法学

法の支配と法治主義

 

法の支配とは、権力は権力者の勝手な意思によって用いられてはならず、法に基づいて行使されなければならないという考え方である。

 

「法の支配」にいう「法」は、内容が合理的でなければならないという実質的要件を含む観念であり、ひいては人権の観念とも固く結びつくものであった。

 

「法の支配」は、国民の権利・自由を制約する法律も、その内容は国民自身が決定し、かつその内容が合理的なものでなければならない、という考えに立つものである。

 

イギリスでは、国王と市民との裁判を担当した裁判官エドワード・コーク(クック)が、(1606年)、国王主権を主張する国王ジェームス1世に対し、「国王といえども神と法の下にある」というプラクトンの言葉を引用して諌めたことで、法の支配の確立が決定的となったとされる。

 

「法治国家」にいう「法」は、内容とは関係のない(その中に何でも入ることができる容器のような)形式的な法律にすぎなかった。そこでは、議会の制定する法律の中身の合理性は問題とされなかったのである。

 

「法治主義」は、法律の根拠さえあれば行政権は国民の権利を制限することができる、という考えに立つ。

 

法治主義とは、ドイツで発展した考え方であり、法の内容よりも、行政権の発動が法律に従ってなさなければならないとする、法の形式に関する原則である。

 

法治主義とは、絶対主義を正当化するために、国王が法を制定して国民を支配した絶対王政下の政治でもみられた。

 

 

法源(法の存在形式)

法源体系は、国内法では最高法規である憲法を最上位で、これに次ぐものが法律であり、政令、省令、地方公共団体の定める条例等はその下位とされている。条約と憲法の関係については、憲法が条約よりも優位に立つとするのが通説である。

 

制定法は、国の唯一の立法機関であるとされている国会が制定した法律およびその法律の範囲内か委任がある場合に行政機関が制定する政令や条例等に限定されている。また、裁判所が制定するその内部規律や司法事務に関する規則も、制定法であり、法源の一つと認められる。

 

条例は、憲法によって保障された自治立法権に基づき、地方公共団体が法律の範囲内で制定するものであり、制定法に含まれ、法源となる。

 

裁判官は、独立してその職権を行い、法律によってのみ拘束されるが、(裁判実務上の慣行として)先例にも拘束されると解されており(先例拘束性)、判例も拘束力を持ち、法源となる。

 

現実に文字で定められた法を成文法といい、文字化されていなくても規範力をもつ法である不文法と区別される。判例法は不文法である。

 

判例とは、先例として機能する裁判例であり、その後の同種の事件においても同じ内容の判決が繰り返されると、その先例的機能は判例法となる。

 

慣習のうち人々が法意識をもって慣行しているものを慣習法と呼び、慣習法は法源の一つであるが、制定法と食い違った場合に、優先して適用されるとは限らない。

 

慣習法は、生活の中から自然に生成し、社会を構成する人々の行動や考え方などを拘束してきたものである。統一的な法制度が整備された今日においても、慣習法は制定法に優先することもある(商事に関する慣習法は、制定法である民法に優先する)。

 

コモン・ローは、中世以来、イングランドで裁判所が伝統や慣習・先例に基づき裁判をしてきたことによって発達した法分野である。

 

マグナ・カルタは、1215年に制定された、コモン・ローを明文化したものの一つと解釈されている。

 

条理は、裁判官が裁判するに当たって、制定法や判例法や慣習法をよるべき基準とすることは当然であるものの、最終的にはこの解決が最も適当だと自分の判断による判決を下すしかない。

 

条理(物事の筋道・道理)は、客観的に認識しうる形で存在して法ではないものの、法源として認められている。その場合でも、条理は成文法、慣習法、判例法の次に位置づけられるのが普通である。

 

現行法を公法と私法とに区別すると、憲法、刑法、刑事訴訟法、民事訴訟法は公法であり、民法、商法は私法である。

 

実体法は、権利義務の発生、変更、消滅の要件などを定めた法規であり、その具体的な適用に関する法である手続法と区別され、民法や刑法は実体法に含まれる。

 

一般法と特例法の区別は相対的な関係であり、商法は、民法に対しては特例法であるが、手形法や有限会社法に対して一般法である。

 

一般に前法と後法との関係では、同一法形式相互間(たとえば、法律と法律、政令と政令など)では、後法が前法に優先して適用されるという「後法優位の原則」がある(「特別法は一般法を破る」)。

 

すでに存在する法律と、内容において矛盾する法律が後になって制定された場合、前法と後法の関係は、一般的に、前法の存在にかかわらず、後法が優先適用されることとなる(後法優位の原則)。

 

特別法は一般法を破るという特別法優位の原則との関連で、前法が特別法であり後法が一般法である場合、特別の規定がなければ、特別法の前法が優先すると解するのが相当である。

 

強行法規は、公法の多くの規定のように当事者の意思(契約や特約等)によっても適用を排除することができない法であり、契約上の当事者の合理的意思解釈のために設けられ、当事者の意思によって適用を排除できる法である任意法規と区別され、強行法規に反する契約は無効となる。

 

(建設中、まだまだ続きます)