神嘗祭:五穀豊穣を伊勢神宮に向けて感謝

 

神嘗祭(かんなめさい)は、毎年10月17日、皇居で行われる秋の実り(五穀豊穣)に感謝する宮中祭祀です。その日の朝(午前10時頃)、天皇陛下は、皇居・神嘉殿にて、三重県の伊勢神宮(皇大神宮)をご遙拝(伊勢神宮に向かって拝礼されること)になられます。この祭祀を正式には、「神嘗祭・神宮遙拝の儀」と呼びます。

 

その後、天皇皇后陛下は、皇室の祖先とされる天照大神を祀っている「賢所」にて、装束姿で参拝され、「神嘗祭 賢所の儀」に臨まれます。そこで、天照大神に、新穀(新米)をお供えになられ、五穀豊穣に感謝されます。この時、天皇陛下が皇居の御田で育てられた稲も使われます。

 

また、天照大神を祀る伊勢神宮においても、最も重要なお祭りとして神嘗祭が行われ、陛下が皇居でお育てになられた御稲穂も御献進されています。皇居での神嘗祭が10月17日に行われるのも、伊勢神宮で「神嘗祭」が15日から挙行されているに合わせています。伊勢神宮では、3日目の17日に、由貴朝大御饌(ゆきのあしたのおおみけ)と呼ばれる実際のお供えの儀式が行われ、その日の午後に天皇陛下が遣わされた勅使が幣帛(へいはく)(=献上の品)をご奉納することになっています。

 

古くから「神嘗祭」では、このように皇室から伊勢神宮に、幣帛使(献上物を奉納するための使者)が派遣されていました。応仁の乱の後、何度か中断されることもありましたが、1647年(正保4)に幣帛使が復活して以来、現在まで途切れることなく行われています。

 

なお、翌11月には、天神地祇すべての神々に収穫を感謝する新嘗祭(にいなめさい)が行われますが、神嘗祭は、諸神に先立ち収穫の感謝を、皇祖である天照大神に捧げるという趣旨があります。

 

 

<用語>

宮中三殿

天照大御神を祀る賢所(かしこどころ)、歴代の天皇・皇族の霊を祀る皇霊殿(こうれいでん)、天神地祇(ちぎ)を祀る神殿(しんでん)のこと。

 

神嘉殿(しんかでん)

宮中三殿の構内に附属する建造物の一つで、皇霊殿の西に位置する。新嘗祭・神嘗祭が挙行されるほか、その南庭では元日に四方拝も行われる。

 

 

<参照>

両陛下 皇居で宮中祭祀「神嘗祭」に(2020/10/17 FNNプライム)

神嘗祭-振替休日

神嘗祭(伊勢神宮HP)

Wikipediaなど

 

2020年10月25日(最終更新2022年3月29日)