少子高齢社会:合計特殊出生率1.20の時代

 

日本は、少子高齢社会と言われて久しいですが、2005年版「少子化社会白書」は、日本の現状を「超小子化国」と定義し、2007年には、日本は超高齢社会と呼ばれるようになりました。この現状を数字で確認してみましょう。

 

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<人口減少社会>

 

総務省の統計によれば、日本の総人口(2024年)は、1億2380万人(男性:6023万人、女性:6357万人)と、2011年以降、14年連続で減少しました。

 

外国人を除いた日本人の人口で見ると、1億2030万人で、外国人は、過去最多の351万人となっています。

 

日本の総人口は戦後 増加傾向が続き、1967年に1億20万人となり初めて1億人を突破しましたが、2008年に1億2808万人をピークに、減少傾向に転じています。日本の社会は、戦後の「多産多死」の時代から高度成長期の「多産少死」を経て、現在「少産多死」の時代にきています。

 

世界の人口ランキング(IMF)(2024 年)

1  インド    14.4億人

2  中国                14.3億人

3  アメリカ         3.4 億人

4  インドネシア  2.8億人

5  パキスタン    2.5億人

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12 日本                  1.24億人

(世界人口81.2億人)

 

 

<少子化社会>

 

◆ 出生数と死亡者数

厚生労働省によると、日本の出生数(1年間に生まれた日本人の子どもの数)は、2022年に、約77万人と、1899年の統計開始以来、初めて80万人を割り込みましたが、2023年も、72.7万人で、前年より4.3万人減少し、1899年に統計を取り始めて以降、最も少なくなりました。

 

日本の出生数は、終戦直後の第1次ベビーブーム(1947~49年)には250万人、第2次ベビーブーム(71~74年)には200万人を超えましたが、その後は一貫して減り続け、1984年には150万人、2016年に100万人をそれぞれ割り込みました。なお、出生数の過去最高は、1949年の269.7万人でした。

 

これに対して、2023年の死亡数は、157.6万人(前年比0.7万人増)で、過去最多を記録しました。この結果、人口の自然減(出生数と死亡数の差)は、約85万人で、自然減の幅も07年以降は拡大しています。

 

◆ 合計特殊出生率

少子化の現状を示す統計である合計特殊出生率も低下を続けています。

 

合計特殊出生率は、1人の女性(15歳から49歳)が一生の間に産む、平均の子どもの数をいいますが、2005年に1.26人と過去最低を記録しました。この年の「少子化社会白書」は日本の現状を「超小子化国」と定義してました。

 

その後、若干、回復傾向もみられ、2016年に1.44まで戻しましたが、再び減少に転じ、2023年は1.20と過去最低を更新しました(前の年を下回るのは8年連続)。

 

歴史的にみると、第1次ベビーブーム期には、合計特殊出生率は4人を超えていました(過去最高は1949年の4.54)が、ベビーブーム期が去ると50年以降、その反動で合計特殊出生率は、大幅に低下し始めた。

 

1957年から74年までの間、合計特殊出生率は、ほぼ2.0前後で推移していましたが、74年に、人口置換水準を割り込んで以降もおおむね低下を続けました。中でも、1989年には、1.57とそれまで最低であった66年の水準を下回り、1.57ショックと呼ばれました。

 

丙午の年の例外

干支(えと)が丙午(ひのえうま)に当たった1966年の合計特殊出生率は、1.58と急減しました。これは、「丙午年の生まれの女性は気性が激しく、夫の命を縮める」という迷信があり、多くの夫婦が出産を避けたからです。

 

なお、合計特殊出生率でみた人口が増えも減りもしない均衡した人口維持の分岐点(人口置換水準)は2.07人と言われています。1人の子どもが生まれるには、男女(2人)が必要ですから、合計特殊出産率が2以上ないと、人口は自然減になります。

 

 

<高齢社会>

 

◆ 高齢化率と倍化年数

 

高齢社会の現状を示す指標が高齢化率(総人口に占める65歳以上の高齢者人口の割合で、2224年は29.1%となり、過去最高水準にあります。65歳以上の高齢者人口も、総人口が減少する中で、約3630万人と過去最多でした。

 

高齢者のうち、75歳以上人口は約1940万人(総人口の15.5%)となり、総人口に占める割合が初めて15%を超えています。これは、いわゆる第一次ベビーブーム期(47年~49年生まれ)の「団塊の世代」が2022年から75歳を迎え始めたことによると考えられています。2070年には、4人に1人(国民の25%)が75歳以上になっているとの推計もあります。

 

日本の高齢化率(29.1%)は、世界で最も高く、次いでイタリア(24.1%)、フィンランド(23.3%)、プエルトリコとポルトガル(22.9%)などとなっています。

 

高齢化率の推移をみると、1950年(4.9%)以降一貫して上昇が続いており、85年に10%、2005年に20%を超えました。国連は、高齢化率が21%を超えた社会を超高齢社会と規定していますが、日本は、2010年には高齢化率23%を超え、超高齢社会を迎えました。この年は、団塊の世代がすべて60歳代になり、日本の高齢化率に拍車がかかった年でした。

 

高齢社会の区分

国連は、高齢化率が7%を超えた社会を高齢化社会、14%を超えた社会を高齢社会、21%を超えた社会を超高齢社会と規定しています。

 

また、高齢化のスピードを示す指標に倍化年数があります。倍化年数は、高齢化率が7%からその倍の14%に達するまでの期間のことをいい、フランスは95年に115年かかって14%に達しましたが、日本は1994年にわずか24年で到達しました。

 

今後についても、日本の高齢者人口のピークは2042年頃とみられることから、高齢化率は今後も上昇を続ける見込みです。第2次ベビーブーム期(71年~74年)に生まれた世代が65歳以上となる2040年には、35.3%(国民の約3人に1人が高齢者)になると試算されています(国立社会保障・人口問題研究所の推計)。

 

◆ 平均寿命

 

また、日本国民の*平均寿命(2023年)は、男性81.09歳、女性87.14歳)で、世界で最も高い水準にあることも高齢化の進展を裏付けている。

 

*平均寿命

0歳の人の平均余命を言う。生まれたばかりの0歳の子どもが生存するであろう平均年数のことを指す。

 

男女別の平均寿命の国際比較

男性はスイス(81.6歳)が首位で、日本はノルウェー(81.59歳)に次ぐ3位であった。女性は日本が1位を維持し、韓国(86.5歳)、シンガポール(85.9歳)が続いた。

 

 

<参照>

本稿は、拙著「『なぜ?』がわかる政治・経済」で取り上げた内容を、加筆・修正して、まとめたものです。

 

(投稿日:2025.5.18)

むらおの歴史情報サイト「レムリア」