『日本の農業 その現実と未来』と題し、「農政」、「食料安保」、「食の安全」に区分しながら、日本の農業をさまざまな観点から解説しています(他の投稿記事については、末尾の「関連投稿」欄を参照下さい)。今回は、「農政」に関して、JA農協についてまとめました。
「令和のコメ騒動」で何かと悪者扱いされるJA農協ですが、戦後、日本の農政を支えてきたという事実に間違いはありません。そんなJAの成り立ちとその組織構造を詳しく解説します。
☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★
<JA農協とは?>
農協(正式名称:農業協同組合)は、農業従事者や農業を営む法人によって組織された協同組合で、組合員(農家)が、互いに助け合って、農家の営農と生活を守り高めながら、よりよい地域社会を築くことを目的に設立されました。JAは1992年から使用されている農協の愛称です。
協同組合とは、共通の目的やニーズを持つ人々が集まり、「事業を運営し、互いに助け合いながら、目的を実現していく相互扶助の組織」で、株式会社とは異なり、利益追求よりも組合員の生活の向上や社会貢献をめざします。
◆ 農協の規模
農協(JA)は、全国に500を超える拠点を持ち(原則として一地域にひとつのJAがある)、1000万人以上の組合員を抱える巨大組織です。
(2024年4月時点で全国のJAの数507、組合員数1019万人)
組合員は、「正組合員」と「准組合員」の2種類に分かれ、農家は「正組合員」、非農家は「准組合員」です。現在(2024年時点)、正組合員が389万人に対して、准組合員は630万人います。
管轄地域の農家組合員(正組合員)に対しては、営農指導、肥料農薬の販売、コメや野菜の出荷・販売の支援、貯金や共済などの金融サービス、さらには、輸送業や病院、介護、旅行まで、さまざまな事業が提供されています。
准組合員になると、農協のJAバンク・保険を利用でき、農協主催のイベントへの参加や、地方では独居の高齢者の見回りサービスなどを受けることができます。とりわけ、銀行の支店が少ない地方では、JAバンクが一番身近にある場合も多くあると言われています。
<JA誕生の経緯>
◆ 農会と産業組合
戦前、農村部には、「農会」と「産業組合」という2つの組織があり、現在のJA農協の原型となりました。
「農会」は、「農業の改良発達を図る」ことを目的に、1899年の農会法によって、創設されました。地域内に一定の面積を所有する農家は必ず農会に入らなければならない義務的なもので、会員は農業技術の指導などを受けることができました。
また、市町村農会、郡農会、府県農会、帝国農会の段階制があり、地主階級が政治運動を行っていたことから、農会は、政治的な役割も担っていました。
他方、「産業組合」は、1900年の産業組合法に基づく組織で、地主と富裕農家が任意に加入し(零細な農家は未加入)、主に信用事業が行われていました。
その後、世界恐慌にともなう1930年代に起きた農業恐慌を受けて、産業組合では、全農家を強制加入させ、信用事業だけでなく、農産物の販売、肥料や種子の勾配、農協施設利用といった農業・農村に関するすべての事業が行われるようになりました。
とりわけ、地主と小作農の時代、地主から土地を借りて農業をする人の多くは貧しく、銀行などがお金を貸してくれなかったため、お金が必要なときに自分たちで貸し借りできるよう、銀行の役割を果たした信用事業が積極的に行われました。
この「農会」と「産業組合」は、戦時中の1943年に、統制のために合併し「農業会」という一つの組織になりました。
◆ 農業会から農協へ
終戦後、農業生産力の増進や農家の経済的、社会的地位の向上を図るために、GHQ(連合国総司令部)の「指導」で、1947年に、農業協同組合法(農協法)が制定、現在の「農協(農業協同組合)」が設立されました。
GHQの目的は、戦後の農地改革で、地主制が原則廃止され、それまで小作人と呼ばれた土地を借りて農業を行っていた者の多くが自作農になったなかで、経済的弱者に陥りがちな、かつての小作人を守ることでした。具体的には、相互扶助の観点から、肥料や種子の共同購入や、農産物の協同販売などが始められました。
農協(JA)の設置は、コメを国民に行き渡らせるために、政府にとっても必要なことでした。戦前、政府は1942年の食糧管理法によって、国民に平等にコメを供給する配給制度を実施し、戦後も、国がコメを買い集めて国民に分配しようとしましたが、農家の中には政府に売らずにヤミ市場にコメを売るところも出てきました。食糧難に不作が重なり、闇市場でコメの価格が高騰したからです。
それでは配給制度を運用する当時の農林省にコメが集まらなくなるので、政府は、コメの集荷にあたらせるために、戦前の統制団体「農業会」を改組したJA農協を活用しました。
◆ 創設後の農協JA
高度経済成長期の1961年には、農業の近代化と合理化を目的とした農業基本法が制定されました。これによって、政府が農協を支援する代わりに、農協は、国とともに農業政策実施する役割を担うようになりました。
具体的には、農家(生産者)に対して、金融サービス、種子・肥料の共同購入、農産物の販売促進を行い、農家の所得の安定が図られ、また、消費者向けには、農産物の流通を効率化し、独自の倉庫や流通ルートによる食料の安定供給を担いました。
こうした政府とのつながりから、農協は、自民党の最大支持母体となって政治的な影響力をもつようにもなり、今も圧力団体としても機能しています。
<JA農協の事業と利益構造>
◆ JAの事業
JAは、それぞれの管轄地域の農家組合員(正組合員)に対し、そのニーズに応じて、営農指導、農業関連(購買・販売)、生活関連、信用・共済などさまざまな事業を行っています。
営農指導事業
農業者の技術向上を支援・指導するものですが、現在は改革によって(後述)、総合調整、相談役に回っています。
購買事業
農業生産に必要な種子や肥料・農薬等の資材を共同で買い付けたり、農業用機械などを共同で購入したりする事業(生産資材購買事業)で、これによって農家は費用を抑えることができます。
販売事業
価格交渉力を高めるために、コメや野菜などの農畜産物を共同で、出荷・販売を支援する事業(農産物販売事業)です。
購買事業と販売事業を合わせて、農業関連事業または経済事業と呼ばれます。
信用事業(銀行)
貯金・貸出などの金融サービス事業で、農業者の資金調達支援を行い、その組合員の貯金を原資に、組合員に対する各種金融サービスを提供しています。
共済事業(保険)
死亡、入院、火災、自然災害、自動車事故などに対応する事業で、組合員の生活を保護する役割を担います。
信用事業と共済事業は金融事業に括られたりします。
生活関連事業
組合員の生活を豊かにし、地域社会を活性化させるための活動で、各都道県において、高齢者福祉事業、地域住民向けの病院・診療所等の医療施設を設置・運営する厚生事業、Aコープ(スーパーマーケット)での食料品販売事業や、新聞情報事業(「日本農業新聞」)、出版・文化事業などが提供されています。さらには中山間地域の生活支援や、地域活性化のための観光推進(「農協観光」)事業なども行われています。
これらの事業をまとめると、JA農協は、農業団体、協同組合、金融機関としての3つの顔があると言われます。
農業団体:営農指導事業(政治運動も含む)
協同組合:農業関連事業(販売・購買事業)、生活関連事業
金融機関:信用事業、共済事業
◆ JAの利益構造
JAの利益構造をみると、JAの本業である営農指導事業、農業関連事業(経済事業)と、厚生事業など生活関連事業は、慢性的に赤字に陥っていますが、これを金融事業(共済・信用事業)の利益で穴埋めをしているという構造が定着しています。
しかし、頼りにしている金融事業も長引く低金利などの影響で、JAの経営は厳しい局面に置かれる年もあります。そのためか、金融事業において、過去に「不正販売」や「自爆営業(営業ノルマ達成のために従業員が自腹で商品を購入したり、契約を結んだりする行為)」が行われていたといった問題も起きました。
<JA農協の組織構造>
こうした農協(JA)の事業活動を、より効率的に推進するために、地域の各JAがまとまって、事業ごとに、以下のような全国・都道府県を事業区域とする組織が形成され、「JAグループ」としてJA全体を構成しています。
厳密にいえば、農協(農業協同組合)は地方単位の組織を指し、JAは、その地方の農協をまとめた組織であり、農協のグループ全体を指す言葉です(JA農協)。ただし、通常は、JAと農協は同じ意味で使われます。
JAグループの構成:
全国農業協同組合中央会(JA全中)⇒ 営農指導事業
全国農業協同組合連合会(JA全農)⇒経済事業( 農業事業)
農林中央金庫(農林中金) ⇒ 信用事業(銀行)
全国共済農業協同組合連合会(全共連)(JA共済)⇒ 共済事業(保険)
全国厚生農業協同組合連合会(JA全厚連)⇒ 厚生事業
◆ 農協の営農指導・経済事業
さらに、本業である、営農指導事業や経済事業(農業事業)に関していえば、JAグループは、JA全中を頂点として、JA全農(JA経済連)、全国500を超える地域農協からなる三段階のミラミッドを構成しています。
地域農協(JA)
地域農協は、原則、最も身近な市町村単位で存在し、「○○市農業協同組合」などの名称で全国に500以上あります(24年507)。農家が出資して組合員となって組織を運営しており、JAグループの基盤的な組織で、通常、農協(JA)といえば、この地域農協のことをいいます(その際、農協全体はJA農協と言い表すことがある)。
その事業内容は、市町村レベルでの:農業技術指導、資材の共同購入、農産物の共同販売、信用事業(貯金、融資)、共済事業(生命保険、損害保険)など、多岐にわたります。
戦後の農政において、食糧難に対応するため、コメの増産を最優先にし、コメの集荷を一手に引き受けたのが地域農協で、現在も、農産物流通の半分を握っています。
JA全農(全国農業協同組合連合会)
全農は、JAグループの経済事業を行う組織で、肥料や農薬など生産資材の共同購入(営農に必要な資材の供給)、農産品の加工・流通から販売(農畜産物の流通)まで、全国域・県域の業務を担っています。言わば、JAグループの商社機能を専門的に担う組織です。
かつては、地域農協と協力して、国内で生産されたコメのほとんどを全国農業協同連合会(JA全農)が集荷していました(現在は約50%)。
このJAグループの経済事業において、全国段階の活動を担う全農と、都道府県単位で経済事業を行うJA経済連(経済農業協同組合連合会)という体制がかつてはとられていました。
JA経済連
個人ではなく、法人である農業協同組合が出資してできた都道府県単位の団体で、農協の経済事業(農業事業)(=農産物の集荷・販売、農家向けに肥料・農薬等の購入)を運営しています。各地域農協の経済事業を都道府県レベルにまとめた一種の上部団体(組織内のより大きな独立法人)でした。
しかし、32都府県のJA経済連は、全農に経営統合され、現在、全農(都府)県本部となっていますが(「全農○○県本部」と呼称)、農業が盛んで、独立心が強い8道県(北海道、静岡県、福井県、愛知県、和歌山県、熊本県、宮崎県、鹿児島県)は、そのまま、経済連として存続しています(「○○県経済連」と呼称)。
県JA
一方、奈良、島根、山口、香川、高知、佐賀、沖縄の7県に関しては、市町村ではなく県レベルで、「一県一JA」体制となっており、県本部や県経済連の役割を、もともと市町村単位の地域農協(JA)自身が担っています。これは、地域のJA同士の合併が進み(市町村単位を統合)、県域で経済事業を展開するようになったことなどが背景となっており、県JAと呼称される場合があります。
そうすると、厳密にいえば、全農の県段階(県域)での経済事業は、経済連があるJA、または県JA体制の県域を除いて展開されているということになります。
JA全中(全国農業協同組合中央会)
農協組織の頂点に君臨したのがJA全中(全国農業協同組合中央会)で、戦前・戦後と続いた食料管理制度の下(同制度は1995年に廃止)、地域農協がコメの集荷を一手に引き受け、JA全中がその頂点に立って指導・監督し、JAグループを統率しました。
組織上、JA全中と、その下部組織である、各都道府県の農協中央会(地方中央会)によって、農協中央会を形成し、JA(地域農協)に対して、監査や指導などを行ってきました(営農指導事業)。
JA全中(全国農業協同組合中央会)は、農協法にもとづいて設立された公的な機関ですが、国の機関ではなく、国の出資や役員任命がないという「特別民間法人(特別の法律により設立される民間法人)」でした。
それでも、農水省がバックにいてお墨付きを与えたことから、JA全中は、JAグループにおいて、強力な指導力を発揮することができました。
戦後、1万組織を超えていた地域農協は経営難に陥ったことをうけ、農水省が、1954年に中央会を設立し、国の意思を代行する機関(司令塔)として農協の経営指導を担わせました。
以後、JA全中は、地域農協の頂点に立って、各農協が健全に発達するように、組織や事業の指導・教育(業務監査)を行い、また、ずさんな経営になっていないか監督し検査(会計監査)を実施しました。
この監査権限と指導権限を梃子(てこ)に、JA全中は、全国の地域農協に対して、影響力を行使しました。これが、農協の発展の原動力となり、JA全中(中央会制度)は、戦後の農業や農業政策を支えたのです。
JA全中の政治力
JA全中は、組合員の集票力(1000万人以上の農村票)を武器に、政治的発言力を保持する圧力団体の側面もあります。
実際、戦後、日本において、農協と自民党は、JA全中の意見を自民党国会議員(いわゆる族議員)が代弁する「蜜月関係」を維持していました。自民党の農林族議員にとっても、JAは、貴重な票田です。
そうした政治活動(政治的要求)も行うJA全中には、最近まで、政府に対する建議権がありました。建議権は、かつての米価引き上げ運動において、農林水産省の審議会に委員を送り込んだり、農業予算の増額をめざして農相と会談を持ったりする権利で、政治力の象徴でした。
また、JA全中は、行政を担う農林水産省とも基本的に一体に近い関係です。農地の集積化など構造改革を推進したい農水省と、農家を丸抱えしたいJAは対立したこともありますが、双方の利害関係から暗に連携しています。
こうした、JAと農水省、自民党(農林族)によって形成された密接な関係は「農政トライアングル」と呼ばれます。
JAグループは、長らく自民党の支持団体として、1971年以降、参議院議員選挙の全国区(現在の比例区)に、農水省のOBやJA幹部を候補者として擁立し、政界に送り出してきました。
ただし、JAグループが選挙の応援をする実働部隊は中央会(JA全中)ではなく、通常、農政連という別組織が行っています。
農政連
農政連(全国農業者農政運動組織連盟)(略称:全国農政連)は、1981年に設立されたJA 農協の政治組織で、農業者の政治的利益や経済的地位の向上を目指し、JAと連携して農政運動や政治活動に取り組んでいます。
具体的には、農家の経営安定や所得増大のため、農家・JA役職員の声を政治の場に届け、農業政策や予算要望といった形で、政策提言を政府や自民党に提出しています。前述したように、農政連は、長らく自由民主党の支持団体として活動してきましたが、近年は他の政党との連携も視野に入れていると言われています。
2015年の農協改革
安倍内閣は、2015年8月、農協法を改正し、約60年ぶりの抜本的な制度改革を実施しました。農協改革は岩盤規制改革の象徴の一つとされ、1954年の発足以来、JAグループを統率してきた全中(全国農業協同組合中央会)の権限が縮小されました。
改革の柱が、農協中央会制度の廃止です。JA全中は、これまで一手に引き受けてきた地域農協への監査・指導権を剥奪され、全中監査は、金融機関や企業と同じ公認会計士による外部監査に移行しました。
また、地域農協(JA)等が、監査料の見返りなどとして、全中へ納めていた負担金(年間約80億円)も廃止されました。
組織上も、JA全中は、公的な特別民間法人から一般社団法人に転換し、全中の下部組織である各都道府県の農協中央会(地方中央会)は、農協連合会(農協法の組織「連合会」)として存続することになりました。
一連の改革によって、地域農協は、経営の独立性と自由度や透明性を高め、地域ごとの創意工夫による競争力強化を進めることが期待されています。改正では、JA全農(全国農業協同組合連合会)を株式会社に転換できるようにする規定も盛り込まれました。
一方で、改正農協法の付則には、全中が地域農協の代表機能や総合調整を担う規定も盛り込まれ、また、全中と地方中央会は、移行後も「中央会(農業協同組合中央会)」の名称を使える(「中央会」という名称を引き継ぐ)配慮もなされました。これには、地域農協への統制力が残るとの懸念もでています。
いずれにしても、現在のJA全中のJAグループにおける役割は、農業者の技術向上を支援・指導する「営農指導事業」から、JAグループの意見を代表・総合調整し、組織、事業および経営に関する相談に応じる「代表・総合調整・経営相談事業」に移行しています。なお、JA全中が行政に意見を述べる「建議権」もなくなりました。
◆ 農協の信用事業
農協の金融事業(信用事業と共済事業)は、JAグループの稼ぎ頭で、前述したように、経済事業(農業事業)などの他の事業の赤字を補い、グループ全体を支えています。
農林中央金庫(農林中金)
農林中金は、1923年に、政府と現在のJA(農業協同組合:農協)、JF(漁業協同組合:漁協)、JForest(全国森林組合連合会:森林組合/森組)などの協同組織の出資により設立された系統金融機関*です。当初は、産業組合中央金庫という名称でしたが,1943年に農林中央金庫に改称されました。
*系統金融機関:
同業態(ここでは農林水産業者)の協同組織が出資、加盟して決済、資金需要の調整や余裕資金の運用を行う金融機関のこと
当初、農林中央金庫法を根拠とする特殊法人でしたが、1959年に政府出資はゼロ、1986年からは特別民間法人となり、純粋な民間金融機関として機能しています。その業務内容は農林中央金庫法に規定されているため、銀行免許を持つ金融機関でありながら金融庁ではなく農林水産省の所管です。
具体的には、JA(農協)、JF(漁協)、JForest(森林組合)などの会員組織(協同組織)に対する融資原資の供給(資金供給)、農林水産業関連企業への貸付、法人向け大口の資金需要へ対応(大口貸付)するとともに、国内外で多様な有価証券投資(運用)も行っています。
とりわけ、1990年代後半より、貸出利率の低下にともない貸付業務は徐々に魅力をなくしたことから、ロンドン、ニューヨーク、シンガポールを拠点に海外積極投資を展開、農林中金は、今や、海外では日本最大のヘッジファンド*に転換を遂げ、ニューヨークでは最強の機関投資家(大口投資家)の一つと評されています。
*ヘッジファンド
金融派生商品など複数の金融商品に分散化させて、高い運用収益を得ようとする投資会社
このように、農林中金が国内でも最大規模の機関投資家に変貌できた背景には、その潤沢な資金力にあります。
農林中金の貯金残高は、国内銀行として3大メガバンク並みの100兆円を超え、JA(農協)・JF(漁協)・JForest(森組)などからの出資に加えて、JAグループの金融機関である「JAバンク」や「JFマリンバンク」などから安定的な資金を調達できる基盤を持っています。
JAバンク
JAバンクは、農林中央金庫・JA(農協)・信農連*で構成される金融グループの名称で、実質的にひとつの金融機関として機能しています。ただし、JAバンクという名の銀行は存在せず、JAグループ全体の金融サービスを指すブランド名として定着しています。(JA、信農連、農林中金はJAバンク会員とされる)。
*信農連(信用農業協同組合連合会)
信農連は、JAバンクを構成する地域金融機関の一つで、JA農協と連携し、JA組合員に向けて、都道府県単位で金融サービスを展開しています。
信農連が、JA系統の信用事業を都道府県の段階で実施する機関だとすると、市町村段階では、金融機関としてのJA(地域農協)が、全国段階では農林中央金庫が行うという体制が採られています。
この意味で、農林中金は、JAグループ全体の金融機関として、また、JAバンクの全国機関として、個人や法人向けの金融サービスを提供していると再定義できます。
JFマリンバンク
JFマリンバンクは、JAバンクが農業地域、農業関係者のための金融機関であるのに対して、漁業地域、水産業・漁業関係者向けの団体で、農林中央金庫、JF(漁協)、信漁連、JF全漁連(JFグループの全国団体)が運営する全国ネットの金融グループの名称です。
JF(漁協)グループ内で、JF組合員に向けた金融サービス(貯金・貸出などの金融事業/信用事業)を、市町村段階ではJF(地域漁協)が、都道府県段階では信漁連(信用漁業協同組合連合会)が、全国段階では農林中央金庫が、それぞれ提供しています。
◆ 農協の共済事業
JA農協の共済事業は、JA共済連と、JA全国共済会が担っています。
JA共済連
JA共済連は、全国共済農業協同組合連合会(略称:全共連)の愛称で、JAグループの中で、共済事業に特化した団体です。
生命保険と損害保険の兼営で(「ひと・いえ・くるまの総合保障」で知られる)、農業協同組合法を根拠として、全国のJA組合員を対象に、農家が自然災害や病気、事故などの不安から自分たちを守るための共済制度(JA共済)を提供しています。
JA全国共済会
一方、JAグループの中で同じように共済事業を行う団体に、JA全国共済会(全国農林漁業団体共済会)があります。こちらは、JAをはじめとする農林漁業団体の役職員を対象に、退職金共済事業を運営しています。
両者の違いは、全共連がJAの組合員・利用者を対象とした様々な共済事業を展開しているのに対して、JA全国共済会は、主に農林漁業団体の役職員向けの退職金共済を扱っています。
また、組織的にも、全共連は協同組合(全国共済農業協同組合連合会)で、JA全国共済会は一般財団法人であるという違いがあります。
◆ 農協の厚生事業
JA農協の厚生事業は、JA全厚連が一手に担っています。
JA全厚連(全国厚生農業協同組合連合会)
JA全厚連は、JAグループの厚生事業を支援する全国組織として、1948年に設立されました。その実働部隊は、都道県(郡)のJA厚生連(厚生農業協同組合連合会)で、JA厚生連は、各都道県において、以下のような保健・医療・高齢者福祉事業を提供しています。
医療事業
各都道県郡において、病院・診療所等の医療を設置・運営、現在、農山村地域を中心に100以上の病院と60近い診療所をもち、地域の中核的な医療施設となっているところが多数存在。
保健事業
疾病の予防・早期発見のための健康診断・人間ドックや、保養所の開設・利用補助、健康の維持・増進のための健康相談・栄養指導等の事業を実施。
高齢者福祉事業
介護老人保健施設等による施設サービスと訪問看護・デイサービス・ショートステイ等の在宅サービスの実施など、介護を必要とする高齢者に対するサービスを提供。
JA全厚連は、こうした各都道県郡のJA厚生連の活動をとりまとめる全国組織で、その事業支援をはじめ、情報の提供および教育研修を実施、時には、厚生連グループの代表として、政府に対し政策要請を行うこともあります。
(関連投稿)
『日本の農業、その現実と未来』シリーズ
農政
食料安保
食の安全
(参照)
JA(農業協同組合)とは?
(JAグループHP)
農協はどのような仕事をしているのか教えて下さい
(農林水産省HP)
農協60年ぶり改革 JA全中、指導権廃止を受諾
(2015/2/9 、日経)
JA全中はなぜ“農協の司令塔”の地位から転落したのか?「独裁」で組織が腐敗した内幕を元常務が大暴露!
(2025.5.20 DIAMOND online)
ほとんどのJAは「赤字」…経営難に陥り不正行為が蔓延している巨大組織「JA」の「厳しい現実」
(2025.03.29、ライブドアニュース)
農林中央金庫とは?
(農林中金HP)
公的金融機関の存在意義や役割ってなに? パート②系統金融機関
(2024/04/12、キャリスタFinance)
農協60年ぶり改革 JA全中、指導権廃止を受諾
(2015年2月9日、日経)
<農協改革> JA全中は何が「特別な組織」なのか? 早稲田塾講師・坂東太郎のよくわかる時事用語
(2015/2/4 PAGE)
米価70%高騰の裏で、JA関連団体から1.4億円…“農林族のドン”森山幹事長に聞いた、「JAの意向」《元農水官僚が名指し批判》
(2025.3.26 文春オンライン)
Wikipediaなど
(投稿日:2025.8.26)