2017年11月20日

ニュース:国産「量子コンピューター」開発へ本腰

国産量子コンピューター試作機、無償公開へ 改良目指す
(2017年11月20日、朝日)

 

スーパーコンピューターをはるかに超える高速計算を実現する「量子コンピューター」の試作機を、国立情報学研究所などが開発し、27日から無償の利用サービスを始める。世界的な開発競争が進むなか、試作段階で公開して改良につなげ、2019年度末までに国産での実用化を目指す。従来のコンピューターは、多数の組み合わせから最適な答えを探す際に一つずつ計算するが、量子コンピューターは極小の物質の世界の現象を応用し、一度に計算する。現時点では一度に計算できる組み合わせは、スパコンの数千分の1~数十分の1程度だが、理論上は1千年かかる計算も一瞬で済むとされ、人工知能や新薬の開発、交通渋滞の解消などに役立つことが期待されている。

 

基礎研究は1980年代に始まり、日本の業績も世界的に評価されている。だが、実用化では米IBMやグーグルなどが先行。カナダのD―Waveシステムズは11年に一部実用化し、米航空宇宙局(NASA)や自動車部品大手「デンソー」、東北大などが活用している。国立情報学研究所や理化学研究所、NTTなどは、内閣府の研究支援制度「革新的研究開発推進プログラム」(ImPACT)を使い、光ファイバーとレーザー光を組み合わせた独自の方式を開発した。計算速度は、理研にある小型スパコンと比べて平均で約37倍速く、特定の計算では、D―Waveよりも正答率は大幅に高かった。スパコンは冷却に多くの電力が必要で、大規模な「京(けい)」では1万数千キロワットに及ぶ。今回の試作機は大型電子レンジ程度の1キロワットで済むという。

 

一方、従来のスパコンで使われるソフトウェアは使えず、開発に必要な専門家が不足している。このため、研究グループは、試作機の段階で企業や研究機関に量子コンピューターを使ってもらい、そこで得た蓄積を技術の開発や人材育成につなげることにした。27日から、ウェブ上でサービスを公開し、世界中の利用者が無償で使えるようにする。研究グループの山本喜久プログラムマネジャーは「実社会の課題に対応するために、さらなる改良を目指したい」と話している。

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