2016年08月17日

ニュース:仮想通貨活況

仮想通貨活況、FXから流入 為替相場膠着で投資妙味
(2016/8/16 日本経済新聞)

 

仮想通貨の売買が活況を呈している。ビットコインの国内取引高は2016年1~6月期に4300億円、7月は単月で2000億円を突破し、それぞれ前年同期に比べて約50倍に増えた。米利上げの行方が定まらないなど値動きが狭い範囲にとどまる円・ドル相場を横目に、取引が膨らんでいる。一部の個人投資家が仮想通貨の価格変動を狙って参入しているためだ。

 

国内の仮想通貨取引所最大手のビットフライヤー(東京・港)は15日、8月に入ってこれまでの利用者数が20万人を超え、前年同月比10倍に増えたと明かした。同社はビットコインの国内取引シェアの約4割を握る。加納裕三社長は「今春以降、過去にない勢いで取引が伸びている」と話す。

 

取引高の増加には大きく2つの背景がある。一つは仮想通貨の信頼性の改善だ。政府は5月に利用者保護を柱とする仮想通貨の法規制を初めて制定。取引所は財務基盤の強化や取引記録の整備を迫られ、疑わしい売買は金融庁に報告する。大手金融機関では三菱東京UFJ銀行が7月に世界最大の取引所を運営する米コインベースとの提携を公表。仮想通貨の用途や技術が幅広い分野に広がりつつある。

 

もう一つの背景が為替相場の膠着だ。円相場は年初の1ドル=120円台から、6月下旬に決まった英国の欧州連合(EU)離脱にかけて100円まで上昇した。だが、その後の円相場は100円台前半で取引が続く。米国の経済指標に強弱が入り交じり、市場は米利上げペースを読み切れない。1ドル=100円を超えるような円高水準では政府・日銀による為替介入にも警戒感が高まる。

 

一方、ビットコイン価格は変動が大きい。年初に1ビットコイン=4万3000円台の安値をつけた後、6月半ばには8万円台に上昇。足元では6万円前後で推移する。一時は英EU離脱に伴う逃避資産の受け皿になったともされる。

 

昨年から仮想通貨を購入している20代後半の会社員は「以前は外貨や投資信託に投資したが、現在はビットコインを買い増している」と語る。市場の変動に応じて頻繁に売買を繰り返すという。20代前半の個人投資家も「ビットコインは1日で価格が2割近く変動することもあり、利ざやを狙いやすい」と指摘。価格変動の大きさが魅力に映るようだ。

 

市場調査のシード・プランニング(東京・文京)は取引所にヒアリングを実施し、16年通年のビットコイン取引高が2兆円に増えるとの試算をまとめた。「今まで外国為替証拠金(FX)取引を手掛けていた投資家が、ビットコインを新しく始める傾向が見られる」と同社は指摘する。

 

FX取引高が月間400兆円にのぼるのに比べれば、まだビットコインの売買はわずかだ。だが多くの新しい金融商品や取引が法改正などルールの整備に伴い市場が拡大してきた経緯がある。黎明(れいめい)期のビットコイン市場も、一時のあだ花にとどまらずFX取引のように厚みを増していくのだろうか。