米軍横須賀・厚木基地から有害な有機フッ素化合物検出!
アメリカ海軍横須賀基地と厚木基地から、有害性が指摘されている有機フッ素化合物を含む排水が流出していたことが明らかになりました。以下、この件に関する記事を紹介します。
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米軍横須賀基地から有機フッ素化合物 9月調査で目標値の258倍検出
(2022/10/27、テレビ神奈川)(一部抜粋)
アメリカ海軍横須賀基地から、有機フッ素化合物を含む排水が流出したおそれがある問題で、9月に実施された調査の結果、目標値の258倍の有機フッ素化合物が検出されたことがわかりました。 この問題はことし6月、健康リスクが指摘されている有機フッ素化合物の「PFOS」や「PFOA」を含んだ排水が、基地から外部に流出した可能性があると、アメリカ側から防衛省に通報があったものです。
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米軍基地 有機フッ素化合物検出で横須賀市が立ち入り申請へ
(2022年10月27日、NHK NEWS WEB)(一部抜粋)
横須賀市のアメリカ海軍横須賀基地の排水処理施設では、ことし5月以降、有害性が指摘されている有機フッ素化合物、PFOSやPFOAが国の暫定的な指針値を超えて検出されていて、ことし8月29日にアメリカ軍が行った調査では、指針値の172倍の濃度で検出されました。
この問題を受けて、横須賀市の上地克明市長は27日の記者会見で、市の職員が基地に立ち入って、アメリカ軍の汚染防止対策などについて直接調査を行えるよう、在日アメリカ軍に申請することを明らかにしました。立ち入りを許可するかは日米合同委員会で協議され決められますが、基地が設置を進めている有害物質を吸着する、「活性炭フィルター」稼働後の来月1日以降に立ち入り調査を行い、排水処理施設で排水を採取して詳しく調べたいとしています。
また27日はアメリカ軍の新たな調査結果が、国を通じて市に伝えられました。8月30日に調査した4地点では指針値の0.7倍から5倍程度の濃度でしたが、1か月後の先月29日の調査では指針値の125倍から258倍と、再び高い濃度で検出されたということです。市は引き続き、原因の調査や汚染対策の強化を求めていくとしています
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米軍厚木基地 川から国の指針の3倍超の有機フッ素化合物検出
(2022年10月21日 NHK NEWS WEB)
神奈川県のアメリカ海軍横須賀基地の排水から、有害性が指摘されている有機フッ素化合物が相次いで検出されていますが、アメリカ海軍厚木基地でも先月、基地を流れる川から国の指針の3倍を超える濃度の有機フッ素化合物が検出されたことが分かりました。神奈川県は21日、防衛省に対し、再発防止と日米で周辺環境への影響調査を徹底するよう、口頭で要請しました。
先月24日、神奈川県綾瀬市と大和市にまたがるアメリカ海軍厚木基地で、有害性が指摘されている有機フッ素化合物、PFOSやPFOAを含む消火剤をを基地の中を流れる蓼川(たてがわ)につながる調整池に誤って放出させたと、アメリカ海軍から防衛省に説明がありました。
防衛省が蓼川の基地の外側、2か所で調査をしたところ、下流の水から国が示す指針値の3.6倍の濃度の有機フッ素化合物が検出されたということです。神奈川県によりますと、厚木基地では消火剤が放出された調整池の水を放出し、たまっていた泥の回収と洗浄を終えたということです。
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この一連の報道を受けて、東京新聞は、在日米軍による環境汚染を暴き続け、今回もその実態を暴いたとされる英国人活動家ジョン・ミッチェル氏の声を届けました。ミッチェル氏の活動の動機は、「PFASを含んだ汚染水を米軍基地内の家族や米軍も飲んでいる。日本人とアメリカ人の両方を助けたい」からだそうです。
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全国の米軍基地周辺で有機フッ素化合物汚染が頻発 実態暴いた記者ミッチェルさんは嘆く「もっと学んで」
(2022年10月30日、東京新聞)(一部抜粋)
◆「日本人とアメリカ人の両方を助けたい」
英・ウェールズ生まれのミッチェルさんは1998年に来日した。2010年から調べ始めたのが、沖縄に持ち込まれた有毒な枯れ葉剤の問題だ。ベトナム戦争で米軍がジャングルを枯らす目的で散布し、人々をむしばんだ猛毒は、沖縄にも持ち込まれていた。曽祖父が第1次世界大戦で毒ガスを浴びていたミッチェルさんは、化学兵器の被害から目をそむけることができなかった。
「沖縄なくしてベトナム戦争を続けることはできない」と言われたほど、当時の沖縄は米軍の重要な補給基地であり、対ゲリラ戦の訓練場だった。米軍は、兵士にすらそのリスクを隠していた。
沖縄駐留の元軍人たちは、その影響とみられる病気や体調不良を訴えていたが、米政府は長らく被害を認めていない。ミッチェルさんは、退役軍人や住民たちに取材。加えて、14年に米情報公開制度を使い、沖縄での枯れ葉剤を含む環境汚染に関する軍の内部文書を入手して関連を明らかにした。ミッチェルさんの一連の報道は、一部の退役軍人の補償へとつながった。
◆原動力は、差別される人々への深い共感
これまで入手した米国防総省や中央情報局の資料は1万2000枚を超えるという。在日米軍基地の環境汚染に関するこうした資料を、ミッチェルさんは、沖縄国際大学やハワイ大学などに寄贈してきた。米情報公開制度を使ったとはいえ、容易に入手できない資料ばかりだからだ。実際、ミッチェルさんが枯れ葉剤に関する情報請求をしてから、開示されるまで約1年半を要した。「情報を入手するにも多くの時間がかかり、粘り強い交渉が必要となる」という。
それでも、沖縄の枯れ葉剤汚染や米兵たちの被害を訴え続けてきたのは、差別される人々への深い共感があったからだ。
16年1月、沖縄県企業局による調査で北谷浄水場で高濃度のPFASが検出されていたことが発覚したのを契機に、PFASについても調査を始めた。
枯れ葉剤の調査で培った手法を駆使し、米軍内部資料を精査すると、PFASを含む泡消火剤の流出事故が多数起きていたことが分かった。「ずさんな管理体制によって何度も同じような事故が起きていた」
◆「日本政府はほとんど文句を言わない」
ミッチェルさんが強調するのは日本の特殊性だ。「米国内の基地でPFASによる汚染が判明した場合は、米軍は住民に公表し、ボトルの水など安全な水を提供している」。米軍基地のあるドイツ、ベルギー、ホンジュラスなどでも地元住民らに同様の報告をしているという。
一方、日本では十分な情報公開も補償もない。「日本政府は環境や人々の健康よりも日米地位協定を尊重している。ドイツや韓国など他国はもっと米軍の責任を強い姿勢で追及している。日本政府は、ほとんど文句を言わない」
ミッチェルさんのPFAS汚染の報道を受け、日本政府が米軍に「ジョン・ミッチェルに渡した文書がほしい」と依頼したこともあったという。「日本政府が、人々の命を守るための何の情報も得ていないことがとてもショックだった」 国民の健康被害のリスクに鈍感な日本の政治やメディアを嘆き、ミッチェルさんは訴える。「沖縄以外の人たちもPFASについてもっと学んでほしい」
◆デスクメモ 決して「遠い話」ではない
沖縄では、米軍が放出したPFOSが市中の川に流れ込んで大量に泡だち、保育園に飛散したこともある。下水から高濃度のPFOSが検出されても、米軍は「関連は分からない」と言い張る。この姿勢は、本土の基地でも同じはずだ。決して、「遠い沖縄の話」で済むことではない。
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今後、再発防止が徹底されるだけでなく、在日米軍基地における環境汚染の今回の問題が氷山の一角でないことが望まれます。