2017年03月04日

ブログ:日本に「中立」はありか?ある外交官の提言

武装はさておき、日本の外交政策として「中立」を志向すべきだと日頃考えているなか、「武装中立」を提唱している識者がいることに驚きを感じました。英(はなぶさ)正道という方で、3日の毎日新聞で紹介されました(以下にその記事)。英氏は、なんと元外交官であるということにさらに驚かされました。外務省OBといえば、岡本行夫氏のように対米追随の権化みたいな人がたくさんいる中、天木直人氏や孫崎亨氏のような型破りな人はまれだと思っていましたが、ここにまた注目される人物を発見して安堵しています。もちろん、親米派の中にも、故岡崎久彦氏のように傾聴させていただきたい方もいましたが、大方は、アメリカまずありきからしか物事を考えることができない人たちばかりだという印象があります。

 

日本外交について「中立」を語ることは、一笑に付されるか、「左翼」とまた紋切り型の批判を受けるかもしれませんが、一考に値すると思います。

 

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金言 日本の「武装中立」=西川恵
(毎日新聞2017年3月3日 東京朝刊)

 

トランプ米政権に日本はどう対応すべきか。日本の識者の意見は大きく二つに分かれる。米国が世界秩序維持の役割を再認識し、協調主義に立ち戻るよう仲介に努めるというのが一つ。他方に「自国第一」が世界の潮流である以上、日本も自立の道を模索すべきだとの意見がある。多くの識者たちは二者択一ではなく、一方に比重を置きつつ、他方も排除してはいない。この点で明確に後者の立場に立つ論客が元駐伊大使の英(はなぶさ)正道氏だ。近著「トランプ登場で激変する世界」(アートデイズ)で、日本の「武装中立」政策を主張する。

 

米国の経済力は相対的に落ちていき、日本の対米依存は早晩限界に達するというのが英氏の見立てだ。オバマ前政権から米国が「世界の警察官」役を降り、21世紀を展望した時、日米同盟を維持してまで守る国益が米国にはあるだろうかと問う。トランプ大統領の登場は日本が自立する上での幸運と捉えるべきだ、と。武装中立政策は(1)日米同盟の解消(2)非核政策(3)通常兵力の整備--からなるが、これは日本と朝鮮半島の非核地帯構想とセットになっている。

 

日本の安全保障の最大リスクは北朝鮮の核。北朝鮮が米国との平和協定を求める一方、外部からの体制転覆の企てを恐れて核を手放さないことを踏まえ、信頼醸成を積み上げて北の疑念を除去し、核を持つ理由をなくさせようと英氏は主張する。米朝和平協定の締結、北と韓国の通常兵力削減、米軍の韓国からの撤退など中長期の取り組みで信頼醸成を図り、国際機関が北の核放棄を確認し、日本は憲法を改正して非核政策を明確にする。なぜ日本も、なのか。「日本の悪夢は核武装した統一朝鮮の出現。朝鮮半島の非核化が実現するならそれ相当のコストは払うべきだ。また非核を憲法で明示しても、反核の国民感情からして失うものは少ない」

 

細かい議論を紹介する余白はないが、これは国際社会での日本の立場を強化すると英氏は言う。核廃絶へのインパクト。日本の核保有を疑ってきた中国が、未来志向に向かう契機になるかもしれない。日米同盟によって他国の紛争に巻き込まれるとの長年の論争からも自由になる。もちろん実現までの道のりの険しさは英氏も先刻承知だ。昨年、まだ非核地帯の構想を温めていた英氏は「日本が力のあるうちに安定的な秩序をこの地域に作る必要がある」と私に語った。賛否は別にして、幅広いレンジで日本の今後を考える時期にきていると思われる。

 

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