2020年12月08日

日本国憲法:まじめな解説 婚姻の自由と両性の平等(24条)

秋篠宮さまは、11月、長女・眞子さまと小室圭さん(29)の結婚について、憲法第24条に言及され、「(結婚については)本当にしっかりした確固たる意志があれば、それを尊重するべきだと私は思います」として、お二人のご結婚を認める発言をされました。今回は、憲法24条をとりあげます。

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第24条(家族生活における個人の尊厳と両性の平等)

  1. 婚姻は、両性の合意のみに基いて成立し、夫婦が同等の権利を有することを基本として、相互の協力により、維持されなければならない。
  2. 配偶者の選択、財産権、相続、住居の選定、離婚並びに婚姻及び家族に関するその他の事項に関しては、法律は、個人の尊厳と両性の本質的平等に立脚して、制定されなければならない。

 

24条には、「家族生活における個人の尊厳と両性の平等」という「見出し」がつけられる場合があります。ただ、文言通りに解釈すれば、婚姻の自由と夫婦同等の権利を謳い、これが法律にも反映されることが求められています。ですから、24条は、親兄弟姉妹、祖父母を含めた家族制度全体というよりも、婚姻と夫婦間の平等について定めた条項と言えます。

 

第1項では、「結婚は男女の合意だけで成立する」と婚姻の自由を規定した上で、「夫婦が同等の権利を持っていることを基本に、互いに協力しながら、夫婦の関係を維持しなければならない」と、婚姻関係における男女平等を定めています。

 

「婚姻は、両性の合意のみ」という部分は、結婚を親や「家」が結婚を決めるのではなく、本人たちの意思で決めるということを強調したものだとされています。これは、戦前、本人が意図しなくても、親や「家」が結婚が決まることも多くあったことを受けたものです。

 

 

第2項では、結婚相手の選択、財産権、相続、結婚や離婚など家族に関する事柄について、憲法の権利を具体化する法律(民法など)においても、夫婦に差はなく平等、対等であることを基本として制定されなかればならないと述べ、「夫婦に差はなく対等」であることが念押しされています。

 

戦前の民法において、嫡男(長男)が、財産などを単独承継するという家督相続(長子相続)が基本でした。また、妻から離婚を申し込めない、父のみが親権を行使できるといった規定がありました。しかし、日本国憲法制定後に改正された民法では、例えば、民法では、これらの男性優位の旧制度を廃止し、両性の本質的平等の理念に忠実な制度に変わりました。

 

こうした点から、24条は、憲法の基本理念である個人の尊厳(13条)や、「法の下の平等」(14条)の理念を、夫婦間、家庭生活にも浸透させ、男女平等の社会を実現することを目指す条文であると解されています。

 

では、秋篠宮家の眞子さまのご結婚に関しては、憲法学上、「人権の享有主体」の問題がでてきます。憲法の規定は、日本国民に与えられた権利であって、天皇・皇族には一定の制約がかかるという考え方です。ですから、眞子さまのご結婚も、憲法24条の「婚姻の自由」を根拠に当然、認められるべきとは完全には言い切れないのが現状です。実際、自民党の伊吹文明元衆院議長は、「国民の要件を定めている法律からすると、皇族方は、……法律的には日本国民ではあられない」と発言しています。

 

一方、日本の社会に目を向ければ、現在、男女の不平等は徐々に改善され、24条が規定する夫婦間の平等の理念は定着しつつあるようです。ただし、本条を巡っては、同性婚や選択的夫婦別姓(氏)制の問題などがでてきています。また、古き良き意味での家庭の絆を憲法にも反映させたいとする声もあります。

 

同性婚は認められるか?

日本では、24条一項前半の「婚姻は両性の合意にのみ基づいて成立」との規定から、同性婚は認められていないと解されています。なぜなら、本条の「両性」は男女を意味すると解釈されているからです。もっとも、民法上の規定において同性カップルを「特別配偶者」とすることで、現行憲法のままでも同性婚が認められるとする立場もあります。

 

 夫婦別姓は認められるか?

旧民法では「結婚は妻が夫の家に入る」という伝統的な考え方を反映して、「妻が夫の氏を称する」と定められていました。これに対して、国憲法制定後に改正された現在の民法(第750条)では、「夫婦は、婚姻の際に定めるところに従い、夫又は妻の氏を称する」とする「夫婦同氏の原則」が規定されています。

 

しかし、女性の社会進出が目覚ましい今日、改姓(氏)によって女性が社会的な不便や不利益を被る場合があるとして、結婚の際に、女性が望む場合には結婚後も旧姓を使うことを認める選択的夫婦別姓制度の採用を求める声が上がっています。しかし、法律(第750条)の文言上は、「夫婦協議が認められている」として、一般には、「夫婦同氏の原則」が平等原則違反とは解されていません。実際、2015年12月、最高裁は「夫婦同姓」は合憲との判断を示しています。

 

保守層の主張

 

一方、保守層からは、「家族」よりも「個人」に重きを置きつつ、「両性の平等」を定めた24条については根強い批判が出されています。彼らにとっての伝統的な日本の夫婦、家族の在り方とは、和と相互の思いやりを重んじた関係です。ですから、第24条が、女性の権利を擁護しているように見えるものの、その実態は、夫婦や家族、男女の対立を加速させ、離婚の増加、家族の破壊につながっていると考えるのです。

 

そこで、保守派など改憲を望む人々は、「家族は助け合う」というような「家族の絆」を憲法の条文に取り入れるべきだという主張もなされています。実際、現憲法には、24条にあるように婚姻について定めた条項はありますが、家族について規定した条項はありません。そこで、かつて自民党は、改憲案に「家族は互いに助け合わなければならない」という文言を加えることを提起しました。しかし、憲法で国民に新たな義務を課すのは、国民の人権を守るという憲法の目的から外れるとの指摘も聞かれています。