2016年11月08日

ニュース:パグウォッシュ会議 反戦、科学者の発信力強化

パグウォッシュ会議 反戦、科学者の発信力強化 初総会へ
(毎日新聞2016年11月2日)

 

核兵器と戦争の廃絶を目指す科学者らの国際団体「パグウォッシュ会議」の国内組織「日本パグウォッシュ会議」が体制を強化し、活動活発化に向けて再出発する。防衛装備庁の研究資金創設など軍事と科学者との距離が縮まっていることへの危機感から、若手にも裾野を広げ「科学者の社会的責任」を考えてもらう狙い。27日に初の総会を東京都内で開き、軍事研究に対する姿勢などを議論する。

 

パグウォッシュ会議は東西冷戦下で核開発競争が激化した1957年以来、核や大量破壊兵器の廃絶を目指して議論や提言を続けている。日本では49年にノーベル物理学賞を受賞した湯川秀樹博士らが積極的に参加したほか、世界大会も開かれたが、近年は関わる科学者が減少している。学者が個人の資格で出る会議のため、日本では過去の参加者が日本パグウォッシュ会議というグループを作って活動してきた。昨年11月に長崎市で世界大会を開いたのを機に新たに関心を持つ人にも輪を広げ、政策への影響力も高めようと9月、規約や会員制度を作り組織化を決めた。

 

新生「日本パグウォッシュ会議」は原子力工学者の鈴木達治郎・長崎大教授が代表を務め、会員約40人でスタートする。湯川博士と共に活動してきた物理学者の小沼通二・慶応大名誉教授らが運営委員を務めるほか、日本学術会議会長経験者の吉川弘之・科学技術振興機構特別顧問や広渡清吾・東京大名誉教授ら16人の諮問会議から助言を受ける。総会に併せて、軍事研究問題やオバマ米大統領広島訪問後の核軍縮の課題などを話し合う。自由な議論を担保するため会員以外には非公開だが、成果は声明などに生かすほか、一般向けのシンポジウム開催も検討する。鈴木教授は「科学者の社会的責任、対立を超えた対話というパグウォッシュ会議の二つの柱に基づき、問題を自由に議論する場にしたい。物事が安全保障に偏りがちな現状に危機感を持っており、政策提言にもつなげたい」と話す。