有機農法

イオン、有機農家を育成 欧州企業と提携し専門店
(2016/5/16  日本経済新聞)

イオンは有機農産物の生産農家を育成する。欧州の専門企業と共同出資会社を設立。生産者から農産物を直接買い取り、新たに展開する国内の専門店で販売する。2020年をめどに首都圏を中心に50店以上にすることを目指す。環太平洋経済連携協定(TPP)の発効による貿易自由化を見据え、農家が付加価値の高い農産物に取り組める環境を整える。

 

フランスで有機専門スーパー約90店を運営するビオセボンと組む。同社の親会社のベルギー企業と6月にも折半出資で新会社を設立。年内に1号店開店をめざす。それまでに専用の農地を約40ヘクタール確保し、当初はニンジンやホウレンソウなど約30品目を扱う。

 

今後5年をめどに農地を25倍の1千ヘクタールに広げ、品目数も3倍程度に増やす。店舗では有機産品の食品のほかに化粧品、日用品も加え、4千品目程度の商品をそろえる。出店はグループの他のスーパーなどから独立した形が中心となる。

 

ビオセボンは農家に有機栽培への転換を促し、契約分を全量買い取る仕組みで事業を拡大している。「有機」の表示をするには化学合成農薬を3年以上使わないなどの規定がある。イオンはグループの販路やビオセボンのノウハウを生かし、転換する農家の経営を支える。

 

世界の有機産品市場は年率1割以上伸びているとされる。日本は12年に約1400億円で世界7位だった。市場規模が30倍の米国や4倍のフランスに比べると、日本の市場はまだ小さい。有機野菜は通常の栽培よりコストが5割程度多くかかるとされる一方、店頭での販売価格は高値で安定している。環境や健康への関心の高まりを受け、日本でも今後の需要の伸びは大きいとみて、イオンは事業を本格化させる。

 

イオングループでは直営農場を持つイオンアグリ創造(千葉市)が有機栽培を広げ、農家との契約も進めている。プライベートブランド(PB=自主企画)の「トップバリュ」でも有機産品を増やしており、一連の事業間の連携も進める。将来は有機農産物の専用物流網も構築する。

 

 

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イオン、150店に有機野菜売り場 自社栽培も開始
(2016/2/27 日本経済新聞)

イオンは2017年2月末までに、有機栽培の農産物をそろえた専門売り場を傘下のスーパー150店に設ける。自社グループの農場でも栽培を始める。健康志向の消費者に人気の有機野菜を増やし、競合スーパーやコンビニエンスストアを上回る集客力につなげる。

 

専門売り場は総合スーパー「イオン」など100店、食品スーパー「マックスバリュ」など50店に導入を目指す。契約農家を増やし、グループで農場を運営するイオンアグリ創造(千葉市)でも栽培を始める。16年3月に埼玉県日高市などの3農場で作付面積の数%を有機栽培に当てる。

 

店内では野菜売り場の一角にレタスやトマト、ホウレンソウなど30品程度を並べる。30~40ある契約農家を現在の倍に増やすなどして、品目数も60程度にする考えだ。有機野菜はイトーヨーカドーなど他社も取り扱いを増やしている。ただ、仕入れ量が季節ごとにばらつくなどの課題があり、専門売り場を100店を超す規模で常設するのは異例だ。農薬を一定期間使わずに人手をかける有機栽培は、経費が通常より5割ほど多くかかるとされる。イオンは一般的な野菜より3割程度まで高く販売する方針だ。

 

有機野菜の販売額は、専門売り場の導入店でも農産物全体の1割未満にとどまる見通し。ただ、栽培環境に配慮した品ぞろえをアピールする効果は大きく、試験販売も好調だったという。スーパー各社は他社と品ぞろえの違いを打ち出しやすい生鮮食品や総菜の販売に注力している。加工食品ではインターネット通販などとの値引き競争が激しいことも背景にある。