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2016年06月25日

ニュース&コメント:イギリス、EU離脱へ

英、EU離脱へ 国民投票51%占める キャメロン首相、辞意表明
(2016年6月25日朝日)

欧州連合(EU)からの離脱を問う23日の英国の国民投票は、開票の結果、離脱票が残留票を上回った。英国は、28カ国に拡大したEUから脱退する初めての加盟国となる。自ら率いた残留派の「敗北」を受けて、キャメロン首相は24日、辞意を表明した。選挙管理委員会が24日に発表した開票結果によると、「離脱」は1741万742票(51・9%)、「残留」は1614万1241票(48・1%)、無効票が2万5359票だった。投票率は72・2%で、昨年5月の総選挙の66・1%を上回った。

 

国民投票は、与党・保守党党首のキャメロン氏が2013年に公約に掲げた。ユーロ危機のあおりで不況が続き、反EUの声が高まったことが背景にあった。最近では、後からEUに加盟した東欧諸国などからの移民が増加。社会保障費が減らされ、職を奪われる危機感も国民に広がり、離脱派を勢いづかせていた。

 

EU基本条約の規定によれば、英国が進める離脱交渉の交渉期間は2年で、延長もできる。また、英国は欧州の単一市場へのアクセスを失うため、改めてEU側と関税などの貿易協定の交渉をすることになる。EUのトゥスク首脳会議常任議長(大統領に相当)は24日、ユンケル欧州委員長(首相に相当)、シュルツ欧州議長、首脳会議の議長国オランダのルッテ首相と英国の投票結果を協議。会合後の声明で、英側に「できる限り早く」手続きに入るよう求めた。

 

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冷静に考えれば、ボリス・ジョンソン前ロンドン市長が言うように、「私たちは欧州の一員で欧州に背を向けることはできない。ただ、ブリュッセル拠点の連邦政府制度(EU)の一員になる必要はないだけのこと」です。イギリスは共通通貨ユーロを採用しておらず、EUからの離脱でユーロ圏経済が崩壊するわけではありません。脱退後、イギリスがEUとFTAを結び、関税など貿易面でこれまで通り、企業が自由貿易を享受できれば、何の問題もありません。マーケットも、もしこの流れが明らかになればやがて落ちついてくるでしょう。

 

しかし、怖いのEU加盟国政府と欧州市民が、悲観的に過剰反応してしまうことです。これこそがマーケットにも伝搬し、欧州初の世界金融危機から経済危機へと発展する可能性もあります。具体的には、他のEU加盟国でも脱退を目ざす国がでてきたり、イギリス国内にあっても、スコットランドだけでなく、北アイルランド、ウェールズまでが独立を希望したりして、EUそしてイギリスが空中分解してしまうことです。特に後者が懸念されます。

 

こうした事態を避けるためには、各国の指導者の政治手腕にかかっています。いかに国民やマーケットの不安を鎮め、安定に導けるかです。今回のイギリスのEU離脱を招いたの、必要もないのに政治的な策略で、国民投票を公約してしまったことです。保身のためではなく、国民のため、欧州のために、冷静に何ができるかを考えて、行動できる政治家の力量が問われていると思います。

 

なお、私はかねがねEUはこの後も変わらず、政治統合をさらに進め、やがては「欧州合衆国」になると予測をしています。これはローマ帝国の再来です。イギリスはローマ帝国にも属していない歴史性から今回のような事態もありなのかもしれません。しかし、グローバル化のうなりは、大きな逆流をこなしながらも、変わることなく進展していくと思います。

 

日本の対応については、こうした海外における波乱要因が今後もでてくると思われます。その度に右往左往するのではなく、これまでの輸出主導の外需依存型から内需主導への転換がいまこそ急がれます(内需主導は80年代半ばから言われてますけどね)。

2016年05月11日

ニュース&コメント:ロンドン市長に初のイスラム教徒

最近のニュースから私が注目したのは、ロンドン市長にイスラム教徒で富裕層出身でない人が選ばれたという報道です。

 

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英国 ロンドン市長にイスラム教徒 欧州主要都市で初
(毎日新聞2016年5月7日)

英国で5日行われた統一地方選挙で7日、ロンドン市長にイスラム教徒で人権派弁護士の労働党議員、サディク・カーン氏(45)が当選した。ロイター通信によると、イスラム教徒の市長誕生は欧州主要都市で初めて。

 

市長選はカーン氏と保守党議員のザック・ゴールドスミス氏(41)の事実上の一騎打ち。カーン氏の父はパキスタンからの移民で元バス運転手。低所得者向け公営住宅で育ち大学卒業後、人権派弁護士として活躍していた。ゴールドスミス氏は資産家出身で、ボリス・ジョンソン市長(51)の後押しを受けていた。

 

保守党側が、イスラム教徒という理由でカーン氏とイスラム過激派を結びつけるような主張を展開し、物議を醸していた。カーン氏は当選後、「ロンドン市民が分裂よりも結束を選んだことを誇りに思う」と述べた。英メディアによると、富裕層出身ではない人物が市長になるのも初めて。

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この画期的なニュースに対して、日本経済新聞は、「ロンドン市民、『多様性』選ぶ」報じました。「英国の首都としてロンドンは旧植民地や欧州連合(EU)各国から多くの移民を受け入れ、経済成長につなげてきた。2011年の国勢調査によるとロンドン人口の12.4%はイスラム教徒。今やロンドン人口の3分の1は英国以外の生まれとされ、市長選の投票用紙はアラビア語やトルコ語など18言語に訳された。専門家たちは『移民社会が孤立しがちなパリやブリュッセルに比べて、ロンドンは多様な価値観が定着した』と指摘する。」(日経記事抜粋)

 

世界の紛争・戦争の原因の多くは宗教対立、特に現代では、9.11同時多発テロ以降、再びイスラムvsキリスト教の対立が深刻化しています。そういう意味で、今回のニュースは、キリスト教とイスラムの融和という象徴的な出来事として、今後の世界の平和と安定に向けたきっかけになればいいですね。宗教融和、今こそ宗教界が本腰を入れなければならいと改めて思いました。

 

では、このニュースを都市における人種の融和という点で、東京について考えると、国際都市としての東京はどうでしょうか?今、ロンドンを目指さなければならないというつもりはありません。ましてや、これで移民受け入れ論が強まるのなら本末転倒です。制度だけ変えても、住民(国民)にその土台がなければ返って混乱を引き起こすでしょう。政治家や一部の学者やメディアの掛け声でなく、投票という形で、ロンドンが「グローバル国際都市」であることが証明されたというところが重要です。ロンドン市民には、多様性の考え方が定着していたのです。

 

それでも、東京がロンドンから学ぶところは大きいはずですね。東京オリンピックがある5年後、どれだけ多くの外国人が、東京(日本)にまた来たい、住んでみたいという気持ちになってもらえるか、制度や都市環境など都市づくりだけでなく、おもてなしする側の都民(国民)のこころのあり様も問われてくるでしょう。

 

現在、国主導で、日本の観光立国化が図られていますが、その中心はビザの緩和など制度的なものが中心です。日本の真の観光立国化は、住民も参加する自治体レベルでの地道な取組みにかかっていると思います。