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2019年08月21日

祭り:盆踊りの起源と由来

前回の投稿では、お盆を取り上げました。お盆は、仏教を原点としつつも、日本古来の民族風習が色濃い行事でした。お盆の習わしの一つである盆踊りも同様で、インドや中国にはない日本独自の風習です。今回は、この盆踊りについて考えます。

 

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盆踊りの由来

 

盆踊りとは、お盆の時期に踊る行事で、お祭りの会場などで櫓を囲み、浴衣を着た踊り子が円を描くように、民謡に合わせて踊ります。元来、盆踊りは、先祖を供養することを目的にしていましたが、現代では、宗教的・習俗的な色合いは薄れ、娯楽性が強くなっています。具体的に、盆踊りは、地域の一大イベントとして開催されることが多いため、地域の人々との交流の場、帰省した人たちの再会の場、さらには男女の出会いの場として、私たちの生活に根付く夏の風物詩となっています。

 

前述したように、盆踊りは、「仏教由来のもの」として始まり、やがて、日本の習俗としての「先祖などの霊を供養」という側面が強くなって、全国的に広がりました。仏教の側面から言えば、盆踊りの由来は、平安時代の空也上人や鎌倉時代の一遍上人がはじめた「踊り念仏(念仏踊り)」が元になっていると見られています。

 

それから、お盆のもう一つの起源が、死者・先祖の霊魂を供養するという日本独特の風習です。お盆には祖先の霊が帰ってくるとされています。盆踊りも亡くなった人や祖先の霊を供養・もてなす意味も込められています。お盆にお迎えした故人や先祖の霊を慰め、無事に送り帰すための踊りとして受け継がれてきたのです。また、帰って来た霊が供養のおかげで成仏できた喜びを、踊りで表現しているともいわれています。

 

盆踊りは、通常、お盆の終わりの時期である8月15日の夜に開催されます。これは、16日には先祖の霊はあの世へ帰ってしまわれるからです。さらに、盆明けの16日は、先祖の霊と共に過ごす最後の一夜ということで、16日の朝まで夜通しで踊るのが通例だったそうです。

 

 

◆盆踊りの歴史

盆踊りは、500年以上の歴史を持つとされ、その由来は、平安時代に遡ることができます。この頃、比叡山の僧侶には、念仏を唱えながら阿弥陀仏の周囲をぐるぐる行道(ぎょうどう)してまわる「常行念仏」(じょうぎょうねんぶつ)という修行がありました。

 

山上の寺院堂内で行われていた念仏修行を、京都のまちなかの民衆の間に持ち込んで、「踊り念仏」という形で広めたのが、平安時代中頃にご活躍された「空也(くうや)上人」です。「空也」は、念仏を人々に覚えてもらおうと工夫してリズミカルに歌うように念仏を唱え始め、その念仏にあわせて踊りも踊るようになったのです。

 

ただし、それでも当時は、今のようにまだ全国的には普及してはいませんでした。この踊り念仏を全国的に広められたのが、鎌倉時代中頃に出られた一遍上人です。一遍上人と言えば、時宗を始められたことで知られています。神奈川県の藤沢にある時宗の遊行寺には、約700年前に一遍上人の一生を絵と物語で書いた国宝「一遍聖絵」(いっぺんひじりえ)があります。その中に、藤沢の片瀬や長野県の佐久で踊り念仏を行った絵があり、これが現存する踊り念仏の一番古い確証のある記録だそうです。

 

その後、一遍上人は、「踊り念仏」を独自に進化させた「念仏踊り」を生み出しました。「念仏踊り」は、踊りが主となった芸能を言います。「踊り念仏」は、もっぱら「南無阿弥陀仏」と念仏を唱えながら踊った一方、「念仏踊り」は、唱えるのは念仏でなくてもよく、代わりに歌も唄うようになったという違いがあります。「念仏踊り」の方は、宗派を問わず誰もが参加できるという特徴を持つので、全国的に広がるきっかけとなっていきました。今でも盆踊りが盛んな土地は、かつて一遍上人が全国行脚した時に訪れた土地であることが多いそうです。

 

全国的に「念仏踊り」が広がって来た頃、踊り念仏(念仏踊り)が、もっと古くからあった先祖の魂を供養するお盆の行事や民間で伝わる踊り、例えば、精霊や祖霊を迎えて踊るという「精霊踊」や地域独自の「踊り」などと結びつき、現在の「盆踊り」の原型をつくったと考えられています。当初は、仏教行事(「盂蘭盆会うらぼんえ」)であった「お盆」も、室町時代になると、死者供養としての「盆」の観念が色濃くなってきます。念仏踊り(踊り念仏)も全国に広がったとしても、まだ宗教的な要素が強く、仏教行事の一つであったものから、先祖を供養するための行事の側面が強くなっったのです。

 

ただし、今でいう「盆踊り」が登場するのは、一遍没後かなりたった室町時代のことです。室町の踊りは、「派手」な風流(ふりゅう)踊りが代表的です。風流とは、人を驚かすための華美な趣向であり、派手な踊りが踊られていたそうです。1400年代に入って、お盆に、風流踊りを踊ったとの記録があります。これが、盆踊りのスタートとみられています。このように、踊り念仏が、念仏踊り、風流(ふりゅう)踊りを経て、盆踊りになったと考えられています。

 

こうして、室町時代に始まった今でいう盆踊りは、江戸時代には、村々にまで浸透します。この頃になると、盆踊りは地域の人々の交流や男女の出会いの場となっていきます。盆踊りの歌の歌詞にははかなさや切なさなどの色恋めいた表現が多くあり、男女の出会いの場として踊られてきたことが伺えます。

 

 

明治以降の盆踊り

明治時代、炭坑節に代表される産業関連した盆踊りが生まれはしましたが、この時期、盆踊りは、冬の時代を迎えます。それは、明治時代には「風紀を乱す」との理由によって取り締まりが行われたことや、文明開化の影響で、盆踊りそのものが古い因習とみられたためでした。

 

しかし、大正時代は、「大正デモクラシー」と言われたように、日本の文化が様々に見直された時代であり、日本の伝統文化が再発見された時期でした。盆踊りも、大正時代末期には再び復活し、再び日本の各地域で開催されるようになり、現代に継承されています。

 

 

◆日本三大盆踊り

日本全国に今も数多く残る盆踊りには、何万人もの人が訪れるものから、町の集会所などで行われるような小規模なものまで様々ありますが、中でも有名なのは、「日本三大盆踊り」でしょう。

 

西馬音内の盆踊り(秋田)

西馬音内の盆踊り(にしもないのぼんおどり)は、秋田県の雄勝郡羽後町、西馬音内で開催される盆踊りです。毎年8月の16日〜18日まで開催され、国の重要無形民俗文化財にも指定されている700年以上の歴史ある盆踊りです。

 

郡上踊り(岐阜)

「郡上踊り(ぐじょうおどり)」は、岐阜県の郡上市八幡町で開催される盆踊りです。毎年7月中旬から9月上旬まで開催され、8月13〜16日には徹夜で夜通し踊る「盂蘭盆会(徹夜踊り)」が行われます。

 

阿波踊り(徳島)

徳島県徳島市で開催されるのが「徳島市阿波踊り(とくしましあわおどり)」です。毎年8月12日〜15日に開催され、起源はなんと400年前の江戸時代までさかのぼります。(すでに本HPレムリアで紹介、阿波おどり

 

 

<参考>

盆踊りの由来 | 盆踊りの世界

盆踊りとは?由来や歴史、有名な盆踊りも|いつから始まった? – 四季の美

盆踊りの由来と歴史、仏教との深い繋がり

仏教ウェブ入門講座

超便利、冠婚葬祭マナー

盆踊りの歴史にとんでもない事実が…!盆踊りの本当の意味や起源

盆踊りの歴史にとんでもない事実が…!盆踊りの本当の意味や起源

盆踊りとは?由来や歴史、有名な盆踊りも|いつから始まった?

芸能史からみた盆踊りの原点、盆踊りの世界など