中近東の地誌

<中近東(西アジア)の地誌>

 

亜熱帯高圧帯に覆われることから、広い地域が乾燥気候に属する。アラビア半島にはナフード(ネフド)砂漠や、ルブアルハーリー砂漠などの広大な砂漠がある。砂漠地帯を貫流するチグリス川とユーフラテス川はトルコを水源とする。

 

ユーフラテス川は、トルコ北東部の山地を源流としてシリアを通過し、イラクでチグリス川と合流してシャッタルアラブ川となり、最終的にペルシア湾に注ぐ国際河川です。

 

ワジ(涸(か)れ川)

アラビア半島やアフリカ北部の降雨時にだけ水が流れる川。砂漠の中に突如として発生する河川で、代表的なところは、中央アジアのタクラマカン砂漠で一定の時期にだけに発生する涸(か)れ川がある。乾燥した季節には水がほとんど無くなるためワジと呼ばれる。

 

サウジアラビアや、アラブ首長国連邦など、ペルシャ湾を中心とする西アジアには、石油資源に恵まれた国が多い。この地域には、第二次世界大戦以前から、外国の国際石油資本(メジャー)が進出してきた。しかし、メジャーに対抗するべく資源ナショナリズムの台頭を受け、石油価格を自国で決定するようになった。?

 

西アジアの地域では、ラクダなどの乾燥に強い家畜を飼育する遊牧が行なわれてきた。ベドウィンは、この地域の代表的な遊牧民であるが、近年では遊牧をやめて定住する傾向にある。オアシスなどの水を利用できる地域では農業も行なわれている。近年では地下水を利用してカナートと呼ばれる灌漑水路が発達し、小麦栽培が盛んになっている。

 

西アジアには、イスラム教を信仰する人が多く、断食や豚肉を食べないなどの伝統的な習慣が守られている。その教典であるコーランには、聖地メッカに向かって祈ることが戒律として記されている。現在も、サウジアラビアやイランのように、厳格な宗教上の規範を維持している国もある。

 

ユダヤ人国家の建設を目指

すシオニズム運動を背景に、パレスチナに移住するユダヤ人が増加し、アラブ系民族との対立が深まった。ユダヤ人国家であるイスラエルの建国が宣言されると、周囲のアラブ人国家との間で中東戦争が起こった。その結果、パレスチナの大部分がイスラエルの支配下となり、大勢のパレスチナ難民が出た。

 

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イラク

国土の中央に2本の大河と肥沃な平野を持つ。豊富な石油収入によって国内開発を進めてきたが、湾岸戦争とそれに伴う経済制裁によって経済は混乱している。シュメール、アッカド、バビロンの古代メソポタミア文明が栄えた。

 

クウェート

ペルシャ湾奥の砂漠に位置する立憲国家である。1990年隣国の侵攻を受けて全土を制圧され、多国籍軍の展開によって湾岸戦争に発展した。食料輸入国である。

 

シリア

西部は温暖な気候だが、内陸部は砂漠である。イスラエルとの国境付近は4度の中東戦争のたびに戦場となり、現在も国土の一部がイスラエルの占領下にある。