「アラブ首長国連邦」ってこんな国!

 

<国の概要>

 

◆ 地理的位置

UAEは、ペルシャ湾に南岸に面して広がり、アラビア湾の出口と一部オマーン湾に面し、東はこのオマーンと、西から南はサウジアラビアと国境を接しています。ペルシャ湾のホルムズ海峡に面しており、交通の要衝となっています。

 

◆ 面積

83,600平方キロメートル(日本の約4分の1。北海道程度)

 

◆ 気候:砂漠地帯

ほぼ全土が砂漠ですが、海岸部分で高温多湿、内陸部は乾燥地帯です。アブダビ首長国の東部アル・アイン地方などはオアシスに恵まれ、肥沃な土壌をもっています。

 

◆ 人口:1,006万人(2023年:IMF)

◆ 民族:アラブ人

1960年代以降、石油ブームでアブダビやドバイを中心に外国人労働者が大量流入しました。なかでもインド人、パキスタン人が60%、ついでアラブ諸国からの流入者が25%を占めています。1980年代に入ってからはフィリピン人も急増しています。また、出稼ぎ労働者の急増で、男性の人口比率が1995年には66%に達しました。

 

◆ 言語:アラビア語(公用語)・英語

公用語はアラビア語ですが、ペルシア語の影響が大きい。

 

◆ 宗教:イスラム教(スンニ派80%、シーア派20%)

宗教はイスラム教スンニー派が大部分だが、ドバイにはシーア派が多い。

 

 

<政治>

◆ 首都:アブダビ

◆ 政体:連邦制(7首長国による連邦制)

アラブ首長国連邦(UAE)は、アラビア半島の東南部に位置する湾岸諸国のひとつで、アブダビやドバイなど7つの首長国で構成される連邦国家(首長制国家の連合体)(7首長国の連合国家)です。英文では United Arab Emirates なので、一般的にUAEと略称されています。1971年、ペルシア湾南岸の複数の首長国がイギリス保護国から独立しました。

 

首長国は王政の一種で、その地位は世襲です。emirate は emir(首長)の治める国の意味。UAE以外にも、クウェートやカタールなどの中東諸国に見られます。

 

UAEを構成する7首長国

アブダビ首長国

ドバイ首長国

シャルジャ首長国

アジュマン首長国

ウンム・アル・カイワイン首長国

ラス・アル・ハイマ首長国

フジャイラ首長国

 

UAEは、アラブの産油国として経済的発展が著しく、UAE原油の大部分を産出、多くの油田をもつ資源豊富なアブダビと、貿易、観光及び金融で発展しているドバイの2首長国が、政治・経済・軍事の面で主導権を握っています(アブダビが圧倒的)。

 

◆ 憲法

1971年12月の独立時に、暫定憲法が制定され、1996年5月に連邦最高評議会は暫定憲法を改正して恒久的なものにしました。

 

◆ 元首(大統領):アブダビ首長

ムハンマド(2022.5〜)

(ムハンマド・ビン・ザーイド・アール・ナヒヤーン殿下)

ハリーファ(2014.11〜2022.5)

ザイード(1971.12〜2014.11)

 

◆ 内政

UAEの最高決定機関は7首長国の首長で構成する連邦最高評議会です。大統領は7首長から互選されることとなっていますが、建国以来、大統領はアブダビ首長、副大統領兼首相はドバイ首長が世襲的に任命されています。大統領は首相と内閣を指名します。

 

議会は、各首長に任命された20名と、選挙で選出された20名の計40名の議員による連邦国民議会で、任期は4年。ただし、立法権は限定的です。2005年にはじめて国民が直接選挙することとなりました。

 

◆ 外交

湾岸各国、とくにサウジアラビアとの関係を重視し、また欧米との協調も外交の方針としています。イランとは敵対関係にあります。アラブ連盟の構成国であり、OAPEC(アラブ石油輸出国機構)のメンバーです。

 

イスラエルと国交樹立

2020年8月、UAEは、イスラエルとの正式な国交を樹立し、アラブ世界では、エジプトとヨルダンに続き、イスラエルを承認した3番目の国になりました。

 

UAEの領土問題

UAEは、ペルシア湾のアブ・ムーサ(アブームーサー)島および大トンブ(トゥム)島・小トンブ島をめぐりイランとの間で係争中です。イランが1971年11月、UAE独立の2日前に、植民地時代、イギリスが支配していた、これらの島々を併合したことに対して異議を唱えています。

 

また、砂漠地帯のブライミー・オアシスをめぐりサウジアラビアとの間で、未解決な問題を抱えています。1974年、ジッダ条約によって、サウジアラビアは、UAEが領有を主張するブライミー・オアシス(9つのオアシス)の一部を放棄する代わりに、両国国境地帯、カタールとUAEを隔てる全長50キロメートルの海岸や、その一部がUAE国内に広がるシャイバ油田などを取得したことに対して、UAEはこれらの土地を取り戻そうとしていますが、サウジ側はこれを認めていません。

 

<経済>

◆ アラブ産油国型の経済

 

UAEの経済の中心は石油であり、アラブの産油国、石油輸出国として経済的発展が著しい国です。石油と天然ガスの埋蔵量は世界有数で(確認石油埋蔵量は978億バレル(06年)と推定される)。

 

石油が発見される以前のおもな経済活動は、オアシス農業、沿岸漁業、中継貿易などに限られていましたが、1950年代に石油が発見されて以来、油田開発によって、経済情勢は激変、急激な経済成長を遂げました。(1959年にアブダビで商業ベースにのる油田が発見された)。

 

原油生産量は1970年の日産平均69万5000バレル(当時アブ・ダビのみ)から、1977年には3首長国で日産平均199万バレルのピークに達しました。その大部分は欧米や日本に輸出され、全国家収入の90%近くを占めました。とりわけ、1973年と1978年の二度にわたる原油価格の大幅値上げでオイル・ダラーは急増しました(1980年には160億ドル以上になった)

 

一人当たりGDP

豊富な石油収入を背景に、一人当たり国民所得(GDP)は高く(日本と肩を並べる水準)、医療や教育は無償です。1981年の1人当り国民所得は2万5000ドルで、クウェートを上回り世界第1位となったこともありました。もっとも、1990年代以降は為替レートや石油価格の変動が激しいために年ごとに大幅に変動し、1人当り国民所得の順位は1990年代には50位台にまで落ちたこともありました。

 

それでも、その後、2000年に入ってから、世界経済の成長にあわせて原油価格が回復したことから、現在では1人当たりのGDPは、中東・アフリカ地域ではカタールに次いで第2位を占めています。

 

開発プロジェクト

巨大な石油収入をてこに多くの経済社会開発プロジェクトが組まれました。とくに最大の都市ドバイでは、高層ビルラッシュや、大規模な海上リゾートであるパームアイランドの建設など、世界の耳目を集めています。

 

製造業では、おもに二大産油国のアブダビとドバイ首長国を中心に、精油所、石油関連産業、製粉、建設資材、セメント、清涼飲料工場など多くの工業化プロジェクトの完成により急速に成長しています。

 

産業の多角化

石油に依存する経済の宿命として、原油価格に経済が左右されるため、石油依存経済からの脱却を目指して、産業の多角化、海外投資や流通拠点化などが進められています。

 

産業に多角化は、経済が一時ピークに達した1976年から叫ばれるようになりました。ただ、当時は、国内市場が小さく、熟練労働者も不足しているため急速な工業化はむずかしいとの判断から、金融国家や観光国家への道が模索されました。

 

◆ 農業・漁業

小麦、大麦、雑穀類、ナツメヤシ、マンゴー、飼料作物、タバコなどが主要生産物ですが、国土の大部分が砂漠のため、耕作可能面積は0.4%にすぎず、このため農業は砂漠のオアシス地帯とムサンダム半島の一部に限られています。

 

沿岸には魚類が多く、20世紀初頭には天然真珠産業も栄えていました。現在の漁業の中心はムサンダム半島東部で、とくにアジマンは有職人口の3分の1近くが漁業に関連しています。

 

◆ 輸出入

輸出品目:原油、天然ガス、石油製品、アルミニウム、電化製品などの再輸出品など

輸入品目:自動車、機械、電化製品など

 

輸出相手国:日本、韓国、タイ、インド、イラン、

輸入相手国:アメリカ、中国、インド、ドイツ、日本

 

日本との経済関係では、アラブ首長国連邦から日本が輸入する原油量は、日本の年間原油総輸入量の25%近くを占めており、日本の原油輸入先としてはサウジアラビアとトップを争っています。

 

日本へのおもな輸出品目は石油、天然ガス、金属類で、おもな輸入品目は輸送機器、機械類、家電などの電化製品、鉄鋼などですが、日本の大幅な輸入超過になっています。

 

 

(関連投稿)

アラブ首長国連邦の歴史:石油が押し上げた海賊海岸

ドバイ:驚異の発展とその歴史

 

(中近東の国々を学ぶ)

イスラエル

パレスチナ

カタール

 

(参照

UAEについて(日本アラブ首長国連邦協会)

アラブ首長国連邦ってどんな国?(ダイヤモンド・オンライン)

アラブ首長国連邦基礎データ(外務省)

アラブ首長国連邦UAE(世界史の窓)

アラブ首長国連邦とは?(コトバンク)

アラブ首長国連邦(Wikipedia)

休戦オマーン(Wikipedia)

 

 

投稿日:2025年4月16日

むらおの歴史情報サイト「レムリア」