2022年05月12日

謎の急性肝炎、世界の子どもに拡散

先月末、世界中の子どもに謎の急性肝炎が広がっているという、気になるニュースがありました。以下、毎日新聞の記事です。

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原因不明の小児急性肝炎か 症例を国内初確認 欧米で報告相次ぐ社会

(2022/4/25、毎日新聞)

 

米国や欧州で今年1月以降、原因不明の子どもの急性肝炎の症例報告が相次いでいることを巡り、厚生労働省は25日、同様の症状が出た症例を国内で初めて確認したと発表した。

 

世界保健機関(WHO)の報告によると、今月21日までに12カ国で169例が確認され、1人が死亡した。このうち、74例で夏風邪や結膜炎などの原因ウイルスである「アデノウイルス」が検出されている。症状は黄だんや肝障害の程度を表す肝酵素の数値の異常のほか、一部の症例では腹痛、下痢、嘔吐(おうと)などが報告されている。

 

今回の症例は21日に自治体から国に報告があった。アデノウイルスは陰性で、肝移植はしていない。基礎疾患の有無は不明で、新型コロナウイルスは陰性だった。厚労省は症状や居住地、性別、年齢は明かしていない。

 

WHOは23日、各国から情報を集めるために、原因不明の子どもの急性肝炎の暫定的な症例の中に「可能性例」を定義。16歳以下で、2021年1月以降に確認された急性肝炎で、A~E型のウイルス性肝炎の症例は除外している

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世界中で確認された169件の報告のうちこの肝炎に感染している子供の大半は5歳以下で、死亡例は1件確認されました。感染者が最も多いのがイギリスの114件で、10人の子供が肝臓移植を余儀なくされたそうです。

 

症状は、腹痛や下痢、吐き気といった消化器症状がでた後、皮ふと目が黄色くなる黄疸(おうだん)が確認されたとのことで、肝酵素値(「AST」、「ALT」)の上昇が認められましたがほとんどの症例で発熱はありませんでした。また、急性ウイルス性肝炎を引き起こす一般的なウイルス(A、B、C、D及びE型肝炎ウイルス)は検出されていません。

 

「F41」と呼ばれるアデノウイルスが原因になっている可能性が高いとみられていますが、まだ正確には不明です。新型コロナウイルスのパンデミックによって、幼い子供たちが生活の中でアデノウイルスにさらされる時期が遅くなり、「免疫反応が激しくなった」のではないかという見方があります。

 

 

現在、直近のコロナ(COVID-19)感染がアデノウイルスと共に肝臓に異常を引き起こすきっかけになっていないかなども含めて調査中です。WHOによれば、少なくとも19人は新型コロナウイルスとアデノウイルスの両方に感染していました。なお、イギリスで確認されている10歳以下の肝炎患者は、ワクチンを接種していないとされ、新型ウイルスワクチンとこの肝炎との関連は、現段階ではないと言われています。

 

記事にあったように、日本でも、同様の症例を国内で初めて確認されたことから注意が必要です。