世界の地誌

 

地球上には、太陽から受ける熱の多い低緯度地方と、少ない高緯度地方で不均衡が生じているが、これは大気や海岸の大循環による熱の移動により解消されている。

 

赤道付近の赤道低圧帯は、空気の対流が活発で、そこで上昇した空気は、高緯度側の30度付近で降下し、中緯度高圧帯を形成する。中緯度高圧帯から赤道低圧帯に向かって吹く風を貿易風、高緯度低圧帯に向かって吹く風を偏西風と呼ぶ。

これらの風系のほかに、主に大陸の東岸部には、大陸と海洋の季節による気圧の差により風向きが変わるモンスーンがみられ、気温や降水量の季節的変化の大きな気候がつくられている。

 

 

褶曲(しゅうきょく)とは地殻変動により、ほぼ水平に堆積していた地層が、強い圧力で曲がることを指します。褶曲は、固まった地層に左右からの力が加わって、地層が波を打ったように曲げられてしまったもののことです。褶曲には、山のように持ち上がったり(隆起 りゅうき)、谷のように凹んだり(沈降 ちんこう)するものがあり、日本の火山を除く山には、この褶曲作用によってできたものが多く、世界一高いヒマラヤ山脈も長い年月の間、地層が褶曲作用などを受けてできたものではないかと予測されています。(「地殻変動とは」日本原子力研究開発機構)

 

 

世界の海流

 

ノルウェー海を北上する北大西洋海流は、その上を吹きわたる偏西風の作用とあいまって、西ヨーロッパに、緯度に比べて冬が温暖な海洋性気候地域を発達させており、北極圏にありながら不凍港も存在している。

 

帆船時代以降、海流は帆船の航行に利用され、有利な交通路の役目を果たしてきたが、コロンブスのアメリカ大陸発見のときは、往路は、アフリカ大陸西岸を流れるカナリア海流(寒流)、帰路は大西洋を北上する北大西洋海流(暖流)を利用したといわれている。

 

海流は、基本的には大気の大規模な循環系とよく似た環境系を作っているが、太平洋や大西洋には、赤道の両側に平行して流れる北・南赤道海流があり、北赤道海流は時計回り、南赤道海流は反時計回りに流れている。

 

暖流と寒流が接するところは潮目と呼ばれ、好漁場となっており、寒流のラブラドル海流と暖流のメキシコ湾流が作る潮目、寒流のカリフォルニア海流と暖流の北大西洋海流が作る潮目などはそれぞれ世界四大漁場の一つといわれている。

 

ペルー、チリの沖合には寒流のペルー海流が流れており、世界有数の好漁場となっているが、海水温が大幅に低下するエルニーニョ現象と呼ばれる海流異変が起こると、アンチョビー漁の不振など漁況に大きな影響を与えることになる。

 

 

 

世界の植生および土壌

 

熱帯林は、世界の森林面積全体の半分を占め、樹種は多く。高湿多雨のために、育ちやすい(再生が容易)反面、搬出が困難な場合が多い。熱帯雨林では、樹高が平均40㎝に達する常緑樹の密林が生い茂り、樹床では厚い落葉樹が微生物によって活発に分解されている。

 

マングローブは熱帯、亜熱帯の海岸や河口に生育する植物群落であり、この林は海生動物の住みかとなるが、最近は薪炭用やパルプ原料用に伐採されたり、エビの養殖地とするために伐採されて減少している。

 

温帯林には、わが国でも見られるブナやナラなどに代表される常緑広葉樹林や、地中海沿岸のコルクガシや月桂樹などの耐寒性が強い樹種に代表される硬葉樹がある。温帯林の一部地域は、綿花栽培に適したレグール土や、コーヒー栽培に適したテラローシャが分布することから伐採が進んだ。

 

冷帯林は、落葉するカラマツや、常緑であるモミ、ツガなどの針葉樹から構成される森林である。タイガは単一の樹種により構成される森林地帯である。森林で樹が伐採されると、太陽の光が直接地面に当たるようになって永久凍土が溶け出し、土地が陥没することもある。

 

カラマツ:落葉針葉樹

モミ、ツガ:常緑針葉樹

タイガは、純林あるいは単相林と呼ばれ、シベリアやカナダで見られる。

 

アフリカの熱帯草原地帯はサバナと呼ばれ、ウクライナ地方によく見られるチェルノーゼム(黒色土)や、栗色土が分布し疎林と草原が広がる。また、アルゼンチンの乾燥パンパ地域や、北アメリカ大陸のグレート・プレーンズの地域にはステップ草原が広がる。ラトソルという農業に不適な土壌と降水量に恵まれているため、サバナよりも草丈の長い草原が広がる。

 

世界の森林面積のうち、約半分が熱帯林であり、残りは、温帯林と冷帯林である。温帯林は、古くから開発が進められ、植林も行なわれて人工林が広く分布している。また、熱帯林は、多くの樹種が得られることから、主要な木材供給地域となっている。冷帯林は単一の種類のいわゆる純林が多い。

 

熱帯は日射が強く降水量が多いため、植物がよく茂る。しかし、多量の降雨により土壌中の養分は流され、鉄分などが多く残るラトゾルと呼ばれる赤色土となり、肥沃度は低い。

 

ステップ気候区の比較的雨量の多い地域では草の密度が増し、乾季に枯れた草の腐食によって、ウクライナ周辺では、チェルノーゼムと呼ばれる肥沃な黒土が形成される。

 

亜寒帯(冷帯)には、寒さに強い単一または少数の樹種からなる針葉樹林が広がる。針葉樹の落ち葉は分解されにくく、酸を生成する。この酸が土を褐色にする鉄分をとかしてしまうため、ポトゾルと呼ばれる白っぽい土壌となる。