2016年12月27日

三菱UFJ、仮想通貨を一般向けに発行へ

仮想通貨が暮らしの中に 三菱UFJが一般向け17年度発行計画
(2016/12/26 日本経済新聞)

 

2017年は仮想通貨が暮らしに本格的に入り込む年になる――。三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)は17年度から独自の仮想通貨「MUFGコイン」を一般向けに発行する計画だ。いったい何が便利になるのか。銀行内部で進む構想を探った。

 

会社恒例の忘年会。上司による一本締めが終わると、社員のスマホが一斉にぶるぶると震えた。画面に通知されたのは人工知能が場の空気を読んで自動で計算した各自の支払額だ。スマホに入れたMUFGコインの口座(ウォレット)マークを指で押すと、コンビニでためたポイントで支払いは完了。画面には「あなたの飲食代は前年よりも5%増えました」との余計な表示まで――。1年後の忘年会ではこんな風景が広がっているかもしれない。MUFGコインは17年初頭にも社員の利用が始まり、17年度には一般向けに広げる計画とみられる。

 

普段使うお金はあらゆるお店で使えるが、口座管理や送金に費用や時間がかかる短所を抱えている。日銀や銀行が取引のセキュリティーを高めるために巨大なシステムを構築しているためだ。一方、仮想通貨はブロックチェーンと呼ばれる技術を使い、安くて早い取引を実現できる。仮想通貨で最も早く台頭したのはビットコインだが、暮らしの中に浸透しているとは言い難い。対通貨での価格が変動するほか、取引所の破綻などでマイナスの印象が強まったためだ。「大きな恩恵が期待できるはずなのに、ビットコインには信頼性が欠如している」。MUFGの平野信行社長は9日、日本外国特派員協会でこう指摘し、使い勝手がいい新たな仮想通貨の必要性を強く示唆した。

 

まだMUFGは法整備の行方をにらんで計画を公表していないが、1MUFGコイン=1円に固定することで価格を変動させず、通貨やコンビニなどのポイントとも交換できるようにして、それぞれの短所を補う仕組みを目指すようだ。例えばポイントは利用者間でやり取りできないが、MUFGコインに交換すれば可能になる。24時間365日、安くて早い送金が可能になるほか、ウォレットと呼ばれる口座をスマホなどで気軽に開設できる。年1回支払う自動車保険の保険料を専用ウォレットに毎月積み立てていけば、出費を一定にならすことも可能だ。

 

利用者保護を目的に仮想通貨を巡る規制を整備した改正資金決済法は17年春ごろまでに施行される見通しで、MUFGコインのような動きはほかにも広がる可能性が高い。銀行は独自の仮想通貨の普及を通じて把握した顧客ニーズを新しい金融商品やサービスの開発につなげられる。みずほフィナンシャルグループも同様の仮想通貨「みずほマネー」の実証実験に着手している。金融業界では今、金融にIT(情報技術)を活用するフィンテックの登場で、多種多様な生物が一斉に進化したカンブリア紀のような商品・サービス開発競争が起きている。生き残れるかどうかはもちろん、顧客が便利さを実感できるかにかかっている。

 

 

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