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2016年06月10日

ニュース&コメント:「ベーシックインカム」は日本で可能か?

将来の社会保障制度を考える上で参考になるニュースです。否決されたのは残念ですが、国民投票を行なうまで導入が検討されただけでも、今後に期待できる傾向だと思います。

 

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スイス 国民投票で「ベーシックインカム」導入否決
(2016年6月6日、NHKニュース)

スイスで、年金などを廃止する代わりに、収入に関係なくすべての国民に毎月一定額を支給する「ベーシックインカム」と呼ばれる制度の導入の賛否を問う国民投票が行われ、開票の結果、反対が70%を超え否決されました。

 

「ベーシックインカム」は、収入に関係なくすべての国民に無条件で毎月一定額を支給する制度で、貧困や少子化などの対策に効果的だとする指摘もある一方、年金や失業保険などを廃止することから導入に慎重な意見もあります。

 

スイスでは、この制度の導入を求める市民団体が国民から必要な数の署名を集めたことから、5日、賛否を問う国民投票が行われ、即日開票の結果、賛成が23.1%に対し、反対が76.9%となり、否決されました。

 

この市民団体は、制度が導入されれば毎月18歳以上には日本円にして27万円余り、18歳未満には6万8000円余りを無条件で支給する案を主張していました。しかし、スイス政府や主要な政党、それに経済界からは、「財源が不足する」とか「労働意欲の減退が心配される」などとして導入に反対する意見が相次いでいました。

 

「ベーシックインカム」は、フィンランドが効果を検証するため失業者など一部の国民を対象に来年から試験的に導入するほか、オランダでも自治体レベルで試験的に始まるなど、ヨーロッパを中心に導入に向けた動きがあり、今回の結果の影響が注目されそうです。

 

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広がり続ける格差問題を解消するためには、日本でも「ベーシックインカム」制度のようなものが導入される必要があると思いますが、現実的には困難です。まず財源の確保が難しいということと、また、仮に日本で採用された場合、海外から大量の貧困層が流入してくることは間違いありません。ベーシックインカムは勤労意欲を阻害するという点で財界は反対しますが、労働力の流入という点では皮肉にも、その目的が達成されるかもしれませんが…。

 

しかし、今の日本経済にとって必要なことは、将来に対する不安を解消してあげることです。アベノミクスが全く機能しないのも、将来に対する「安心と安定」が確保されないからです。その意味で、生活に不安のない所得の提供である「ベーシックインカム」制度の導入は、日本の経済社会問題を究極的に解決できる手立てだと思われます。

 

では、現実的に困難であるとしても、その次善の策は講じるべきだと思います。そこで提案したいのが、「負の所得税」という政策です。一定の所得以下の人には、負の所得税=給付が行われます。これが現行の生活保護制度と違うのは勤労意欲を阻害しないという点です。生活保護は規定の所得に達すればもらえなくなりますが、「負の所得税」制度の場合は、働いた所得に上乗せする形で給付されます。全く所得のない人は「負の所得税」という給付分だけ。働けば所得が増え、生活できる水準までは、政府が「負の所得税」という形で給付して支えるのです。

 

「負の所得税」は財政負担が重いのですが、「ベーシックインカム」よりは軽い負担で、勤労意欲は阻害せず、「安定」した所得が保障されるものです。安倍総理も本当に国民のことを考えて政治をやっているのであれば、検討してもらいたい政策です。