ウクライナ

 

<国の成り立ち>

 

ウクライナはロシア平原の南、ドニエプル川流域から黒海の北岸、クリミア半島を含む広大で豊かな穀倉地帯である。キエフ公国が誕生したこの地は、ユーラシア大陸で最も肥沃な平原と温暖な気候に恵まれた地とされている。

 

ウクライナは、広大な地域を占めながら時代によってその領域が大きく変動し、さらにロシア、ポーランド=リトアニア、オーストリアなどの近隣の強国に常に脅かされ、その支配を長く受けてきた歴史を持つ。

  

◆ 国号

 

1990年7月、ウクライナ最高会議が7月にウクライナ共和国の主権宣言を行い、翌8月、国家としてソ連邦からの独立を宣言した。これにともない国名もウクライナ共和国(ウクライナ・ソビエト社会主義共和国)から「ウクライナ」と改めた。さらに、12月、独立に関する国民投票が実施され、投票参加者の90%以上の圧倒的多数の支持で独立を達成した。

 

「ウクライナ」の語源は、ソ連時代には「辺境」を意味していると説明されるが、「ウクライナ」は中世ルーシ語で、「国」という意味があるそうだ。ウクライナの歴史は、「国がなかった」歴史でした。それがついて、国家として独立を果たした意味が含まれている。

 

◆ 国旗・国家・国章

 

ウクライナの国旗は、上半分の青が青空、下半分の黄色は小麦畑を表すとされているが、歴史的・思想的に深い意味がある。現在の独立ウクライナの国旗、国歌、国章はいずれも、1918年、ウクライナ人民共和国の政治中枢機関、中央ラーダが定めた青と黄の二色旗、ヴェルビッキー作曲の「ウクライナはいまだ死なず」、ヴォロディーミル聖公の「三叉の鉾」を由来としている。

 

ウクライナの民族主義の人々にとって、現代のウクライナ国家は、ロシア革命時に誕生し潰された、ウクライナ人民共和国の後継国家として位置づけられている。

 

 

<国の概要>

 

◆ 面積:60万3700平方キロメートル

日本の約1.6倍、ヨーロッパではロシアに次いで広い国土面積を保持している。

 

◆ 人口:約5200万人、クリミアを除けば約4160万人

人口はでロシア、ドイツ、イギリス、イタリア、フランスに次ぎ、スペインやポーランドを凌駕している。

 

◆ 首都:キーウ(キエフ)

◆ 言語:ウクライナ語(国家語)、その他ロシア語等

 

◆ 民族・人種

ウクライナ人(78%)、ロシア人(17%)、ベラルーシ人(0.6%)、モルドバ人、クリミア・タタール人、ユダヤ人等

 

ソ連崩壊後のウクライナでは国民が長年、ウクライナの西部と東部で、親西欧派と親ロシア派にほぼ2分されていた。地図上では、北方のキーウから南方のオデッサを結ぶ線が大体の西部と東部を分ける目安となっている。もちろん、その境目の地域などでは個人によって、親西欧派も親ロシア派も実際にいる。

 

◆ 宗教

ウクライナ人の65〜70%(約3000万人)が正教会、10%がギリシャ・カトリック、4%がプロテスタント、2%がローマ・カトリック、ほかにユダヤ教、イスラム教なども信仰されている。

 

ウクライナの主な3教会

ウクライナ正教会(2018年~)

ウクライナ正教会 (モスクワ総主教庁)(UOC─MP)(1990年~)

ギリシャ・カトリック教会(UGCC)(1596年~)

 

ウクライナ正教会は、2018年に、ウクライナ正教会(キエフ総主教庁)(1992~2018)と、ウクライナ独立正教会(1919~2018)が統合して、誕生した。ウクライナ正教会 (モスクワ総主教庁)は、モスクワ聖庁の影響下にある正教会で、ウクライナ正教会(キエフ総主教庁)と対立していた。

 

ギリシャ・カトリック教会(ウクライナ・ギリシャ・カトリック教会)(UGCC)は、典礼方法は正教会と同様、東方典礼(ビザンティンやスラヴの儀式等)を用いながら、ローマ教皇の首位性を認め、ローマ=カトリック教会(ローマ教皇庁)の傘下にある教会である。東方典礼カトリック教会、ユニエイト教会などとも呼ばれている。全世界で20を超え、その中でも最大の信徒数を誇るのが、ウクライナの教会で、信者数は、ウクライナの西に多く、500万人の信者を持つとされる。

 

 

<政治>

 

◆ 政体:共和制

◆ 元首(大統領):ゼレンスキー(2019年5月~)

 

◆ 安全保障

 

2019年2月に改正されたウクライナ憲法に、将来的なNATOとEU加盟を目指す方針を明記された。

 

2014年のウクライナ東部情勢の悪化以降、一時的動員を定期的に実施しつつ、徴兵制を復活させるなど国防力の強化を推進している。

 

ロシアによるウクライナ侵攻

2014年3月、ロシアが、ウクライナ領のクリミア半島を併合、クリミア半島を構成するクリミア自治共和国・セヴァストポリ特別市を一方的にロシア連邦の領土に加えた。

 

2014年4月には、ウクライナの東部のロシア系住民の多いドンバス地域のルハンシク州とドネツク州の一部が、ロシアの支援でウクライナからの分離を表明、両州の中に、親ロシアのドネツク人民共和国およびルハンスク人民共和国が作られた。

*ドンバス地域は、ドネツィク州とルハンシク州を指し、ウクライナの国土面積の10 %を占めている。

 

2022年2月、ロシアがウクライナを侵攻、9月にウクライナの東・南部4州(ルハンシク州、ドネツク州、ザポロジエ州、ヘルソン州)の併合を一方的に宣言した。

 

 

<経済>

◆ 通貨:フリヴニャ(UAH : hryvnia)

 

◆ 主要貿易品目

輸出

穀物(19%)、鉄・鉄鋼(16%)、鉱石(9%)、電子機器(5%)

輸入

鉱物性燃料(15%)、機械類(11%)、輸送機器(10%)、電子機器(10%)、医薬品(5%)

 

◆ 主要貿易相手国

輸出

中国(14%)、ポーランド(7%)、ロシア(6%)

輸入

中国(15%)、ドイツ(10%)、ロシア(8%)

(2020年:ウクライナ国家統計局)