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2025年05月20日

第267代ローマ教皇にレオ14世就任

2025年5月8日、カトリック教会の最高指導者、ローマ教皇を決める選挙「コンクラーベ(教皇選挙)」の結果、アメリカのロバート・フランシス・プレボスト枢機卿(69)が、第267代の教皇に選出、同時にレオ14世を名乗ることが発表されました。

 

5月18日には、レオ14世の教皇職の開始(ペトロの後継者としての任務開始)を祝うミサが、バチカンの聖ペトロ広場でとり行われ、新教皇は「憎しみと暴力、偏見や異なるものへの恐れによって傷ついた世界に、愛と結束もって答えたい」と、平和な世界の実現に貢献する決意を示しました

 

ローマカトリック教会の約2000年の歴史で、アメリカ出身の教皇が誕生するのは、初めてのことです。これまで、カトリック教会は、世界の超大国・米国と親密な関係にあるように映ることを警戒し、アメリカ人が教皇になることはないという暗黙の了解がありましたが、今回、その常識が覆されました。

 

今回のコンクラーベは、投票権を持つ枢機卿133人が世界各地から集まっていて、はじめてヨーロッパ以外の出身者が過半数を占めていました。そのため、複数の国や地域から、支持を集める人でなければ、教皇になるのは難しかったと見られ、新教皇の出自や多様な経歴が票を集めたとみられています。

 

実際、コンクラーベで、枢機卿133人の3分の2以上に当たる89票を獲得しており、中道派と保守派の枢機卿たちから支持されたということを意味しています。

 

レオ14世は、アメリカ出身でありながら、20年近くペルーで宣教活動し、ペルーの市民権も保持しています(国籍取得は2015年)。また血筋をたどればスペイン、フランス、イタリアにもルーツを持つとされています。アルゼンチン出身のフランシスコ前教皇に続き、南米にゆかりのある人物が選ばれた形です。

 

レオ14世は、2023年、フランシスコ前教皇に招かれ、司教候補者の審査(司教の選出)を担当する司教省長官に就任し、枢機卿にも任命されました。

 

新教皇は、教会内の改革派と保守派の対立、フランシスコの改革路線を継承するかといった難題に直面することになります。

 

これまで、女性の役割やLGBT(性的少数者)など教会内で最も分裂する問題については公の場でほとんど発言していない反面、司教省長官として、進歩的な司教たちを誕生させてきました。

 

また、選出後に卿が選んだ教皇名は、カトリックの長年の歴史が詰まった伝統のある名前「レオ」だったことに保守派は安堵した

 

アメリカのカトリック教徒は、伝統主義のカトリック教徒が多く、特にフランシスコ前教皇の反対勢力の拠点だったとも指摘されています。彼らは、今回のコンクラーベにおいて、フランシスコ改革を抑制し、覆すような保守派の教皇が選出されることを切望していたと言われるなかで、アメリカ人のレオ14世に対する期待は大きいようです。

 

トランプ大統領は、アメリカ人初のローマ教皇が誕生したことを受け、「アメリカにとって大きな栄誉」と称えました。

 

ただし、前教皇との関係はぎくしゃくしていました。フランシスコ教皇が、2016年米大統領選でメキシコ国境に壁をつくると公約したトランプを「橋を架けることを考えずに壁をつくる人はキリスト教徒ではない」と批判したことに対して、トランプ大統領は「バチカンが過激派組織ISに攻撃されたらISの戦利品になるだろう」と応じた経緯があります。

 

 

(参照)

新ローマ教皇にレオ14世 アメリカ出身のプレボスト枢機卿 選出

(2025年5月9日、NHK)

レオ14世、ペトロの後継者としての任務開始を記念するミサ

(2025.5.18、ヴァチカンニュース)

「米国人が教皇になることはない」との常識を覆したコンクラーベ、改革派の新教皇が「レオ14世」の名に込めた決意

(2025/5/12、JBpress)