呼び込むために、実習生・留学生から特定技能、高度人材へとステップアップさせながら永住権獲得へ向けて一本化されている現在の受け入れ体制を見直す。
移民の受け入れに上限設定
移民国家化を避けるためにも、移民の総量規制を実施し、現在、一部の分野で採用している受け入れ上限を、全ての分野で採用し、全体の受入人数の明確な上限を設定する。
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◆ 現状認識
政府のスタンス
歴代政権は、保守層の支持者向けに 建前として、「移民政策はとっていない」「単純労働者は受け入れない」の立場を堅持しつつ、実際は、経済界の要望に応じ、移民(外国人労働者)を受け入れてきた。
企業の論理
政府の移民政策は、バブル景気以降、深刻になったとされる人手不足に対応するために、外国人労働者(移民)を必要とした最大支持母体である経済界の要求に応えたものである。
人手不足が顕在化した1980年代後半、外国人を受け入れなくても、賃上げなど日本人の待遇を改善できれば日本人労働者で多くの部分を埋めることができたと言われている。しかし、企業は、この追加のコストを払うことを望まず、むしろ、政府に圧力をかけて、外国人労働者を受け入れさせた。来日した外国人労働者はそれまでの(低い)賃金水準で、文句も言わずに働くので、企業は日本人ではなく、外国人を積極的に雇用した。
その結果、日本人労働者の賃金が上がらず、低賃金の状態が続いた。現在、日本人労働者の賃金は、隣国韓国の労働者よりも安く、先進国の中で突出して低い。また、外国人受け入れにともない賃金全体が抑制され続けたことが、現在の日本経済全体の長期的な低迷の原因になっている。
さらに、日本は、外国人の高度人材を積極的に受入れる(在留資格「特殊技能2号」なら受け入れ上限なし)としているが、最初から、高い賃金を払っても日本人を雇用(採用や処遇改善)して、その日本人をリーダー(=高度人材)に育てるという選択肢もあったが、多くの日本企業はこの選択も採らなかった。
◆ 「深刻な人手不足」の実態
人口動態的に日本では、確かに労働力人口は減少している。しかし、本当に「深刻」と懸念されるほどの人手不足なのか?
マスコミも巻き込んだ印象操作
「深刻な人手不足」という言葉は、政府や財界、マスコミによって、「単純労働者」受け入れの批判をかわしながら、外国人労働者を受け入れるための一種の「大義名分(レトリック)」として利用されたことも事実である。
日本政府は「移民(単純労働者)は受け入れない」という国是を掲げていたため、正面から「労働者が足りないから外国人を入れる」とは言えず、「中小企業が倒産してしまうほどの『深刻な危機』だから、例外的に日系人や研修生を受け入れるのだ」という「言い訳」をした。
ニュース報道なども、日本が日本人の国として、収縮していく姿しか描かれず、将来への不安感だけを持たされ、将来の日本は、外国人なしにやっていけないと思いこまされていく。高度人材の受け入れも、外国人でなければ、高度人材を得られない印象を与えている。新聞・テレビなどのメディアのスポンサーは大企業であることを忘れてはならない。
低い日本の労働生産性
日本は労働生産性が低いと言われている。労働生産性が低いということは、就業者一人当たりが生産するGDPが低いことだが、別の見方をすると、日本では同じGDPを生産するのにより多くの就業者を要しているということになる。
日本の労働生産性は、他のG7諸国に比べて低いだけでなく、その伸び率も極めて緩やかである。現在の就業者数の4割以上が潜在的に過剰とも試算されている。日本が、さらなるロボットやIT・AI技術を活用して、他の先進国並みの労働生産性を実現できていれば、人手不足は大きく改善するとみられている。また、この労働生産性の低さが、日本の長期的な低成長の要因と指摘されている。
◆ 現在の移民政策の行く着く先
このまま、企業の要望通り、低賃金の外国人労働者で経済を支えようと、移民を受け入れ続けたらどうなるか?
終わりのない?低所得の国からの移民流入
現在、在留外国人の主流は、中国人からベトナム人に移り、そのベトナム人流入の勢いは衰え、インドネシアやミャンマーといった他国籍の労働者が急増している。
この変化の要因は何かといえば、日本において、過去30年くらい賃金が低く抑えられているなか、中国やベトナムで経済成長を実現して賃金が上がり、日本で働く利点がなくなっていることである。
逆に、現在、増加しているインドネシアやミャンマーの人々にとっては、今の日本の賃金体系においても、自国で働くよりも魅力があるが、やがて、彼らの国でも成長によって、賃金が上昇してくれば、日本を選ばなくなる可能性が高い。
日本が低賃金の外国人労働者で支えようとする限り、単純労働を担う外国人労働者の主力は、ベトナムやミャンマーなど東南アジアから、現在世界で最も賃金水準が低いサハラ以南のアフリカ諸国となっていく可能性ある。
そうなった場合、今後も、低賃金で働いてくれる外国人が入れ替わり流入し続けるので、日本人の賃金はあがらずに、労働生産性もそこそこに、「成長しない日本」が続いていく。
日本人より外国人の数が多くなる未来
問題の本質は、政府や財界が、現在の経済規模(企業の利益)を維持することを大前提としていることである。
政府は、今のGDP(国内総生産)の水準を維持し、世界のトップレベルの経済的地位を、また、大企業は今の売上高水準を維持し、国内外のトップ企業の地位をそれぞれ維持することを至上命題としているようだ。そこで出した答えが、労働人口が減るのであれば、その分、外国人労働者を受け入れるということであった。
少子化で日本人の人口は減少に向かうのに、現状の人口を維持するために、移民を増やし続ければ、数百年後の日本列島には、日本人より外国人の方が大勢いるということになってしまう。
今の日本で「外国人労働者拡大」を推進することは、長期的には「亡国の政策」となってしまう。政治家も経営者の多くは、将来世代の問題は先送りして、次の選挙で勝つこと、自分の代で会社を潰さないことしか考えていない。
◆ 望まれる移民政策
このような未来を避けるために、やるべきことは何であろうか?
「現在の経済規模を維持する」という考えを捨てる
まず、政府や財界が、人口が減少しても、現在の経済規模(会社の規模)を維持しようとする考えを捨て、人口減少は避けられないと人口減少を受け入れることである。
現在の経済規模を維持しようと考える際に、政府財界は、GDPの上位の地位を守ろうとするが、人口減少社会において、国民生活を向上させることを主眼において、GDPの規模ではなく、一人当たりGDPを重視すべきである。
1人当たりGDPの増加は、人々が豊かに暮らせるようになったことを意味する。人口が半分に減少して、GDPが半分になっても、1人当たりGDPが減らなければ、生活水準は維持できる。
「移民で経済を支える」という考えを捨てる
また、同時に、政府・財界は、移民(外国人労働者)で経済を支えるという発想を捨てなければならない。
外国人を入れることで、賃金を抑制しながら、日本経済を成長させようとする大企業・財界の試みは、「失われた30年」という言葉に象徴されるように、失敗に終わっている。
今後は、人手不足を、賃上げなど日本人の労働者の待遇改善と、IT・AI投資の拡大による労働生産性の向上によって乗り越えながら、日本経済を成長させようとするスタンスに切り替えなければならない。高度人材も、外国人に来てもらうのではなく、日本人を育成するべきである。
外国人労働者は、日本人の労働者の待遇改善と、IT・AI投資の拡大をもってしても、補えない場合に、「つなぎ」として外国人を入れる。IT・AIの技術進歩で追いつけば、新規の外国人受け入れは終了し、既存の外国人労働者は、定年退職までに帰国してもらう。
移民の総量規制
そうすると、日本労働者の生産性向上とIT・AI技術の活用が進めば、外国人労働者の受け入れ数も減少していく。これを確実なものにするために、また、日本の移民大国化を防ぐためにも、現在、一部の分野で採用している受け入れ上限を、全ての分野で採用し、全体の受入人数の明確な上限を設定することが望ましい。
外国人労働者は、帰国を前提として受け入れる
外国人労働者の位置づけがこのように変われば、現在のように、永住権をちらつかせながら、外国人労働者を確保する必要はなくなる。
これまでは、外国人労働者を受け入れるために、政府は永住権の付与を念頭に、在留資格の規制緩和を続けきただけでなく、受け入れ制度そのものも、留学・技能実習から特定技能、高度人材へと、永住権獲得へ向けて一本化された道筋が準備されていた。
しかし、今後は、外国人労働者(就労目的で日本にくる外国人)は、帰国を前提として受け入れるべきである。もともと、移民政策を推進していないとする立場の政府は、建前上、「就労目的の外国人は、中長期的滞在でも帰国が前提で、『死を前提とした入国』ではない」としている。これからは、この建前を移民政策の根幹に据えるのである。
将来の憂いを絶つ
将来的に、ITやAI、ロボット技術によって、人間の仕事の多くは奪われると言われている。人手不足、人手不足と言われていたのが、いつの間にか、ロボットで代替されていたという時代が来ると予測されている。
人間の労働力が余った場合、先に解雇されるのは外国人労働者となるであろう。そうなると、政府が、受け入れのために永住権を与えたり、家族帯同を認めたりした外国人の失業者が街にあふれることになれば、新たな社会不安を引き起こす。そのなかには、日本で生活保護を受給する人たちが増えてくることになれば、財政をさらにひっ迫させることにもなりかねない。
帰国を前提とした外国人の受け入れ策というのは、そうした将来の社会問題の根を絶っておくという意味でも有用な政策である。
永住権取得の条件の再厳格化
一方、帰国を前提とするということは、永住権取得の条件を厳格化することも求められるが、これまで緩くしていた永住権・国籍取得(帰化)条件を元の水準に戻すだけのことである。たとえば、次のような現行制度の修正が望まれる。
- 高度人材ポイント制を活用した最短1年、3年の永住権申請の「特典」は廃止し、通常の在留10年に戻す。
- 技能実習(育成就労)から特定技能へ「試験免除」で移行できる制度を廃止
- 特定技能2号取得者について、在留資格に期限をつけ、家族帯同も認めない(現在、無期限で家族帯同可)。
永住権の安売りは、移民国家化を後押し、国を危うくするので、厳格化は望ましい方向制だ。
不法移民の取締強化
治安と秩序の維持を、経済成長より優先する。犯罪にかかわった外国人(永住者を含む)は強制送還するなど、より厳格な入国管理を徹底させることが必要だ。この問題については、改めて体系的な提言を行いたい。
他の政策提言については、こちら☞
(投稿日:2026.9.17)



