中南米の地誌

 

アマゾン川は、アンデス山脈を源にもつパラグアイ川、パラナ川、ウルグアイ川が合流して成り立ち、アマゾン低地を東流して、大西洋に注ぐ南アメリカ大陸の大河である。流域面積が世界一。

 

アマゾン川は、南アメリカ大陸を東西に流れる。エクアドルにはアマゾン川の上流の一部が流れている。

 

アマゾン川は、アンデス山脈を水源とし、南アメリカ北部を東流して大西洋に注ぐ、世界最大の流域面積を有する河川である。流域の大部分が熱帯気候に属しており、カンポやパンパと呼ばれる熱帯雨林が密生するが、近年、牧場の拡大やダムによる埋没等によって熱帯雨林の破壊が進んでいる。

 

オリノコ川は、中上流域ではコロンビアとの国境を北に流れ、ベネズエラを東西に貫通し大西洋に注いでいる。オリノコ川流域にはリャノと呼ばれる草原地帯が広がる。

 

ラプラタ川は、アルゼンチンの首都ブエノスアイレスが河口に位置している。

 

中南米では、封建的大土地所有制が残存しており、中米からアンデス諸国ではアシェンダ、ブラジルではファゼンダ、アルゼンチンではエスタンシアと呼ばれる。

 

<中米>

メキシコは、南部にマヤ文明とアステカ文明が栄えていた土地で、メソチソが人口の60%を占める。政情は比較的安定しているが、1994年に通貨危機に見舞われ、大規模な国際支援を受けた。

メキシコはかつてマヤ文明が栄え、スペインの植民地時代は「銀の国」と呼ばれたほど、鉱物資源に恵まれている。

 

コスタリカは、白人が人口の97%を占める。民主政治の伝統の下で政情は安定しており、平和憲法によって軍隊を持たず、教育に力を入れているが、産業は農牧業が中心で、財政は苦しい。

 

グアテマラは、スペイン人到来以前はマヤ文明が栄え、現在も先住民が人口の半分以上を占める。貧富の差が激しく、長年内戦が続き、政情は不安定であるが、近年ようやく民主化の兆しがみえてきた。

 

ハイチは、19世紀初頭に黒人国家として独立し、黒人が90%を占めており、フランス領であった歴史からフランス語を公用語とする。極貧国で貧富の差が激しく、政情は不安定で、1995年には国連が介入した。

 

キューバは、中南米唯一の共産主義国家である。砂糖のモノカルチャーを脱せず、ソ連崩壊とアメリカの経済封鎖の強化により経済は逼迫、1994年には大量の難民流出が起こった。

 

<南米>

ブラジルは、世界有数の農業国で生産量も伸びているが、その多くが輸出用の商品生産物であり、米、キャッサバ(マニオク)、フェジョン豆などの自給食糧作物の伸びは人口増加に追いつかない。大土地所有制が温存されているため、貧富の差が極めて激しい。

 

ブラジルは、国土の北部は大河(アマゾン川)の東流する低地、東部内陸は高原である。住民は白人が多く、言語は近隣諸国と異なっている。熱帯作物の生産も多いが、近年工業化が進み、工業製品が輸出品の70%を占めている。インフレがひどく、1994年にデノミを実施した。

 

ブラジルは、スペイン系白人?やメソチソ?ムラート?が多く、日本からの移民も多い。公用語はポルトガル語であり、農業はコーヒーの生産が盛んだが、近年コーヒーのモノカルチャー経済から経営の多角化を進めている。また、工業も、ラテンアメリカ最大の工業国である。首都ブラジリアはブラジル高原南東部に位置する。

 

ブラジルでは、大土地所有制が発達し、ファゼンダと呼ばれる農場で、コーヒーのプランテーションが行われている。

ブラジルの大農園ではコーヒー栽培が盛んであるが、やや内陸のパラナ州へ中心地が移動している。

 

アルゼンチンは、国土の西部には山脈が南北に走り、東部の豊かな平原では農牧業が盛んである。住民は白人が圧倒的に多く、南部への人口集中が著しい。現政権の努力で、1990年にピークに達したインフレが鎮静化し、経済も持ち直している。

 

ベネズエラは、国土の中央部を東流する大河(オリノコ川)を中心に熱帯気候が卓越する。住民はメソチソが大半を占める。中南米の主要な産油国であるが、石油価格の低迷で経済は悪化している。農牧業の生産性は低く、食料の大半を輸入している。

 

ベネズエラは、コロンブスの第3回航海での発見後スペインの植民地であったが、独立後も政情不安が続いた。マラカイボ湖低地とリャノ東部に世界的埋蔵量を持つ油田があり、輸出の大部分が石油と石油製品である。首都カラカスは高原にある近代都市である。

 

エクアドルは、国名が示すように赤道直下に位置し、国土の中央部を南北に山脈が走る。太平洋上1000km沖にガラパゴス諸島を領有する。住民はメソチソとインディオで80%を占める。石油が最大の産業だが、農業と漁業も重要である。対外債務の返済に苦慮している。

 

チリは、国土が南北に長いため、気候は変化に富んでいる。鉱業が最大の産業で、果実、水産物も輸出している。住民はメソチソが多い。長年の軍政から民政に移行した1990年以降、経済は回復してきている。