2017年09月13日

ニュース:各国でガソリン車廃止の動き

EVシフト、各国で加速 ガソリン車禁止、中国も検討?
(2017年9月13日、朝日新聞)

 

政府が主導してエンジン車から電気自動車(EV)への転換をめざす動きが、各国で強まっている。環境対策の強化などを理由に、英仏に続いて中国も、将来的なガソリン車の生産販売の停止に言及した。自動車各社は成長が見込めるEV市場に前のめりだが、クリアすべき課題は多い。中国工業・情報化省の辛国斌次官は9日、天津市で講演し「伝統的なガソリン車の生産販売をやめるスケジュールをつくっている国もある。工業・情報化省も研究を始めており、我が国のスケジュールをつくることになる」と述べた。中国の自動車業界紙が伝えた。

 

この夏、英仏政府が2040年までにディーゼルやガソリン車の新車販売を禁止する方針を発表。中国政府のスケジュールができる時期や、達成年度は明らかではない。ただ、年間販売2800万台と世界最大の市場だけに、仮に禁止されるとすれば影響は大きい。

 

中国はエンジン技術に強みを持つ日米欧に対抗して自国の自動車産業を振興するため、環境規制を通じてEVを奨励してきた。米国に石油の海上輸送路を押さえられているため「(エネルギー源の多様化を図る)安全保障上の配慮も背景にある」(自動車メーカー関係者)との見方もある。それでも公共交通などの一部を除き、EVは中国の一般消費者にほとんど普及していない。このため近い将来、EVなどのエコカーを一定以上売るよう求める規制を導入。日本のトヨタ自動車の独壇場となっているハイブリッド車(HV)は、エコカーと認めない。ただ、この規制は中国の地場メーカーにとっての負担も大きく、延期を求める声が強い。もしEV普及が急速に進めば、二酸化炭素排出や大気汚染を伴う石炭火力や、事故リスクがぬぐえない原子力による発電を大幅に増やすとみられる。中国が掲げる「環境対策」との整合性も問われる。

 

■読めぬ需要、販売に課題

中国の政策に沿い、EVへの転換を強くアピールするのが欧州勢だ。独フォルクスワーゲン(VW)は、排ガス不正を起こしたにもかかわらず、中国での販売が好調で世界販売の首位に立ち、EVへと大胆に軸足を移す方針を打ち出した。

 

12日に開幕した独フランクフルトモーターショーでは、VWが20年に投入予定のEV「IDクロス」を紹介。25年までにグループで50車種のEVを投入する目標も示した。VWのヘルベルト・ディース最高経営責任者(CEO)は「車の未来を形作る」と述べた。独BMWも、傘下の「ミニ」で19年に発売するEVの試作車をお披露目した。現在は1車種のEVについて、25年までに11車種を新たに投入する予定だ。昨年、EVなど向けの専用ブランド「EQ」をつくった独ダイムラーも小型のEVの試作車を発表した。

 

EVと相性がいいとされる自動運転でも攻勢をかける。独アウディは自動運転の試作車2台を初公開。市街地などでも完全に自動運転する機能をめざすEVだ。ルパート・シュタートラー会長はこうした車の投入を「今後10年で目指したい」と話した。

 

欧州勢は、環境に優しいとPRしていたディーゼルエンジン技術がVWの不正で信頼を失い、販売面で大きな逆風に直面している。中国や欧州などで開けつつあるEV市場での競争は、生き残りのカギを握る。ホンダも欧州など都市部での走りやすさを意識した小型EVの試作車をショーで初公開した。丸っこく斬新なデザインで、これをもとに開発した量産EVを19年に欧州で売り出す。人工知能(AI)を使い、ドライバーの表情や声の調子などからストレス状況を判断して安全運転を支援する機能もある。八郷隆弘社長は「欧州では電動化に向けた動きがどこよりも進んでいる」と述べた。中国では18年に専用EVを投入予定で、車載電池分野では中国IT大手「東軟集団」(ニューソフト)と連携する。ただ、ショーで目玉となった車を実際に売るまでのハードルは多い。EVは日産自動車や米テスラなど一部を除いて量産や市販の経験が乏しく、実際の需要は見極めがたい。日産の西川広人社長は「EVの市場が広がるのは大歓迎。品ぞろえがそろってくれば、EVの中でどれがいいかで選んでもらえる」と話す。

 

 

■見方分かれるトヨタ社内

トヨタは、量産EVを2019年にも中国に投入する計画。20年をめどにEV専用車の開発も進めるが、独フォルクスワーゲンのようにEVの品ぞろえを一気に増やす計画は公表していない。「今回のことで、トヨタはEVの開発を早める必要が出てくる」と、あるアナリストはみている。中国はトヨタが世界販売の約1割、年120万台を依存する市場で、重要さはガソリン車禁止で先行した英仏以上だ。今後の鍵を握るのは、中国での禁止がいつになるか。トヨタ社内でも見方は分かれるが、ある幹部は「規制が入れば対応せざるを得ない」。

 

系列の大手部品メーカーも動き始めている。経済産業省によると、ガソリン車では3万点ある部品がEVでは2万点で済むとされ、危機感は強い。アイシン精機の伊原保守社長は8月の会見で「(EVには不要な)エンジンや変速機が全てなくなると、3・5兆円あるグループの売上高が2兆円近く減る。非常に大きなインパクト」と話していた。アイシングループは、減速時に効率良く発電できる「電子制御ブレーキ」をフランクフルトで展示。EVシフトへの対応を急ぐが、資金力に劣る多くの中小部品メーカーにとって、ガソリン車依存からの脱却は簡単ではない。EVシフトが今後どれほどのペースで広がり、各企業がいかに対応するのか。その影響は自動車関連産業で働く国内500万人余りの雇用にも及びかねない。

 

お名前
URL
MAIL