太陽光や地熱など自然を利用した再生エネルギーについて、連載でお届けしています。地球温暖化対策の1つとして、再生可能エネルギーであるバイオマス発電が注目されています。しかし、バイオマス発電が具体的にどのようなものなのかは、あまり知られていません。今回は、バイオマス発電についてまとめました。
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バイオマス発電について説明する前に、まず、バイオマスそのものについて解説します。
<バイオマス>
◆ バイオマスとは?
バイオマスとは、生物資源(bio)の量(mass)を表す概念で、動植物などの生物から作り出される再生可能な有機物(*有機性資源)をいいます(石油や石炭などの化石燃料は除外)。
*有機性資源
太陽エネルギーを使って水とCO2(二酸化炭素)から生物が光合成によって生成した有機物
バイオマスは、生ごみ、家畜の排泄物、木材の端材など、これまで捨てられていたものを、燃料や発電、肥料やプラスチックの原料として再利用されます。
石油など化石資源は、地下から採掘すれば枯渇しますが、植物は太陽と水と二酸化炭素があれば、持続的にバイオマスを生み出すことができます。そういう意味で、バイオマスは、私たちのライフサイクルの中で生命と太陽エネルギーがある限り持続的に再生可能な資源と言えます。
◆ バイオマスの種類と特徴
バイオマスの原料は、木材(間伐材、廃材など)、農業残渣(稲わら、もみ殻など)、家畜のふん尿、生ごみ、食品廃棄物、古紙、建築廃材、エネルギー作物(トウモロコシ、サトウキビなど)など多岐にわたり、その賦存状態により、①廃棄物系バイオマス、②未利用バイオマス、③資源作物系バイオマスに分類されます。
賦存量:利用の可否に関わらず1年間に発生、排出される量(潜在的な量)。
利用量:賦存量のうち、技術を用いて既に利用している量。
① 廃棄物系バイオマス
廃棄物系バイオマスには、家畜排せつ物、食品廃棄物、生ごみ、廃棄紙、黒液(パルプ工場廃液)、製紙汚泥、下水汚泥、し尿汚泥、家畜ふん尿、古紙などが含まれます。
これらのなかでは、家畜排せつ物、黒液、製材工場等残材などの利用率が高く、食品廃棄物の利用率は相対的に低くなっています。これは、後者の特徴として、水分が多いために直接燃焼させにくい点があげられます。
② 未利用バイオマス
「未利用」とは従来の利用法では価値がないという意味で、未利用バイオマスは、通常、廃棄される農作物や林業から出る、非食用部や残材などをいいます。エネルギーとして活用されることを目的に栽培・収集される「エネルギー作物」として新たに利用され、農業・畜産系バイオマスや木質バイオマス等にさらに区分されます。
農業・畜産系バイオマス:
人が食べたり家畜の飼料にしたりしない、稲わら、もみ殻、麦わら、サトウキビ・トウモロコシの茎葉、豆殻など農作物の「非食用部分」(作物の非可食部分)をさします。
木質バイオマス
木材から作られる再生可能な資源の総称で、間伐材、林地残材、製材残材、被害木などの林地未利用材のほか、建築廃材、街路樹の剪定枝、住宅の解体材、廃パレットなどさまざまな種類が含まれます。木質バイオマスは、森林保全やCO2削減に貢献します。
間伐材:密集化する立木を間引く間伐の過程で出てきた木材
林地残材:森林で伐採後に残された枝や葉。山林の木くず。間伐材を含めることもある。
製材残材:製材工場から出る樹皮や端材。
被害木:自然災害や病害虫によって枯れたり折れたりした木。
建築廃材:建築現場などから排出される木材(建設資材廃棄物)。
廃パレット:物流などで使われた後、廃棄物となったパレット(荷物を載せるための平らな台)
なお、木質バイオマスを燃料として加工したものに、木質チップ・木質ペレットがあります(後述)。
③ 資源作物系バイオマス
資源作物とは、最初からエネルギー源や製品材料とすることを主目的として栽培される作物を指し、さとうきび(糖質資源)、とうもろこし・ジャガイモ(デンプン資源)、なたね(油脂資源)、柳、ポプラ、スイッチグラス(丈の高いイネ科の多年生植物)などが含まれます。
成長過程でCO2(二酸化炭素)を吸収するためカーボンニュートラルに貢献する素材として期待されています。
◆ バイオマスの利用状況
廃棄物系バイオマスは、食品廃棄物を除き、家畜排せつ物や黒液など、多くがすでに高い利用率を達成しています。未利用バイオマスでは、製材工場等残材はほぼ全量が利用されていますが、林地残材や農作物非食用部の利用率はまだ低く、今後、まだ利用拡大の余地があります。
バイオマス種類別の利用率等の推移
(農林水産省、2023年)
廃棄物系バイオマス
黒液(パルプ工場廃液): 100%
建設発生木材: 96%
家畜排せつ物: 87%
下水汚泥: 78%
紙: 83%
食品廃棄物: 60%
木質バイオマス
製材工場等残材: 99%
林地残材: 40%
◆ バイオマスの主な用途(利用形態)
バイオマス(バイオマスの原料)は、直接燃焼やガス化による熱利用、発電、輸送用燃料への変換(バイオエネルギー)、さらには、プラスチックなど様々な製品の素材(バイオマテリアル)としても利用されます。
バイオエネルギー(エネルギー利用)
バイオエネルギーは、バイオマスを燃料として利用することでえられるエネルギーの総称で、最終的にえられるエネルギーの形態や用途によって、主に発電、熱源、輸送用燃料の3つに分類されます
- 熱源(熱利用)
バイオマスボイラーや薪ストーブなどで、バイオマス(バイオマスの原料)を直接燃焼させたり、発酵によってガス化したりしてえた熱を、建物や工場の熱源、冷暖房・給湯・調理等用に直接利用します。
- 発電(電力利用)
バイオマス発電は、間伐材・廃材、家庭の生ごみ、動物のふん尿、下水の汚泥などのバイオマスを原料に、直接燃やしたり、ガス化したりしてできた熱を、タービンを回すことで、電気エネルギーに変えて電力を生成(発電)します。その際、燃料としては、木質ペレット・木質チップなどの木質燃料やバイオガスなどが燃料として使用されます。
- 輸送用燃料
バイオマス燃料のなかの輸送用燃料は、自動車燃料のバイオエタノール(ガソリン代替)やバイオディーゼル(軽油代替)、航空機向けのバイオジェット燃料といった液体燃料として利用されます。
これらの用途は相互に関連しており、コージェネレーションシステム(熱電併給)も多く見られます。 コージェネレーションとは、バイオマスなどを燃料に発電する際に発生する廃熱も同時に回収して、蒸気や温水して、工場の熱源、冷暖房、給湯などに利用する(電気と熱を同時に発生させる熱電併給)システムをいいます。これにより、エネルギー利用効率を約75~80%まで高めることができると言われています。
バイオマテリアル(マテリアル利用)
素材向け利用としては、建築材、堆肥・飼料、プラスチック(バイオプラスチック)の原料、そのほか炭、インキ原料、化学品原料などへの活用があげられます。
建築材: 木材を建築材として利用します。
飼料・堆肥: 家畜の排泄物や食品廃棄物を飼料や堆肥として利用します。
バイオプラスチック:原料に石油ではなくトウモロコシ、サトウキビ、ジャガイモの糖分やデンプンなどのバイオマスを利用して作られるプラスチックです。
日本で利用されている主なバイオマスの種類と利用形態
ここまで、バイオマスについての基礎知識を確認しましたので、次に、本稿のテーマであるバイオマス発電について深堀りしていきます。なお、バイオ燃料や発電以外のバイオエネルギーなど他のバイオマス関連についてはまた別投稿でお届けします。
<バイオマス発電>
◆ バイオマス発電の仕組みと種類
前述したように、バイオマス発電は、木質燃料(*木質ペレット・*木質チップなど)や*バイオガスを燃料にして発電を行うシステムです。
木質燃料とは、木質バイオマスを原料とした燃料で、木質バイオマスには、間伐材や製材・建築時に発生する端材、廃材といった元の形状の木材に加えて、それらを加工した木質チップや木質ペレットなども含まれます。
*木質ペレット
間伐材や製材工場で出る端材などの乾燥した木材を粉砕し、圧力をかけて直系6〜8mm、長さ5〜40mmの円筒形に圧縮成形して作られ木片のこと。
*木質チップ
林地残材(間伐材など)、製材端材、建築廃材、解体廃木材などの木材を切削または破砕して作られた木片のこと。
両者の違いは、木質ペレットは均一な円筒形であるのに対して、木質チップは不ぞろいな形状である点。
*バイオガス
生ごみ、食品加工残渣、家畜の糞尿、下水の汚泥・汚水などを原料とする廃棄物系バイオマスを発酵させて発生させるガスのこと。
バイオマス発電には、原料(バイオマス)を直接燃焼させる「直接燃焼方式」と、原料をガス化して発電する「ガス化方式(ガスを燃料として発電)」があります。また、後者のガス化方式も、ガス化する手段の違いによって、熱分解ガス化方式と生物化学的ガス化方式と呼ばれる2つに分類されます。
直接燃焼方式
直接燃焼方式は、間伐材、廃材、木材チップ、もみ殻などの木質資源(乾燥系のバイオマス)を直接燃やす方式で、燃焼温度が低く、発電効率の点から、大型の設備に用いられます。
このとき、燃焼しやすいようにチップ(細かく砕いた木片)やペレット(間伐材などの木材を細かく粉砕・乾燥・圧縮成形したもの)等に加工し、ボイラーで直接燃焼させた後、その熱エネルギーで水蒸気を発生させ、蒸気タービンによる発電を行います。
また、可燃ごみや廃油など、水分量の少ない廃棄物系バイオマスも、直接燃焼方式の対象です。たとえば、清掃工場でごみを燃やしたときに出る熱を利用して発電する方法は、廃棄物発電(ごみ発電)と呼ばれており、 地域のごみ焼却場の発電もバイオマス発電に含まれます。
この場合、燃料として可燃ごみを利用するため、通常の火力発電のように化石燃料を必要とせず、地域で発生したごみを燃料資源として利用することができます。
なお、タービンとは、水、蒸気、ガス、風などの流体が持つエネルギーを、回転エネルギーに変換する機器(装置)で、発電の動力源などとして利用されます。蒸気やガスなどの流体の力で、発電機の内部の羽根車(ブレード)を回転させる(発電機を回す)ために使われます。
熱分解ガス化方式
熱分解ガス化方式では、間伐材、加工されたチップやペレット等の木質バイオマス、また食品工場から出る野菜のくず、茶殻などの食品廃棄物など湿潤系のバイオマスを、高温で熱分解(熱処理)し、*ガス化します。生成された可燃性ガスを、ガスタービンやガスエンジンで燃焼させて発電します。
燃焼温度が高く、水分量が多いものでも燃料として利用でき、直接燃焼よりも効率的な発電が可能です。また直接燃焼方式よりも小さい設備で一定の発電効率を得られるとされています。
*ガス化
ガス化とは、バイオマスを空気や酸素、水蒸気などと反応させ、高温で加熱して、可燃性のガスに変換する熱化学的なプロセスのことをいう。
生物化学的ガス化方式
生物化学的ガス化方式では、水分量の多い食品廃棄物、家畜の糞尿や生ごみ、汚水・汚泥などの廃棄物系バイオマスを、メタン菌など微生物の働きで発酵(メタン発酵)させてガス化し、発生したメタンガス(バイオガス)を燃料として、ガスタービンまたはガスエンジンで燃焼して発電します。発酵で残った残渣は肥料としても利用できます。
水分が多いために直接燃焼させにくい廃棄物系のバイオマスに用いられる方式で、発生するガスの発熱量が高いため、発電効率の高さが特徴的です。
メタン発酵: 微生物による発酵でメタンガスを生成するプロセス。
◆ バイオマス発電の「材料」
日本国内では、バイオマス発電全体のうち、未利用バイオマスのなかの「木質バイオマス」の利用量が最も多く、特に製材工場などから出る残材や建設廃材(製材工場等残材)が大きな割合を占めています。
また、間伐材や林地残材といった、これまで使われずに放置されていた「未利用」の木質バイオマス」の活用も進んでいます。特に、日本では、間伐材や製材所から出る端材、災害時の倒木などの未利用木材を燃料として活用できるなど、森林資源が豊富で、原料を安定調達できます。
ただし、需要の増加に伴い、大規模なバイオマス発電所では、大量かつ安定的な供給が可能な、海外から輸入された安価な*木質ペレット・木質チップ、*パーム椰子殻(PKS)が多く利用されるなど、輸入材が優位となっており、輸入量も増加しています。
*パーム椰子殻(パームやしがら)
パーム(アブラヤシ)の実からパーム油を搾り取った後に残る、種子の硬い殻のこと、水分が少なく化石燃料に近い発熱量が高いことで、利用が増えている。略称「PKS(パームカーネルシェル)」。
なお、大規模な発電所では輸入燃料への依存度が高い一方、小規模な熱利用や自家発電では国産材が活用される傾向がありますが、国内の木質ペレット生産量はほぼ横.ばいです。
いずれにしても、バイオマス発電において、木質バイオマス発電は最も盛んな形態のひとつで、木質バイオマス発電所を建設する動きが全国に広がっています。
◆ バイオマス発電のメリット
安定した発電量
太陽光・水力・風力・地熱などの再生可能エネルギーは、発電効率が天候によって左右されるのに対して、バイオマス発電は、燃料となるバイオマスを供給することで安定した発電が可能となります。
カーボンニュートラル
化石資源は燃焼等によって地球温暖化の要因となるCO2(二酸化炭素)を排出するのに対して、バイオマスはカーボンニュートラルです。
*カーボンニュートラル
温室効果ガスの排出量と吸収量を均衡させ、その排出量を全体として実質ゼロにすること。
バイオマスは有機物であることから、燃焼させるとCO2(二酸化炭素)が発生しますが、バイオマス資源はCO2を吸収して成長します。結果的に、燃焼時に排出されるCO2は樹木が成長する際に吸収されることから、バイオマスの自然循環の過程ではCO2の排出はゼロとみなされるのです。
資源循環性に優れる
石油のような化石燃料(資源)は一度利用すれば再利用が困難ですが、バイオマスは再生可能な資源で、循環型社会へ寄与しています。
たとえば、バイオマス発電の燃料に用いられる木質チップは、森林の間伐により発生した利用されない木材が原料として用いられます。廃棄物系バイオマスの場合も、捨てられるはずの廃棄物が原料として用いられます。
加えて、バイオマス発電は、輸送用燃料向けの利用のところでも述べたように、燃料を燃焼させて電気を作る際に発生する熱を、エネルギーとして効率的に回収・再利用することが可能です。 たとえば、発電と同時に発生する蒸気や温水といった熱を、近隣の工場や施設に、暖房や給湯として供給しています(これをコジェネレーション(熱電併給)という)。
また、発電後の比較的温度の低い排熱を、さらに、農業ハウスの暖房、養殖など別の用途で利用しています(これを*カスケード利用という)。このように、バイオマスは、発電に伴う熱も無駄なく利用することができます。
*カスケード利用
資源やエネルギーを、その品質や温度の段階に応じて複数回にわたって段階的に活用す
◆ バイオマス発電のデメリット
原料調達コスト高
バイオマス燃料を用いる場合、原料の収集や運搬、管理が必要となり、それだけ、調達コストがかかります(太陽光や風力の場合、資源の調達費用はゼロ)。
たとえば、木質燃料の場合には間伐材や廃材の収集・運搬、また、廃棄物系バイオマスの場合には生ごみや家畜の糞尿など、小規模に分散している原料を収集し、運搬することが必要となります。
ただし、これは、バイオマス資源の伐採や搬出、チップの製造といった分野で、新たな雇用が生まれることになる点で、メリットとも言えます。
小規模発電所のコスト高
バイオマス資源は、それぞれの地域に分散しているため、発電所が小規模分散型の設備になりがちであり、その分コストがかかるという問題があります。
逆に、発電所が大きくなると、コスト効率が上がりますが、たとえば、木材が足りなくなるなど、原料となるバイオマス資源を地元から調達するできなくなる場合があります。安定した燃料調達ができなければ発電所の運営に支障が出てしまいます。
そのため、海外から輸入された木質ペレットやパーム油などを燃料として用いることが多く、国際的な資源価格の変動に影響を受けてしまいます。加えて、バイオマス燃料を輸入に頼る場合、CO2の排出、バイオマス資源輸出国での森林伐採や児童労働の問題なども指摘されています。
低い発電効率
バイオマス発電の発電効率は、火力発電で55%、水力発電で80%、風力発電で20~40%、太陽光発電で20%程度ですが、たとえば木質バイオマス発電の発電効率は、20%~25%程度でしかありません。
◆ バイオマス発電の導入状況
資源エネルギー庁によれば、日本で発電される電力のうち、バイオマス発電が4.1%(2023年)でしかありませんが、2012年の1.6%、2020年の2.9%と上昇基調ではあります。再生可能エネルギーの中では、太陽光発電(9.8%)・水力発電(7.6%)につぐ発電規模となっています。
バイオマスは、安定的に稼働できる再生可能エネルギーを用いた発電として注目を集め、2002年に「バイオマス・ニッポン総合戦略」が閣議決定され、地球温暖化の防止や農産漁村活性化などの観点から、バイオマスの利用を促進する構想が示されました。
その後、バイオマス利活用状況や京都議定書の発効などに鑑みて、2006年には戦略の見直しが行われ、国産バイオマス燃料の導入や、林地残材等の未利用バイオマスの活用などが推進されてきました。
2012年7月には、再生可能エネルギーの普及を促進するために、再生可能エネルギーで発電される電力の全量を国が買い取るFIT制度(固定価格買取制度)が始まり、バイオマス発電もその対象となりました。
FIT制度の導入を受け、バイオマス発電所の新設が行われていきました。これは、バイオマスで生み出した電気を、電力会社が割高な価格で、20年間買い取るため、事業者は再生エネ投資に見合った利益を回収できるようになったからです。
たとえば、木質バイオマスの場合、社有林の間伐材など林地残材は毎年2000万立法メートル発生していました。それまでは、搬出費用がかさみ従来はほとんど利用されませんでしたが、買い取り制度で採算のめどが立つようになったのです。
この結果、経済産業省によれば、固定価格買取制度の導入前(2012年6月末)までのバイオマス発電の累積設備導入量は約230万kWであったのに対し、制度導入以降の累積導入量は806万kW(2021年6月末)となり、バイオマス発電は、FIT制度導入前の約3.5倍と増加しました。
2025年2月に閣議決定された第7次エネルギー基本計画では、2023年において4.1%であったバイオマスの電源構成における発電割合を、2040年には5~6%程度に引き上げることが謳われました。
◆ 直近の課題と対応
ただし、日本では、特に大型バイオマス発電所を中心に、木質ペレットなどバイオマス燃料を輸入に頼っている現実があります。そのため、他の再生可能エネルギーと比べると発電コストがかかり、経済的なメリットが小さくなる傾向にあります。
加えて、ロシアによるウクライナ侵攻の影響もあって、国際的なバイオマス燃料の価格高騰し、大型バイオマス発電所が不採算となり事業撤退する事例が相次ぎました。
そこで、大型発電所でのこうした課題解決の鍵となるのが、地域資源を活かしたエネルギーの地産地消モデルで、小型のバイオマス発電に活路を見出す動きがあります。
これまで、小規模分散型のバイオマス発電は、大型バイオマス発電所にくらべて、コスト効率が課題とされてきました。しかし、小型バイオマス発電は、燃料に生ごみや間伐材といった地域資源が用いられるなど資源の地産地消が促進されます。これは、電源が分散される点で、エネルギー安全保障の観点から注目されるだけでなく、エネルギー(燃料)づくりによって雇用と地域資源が再生され、経済がつながる地域内循環の事例も生まれています。
太陽光や風力などの自然エネルギーは、発電効率が天候に左右されるというデメリットがありますが、そのなかでも、バイオマス発電は天候の影響を受けにくいエネルギー源です。そこで、再生可能エネルギーの安定供給を実現するために、バイオマス発電と組み合わせることが有効な手段となります。
(参照)
木くず使うバイオマス発電、発電量が原発1基分に
(2013年7月10日、日経)
バイオマス、一石三鳥 :間伐材などで発電、期待膨らむ 固定買い取り、追い風に
(2013/8/5、日経)
再生エネ普及への道、バイオマスその他
(時事解説、日経、2013年9月27日)
バイオマス発電とは?仕組みメリットを分かりやすく解説
(Mitsui&Co. Ltd. 2025.6.6.)
バイオマスエネルギー|再生可能エネルギーとは?
(福島県HP)
バイオマスとは?
(九州農政局)
バイオマス発電の現状と今後の発展について
(Plus Social investment Small talk 〜紡ぐ〜)

